経皮的腎砕石術(PCNL)— 大きな腎結石を取り除く手術
概要
経皮的腎砕石術(けいひてきじんさいせきじゅつ、英語の頭文字をとってPCNL〈ピーシーエヌエル〉とも呼ばれます)は、腎臓(にんぞう=尿をつくる臓器)の中にできた大きな結石(けっせき=尿の中の成分が固まった石のようなもの)を取り除く手術です。背中側の皮膚に数ミリ〜1センチほどの小さな穴をあけ、細い内視鏡(カメラのついた管)を腎臓まで入れて、結石を細かく砕いて体外へ取り出します。お腹を大きく切る開腹手術に比べて体への負担が少なく、入院期間も短くてすむ方法です。
重要な事実
- 背中に小さな穴をあけて行う手術で、お腹を大きく切る必要はありません。
- 大きな結石や、硬くて他の方法では砕きにくい結石に向いています。
- 多くの場合、全身麻酔または腰からの麻酔で行い、数日間の入院が一般的です。
- 手術後は一時的に尿の管(カテーテル)が入ることがありますが、通常は数日で抜けます。
腎結石はとても多い病気で、日本人でも珍しくありません。ただし経皮的腎砕石術は、すべての結石に行うわけではなく、大きめの結石や他の治療でうまくいかない結石のときに選ばれる治療です。泌尿器科のある病院で広く行われています。
腎結石は20〜50代の働き盛りの世代に多く、男性にやや多い傾向があります。ただし女性にも、子どもにも高齢の方にも起こります。水分不足、食生活の偏り、肥満、糖尿病、尿路の形の異常、前立腺肥大(だいひょう=前立腺が大きくなって尿の通りが悪くなる状態)などがあるとできやすくなります。
症状
- 腰や背中に激しい痛みがあり、冷や汗が出て動けない
- 38度以上の発熱と悪寒をともなう腰の痛み(感染を合併した腎盂腎炎〈じんうじんえん〉の可能性があります)
- 尿がまったく出ない、または極端に少ない
- 意識がもうろうとしている、会話がかみ合わない
- 顔色が悪く、ぐったりしている
- ⚠血尿が続き、量が減らない
- ⚠痛みで水も飲めず、吐き気が止まらない
- ⚠市販の痛み止めでは対処できないほどの痛みが続く
- ⚠排尿時の痛みと発熱がある
- ⚠手術を受けたあとで、傷口から出血が多い、熱が高い、尿が出にくい
一般的な症状
- 腰や背中に突然起こる激しい痛み(疝痛発作〈せんつうほっさ〉と呼ばれ、のたうち回るほど強くなることがあります)
- 尿に血が混じる(血尿)
- 吐き気や嘔吐、冷や汗
- 尿が出にくい、回数が増える、排尿の終わりに痛む
- 尿が濁る、においが強い
- 結石が尿管に詰まると、痛みがお腹の下や脚のつけ根に広がることがある
子供の症状
- 小児の腎結石は比較的まれですが、まったくないわけではありません。
- 先天性の代謝の病気や尿路の形の異常がある子どもでは起こりやすくなります。
- 子どもは痛みの場所をうまく伝えられないことがあり、お腹の痛み、繰り返す吐き気、元気がない、熱が出るといった形で気づかれることがあります。
- おしっこの量が減った、おしっこが赤いと感じたら早めに小児科や泌尿器科に相談してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では痛みがはっきりしないことがあり、発熱、食欲がない、なんとなく元気がない、意識がぼんやりするといった症状で見つかることがあります。
- 前立腺肥大や排尿障害があると、尿がたまりやすく結石ができやすくなります。
- 持病の薬や腎臓の働きの低下が関係することもあるため、かかりつけ医に相談しながら進めることが大切です。
原因
主な原因
- 尿の中のカルシウム、シュウ酸(ほうれん草などに多い成分)、尿酸などの濃度が高くなり、結晶が固まって石になる
- 水分不足で尿が濃くなる(汗をかく季節や、水をあまり飲まない習慣)
- 尿路感染(尿の通り道の細菌感染)
- 尿の通り道の形の異常や、尿の流れが滞る状態
- 代謝の病気やホルモンの異常で、石ができやすい体質になっている
リスク要因
- 水分をとる量が少ない
- 塩分の多い食事、肉類に偏った食事
- 肥満、糖尿病、脂質異常症
- 腎結石になったことがある(再発しやすい)
- 家族に腎結石の人がいる
- 前立腺肥大や、尿路の手術を受けたことがある
- 長時間の激しい運動や、暑い環境での作業で汗を多くかく
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 腰背部の激しい痛みが続き、水分もとれない
- 発熱と腰の痛みが同時にある
- 尿が出ない、または量が極端に減った
- 手術後に高熱、傷口の大量出血、排尿困難がある
定期受診を予約すべき場合:
- 血尿がときどき出る
- 腰の鈍い痛みや違和感が続く
- 尿が濁る、においが気になる
- これまでに結石を指摘されたことがあり、再発が心配
- 健診の尿検査で血尿やたんぱく尿を指摘された
診断
まず問診で、痛みの出方や場所、これまでの結石の経験、水分や食事の習慣を確認します。そのうえで尿検査と血液検査、画像検査を行い、結石の大きさ・場所・硬さ、腎臓の働き、感染の有無を調べます。経皮的腎砕石術を行うかどうかは、結石の状態と体の状態をあわせて泌尿器科の医師が判断します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(血尿や感染の有無を調べます)
- 血液検査(腎臓の働き、炎症や感染の程度、カルシウムなどの値を調べます)
- 腹部エックス線写真(KUB〈ケーユービー〉=お腹と骨盤のレントゲン)
- 超音波(エコー)検査
- CT検査(結石の位置や大きさ、硬さ、尿の流れを最も詳しく見られます)
- 必要に応じて造影CT、尿の培養検査、腎臓の働きを詳しく見る検査
診察で予想されること
