ラップバンド手術(調整可能な胃バンド)とは
概要
ラップバンド手術は、肥満症(体重が増えすぎて健康に悪い影響が出ている状態)の治療のために行われる手術のひとつです。胃を切り取るのではなく、胃の上部にシリコーン製の輪(バンド)を巻きつけて、胃を「小さな袋」と「その下の部分」に分けます。食べ物は細い通り道をゆっくり通るので、少しの量で満腹感を得やすくなります。バンドの内側には風船のような部分があり、おなかの皮膚の下に埋め込んだ小さな注入口(ポート)から液体を出し入れして、締め具合を調整できます。
重要な事実
- 胃を切除するのではなく、輪を取り付けて食べ物の通り道を狭くする手術です
- バンドの締め具合は、体の外から調整できます
- 日本で保険診療として行える肥満の手術は限られており、ラップバンド手術が行われる機会はごくわずかです
- 手術だけで終わりではなく、食事・運動・通院を長く続けることが大切です
世界では1990年代から2000年代にかけて広まりましたが、効果の持続性や合併症、通院の負担などの理由から、近年は行われる数が減っています。日本では実施できる施設が非常に限られています。
主な対象は、食事や運動などの治療を続けても十分な減量が難しい高度の肥満がある成人で、糖尿病・高血圧・睡眠時無呼吸症などの健康問題をともなう方です。日本では、年齢や体格指数(BMI=体重kg÷身長m÷身長m)などの条件が学会のガイドラインで定められています。思春期や高齢の方では、心身の状態をふまえて慎重に判断されます。
症状
- 手術後に突然起こる、がまんできない強い腹痛
- 胸の痛み、息苦しさ、冷汗
- 嘔吐が止まらず、水分もとれない
- 高熱と傷の腫れ・膿(感染のサイン)
- 意識がぼんやりする、ぐったりしている
- ⚠食べ物がつかえて戻してしまう状態が続く
- ⚠胸やけや胃の痛みが数日続く
- ⚠傷の痛みや赤みが強くなってきた
- ⚠体重減少が急激で、強い疲労感やめまいがある
一般的な症状
- 息切れしやすい、階段の上り下りがつらい
- ひざや腰など関節の痛み
- いびきが強い、日中の眠気がひどい(睡眠時無呼吸症の可能性)
- 疲れやすい、体を動かすのがおっくう
- 血糖値・血圧・血中脂質の異常を指摘される
- 手術後は、食べられる量が減る、食べたあとに詰まった感じがする、ゲップが出やすい
原因
主な原因
- 肥満は、生まれつきの体質と、食生活・運動・睡眠・ストレスなどの環境要因が重なって起こると考えられています
- カロリーの高い食事や甘い飲み物のとりすぎ、運動不足
- 睡眠不足や夜更かしは、食欲を調整する体の仕組みのバランスを乱すことがあります
- ストレスによる過食や、気分に合わせた食べ方
- 一部の病気や薬の影響で体重が増えることもあります(薬の自己判断での中断はしないでください)
リスク要因
- 家族に高度の肥満の人がいる
- 夜勤や不規則な勤務
- 甘い飲み物やファストフードの習慣
- 座っている時間が長い
- 睡眠時無呼吸症や、うつ・不安などの心の不調
- 減量とリバウンドを繰り返してきた
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 手術後に強い腹痛や胸の痛み、息苦しさが出たとき
- 嘔吐が続いて水分がとれないとき
- 傷の腫れや膿、38度以上の発熱があるとき
- 食べ物がほとんど通らない感じが続くとき
定期受診を予約すべき場合:
- 減量が思うように進まず不安なとき
- 食べたあとの詰まり感や胸やけが続くとき
- 体重が減って疲れやすい、髪が抜けるなどの変化があるとき
- 肥満が気になり始め、治療の選択肢を知りたいとき
- 気分の落ち込みや食べ方への不安があるとき
診断
手術を受けるかどうかは、体格指数(BMI)やこれまでの減量の経過、肥満に関連する病気の有無、食生活、心の状態を総合して判断します。日本では学会のガイドラインで適応の目安が示されており、複数の専門職が話し合って決めます。
行われる可能性のある検査
- 身長・体重・腹囲の測定とBMIの計算
- 血液検査(血糖、HbA1c、脂質、肝機能、栄養状態など)
- 血圧測定、心電図、胸部レントゲン
- 睡眠時無呼吸症を調べる検査(睡眠中の呼吸を記録する検査)
- 胃カメラや腹部超音波検査
- 管理栄養士による食事の聞き取り、心理面の評価
