末梢動脈疾患(PAD)のアテレクトミー
概要
末梢動脈疾患(PAD)は、脚の動脈が動脈硬化などで狭くなり、足に十分な血液が届きにくくなる病気です。アテレクトミーは、狭くなった血管の中に細いカテーテルを入れ、先端の小さな器具でプラーク(脂肪や石灰などの沈着物)を削ったり取り除いたりして血流を改善する治療法です。大きな傷をつけずに行えることが多く、血管の状態に合う場合に検討されます。
重要な事実
- PADは脚の動脈が狭くなり、歩行時の痛みや足の傷の治りにくさが起こる病気です。
- アテレクトミーはカテーテルの先端の器具で血管内のプラークを削る、または取り除く治療です。
- 治療の中心は禁煙と生活習慣の管理で、アテレクトミーは必要な人に検討されます。
PADは特に高齢者に比較的よく見られます。アテレクトミーは治療法の一つで、すべてのPADの人に必要というわけではありません。
喫煙する人、糖尿病・高血圧・脂質異常症・腎臓病がある人、高齢者、家族に血管の病気がある人に多く見られます。症状は人によって大きく異なります。
症状
- 突然の脚の激痛、脚が白っぽい・青白い、冷たい、感覚がない、動かせない(急性動脈閉塞の可能性)
- 足の黒い変化が急速に広がり、高熱や意識の変化を伴う
- 胸の痛みや息苦しさ、片側の手足の麻痺、言葉が出にくい
- ⚠足の傷や溃疡が治らない、赤く腫れて熱を持つ、膿が出る
- ⚠安静にしていても足が痛む、夜間に痛みで眠れない
- ⚠足趾の色が黒ずんできた
- ⚠歩行時の痛みが急に悪化した
一般的な症状
- 歩くとふくらはぎや太ももが痛み、休むと治まることを繰り返す(間欠性跛行)
- 足が冷たい、足の毛が薄くなる、足の脈が触れにくい
- 足の傷や溃疡が治りにくい
- 進行すると、安静にしていても足が痛む
子供の症状
- 小児のPADは非常にまれです。子どもの脚の痛みや冷感は、けがや成長痛など別の原因が多いですが、続く場合や片方だけ冷たい場合は小児科に相談してください。
高齢者の症状
- 加齢による足の痛みと思われがちですが、歩行距離が短くなる、足の傷が治らない、安静時痛がある場合はPADを考えます。高齢者では症状の自覚が少ないこともあります。
原因
主な原因
- 脚の動脈に動脈硬化が起こり、プラーク(脂肪や石灰などの沈着物)が血管を狭める
- プラークの上に血栓ができ、血流がさらに悪くなることがある
- 糖尿病や腎臓病では血管の石灰化が進みやすい
リスク要因
- 喫煙(受動喫煙を含む)
- 脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
- 家族に血管の病気がある
- 肥満や運動不足
- 偏った食事
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 足の傷や溃疡が治らない、赤く腫れて熱を持つ、膿が出る
- 安静にしていても足が痛む、夜間に痛みで眠れない
- 足趾の色が黒ずんできた
- 歩行時の痛みが急に悪化した
定期受診を予約すべき場合:
- 歩くとふくらはぎや太ももが痛み、休むと治まるのを繰り返す
- 足が冷たい、足の毛が薄い、脈が触れにくい
- 糖尿病や喫煙歴があり、足のチェックを受けたい
- 足の傷がなかなか治らない
診断
問診と足の診察から始まり、足の脈の触れ方、皮膚の色や温度、傷の有無を確認します。ABI(足首と上腕の血圧の比)や血管エコーで血流を調べ、必要に応じてCT・MRI・カテーテル血管造影で狭い場所を詳しく見ます。
行われる可能性のある検査
- 足の脈の触診と皮膚の観察
- ABI(足首上腕血圧比):足首と腕の血圧を測って血流の低下を調べる検査
- 血管エコー(超音波検査)
- CT血管造影やMRI血管造影
- カテーテル血管造影(治療と同時に行うこともある)
診察で予想されること
まず診察とABIなどの体への負担が少ない検査を行います。必要に応じて血管の画像検査を追加し、アテレクトミーが適しているかは、狭い場所や程度、全身状態を総合して医師が判断します。
治療
治療は、生活習慣の改善と血管の危険因子の管理が土台です。血流が足りないときは、カテーテル治療(風船、ステント、アテレクトミー)やバイパス手術などを検討します。アテレクトミーは血管内のプラークを削る、または取り除く方法で、狭窄の場所や血管の状態によって適しているかが変わります。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(受動喫煙も避ける)
- 毎日足を観察し、傷や色の変化をチェックする
- 医師の指示に沿って歩行運動を行う
- 靴擦れを防ぐ靴を選び、裸足で歩かない
- 血圧・血糖・コレステロールの管理を続ける
- 処方された薬を自己判断でやめない
医療治療
医師はまず生活習慣の改善と、血圧・血糖・コレステロールを管理する薬、血栓をできにくくする薬などを必要に応じて組み合わせます。血流改善が必要なら、カテーテルで風船を膨らませる、ステントを入れる、アテレクトミーでプラークを削る、バイパス手術などを行います。アテレクトミーは血管内のプラークを器具で削る、または取り除く方法で、血管の状態によって向き不向きがあります。
手術が検討される場合
薬物治療や運動療法でも症状が改善しない場合、安静時痛が強い場合、足の傷や溃疡が治らない場合、壊死(組織が死ぬこと)の危険がある場合には、血流を戻す治療(カテーテル治療やバイパス手術)が検討されます。アテレクトミーもその選択肢の一つです。
この病気と共に生きる
毎日、足の色・温度・傷・爪の変化を見て、異常があれば早めに医療者へ連絡します。歩行運動は医師の指示に沿って行い、無理をしません。通院を続け、薬は自己判断でやめません。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙し、受動喫煙を避ける
- 足を清潔に保ち、乾燥や靴擦れを防ぐ
- 適正体重を目指す
- 十分な睡眠とストレス管理を心がける
- 定期的に足のチェックを受ける
食事と運動
塩分や脂っこい食品を控え、野菜・魚・全粒穀物などをバランスよく食べます。運動は医師や理学療法士と相談し、歩行運動などを無理のない範囲で続けます。足に傷があるときは自己流で運動せず相談してください。
精神的健康と心の健康
痛みや歩行への不安、通院の負担から、気分が落ち込んだり不安になったりすることがあります。これは珍しいことではありません。気持ちが非常に追い詰められ、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ためらわず119番や地域の緊急相談窓口に連絡してください。
予防
PADは完全に防ぐことは難しいですが、危険因子を管理することで発症や進行のリスクを下げられます。禁煙は最も大切です。
ワクチン
PADを直接防ぐワクチンはありません。年齢や持病に応じた予防接種については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
喫煙、糖尿病、高齢、腎臓病、家族歴などがある人は、足の脈の診察やABI検査についてかかりつけ医に相談してください。糖尿病の人は定期的な足のチェックが大切です。
合併症
治療しない場合
- 歩行時の痛みが悪化し、歩ける距離が短くなる
- 安静にしていても足が痛むようになる
- 足の傷や溃疡ができ、治りにくくなる
- 組織が死ぬ壊死が起こり、切断が必要になることがある
- 心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる
長期的な見通し
PADは慢性的な病気ですが、禁煙、生活習慣の管理、適切な治療と通院を続けることで、症状の改善や足を守ることが期待できます。不安なときは一人で抱えず、医療チームに相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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