検査の多くは痛みがなく、短時間で終わります。CTは横になるだけで撮影でき、数分程度です。検査結果の説明では、結石の大きさや場所、治療の選択肢(自然に出るのを待つ、体外衝撃波で砕く、内視鏡で取る、今回の経皮的腎砕石術など)を医師と一緒に比べて決めていきます。わからない言葉は遠慮なく聞いてください。
治療
治療は結石の大きさと場所、痛みや感染の有無で変わります。小さな結石は水をよく飲んで自然に出るのを待つことが多く、痛みには痛み止めを使います。大きめの結石や、尿の流れを止めている結石には、体外衝撃波砕石術(体の外から衝撃波を当てて砕く方法)、尿管鏡(尿道から細いカメラを入れて砕く方法)、そして経皮的腎砕石術が選ばれます。経皮的腎砕石術は、とくに大きな結石や硬い結石に向いた方法です。
自宅でのセルフケア
- ふだんから水をこまめに飲み、尿を濃くしすぎないようにしましょう。
- 痛みがあるときは無理に動かず、水分がとれないほどつらい場合は早めに受診してください。
- 手術後は医師の指示どおりに水分をとり、決められた日まで重いものを持ったり激しい運動をしたりするのは控えましょう。
- 傷口は清潔に保ち、入浴やシャワーは病院の指示に従ってください。
- 術後は尿の色や量、熱の有無を毎日チェックし、気になることがあればメモして伝えましょう。
医療治療
治療は、痛みをやわらげる薬、吐き気を抑える薬、点滴による水分補給、感染がある場合の抗菌薬などで体の状態を整えることから始まります。結石の種類によっては、再発を防ぐための治療が検討されることもあります。薬の種類や使い方は人によって異なるため、必ず医師や薬剤師の説明に従ってください。結石そのものを小さくする治療には、体外衝撃波砕石術、尿管鏡による碎石術、経皮的腎砕石術などの方法があります。
手術が検討される場合
経皮的腎砕石術は、結石が大きい(おおむね1センチ以上、とくに2センチ以上)、硬くて体外衝撃波では砕きにくい、尿の流れを長く止めている、腎臓の働きに影響が出ている、といった場合に検討されます。多くの場合、全身麻酔または腰からの麻酔で行い、手術時間はおおよそ1〜3時間、入院は数日程度が一般的です。出血、発熱や感染、尿もれ、周囲の臓器を傷つけること(まれ)などのリスクがあるため、利点とあわせて医師から説明を受け、よく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
結石は再発しやすいため、治療が終わったあとも定期的な通院と画像検査で経過を見ることが大切です。手術後しばらくは尿に少量の血が混じることがありますが、通常は少しずつ落ち着きます。尿の色、量、熱の有無を日々気にかけ、仕事や家事に戻るペースは体の様子を見ながら少しずつ上げていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 水分をこまめにとる習慣をつける(1日を通して少しずつ)
- 塩分を控えめにし、野菜や果物をバランスよくとる
- 適度な運動を続け、体重を適正に保つ
- 汗をたくさんかいた日は、いつもより多めに水分を補う
- 自己判断でサプリメントを大量にとるのは避け、気になる場合は相談する
食事と運動
食事は、塩分を控えめにして、いろいろな食品をバランスよくとることが基本です。極端な食事制限はかえって体に負担になることがあるので、自分だけで決めずに管理栄養士や医師に相談してください。カルシウムは適量とることが大切で、不足も過剰もよくありません。水分は1日を通して少しずつ飲み、尿の色が薄い黄色くらいを目安にしましょう。心臓や腎臓の病気がある方は、水分量について必ず医師に確認してください。運動はウォーキングなど無理のない範囲から始め、手術後は許可が出てから再開しましょう。
精神的健康と心の健康
「また痛くなったらどうしよう」「手術が不安」と感じるのは自然なことです。結石の痛みは強く、繰り返すと気持ちが疲れてしまうこともあります。不安や落ち込みが続いて眠れない、日常がつらいと感じる場合は、一人で抱えずに医師や看護師、家族に話してください。気持ちの面のサポートも治療の一部です。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口や医療機関の相談室を頼ってください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、再発のリスクを下げることはできます。水分をこまめにとること、塩分を控えめにすること、バランスのよい食事と適度な運動を続けることが基本です。一度結石ができた人は再発しやすいので、定期的な通院で経過を見てもらいましょう。
検診プログラム
症状のない人に腎結石のための特別な検査が推奨されているわけではありませんが、健康診断の尿検査で血尿を指摘された場合は、泌尿器科で詳しく調べてもらうと安心です。結石の経験がある人は、医師が指示する間隔で画像検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 結石が大きくなり、激しい痛みの発作を繰り返す
- 結石が尿の流れを止め、腎臓に尿がたまって腫れる(水腎症〈すいじんしょう〉)
- 尿の流れが滞ることで感染が起こり、腎盂腎炎(腎臓と尿の通り道の感染)になる
- 感染が全身に広がる重い状態になることがある(まれですが危険です)
- 長期間放置すると腎臓の働きが低下することがある
長期的な見通し
経皮的腎砕石術は、大きな結石に対する確立された治療で、多くの方で結石を取り除くことができます。手術後は痛みが軽くなり、生活の質が戻る方が大半です。一方で結石は再発しやすいため、水分や食事の工夫と定期的な通院が大切です。心配なことがあれば早めに医療機関に相談しながら、あせらず一歩ずつ進めていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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