献血を知ろう ― 血液を必要とする人を支えるために
概要
献血とは、健康な人が自分の血液の一部を提供し、病気やけがで血液を必要とする人の治療に役立てる活動です。献血で集められた血液は、手術、けが、がんや血液の病気の治療、出産のときの出血など、さまざまな場面で使われます。血液は人工的につくることができないため、今も多くの人の善意によって支えられています。献血は「病気を治す治療」ではなく「誰かの治療を支える行為」です。
重要な事実
- 血液は人工的につくることができず、輸血に使われる血液はすべて献血でまかなわれています。輸血を必要とする人は、毎日のように全国にいます。
- 献血の前には問診・血圧・脈拍・体温・血液の濃さ(ヘモグロビン)などの確認があり、安全に協力できるかどうかを必ず確かめます。
- 献血の種類(全血献血・成分献血)や年齢・体重によって、献血できる量や次に献血できるまでの間隔が決められています。
日本では毎年多くの人が献血に協力しています。一方で、血液は長く保存できないため、必要量を安定して確保するには日々の協力が欠かせません。誰でも協力できるわけではなく、年齢・体重・体調などの基準を満たす必要があります。
献血に協力できるのは、おおむね10代後半から60代までの、体重などの基準を満たす健康な人です。年齢・体重・献血の種類によって条件が異なり、65歳以上の方には過去の献血歴などの条件があります。未成年の方は保護者の同意が必要です。持病がある方や薬を飲んでいる方は、あらかじめ献血会場のスタッフやかかりつけ医に相談してください。
症状
- 献血の後、意識を失った、または呼びかけへの反応がにぶい
- けいれんが起きた
- 呼吸が苦しい、胸が痛い、動悸が激しく続く
- 顔やのどが腫れる、じんましんが広がるなど、強いアレルギー反応が疑われるとき
- ⚠針を刺した部分が大きく腫れる、熱を持つ、痛みが強くなる
- ⚠針を刺した部分から出血が止まらない
- ⚠立っていられないほどのめまいや吐き気が続く
- ⚠数日たっても強いだるさ、息切れ、動悸が続く
一般的な症状
- 採血の針を刺した部分の、軽い痛みや内出血(青あざ)
- 献血の直後の、軽い立ちくらみやふらつき、気分が悪くなる感じ
- その日の軽いだるさや眠気
- 針を刺したあとの、しばらく血がにじむ感じ
- 採血中や直後の、手のしびれや冷たさ(多くは一時的)
子供の症状
- 10代の献血では保護者の同意が必要で、緊張から気分が悪くなることがあります
- 初めての献血では、不安や緊張で脈が速くなったり、気分が悪くなったりすることがあります
- 採血の前後に、必ずスタッフに体調の変化を伝えるようにしましょう
高齢者の症状
- 65歳以上の方は、献血できる条件が異なります(過去の献血歴など)
- 持病の治療中や薬を飲んでいる場合は、献血できるかどうかを事前に確認する必要があります
- 献血後の疲れや立ちくらみが長引くことがあるため、当日は無理をせずゆっくり休みましょう
原因
主な原因
- 献血そのものは病気ではなく、血液を必要とする人の治療を支える行為です
- 献血が必要とされるのは、手術での大きな出血、けが、がんや血液の病気の治療、出産時の出血、人工心肺を使う手術などがあるためです
- 献血の後に気分が悪くなるのは、緊張や空腹、水分不足などで体の血圧調整が一時的に乱れることが原因と考えられています
- くり返し献血をすると、体の鉄分が減ることがあります
リスク要因
- 朝食を抜いた、睡眠不足、水分をとっていない
- 強い緊張や不安、献血が初めてであること
- 暑い時期や、立ちっぱなしのあと
- 体重が少ない方、若い方(気分が悪くなりやすい傾向があります)
- くり返し献血している方、特に月経のある女性(鉄分が不足しやすい)
- 持病があり、薬を飲んでいる方
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 献血後に意識が遠のく、失神した
- 針を刺した部位の腫れや痛みが強い、熱がある
- 出血が止まらない
- 息苦しさ、胸の痛み、強い動悸がある
定期受診を予約すべき場合:
- 献血後にだるさや立ちくらみが数日続く
- 息切れ、動悸、顔色の悪さなど、貧血を思わせる症状が続く
- 針を刺した部位にしこりや痛みが残る
- 次に献血してよいかどうか、持病や薬のことで確認したい
診断
献血は「診断」ではなく、協力できるかどうかを確認する流れで進みます。受付のあと問診票に記入し、血圧・脈拍・体温・血液の濃さなどを測り、医師や看護師との問診で体調や服薬、海外渡航歴などを確認します。この確認で安全が確かめられた場合にのみ採血が行われます。
行われる可能性のある検査
- 問診(体調、服薬、病歴、渡航歴などの確認)
