気管支サーモプラスティ(重症ぜんそくの治療)
概要
気管支サーモプラスティは、重症のぜんそく(喘息)の人に行われる治療法です。口や鼻から細い管(気管支鏡:気道の中を見るためのカメラ付きの管)を入れ、空気の通り道である気道の壁に、やさしい熱を当てて筋肉の層を少し薄くします。気道の筋肉が縮みにくくなることで、発作が起きにくくなったり、症状が軽くなったりすることが期待されます。ぜんそくそのものを治す治療ではなく、薬だけでは症状が落ち着きにくい人の症状を減らすための治療です。
重要な事実
- ぜんそくを根本から治す治療ではなく、発作や症状を減らすことを目指す治療です。
- 多くの場合、入院して(日帰り〜数日の滞在)、間隔をあけて数回に分けて行います。
- 吸入薬などで十分にコントロールできない重症ぜんそくの人が対象になります。
とても一般的な治療ではありません。ぜんそくの人の多くは吸入薬などの治療で症状をコントロールできており、気管支サーモプラスティは、その治療を続けても症状が残る限られた重症の人に検討される治療です。
主に成人の重症ぜんそくの人が対象になります。日本では一般に18歳以上の人が対象とされています。症状の重さ、今までの治療の経過、肺の状態などを総合して、担当の医師が適しているかどうかを判断します。
症状
- 会話ができないほどの息苦しさがある
- 唇や爪の色が青白く見える
- 意識がもうろうとしている、反応が鈍い
- 発作で歩けない、動けない
- 発作止めの吸入薬を使ってもよくならず、悪化し続けている
- ⚠夜眠れないほどのせきや息苦しさが続く
- ⚠発作がいつもより頻繁に起きる、または長引く
- ⚠たんが増えた、色が変わった、熱がある
- ⚠治療のあとに続く発熱、胸の強い痛み、息苦しさの悪化がある
一般的な症状
- 息苦しさ、息が吸いにくい・吐き出しにくい感じ
- ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴う呼吸(喘鳴:ぜんめい)
- 夜中や明け方に強くなるせきや息苦しさ
- 胸のつかえ、締めつけられる感じ
- 発作的に続くせきやたん
- 階段や坂道で息が上がり、いつもの活動がしにくい
- 治療のあとに一時的に起こることがある症状:のどの痛み、せき、たん、だるさ、発熱感
子供の症状
- この治療は主に成人が対象で、子どもへの実施は限られています。
- 子どものぜんそくでは、まず吸入薬などの標準的な治療をきちんと続けることが大切です。
- 子どもの場合、保護者が発作のサイン(夜のせき、運動後の息苦しさなど)に気づくことが助けになります。
高齢者の症状
- 高齢の方は、心臓や肺の他の病気、服用している薬の影響などもあり、治療の適否をより慎重に判断します。
- 息苦しさを「年のせい」と感じず、ふだんと違う息苦しさがあれば早めに相談しましょう。
- 治療を受ける場合も、体力や生活環境に合わせた無理のない計画を立てます。
原因
主な原因
- ぜんそくは、気道に慢性的な炎症が起こり、気道が敏感になって縮みやすくなる病気です。
- アレルギー体質(ダニ、ほこり、ペット、花粉など)が関係することがあります。
- かぜやインフルエンザなどの感染、タバコの煙、冷たい空気、運動、ストレスが発作のきっかけになります。
- 気管支サーモプラスティが必要になる背景には、気道の筋肉が繰り返し縮んで、薬だけでは症状が抑えきれない状態があります。
リスク要因
- アレルギー疾患(アトピー、アレルギー性鼻炎など)がある
- 家族にぜんそくの人がいる
- 喫煙、または受動喫煙(まわりのタバコの煙)にさらされている
- 肥満、運動不足
- 空気の汚れ、ほこり、カビの多い環境
- 発作を予防する吸入薬を自己判断でやめてしまうこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作が強くなり、発作止めの吸入薬を使っても改善しない
- 息苦しさで話すのがつらい、横になれない
- 治療後に高熱、胸の強い痛み、息苦しさの悪化、血の混じったたんが出た
定期受診を予約すべき場合:
- 夜間や明け方のせき・息苦しさが増えている
- 発作止めの吸入薬を使う回数が増えている
- 階段や坂道で息が上がり、生活の幅が狭くなってきた
- 気管支サーモプラスティが自分に合うかどうか相談したい
- 治療後に続くせきやのどの違和感が気になる
診断
まず、ぜんそくの診断と、これまでの治療でどこまで症状が抑えられているかを確認します。そのうえで、気管支サーモプラスティが適しているかを、呼吸の検査や画像検査、症状の記録などを使って総合的に判断します。適応かどうかは一人ひとり異なるため、担当の医師とゆっくり話し合って決めます。
行われる可能性のある検査
- 問診と症状の記録(発作の頻度、夜間症状、薬の使用状況)
- 呼吸機能検査(息を強く吹き出して、気道の通りやすさを調べる検査)
- 胸部の画像検査(レントゲンやCT)
- アレルギーに関する検査(血液検査や皮膚の検査など)
- 気管支鏡検査(気道の中を直接見て、状態を確認する検査)
- 治療前の血液検査や心電図などの安全確認
診察で予想されること
