動脈瘤の従来の開放手術
概要
動脈瘤(どうみゃくりゅう)は、血管の一部が風船のように膨らんだ状態です。従来の開放手術は、体の一部を開いて動脈瘤を直接見ながら修理する方法です。脳の動脈瘤では、膨らんだ部分をクリップで留める手術(クリッピング術)が行われることがあります。胸部や腹部の大動脈瘤では、弱った血管を人工血管に置き換える手術が行われることがあります。手術が必要かどうかは、動脈瘤の場所や大きさ、破裂の危険性、体の状態を専門医が総合的に見て決めます。
重要な事実
- 動脈瘤が見つかっても、すべての人にすぐ手術が必要なわけではありません。小さくて危険が低い場合は、定期的な画像検査で経過を見ることがあります。
- 開放手術は歴史のある確立された方法ですが、体への負担や回復に時間がかかることがあります。
- 破裂した動脈瘤は命に関わることがあるため、突然の激しい頭痛や胸・背中・腹部の激痛、意識の変化があれば119番に連絡してください。
動脈瘤は比較的よく見つかる血管の病気ですが、開放手術を受ける人はその一部です。脳、胸部、腹部など場所によって頻度や治療の選び方が異なります。
年齢とともに見つかりやすくなり、高血圧や喫煙、家族歴、動脈硬化がある人に多いです。子どもではまれですが、生まれつきの血管や結合組織(組織をつなぐたんぱく質)の病気に関連して見つかることがあります。
症状
- 突然の激しい頭痛で、今まで経験したことのない痛み
- 意識がもうろうとする、倒れる、けいれんする、会話がかみ合わない
- 突然の胸や背中の激しい痛み、冷や汗、息苦しさ
- 突然の腹部や腰の激しい痛み、お腹の拍動するしこり、失神
- ろれつが回らない、手足の麻痺、視野が欠ける、急な視力低下
- ⚠新しく強い頭痛が続く、痛み止めでよくならない
- ⚠視力や視野の変化、物が二重に見える
- ⚠胸や腹部の痛みが続く、違和感が増す
- ⚠お腹に拍動するしこりに気づいた
- ⚠手術後の傷の赤み・腫れ・膿、発熱、傷の痛みが強くなる
一般的な症状
- 多くの未破裂動脈瘤は症状がありません
- 頭痛が続く(脳の動脈瘤)
- 目の見え方の変化、二重に見える、視野が欠ける
- 顔や手足のしびれ、話しにくさ(脳の動脈瘤)
- 胸や背中の痛み(胸部大動脈瘤)
- 腹部や腰の痛み、お腹に拍動するしこり(腹部大動脈瘤)
- のどの違和感や声のかすれ(胸の動脈瘤が近くを圧迫する場合)
原因
主な原因
- 血管の壁が弱くなる(生まれつきの性質や加齢による変化)
- 高血圧により血管の壁に強い負担がかかる
- 動脈硬化(血管が硬く狭くなる変化)
- 結合組織の病気など、血管の壁を支える組織が弱くなる病気
- 血管の感染や外傷(けが)によるもの(まれ)
リスク要因
- 家族に動脈瘤やくも膜下出血の人がいる
- 動脈硬化、脂質異常症(血の中の脂が多すぎる状態)、糖尿病
- 結合組織の病気、多発性嚢胞腎(腎臓に水の袋ができる病気)などの病気
- 飲酒量が多い、ストレス、肥満など生活習慣の影響
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 新しく強い頭痛が続く、痛み止めでよくならない
- 視力や視野の変化、物が二重に見える
- 胸や腹部の痛みが続く、違和感が増す
- お腹に拍動するしこりに気づいた
- 手術後の傷の赤み・腫れ・膿、発熱、痛みが強くなる
定期受診を予約すべき場合:
- 動脈瘤と言われたことがあり、次回の検査時期を確認したい
- 家族に動脈瘤やくも膜下出血の人がいて、検査について相談したい
- 開放手術か血管内治療か、治療の選択肢を詳しく知りたい
- 手術後の生活、仕事復帰、運動、食事について相談したい
- 不安や気分の落ち込みが続いている
診断
まず問診と診察で、症状や病歴、家族歴、生活習慣を確認します。次に、動脈瘤の場所と大きさ、形を調べる画像検査を行います。脳の動脈瘤なら頭部のCTやMRI、胸部・腹部の大動脈瘤なら超音波検査やCTなどを使います。造影剤を使う検査では、腎臓の状態やアレルギーの有無を事前に確認します。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT検査
- 頭部MRI・MRA検査
- 脳血管造影検査(必要な場合)
- 腹部超音波検査
- 胸部・腹部CT血管造影検査
- MRI血管造影検査
- 手術前の血液検査、心電図、胸部レントゲンなど全身の評価
診察で予想されること
画像検査は多くが短時間で、痛みはあまりありません。造影剤を使うと体が熱く感じたり、少し気持ち悪くなったりすることがあります。検査結果は専門医と一緒に確認し、動脈瘤の危険性と、手術を受ける場合の利益・リスクを話し合います。
