星状神経節ブロック(せいじょうしんけいせつブロック)とは?
概要
星状神経節ブロックは、首の下のほう、喉の横あたりにある「星状神経節」という神経の集まりの近くに、細い針で薬を注射する治療です。星状神経節は「交感神経(こうかんしんけい)」という、血管を縮めたり汗を出したりする神経の通り道にあたります。ここを一時的に休ませることで、血の流れがよくなったり、痛みの信号が伝わりにくくなったりすることを期待します。注射そのものは10〜20分ほどで終わり、多くは日帰りで受けられます。
重要な事実
- 首の神経の集まりに薬を注射して、交感神経の働きを一時的に落ち着かせる治療です
- 長く続く痛みのほか、血の流れの悪さ、汗の多さ、顔の神経の病気などにも使われることがあります
- 効果は一時的で、数時間から数日で切れることが多く、必要に応じて繰り返します
痛みの専門外来(ペインクリニック)や麻酔科でよく行われている、比較的なじみのある治療です。
帯状疱疹のあとの長く続く痛み、複合性局所疼痛症候群(CRPS:けがのあとに痛みや腫れ、色の変化が長く続く状態)、顔面神経麻痺、突発性難聴、多汗症、手足の血の流れが悪くなる病気などで検討されます。年齢を問わず行われますが、子どもでは数は多くありません。
症状
- 息が苦しい、呼吸ができない
- 声が出ない、喉が強く腫れて飲み込めない
- 首が大きくはれる、内出血がどんどん広がる
- 意識がもうろうとする、けいれんする、体がしびれて力が入らない
- 胸が痛い、動悸が強い
- ⚠注射のあとのまぶたの下がりや目の変化が半日以上続く
- ⚠声がれが数日続く
- ⚠腕や手のしびれ、力の入りにくさが続く
- ⚠注射した場所の腫れや痛みが強くなる、熱が出る
一般的な症状
- けがや帯状疱疹のあとに長く続く、焼けるような・刺すような痛み
- 手足の腫れ、皮膚の色の変化、冷え、汗のかき方がおかしい(CRPSなど)
- 顔の半分が動きにくい(顔面神経麻痺)
- 突然聞こえにくくなる(突発性難聴)
- 手のひらや顔の汗が多すぎて困る
- 手足の血の流れが悪く、冷たい・しびれる・傷が治りにくい
子供の症状
- 子どもでは、けがのあとの強い痛みなど、ごく限られた場合に検討されます
- じっとしていられるか、成長への影響も含めて、保護者とよく相談して決めます
高齢者の症状
- 心臓や肺の病気、血圧の薬、血液を固まりにくくする薬を使っていることが多く、事前の確認が大切です
- 首の血管や肺の位置には個人差があるため、超音波などで確かめながら行われます
原因
主な原因
- この治療は「原因そのものを治す」ものではなく、交感神経の働きが関係していると考えられる痛みや血の流れの変化を和らげるものです
- 交感神経が過敏になると血管が縮んで血の流れが悪くなり、痛みの信号が強まると考えられています
- けがや帯状疱疹のあと、神経の修復がうまく進まないときに、こうした状態が続くことがあります
リスク要因
- 血液を固まりにくくする薬を使っている
- 首やその周りに感染や腫れがある
- 肺の病気がある(空気がもれる気胸のリスク)
- 薬(麻酔に関わる薬など)のアレルギーがある
- 妊娠中である
- 強い不安があり、じっとしているのが難しい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 注射のあと、息苦しさや声の出にくさ、首のはれがあるときは、すぐに医療機関に連絡してください
- 意識がぼんやりする、けいれんする、手足に力が入らないときは救急車(119)を呼んでください
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが続く、または効果が短くて日常生活がつらい
- ブロックを繰り返すかどうか相談したい
- まぶたの下がりや声がれなどの変化が気になる
- 痛みで眠れない、気分が落ち込む日が続く
診断
まず問診と診察で、痛みの場所・続いている期間・痛みの性質、けがや帯状疱疹の経験、手足の色や汗の様子を確認します。他の病気が隠れていないかを画像検査で調べ、必要に応じて「試験的ブロック」を行って効果があるかどうかを見ます。効果が一時的でも得られれば、この治療が合っている可能性の手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査
