放射線治療(ほうしゃせんちりょう)ってどんな治療?
概要
放射線治療は、体の外側や内側から高いエネルギーの放射線をあてて、がんなどの病気の細胞が増えていくのを抑える治療です。手術のように体を切り開かないため「体にやさしい治療」と説明されることもありますが、実際には画像をよく見ながら計画をしっかり立てて行う、本格的な治療です。放射線は目に見えず、あてているときの痛みや熱さはありません。多くは外来に通いながら受けられ、治療の範囲を病気のある部分にしぼりやすいのが特徴です。
重要な事実
- 放射線治療は、手術・薬物療法と並ぶ、がん治療の三本柱のひとつです。
- 治療は何日もかけて少しずつ行われ、1回の照射は数分から30分ほどです。照射そのものに痛みはありません。
- 放射線の影響は、あてた場所の近くに主に出ます。出方や時期は人によって違います。
よく行われる治療です。国内では、がんで治療を受ける人のおよそ半数近くが、治療のどこかの時点で放射線治療を受けるといわれています。
症状
- 38℃以上の発熱が急に出て、ぐったりしている
- 息苦しい、呼吸が苦しい
- 意識がもうろうとしている、会話がかみ合わない
- けいれんが起きた
- 止まらない出血、血を吐いた、黒い便が続く
- 胸の強い痛み
- ⚠38℃前後の発熱(治療中はとくに注意が必要です)
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠下痢がひどく、尿の量が少なくなってきた
- ⚠あてた皮膚に水ぶくれや、じくじくしたただれが出た
- ⚠痛みが強くなり、痛み止めを使っても楽にならない
- ⚠尿が出にくい、排尿時に強い痛みがある
一般的な症状
- あてた部分の皮膚の赤み、乾燥、かゆみ、ひりひり感
- 疲れやすい、だるさが続く
- 食欲が落ちる、軽い吐き気
- おなかをあてた場合の下痢やおなかの痛み
- 骨盤のあたりをあてた場合の排尿時の違和感や頻尿
- 頭や首をあてた場合の口内炎、味の感じ方の変化、唾液が減る、のどの痛み
- 頭をあてた場合の脱毛(多くは治療が終わると戻ってきます)
- 血液検査の数値の変化(白血球や血小板が減るなど)
- あてた場所によっては、むくみや肩のこわばり
子供の症状
- 体が成長している途中なので、あてる範囲や量をより慎重に計画します。
- 体力が落ちやすく、学校や遊びの予定を調整することがあります。
- 理解しやすいように、絵や人形を使って説明することがあります。
- 治療が終わったあとも、成長や健康状態を長い目で定期的に確認していきます。
- 怖さや不安が出やすいので、付き添いと気持ちのサポートが大切です。
高齢者の症状
- 心臓・腎臓・糖尿病などの持病や体力に合わせて、計画を調整します。
- 通院の負担を減らすため、回数や期間について相談できることがあります。
- 皮膚が弱く、かぶれやただれが出やすいことがあります。
- 水分や食事がとりにくくなり、脱水になりやすいので注意します。
- 認知症や聴力の低下がある場合は、わかりやすい説明と付き添いが助けになります。
原因
主な原因
- がんを根本的に治すことを目指す場合(根治)
- 手術の前後に、再発を減らすために行う場合
- 手術が難しい場所にある、または体への負担を抑えたい場合
- 痛み・出血・息苦しさなどの症状をやわらげる場合
- 一部の良性の病気で行われることもあります
リスク要因
- あてる範囲が広い、または線量が多い
- あてる場所(頭や首、おなか、骨盤のあたりなど)
- 抗がん剤などの他の治療との組み合わせ
- 体力や栄養状態が低下している
- 糖尿病や自己免疫の病気などの持病がある
- 高齢、やせている
- 治療前の皮膚の状態がよくない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 38℃以上の発熱がある
- 息苦しさや胸の痛みがある
- ひどい嘔吐や下痢で水分がとれない
- あてた皮膚に水ぶくれやただれが出た
- 尿が出ない、血が混じった尿が出た
- 急に強い痛みが出た
定期受診を予約すべき場合:
- 治療中は決められた日の診察と血液検査を欠かさず受ける
- 皮膚の赤みや乾燥が広がってきた
- 食事がとりにくい、体重が減ってきた
- だるさが強く、眠れない日が続く
- 治療が終わったあとも続く症状がある(数か月たってから出ることもあります)
- 気持ちの落ち込みや不安が続いている
診断
放射線治療は診断ではなく治療ですが、始める前に、どんな病気か、どの場所にどれくらいあてるかを決めるための検査と話し合いが行われます。画像を見ながら、正常な部分になるべく放射線が当たらないように計画を立てます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査
- CT・MRI・PET-CTなどの画像検査
- 組織を採って調べる検査(病理検査)※すでに行われていることが多いです
- 歯科のチェック(頭や首をあてる場合)
- 呼吸や体の動き方の確認
- 治療計画用のCT撮影と体の型取り
診察で予想されること
