子宮頸管縫縮術(しきゅうけいかんほうしゅくじゅつ)
概要
子宮頸管縫縮術は、妊娠中に子宮頸管(しきゅうけいかん=赤ちゃんが通る産道のもとになる管)を糸で縫って閉じ、赤ちゃんが早く出てきてしまうのを防ぐ手術です。頸管無力症(けいかんむりょくしょう=痛みやおなかの張りがないのに頸管が開いてしまう状態)と診断された方や、過去に中期の流産・早産を経験した方などに行われます。
重要な事実
- 妊娠中に頸管を糸で縫って閉じ、早産を防ぐための手術です。
- 妊娠14〜24週ごろ(妊娠中期)に行われることが多いとされています。
- 縫った糸は、出産のとき、または必要になったときに抜きます。
- 腟から行う方法が一般的で、手術そのものは比較的短時間で終わります。
頻繁に行われる処置ではなく、必要性が高いと判断された方に限って行われるものです。特別な手術ではありますが、産婦人科では以前から行われてきた方法のひとつです。
過去に中期の流産や早産を経験した方、頸管無力症と診断された方、子宮頸部の手術を受けたことがある方、双子などの多胎妊娠の方などが対象になります。年齢にかかわらず、必要と判断された妊娠中の方が対象です。
症状
- 大量の性器出血があり、止まらない
- 激しい腹痛や、がまんできないほどのおなかの痛みがある
- 水のようなおりものが大量に流れ続ける(破水の可能性)
- 38度以上の発熱と腹痛が同時にある
- 赤ちゃんの動きがいつもより明らかに少ない、感じない
- ⚠性器出血がある
- ⚠規則的におなかが張る、痛みをともなう張りがある
- ⚠おりものの色・においがいつもと違う
- ⚠縫った部分に痛みや強い違和感がある
- ⚠発熱がある、寒気がする
一般的な症状
- おりものが増える、水っぽくなる
- 少量の性器出血がある
- 下腹部が重い、圧迫されるような感じがする
- おなかの張りを感じる
- とくに症状がなく、健診の超音波検査で初めてわかることも多い
子供の症状
- この処置は妊娠中の方に行うもので、子どもが対象になることはありません。
高齢者の症状
- 妊娠可能な年齢を過ぎた方には関係のない処置です。
原因
主な原因
- 頸管の組織(筋肉や結合組織)が弱く、痛みがないまま開いてしまう体質的な要因
- 子宮の形の生まれつきの特徴(子宮奇形など)
- 以前に受けた子宮頸部の手術や処置の影響
- 子宮頸部のけがや手術による傷のあと
- 腟や子宮の中の感染症が関係している場合
- はっきりした原因がわからないことも多い
リスク要因
- 過去に中期(妊娠中期)の流産や早産を経験したことがある
- 子宮頸部の手術(円錐切除など)を受けたことがある
- 子宮の形に生まれつきの特徴がある
- 双子・三つ子などの多胎妊娠
- 腟や子宮の感染症がある
- 妊娠の間隔が短い、または高齢での妊娠など
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 性器出血がある、おりものに血が混じる
- おなかの張りが規則的にくり返す
- 水っぽいおりものが増えた、止まらない
- 発熱や寒気がある
- 縫ったあとに強い痛みや違和感がある
定期受診を予約すべき場合:
- おりものの量や色が気になる
- 手術後の生活で気をつけることを確認したい
- 旅行や仕事、性交渉について相談したい
- 不安や気分の落ち込みが続いている
診断
これまでの妊娠歴や出産歴をくわしく聞き取り、内診と経腟超音波検査(腟の中から超音波をあてる検査)で頸管の長さや開き具合を調べます。あわせて、腟の中の感染症がないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 経腟超音波検査(頸管の長さ・開き具合を測る)
- 内診(頸管のやわらかさや開きを確認する)
- 腟分泌物の検査(感染症がないかを調べる)
- 血液検査
- 必要に応じてMRIなどの画像検査
診察で予想されること
検査は外来で行えることが多く、痛みはあまりありません。妊娠週数や状態によっては、そのまま入院して手術の準備を進めることもあります。当日の流れや入院の必要性は、医師から説明があります。
治療
治療の中心は、頸管を糸で縫って閉じる手術と、妊娠中のていねいな観察です。手術を行うかどうかは、妊娠週数、これまでの妊娠歴、頸管の状態、赤ちゃんの様子をふまえて、医師と相談して決めます。