検査は外来で行えるものが多く、痛みはほとんどありません。気管支鏡検査は鎮静剤を使って行うことがあり、その日は自分で車を運転しないなどの注意が必要です。検査結果が出るまでに数日〜数週間かかることがあります。結果を待つ間は不安になるかもしれませんが、分からないことは遠慮なく医師や看護師に聞いてください。
治療
気管支サーモプラスティは、薬だけで症状を抑えきれない重症ぜんそくの人に検討される治療です。気道の内側から熱を当てて、気道が縮みにくい状態を目指します。多くの場合、間隔をあけて数回に分けて行い、そのつど入院や鎮静が必要になります。治療後は、効果が落ち着くまでに数週間〜数か月かかることがあります。
自宅でのセルフケア
- 医師に指示された吸入薬や飲み薬を、症状が良くても自己判断でやめない
- 発作のきっかけ(タバコの煙、ほこり、冷気、強い匂いなど)を避ける
- 禁煙する、受動喫煙を避ける
- 発作の記録をつけ、診察のときに見せられるようにする
- かぜやインフルエンザにかからないよう、手洗い・うがいを心がける
- 治療後は決められた通院を続け、体調の変化を早めに伝える
医療治療
ぜんそくの治療は、気道の炎症をしずめる吸入薬を中心に、症状に応じて飲み薬や注射の薬を組み合わせて行われます。気管支サーモプラスティは、こうした治療を続けても症状が残る場合に検討される選択肢の一つです。どの治療をどの順番で行うかは、症状の重さや生活背景によって変わるため、担当の医師と相談しながら決めていきます。
手術が検討される場合
気管支サーモプラスティは手術ではなく、内視鏡を使った処置です。それでも体への負担はあるため、妊娠中、気道の感染があるとき、肺や心臓に大きな病気があるときなどは、実施が難しいことがあります。適応は専門の医師が慎重に判断します。
この病気と共に生きる
治療のあとは、しばらくせきやのどの違和感が続くことがありますが、多くは時間とともに落ち着きます。治療の効果を実感できるまでには時間がかかることもあります。日々の発作の様子を記録し、通院を続けながら、少しずつ生活の幅を広げていくイメージで過ごしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 部屋の掃除や換気をこまめに行い、ダニやカビを減らす
- タバコの煙を避け、家族にも協力してもらう
- 季節の変わり目や寒い日は、マスクや首元の防寒を活用する
- 十分な睡眠をとり、無理な予定を詰め込みすぎない
- かぜの流行期は人混みを避けるなどの工夫をする
食事と運動
バランスのよい食事と、適正体重を保つことが、ぜんそくと付き合っていく助けになります。運動は体調に合わせて無理なく行いましょう。運動で息苦しくなる場合は、事前に医師に相談し、発作止めの薬を手元に用意しておくと安心です。ウォーキングなど、話しながらできる程度の運動から始めるのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
息苦しさが続くと、不安や緊張、眠れない日が増えることがあります。発作への不安は自然な気持ちです。つらさが長く続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や看護師、地域の相談窓口、心の健康を支える相談サービスに話してみてください。気持ちが追い詰められて自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療機関や地域の緊急の相談窓口に連絡してください。
予防
気管支サーモプラスティ自体は、病気を予防するものではなく、症状を減らすための治療です。一方で、ぜんそくの発作を減らすことはできます。きっかけを避け、吸入薬を決められたとおり続け、かぜを防ぐことが大切です。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などのワクチンは、感染による発作の悪化を防ぐ助けになることがあります。接種の適否や時期については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
ぜんそくは定期的な診察と呼吸機能の確認で状態を把握します。症状が落ち着いていても、自己判断で通院をやめず、定期的にチェックを受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 発作が長引き、強い息苦しさが続く状態(発作重積)になることがある
- 入院や救急受診が増える
- 気道の炎症が続くことで、気道が変化して治療が効きにくくなることがある
- 睡眠や仕事、学校生活の質が下がる
- まれに命に関わる重い発作につながることがある
長期的な見通し
重症ぜんそくと付き合うのは簡単ではありませんが、治療の選択肢は増えています。気管支サーモプラスティで症状が軽くなり、生活が楽になったと感じる人もいます。効果の感じ方には個人差があり、すべての人に同じように効くわけではありません。かかりつけ医と一緒に、あなたに合った治療を少しずつ見つけていくことができます。
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最終更新: 2026年11月3日
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