治療
治療は、動脈瘤の場所、大きさ、形、破裂の危険性、年齢、全身の状態によって決まります。従来の開放手術は、体を開いて動脈瘤を直接修理する方法です。脳の動脈瘤ではクリップで留める手術、胸部や腹部の大動脈瘤では人工血管に置き換える手術などがあります。体への負担が少ない血管内治療(カテーテルで血管の内側から治す方法)が選べる場合もあります。どちらが適しているかは専門医と相談します。
自宅でのセルフケア
- 禁煙を続ける。禁煙外来なども利用できます
- 血圧を自宅で記録し、医師の指示に従って管理する
- バランスの良い食事をとり、塩分を控えめにする
- 手術前は医師の指示に合わせて呼吸訓練や軽い運動を行う
- 手術後は傷口を清潔に保ち、赤み・腫れ・膿があれば相談する
- 処方された薬を勝手にやめたり、市販薬を自己判断で追加したりしない
- 無理に力んだり、重い物を持ったりする前に医師に確認する
- 不安や気分の落ち込みを一人で抱えず、家族や医療者に話す
医療治療
手術前は、血圧や血管の状態を安定させるための管理を行います。手術中は全身麻酔とモニタリングのもとで修理します。手術後は、痛みのケア、感染を防ぐケア、血栓を防ぐための管理、必要に応じたリハビリを行います。薬は医師が必要と判断したものを使い、自己判断で薬を追加したり中止したりしないでください。
手術が検討される場合
破裂した動脈瘤、症状がある動脈瘤、大きい・急に大きくなった・形が危ない動脈瘤、家族歴や若年で破裂の危険が高いと考えられる場合などに手術を検討します。小さく危険が低い場合は、定期的な画像検査で経過を見ることもあります。手術を受けるかどうかは、専門医と利益とリスクをよく話し合って決めます。
この病気と共に生きる
退院後は、疲れやすさや傷の痛み、だるさが数週間から数か月続くことがあります。仕事復帰、運転、運動、旅行の時期は主治医の指示に従ってください。通院で画像検査を受け、動脈瘤や血管の状態を確認します。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける
- 血圧を測る習慣をつけ、数値を記録する
- 塩分を控え、野菜や果物、たんぱく質をバランスよくとる
- 医師の許可後に、歩行など無理のない運動から始める
- 飲酒はほどほどにする
- 睡眠を十分にとり、ストレスをためない工夫をする
- 便秘を避け、強く力む動作を控える(必要なら医師に相談)
食事と運動
食事は、塩分を控えめにし、野菜、果物、全粒穀物、魚や大豆製品などをバランスよくとることを心がけます。運動は、手術後しばらくは医師の指示が大切です。許可が出たら、散歩などの軽い運動から始め、息が苦しい、傷が痛む、めまいがするときは中止して相談してください。
精神的健康と心の健康
手術前後の不安や、再発への心配、気分の落ち込みはよくあります。無理に明るく振る舞う必要はありません。家族や友人、医療チームに気持ちを話し、つらいときはかかりつけ医や地域の相談窓口に相談してください。命に関わる緊急時は119番に連絡してください。
予防
すべての動脈瘤を防ぐことはできませんが、血管への負担を減らす生活でリスクを下げられる可能性があります。禁煙、血圧管理、動脈硬化を防ぐ食事や運動、適正な飲酒が大切です。
ワクチン
この手術に直接関係するワクチンはありません。手術前後に必要なワクチンがあるかどうかは、医師に相談してください。
検診プログラム
家族に動脈瘤やくも膜下出血の人がいる場合、結合組織の病気がある場合は、専門医にスクリーニング検査について相談してください。症状がなくても、健診で血圧や血管の状態を確認することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 動脈瘤が破裂すると、脳出血や大動脈破裂、ショックを起こし、命に関わることがあります
- 血栓(血のかたまり)が飛び、脳梗塞や手足の血流障害を起こすことがあります
- 大きくなった動脈瘤が周りの神経や組織を圧迫し、痛みや視力・声・飲み込みの変化を起こすことがあります
長期的な見通し
開放手術は歴史のある確立された治療で、多くの人が回復しています。回復にかかる時間や術後の生活は人によって異なりますが、通院と生活管理を続けることで安心につながります。治療の選択肢や不安については、専門医と何度でも相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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