内視鏡下鼻内副鼻腔手術(FESS)— 鼻の奥を内視鏡で治療する手術
概要
内視鏡下鼻内副鼻腔手術(ないしきょうかびないふくびくうしゅじゅつ、英語ではFunctional Endoscopic Sinus Surgery、略してFESS)は、鼻の穴から細いカメラ(内視鏡)を入れて、鼻の奥にある「副鼻腔(ふくびくう)」という空洞の炎症やポリープ(鼻の粘膜にできるできもの)を取り除き、鼻の通り道を広げる手術です。顔の皮膚を切る必要がなく、傷あとが表面に残らないのが特徴です。「機能を守る手術」という名前のとおり、鼻の粘膜の働きをできるだけ残しながら、空気の通りと鼻水の排出をよくすることを目指します。
重要な事実
- 鼻の穴から行う手術で、顔に傷はつきません。多くの場合、全身麻酔で行われます。
- 目的は、鼻づまりや鼻水、においの感じにくさといった症状をやわらげ、生活の質を上げることです。
- 手術はあくまで治療の選択肢のひとつで、まずは薬や鼻うがいなどの治療が試されます。手術後も通院とケアが続きます。
はい。慢性副鼻腔炎(ちょうせいふくびくうえん)や鼻ポリープの治療として、日本でも広く行われている一般的な手術です。耳鼻咽喉科の専門医が担当します。
症状
- 目のまわりや顔が急に大きく腫れた
- 高い熱と激しい頭痛、首のこわばりがある
- 見え方が急に変わる、ものが二重に見える、目が動きにくい
- 意識がぼんやりする、会話がかみ合わない
- 手術後に大量の出血が止まらない、または呼吸が苦しい
- ⚠目のまわりの腫れや痛み、視力の変化がある
- ⚠顔の片側に激しい痛みが出た
- ⚠発熱が続き、鼻水が膿のように黄色や緑色になった
- ⚠手術後に鼻血が長く続く、痛みが急に強くなった
- ⚠頭痛がどんどん強くなっている
一般的な症状
- 鼻づまりが長く続き、片側または両側で息がしにくい
- 粘り気のある鼻水や、喉の奥に鼻水が落ちる感じ(後鼻漏)
- においが感じにくい、味がわかりにくい
- 顔や目の奥、額のあたりの痛みや圧迫感
- 口呼吸になり、喉が乾きやすい、いびきをかく
- 夜よく眠れず、昼間に疲れやすい、集中しにくい
- 痰がからむ咳が続く
子供の症状
- 口を開けて呼吸する、いびきが目立つ
- 鼻水や鼻づまりが何週間も続く
- 耳の痛みや中耳炎を繰り返す
- 集中しにくい、落ち着きがないように見える
- においや味への反応が少ない
高齢者の症状
- 症状が長引きやすく、のどの乾燥や咳として現れることがある
- においの低下に気づきにくい
- 睡眠の質が下がり、日中の元気や気分に影響することがある
- 持病の治療薬や健康状態を確認したうえで、手術の適否をゆっくり相談する
原因
主な原因
- かぜ(ウイルス感染)や細菌感染を繰り返し、副鼻腔の粘膜が腫れたままになる
- アレルギー性鼻炎により鼻の粘膜が慢性的に炎症を起こす
- 鼻中隔(びちゅうかく:鼻の左右を分ける壁)が曲がっていて空気の通りが悪い
- 鼻ポリープができ、通り道をふさぐ
- 虫歯や歯の治療に由来する感染が副鼻腔に広がる
リスク要因
- 喘息やアレルギー体質がある
- たばこを吸う、または受動喫煙の環境にいる
- 鼻中隔の弯曲がある
- 免疫力が下がりやすい状態(疲れ、睡眠不足、持病など)
- 乾燥した環境やほこりの多い環境で過ごすことが多い
- 副鼻腔炎を何度も繰り返している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目のまわりの腫れ、視力の変化、激しい頭痛がある
- 高い熱が続き、顔の痛みが強い
- 手術後に出血が多く、痛みや腫れが急に悪化した
- 息が苦しい、飲み込みにくいと感じる
定期受診を予約すべき場合:
- 鼻づまりや鼻水が3か月以上続いている
- 薬や鼻うがいを続けても症状がよくならない
- においがほとんどわからない状態が続いている
- 副鼻腔炎を年に何度も繰り返す
- 睡眠や仕事・学校生活に支障が出ている
診断
まず問診で、症状がいつから続いているか、どんな治療を試したかを確認します。次に鼻の中をのぞく検査(鼻鏡や内視鏡)で、粘膜の腫れやポリープ、鼻中隔の状態を見ます。画像検査で副鼻腔の状態を確認し、必要に応じてアレルギーやにおいの検査も行います。これらの結果をもとに、手術が合っているかを専門医と相談します。
行われる可能性のある検査
- 問診と症状の記録
- 鼻鏡・鼻内視鏡による鼻の中の観察
- CT検査(副鼻腔の炎症やポリープの広がりを確認)
- アレルギー検査(血液検査や皮膚テストなど)
- においの検査
- 必要に応じて呼吸機能検査や血液検査
診察で予想されること
検査は外来で行えるものがほとんどで、痛みは少ないことが多いです。CTでは放射線を使いますが、必要性を判断したうえで行われます。検査結果の説明では、手術をした場合に何がよくなり、どんなリスクがあるかを一緒に確認します。気になることは遠慮なく質問してください。