診察で予想されること
一度の診察で決まることは少なく、何回か通って検査と面談を重ねます。手術の方法、期待できる効果、起こりうる合併症、術後の通院や食事の負担について、納得いくまで説明を受けてください。
治療
肥満症の治療は、食事の見直し・運動・行動の改善が土台です。手術はその土台の上に置かれる選択肢で、受けたあとも食事と運動の取り組みは続きます。
自宅でのセルフケア
- 食べたものと体重を記録する
- よく噛んでゆっくり食べ、腹八分目で止める
- たんぱく質と野菜を先に、主食は控えめに
- 甘い飲み物や間食を減らす
- 毎日少しでも歩き、座り続ける時間を減らす
- 睡眠時間を確保する
- ストレスをためず、食べる以外の気分転換を持つ
医療治療
まずは生活習慣の見直しと、管理栄養士などによる栄養・運動の指導を行います。必要に応じて薬による治療が検討されることもあります。手術は、こうした治療を一定期間続けても十分な効果が得られない場合に、専門の医療機関で検討されます。薬や手術の適否は、必ず医師と相談して決めてください。
手術が検討される場合
日本肥満症治療学会のガイドラインでは、BMIや肥満に関連する健康問題、年齢などの条件を満たし、6か月以上の保存的な治療で十分な効果が得られない場合に手術が検討されます。国内で行われる肥満手術は、胃を細い筒状にする方法や、バイパスする方法が中心で、ラップバンド手術が実施されているかは施設によって異なります。
この病気と共に生きる
手術後は、バンドの締め具合を調整するために定期的に通院します。食べ物は小さく切ってゆっくり食べ、水分は食事の合間にとるのが基本です。詰まった感じがしたら無理に飲み込まず、いったん休みます。嘔吐を繰り返すとバンドがずれたり食道が広がったりすることがあるので、続くときは早めに相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 定期的な通院と体重記録を続ける
- 食事日記をつけ、詰まりやすい食品を把握する
- ビタミンやミネラルなど栄養の補充は医師・管理栄養士と相談する
- 急激なダイエットや度重なる嘔吐を避ける
- 飲酒や喫煙は控えめにする
食事と運動
食事は、たんぱく質をしっかりとり、野菜から食べ、主食は少量ずつ。早食いと炭酸飲料は詰まりの原因になります。運動は、ウォーキングなど無理のない有酸素運動に、軽い筋力運動を組み合わせると、筋肉を落とさずに減量しやすくなります。
精神的健康と心の健康
体重が思うように減らない時期は、いらだちや落ち込み、食べることへの罪悪感が生まれやすくなります。これは珍しいことではありません。気持ちがつらい日が続くときは、ひとりで抱えず、医療チームや心理の専門職、地域のこころの相談窓口に話してください。気分の落ち込みが強いときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療機関や相談窓口を頼ってください。
予防
手術そのものを予防するという考え方は当てはまりませんが、肥満を防ぎ、悪化させないことは大切です。子どものころからの食習慣、よく噛んで食べる習慣、体を動かす習慣、十分な睡眠が土台になります。
検診プログラム
特定健診(メタボ健診)で体重・腹囲・血圧・血糖・脂質を確認できます。数値の異常を指摘されたら、早めにかかりつけ医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 肥満を放置すると、糖尿病・高血圧・心臓や血管の病気・睡眠時無呼吸症・脂肪肝・関節の痛みなどが起こりやすくなります
- 手術後にバンドがずれたり、感染したり、食道が広がったりすることがあります
- 食べられる量が減りすぎて、たんぱく質やビタミンなどの栄養不足になることがあります
- 嘔吐を繰り返すと、脱水や体の塩分バランスの乱れが起こることがあります
長期的な見通し
手術は万人に合う方法ではありませんが、食事・運動・通院を続けることで、多くの人は体重と健康状態の改善を実感できます。合併症のサインを早めに見つけて相談できれば、対応できることがほとんどです。あせらず、自分に合ったペースで進めていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.