- 血圧・脈拍・体温の測定
- 血液の濃さ(ヘモグロビン濃度)の測定
- 血液型の検査
- 献血された血液に対する感染症の検査(輸血の安全を守るための検査で、献血者の健康診断の代わりではありません)
診察で予想されること
受付、問診票の記入、体調チェック、問診、採血という流れです。採血そのものは10〜15分ほどですが、成分献血ではもう少し長くかかります。終わったあとはしばらく休み、水分をとってから帰ります。所要時間は全体で1時間前後が目安です。
治療
献血は治療ではなく提供行為なので、特別な「治療」は必要ありません。大切なのは、献血の前後の体調管理です。献血の後に具合が悪くなった場合は、会場のスタッフが安静や水分補給などの対応をしてくれます。
自宅でのセルフケア
- 献血の前日はしっかり睡眠をとり、当日は朝食を抜かない
- 献血の前後に、水やお茶を少しずつ多めにとる
- 採血のあとは針を刺した部分をしばらく強めに押さえ、その日は激しい運動・飲酒・長時間の入浴を控える
- 献血のあとは10〜15分ほど座って休んでから帰る
- 気分が悪くなったら、がまんせずにすぐ横になってスタッフに伝える
医療治療
献血で気分が悪くなったときは、その場で血圧を測り、足を高くして横になるなどして休みます。改善しない場合や、針を刺した部位の腫れ・痛みが強い場合などは、医療機関での診察が必要になることがあります。鉄分が気になる場合も、自己判断でサプリメントなどに頼らず、まずは食事を見直し、必要に応じてかかりつけ医や薬剤師に相談してください。
この病気と共に生きる
献血は特別な日の行事ではなく、日常の中のちょっとした協力です。献血の種類によって次に協力できるまでの間隔が決まっているので、会場で案内された間隔を守り、体調のよいときに無理のない範囲で参加しましょう。献血のあとは、その日だけ少しゆっくり過ごすのがおすすめです。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい食事と睡眠を心がける
- 日ごろから水分をこまめにとる
- 鉄分を多く含む食品(赤身の肉や魚、大豆製品、緑黄色野菜など)を意識してとる
- ビタミンCを含む食品を一緒にとると、鉄分の吸収が助けられます
- 献血の前日と当日は、食事を抜いたり深酒をしたりしない
- 月経のある方は、鉄分が不足しやすいことを意識しておく
食事と運動
献血の前は食事を抜かず、しっかり食べてから参加しましょう。当日は水分を多めにとり、献血の直後の激しい運動や長時間の運動は控えてください。ふだんの運動は問題ありませんが、献血の日は軽めにするのが安心です。日ごろからバランスのよい食事と適度な運動を続けることが、献血に協力しやすい体づくりにつながります。
精神的健康と心の健康
献血は「誰かの役に立てた」という前向きな気持ちを得られる一方、注射が苦手な方や血を見るのがつらい方にとっては負担になることもあります。緊張や不安が強いときは、無理をせず「今回はやめておきます」と伝えてかまいません。断ることは失礼なことではありません。献血のあとに不安や気分の落ち込みが続く場合は、ひとりで抱えずに身近な人や医療機関に相談してください。
予防
献血は防ぐものではありませんが、献血の後の気分不良や立ちくらみは、前日の睡眠、当日の朝食、水分補給、そして献血後の安静によってかなり防げます。献血で使う器具は使い捨てで、献血を通じて感染症がうつる心配はほとんどありません。
検診プログラム
献血の前の問診と体調チェックが、献血する人と血液を受け取る人の両方の安全を守っています。また、献血された血液には感染症の検査が行われますが、これは献血者の健康診断の代わりにはなりません。気になる症状があるときは、献血に頼らず医療機関で相談してください。
合併症
治療しない場合
- 献血の後に気分が悪くなる(血圧の調整が一時的に乱れるため)
- 針を刺した部位の内出血や青あざ、まれにしこり
- くり返し献血をすることで、体の鉄分が減り、貧血に近い状態になることがある
- 針を刺した部位の感染(非常にまれですが、赤みや腫れが続く場合は受診が必要)
長期的な見通し
献血による体調の変化は、ほとんどが一時的で自然に落ち着きます。きちんと休み、水分と食事をとることが回復への近道です。献血は誰かの治療を支える、確かな力になります。自分の体調を大切にしながら、無理のない範囲で関わっていくことができれば十分です。
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最終更新: 2026年11月3日
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