- CT検査やMRI検査
- 超音波(エコー)検査
- 血液検査
- 自律神経の働きをみる検査(皮膚の温度を測るサーモグラフィーなど)
診察で予想されること
施術は、ベッドに仰向けになり、首を少し反らせた姿勢で行います。超音波やレントゲンで針の位置を確かめながら注射します。注射のあとはしばらく休み、まぶたの下がりや声の変化、痛みの変化を確認してから帰ります。効果の感じ方や続く時間には個人差があります。
治療
星状神経節ブロックは治療のひとつで、リハビリや生活の工夫、心のケアと組み合わせることで力が発揮されます。主治医と目的と回数を話し合いながら進めます。
自宅でのセルフケア
- 施術の日は激しい運動や飲酒を避け、ゆっくり休む
- 首を急に動かさない、強くもまない
- 入浴や仕事に戻る時期は医師の指示に従う
- 腕のしびれ、声の変化、息苦しさがないか気にかける
- 痛みの強さや回数を簡単なメモに記録する
医療治療
痛みや神経の興奮をしずめる薬(局所麻酔薬)を首の神経の近くに注射します。効果が短い場合は、間隔をあけて繰り返すことがあります。ブロックのほかにも、リハビリ、他の神経ブロック、痛みに詳しい専門外来での総合的な治療などが組み合わされます。使う薬や量については、必ず担当の医師や薬剤師に確認してください。
手術が検討される場合
ブロックを繰り返しても効果が長く続かない場合には、神経に熱を加える治療など別の方法や、手術が検討されることがあります。ただし多くの方は、ブロックとリハビリを組み合わせながら経過を見ていきます。
この病気と共に生きる
痛みやしびれがあると、仕事や家事、睡眠に影響が出やすいものです。「今日はここまで」と決めて小まめに休む、温める・冷やすなど自分に合う方法を見つけることが助けになります。調子の良い日と悪い日があるのは自然なことです。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとり、生活のリズムを整える
- 禁煙を心がける(血の流れを悪くするため)
- 長時間同じ姿勢を避け、こまめに体を動かす
- 寒さで手足が冷えないよう、服装で調節する
- ストレスをためず、話せる相手や相談先を持つ
食事と運動
バランスのよい食事と、無理のない範囲の散歩やストレッチが、血の流れと気分の安定に役立ちます。痛みが強い日は休み、痛みが落ち着いている日に少しずつ体を動かすのがコツです。運動の始め方は主治医やリハビリの担当者に相談してください。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みは、不安や落ち込み、眠れない状態を招くことがあります。それは弱さではなく、痛みが続くときに誰にでも起こることです。気持ちがつらい日が続くときは、早めに医療機関や自治体の相談窓口(保健所・保健センター、こころの健康相談)に相談してください。自分を傷つけたい気持ちが浮かんだときは、ためらわず救急(119)や地域の救急相談に連絡してください。
予防
ブロックそのものを予防するという考え方ではありませんが、痛みを悪化させる要因を減らすことはできます。帯状疱疹のあとの痛みが心配な場合は、早めの受診が大切です。
ワクチン
帯状疱疹には予防するワクチンがあり、帯状疱疹後神経痛のリスクを下げられる可能性があります。対象や時期についてはかかりつけ医にご相談ください。
検診プログラム
この治療に決まったスクリーニングはありません。痛みやしびれが続くときは、早めに医療機関を受診することが一番の備えです。
合併症
治療しない場合
- 痛みが長引き、眠れない・動きにくい状態が続くことがある
- 血の流れが悪いままで、手足の冷えや傷の治りの遅れが続く
- 筋肉がこわばり、関節が動かしにくくなる
- 不安や落ち込みが強くなり、日常生活がつらくなる
長期的な見通し
星状神経節ブロックは、痛みや血の流れの悩みを和らげる選択肢のひとつです。効果の感じ方には個人差があり、繰り返しが必要なこともありますが、リハビリや生活の工夫と組み合わせることで、少しずつ楽になっていく方が多くいます。主治医とよく話し合いながら、あせらず進めていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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