まず担当医から、治療の目的・期間・期待できること・副作用について説明があります。納得してから始められるよう、遠慮なく質問してください。毎回同じ位置に放射線をあてるため、体に印をつけたり、固定具を作ったりします。印は自分で消さないようにしましょう。照射中はスタッフが別の部屋からモニターで見守っています。体を動かさないことが大切ですが、怖いときは声をかけてください。
治療
放射線治療には、体の外からあてる方法(外部照射)と、体内に小さな線源を入れる方法(小線源治療)があります。特殊な装置でピンポイントに強くあてる方法もあります。どの方法が合うかは、病気の種類・大きさ・場所、体の状態によって変わります。
自宅でのセルフケア
- あてた部分はやさしく洗い、こすらない
- 無香料・低刺激の石鹸や保湿の使い方は、医療スタッフの指示に従う
- 日光を避け、外出時は刺激の少ない服で覆う
- 湿布や冷却剤、市販の軟膏は自己判断で使わず、まず相談する
- 水分をこまめにとる
- 栄養と休養を意識し、無理な予定を入れない
- 体の印を消さない。はがれそうなら連絡する
- 処方以外のサプリメントや健康食品は、始める前に相談する
医療治療
放射線治療そのものが主な治療になります。副作用が出たときは、症状に合わせた対応(皮膚のケア、吐き気や下痢への対応、痛みのコントロール、栄養のサポートなど)を、医師・看護師・薬剤師と相談しながら行います。薬が必要と判断された場合は、医師から説明があります。副作用が強いときは、照射の計画を調整したり、治療を一時お休みしたりすることがあります。自己判断で治療を中断せず、必ず相談してください。
手術が検討される場合
手術と組み合わせて行われることが多くあります。手術の前に腫瘍を小さくする、手術のあとに残った細胞への再発を減らす、といった目的です。手術による体への負担が大きいと判断された場合に、放射線治療が中心の治療になることもあります。
この病気と共に生きる
治療期間中は、通院のリズムに体を慣らしていくことが大切です。治療の直後は疲れやすいので、大切な用事は余裕のある日に入れると楽になります。皮膚の状態や体調は日ごとに変わるので、気づいたことをメモしておき、診察のときに伝えると役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠をしっかりとる
- 治療中の飲酒・喫煙は控える(主治医に相談してください)
- 入浴はぬるめで短めにし、あてた部分はこすらない
- 肌にやさしい素材で、ゆったりした服を選ぶ
- あてた部分に日焼け止めや化粧品を使う前に相談する
- 人混みや感染症に注意する(発熱はすぐ連絡を)
食事と運動
食べられるものを、食べられるだけ、少しずつ。食欲が落ちるときは1日3回にこだわらず、間食を上手に使います。たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など)を意識し、水分はのどが渇く前にこまめにとりましょう。運動は散歩など軽いものを、無理のない範囲で。疲れが強い日は休むことも運動のうちです。食事や体重のことで困ったら、管理栄養士に相談できます。
精神的健康と心の健康
診断や治療が続くと、不安、怒り、悲しみ、先の見えなさなど、いろいろな気持ちがわいてきます。それは自然なことです。眠れない、涙が出る、何も楽しめない、といった状態が2週間以上続くときは、治療チームに伝えてください。話すだけで楽になることもあります。つらい気持ちが強いときや、自分を傷つけたい気持ちが出てきたときは、一人で抱えず、すぐに医療スタッフや地域の相談窓口、いのちの電話などの相談サービスに連絡してください。あなたは一人ではありません。
予防
放射線治療は治療法なので「予防」という考え方は当てはまりませんが、治療による副作用を軽くする工夫はできます。また、放射線治療が必要になる原因(多くはがん)を減らすために、禁煙、節酒、バランスのよい食事、運動、定期的な検診が役立ちます。
ワクチン
放射線治療そのものを防ぐワクチンはありません。ただし、感染症を防ぐためのワクチンは、治療中の感染予防に役立つことがあります。接種のタイミングは主治医に相談してください。
検診プログラム
治療後の定期通院と画像検査は、再発や副作用の確認のために大切です。また、年代に応じたがん検診(自治体のがん検診など)は、別の病気の早期発見に役立ちます。
合併症
治療しない場合
- 病気の種類によりますが、腫瘍が大きくなることが考えられます
- 痛み、出血、息苦しさなどの症状が強くなることがあります
- 他の場所に広がる可能性が高まることがあります
- 日常生活を送りにくくなることがあります
長期的な見通し
放射線治療は、多くの場面で治療の選択肢として力を発揮します。目的は「治すこと」だけでなく、「症状をやわらげて毎日を過ごしやすくすること」のこともあります。副作用の多くは時間とともに落ち着き、工夫次第で軽くできます。治療の効果や見通しは一人ひとり違うので、気になることは遠慮なく主治医に聞いてください。希望を持ちながら、一緒に進めていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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