自宅でのセルフケア
- 健診は決められた予定どおりに受ける
- おりものの色・量・においの変化をメモしておく
- おなかの張りや痛みをがまんせず、早めに連絡する
- 重い物を持ち上げるなど、体に負担のかかる動作を避ける
- 喫煙をしない(周りの人の煙も避ける)
- 便秘を防ぎ、トイレで強くいきまないようにする
医療治療
腟から頸管を糸で縫って閉じる手術が中心になります。あわせて、腟の中に感染症がないかを確認し、必要に応じてその治療を行います。おなかの張りが強いときは、入院して安静にしたり、子宮の収縮を抑える治療を行ったりすることがあります。手術のあとも、頸管の状態と赤ちゃんの様子を定期的に確認していきます。
手術が検討される場合
手術は妊娠14〜24週ごろまでに行われることが多いとされています。前もって予定して行う場合と、頸管が開いてきているのを確認して緊急に行う場合があります。すでに破水している、感染症がある、赤ちゃんに危険があるといった場合は、手術を行わないことがあります。縫った糸は、出産のときや、妊娠の途中で必要になったときに抜きます。
この病気と共に生きる
手術のあとは、多くの方がふだんに近い生活に戻れます。ただし、どこまで動いてよいかは妊娠週数や状態によって変わるため、医師の指示に沿って無理のない範囲で過ごしましょう。体調の変化を記録しておくと、受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する。パートナーや家族にも協力してもらう
- 性交渉について、いつから可能かを医師に確認する
- 長時間の立ち仕事、遠出の旅行、激しい家事は事前に相談する
- 入浴や温泉、プールについて医師に確認する
- 上の子の世話や家事は、家族に分担を頼む
食事と運動
バランスの良い食事をとり、水分と食物繊維をしっかりとることで便秘を防げます。便秘はトイレで強くいきむ原因になるため、気をつけたいポイントです。散歩など軽い運動は体調に合わせて行えますが、激しい運動や腹筋に力が入る運動は、必ず医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
安静を求められたり、赤ちゃんのことを心配したりすると、不安や孤独感、いらだちを感じることがあります。これは自然な気持ちです。眠れない、気分の落ち込みが続く、涙が止まらないといったときは、一人で抱えずに早めに医療者へ伝えてください。つらい気持ちが強いときや、自分を傷つけたい気持ちがわいてきたときは、すぐに医療機関やお住まいの地域の相談窓口に連絡し、緊急の場合は119番に助けを求めてください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、以前に中期の流産や早産を経験した方、頸管の手術を受けたことがある方は、妊娠初期のうちから医師に相談しておくことが大切です。頸管の長さを定期的に確認することで、早めに対応できる可能性があります。禁煙も大切な予防のひとつです。
ワクチン
この処置に直接関係するワクチンはありません。妊娠中にすすめられるワクチンについては、かかりつけの医師や産婦人科にご相談ください。
検診プログラム
経腟超音波検査で頸管の長さを測ることで、頸管が短くなっていないかを確認できます。健診のたびにチェックすることが早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 頸管が開いたままになり、早産につながる
- 前期破水(赤ちゃんを包む膜が早く破れること)
- 流産や、赤ちゃんを失うリスクが高まる
- 感染症(子宮の中の感染)を起こすことがある
- 早く生まれすぎることで、赤ちゃんの呼吸や発育に影響が出ることがある
長期的な見通し
頸管無力症と診断されても、適切な管理を受けることで、多くの方が妊娠を続けて出産されています。手術や安静が必要になることもありますが、それは赤ちゃんを守るための方法です。心配なことや疑問は、遠慮せずに医療者に尋ねてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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