治療
治療は、まず手術以外の方法から始めるのが一般的です。鼻の炎症をしずめる飲み薬や鼻に噴霧する薬、鼻うがい、アレルギーの管理などを一定期間続け、それでも症状が強く残る場合に手術が検討されます。手術は鼻の機能をできるだけ残しながら、換気と鼻水の排出をよくすることを目指します。
自宅でのセルフケア
- 生理食塩水(自分で作る場合は煮沸して冷ました水と食塩)での鼻うがいを、医師の指示に沿って行う
- 部屋を加湿し、乾燥を避ける
- こまめに水分をとる
- たばこを吸わない、受動喫煙を避ける
- アレルギーの原因(ほこり、ダニ、花粉など)をできるだけ避ける
- 寝るときに頭を少し高くして、鼻水がたまりにくくする
- 手術後は、指示された期間、鼻を強くかまない・重いものを持たない・激しい運動を控える
医療治療
手術以外の治療には、鼻の粘膜の炎症をしずめる飲み薬や鼻に噴霧する薬、細菌感染があるときの抗菌薬、アレルギー性鼻炎に対する治療などがあります。どの治療をどのくらいの期間行うかは、症状や体の状態に合わせて医師が判断します。薬の内容や使い方については、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
次のような場合に手術が検討されます。薬による治療を十分な期間続けても鼻づまりや鼻水が改善しない、鼻ポリープが大きく通り道をふさいでいる、副鼻腔炎を繰り返して生活に支障がある、CTで炎症が広く長引いていることが確認された、などです。手術の方法や範囲、入院期間、リスクは人によって異なるため、専門医とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
手術後は、鼻の中の腫れが落ち着くまで数週間かかることが多く、その間は鼻うがいや通院での処置が続きます。症状は少しずつ良くなっていくのが一般的です。術後しばらくは鼻を強くかんだり、重いものを持ったり、激しい運動をしたりするのを控え、医師の指示を守ることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙と受動喫煙の回避
- 部屋の加湿と換気、こまめな掃除
- 十分な睡眠と休息
- 風邪をひいたら早めにケアし、長引かせない
- 鼻うがいを習慣にする
- 術後の通院予定を守る
食事と運動
特別な食事制限が必要なわけではありませんが、バランスのよい食事と水分は粘膜の健康を保つのに役立ちます。手術後は、医師が許可するまで激しい運動やプール、重いものを持つことは控え、許可が出たらウォーキングなど軽い運動から少しずつ再開しましょう。
精神的健康と心の健康
鼻づまりやにおいの低下が長く続くと、眠れない、疲れやすい、人と会うのがおっくうになるなど、気持ちの面にも影響することがあります。手術を決めること自体に不安を感じるのも自然なことです。つらい気持ちが続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の保健・こころの相談窓口に相談してください。
予防
副鼻腔炎そのものを完全に防ぐことはできませんが、リスクを下げる工夫はできます。かぜをひいたら早めに治す、たばこを避ける、アレルギーを管理する、乾燥を防ぐ、鼻うがいを習慣にすることが役立ちます。手術を受けた場合も、これらの習慣は再発を減らす助けになります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、感染症を防ぐ助けになります。接種の必要性や時期については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
特定の決まった検診があるわけではありません。鼻の症状が長引くときは、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 鼻づまりや鼻水が長く続き、睡眠や生活の質が下がる
- においが感じにくい状態が続く
- 鼻ポリープが大きくなり、通り道をさらにふさぐ
- 中耳炎やのどの炎症を繰り返しやすくなる
- まれですが、炎症が目や脳の周りに広がることがある(その場合は早急な受診が必要)
長期的な見通し
多くの人は、手術とその後のケアで鼻の通りが良くなり、睡眠や日常生活が楽になったと感じています。一方で、体質や環境によっては症状が再び出てくることもあり、その場合は通院して相談しながら治療を続けます。手術はゴールではなく、より楽に過ごすための一歩と考えるとよいでしょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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