電気メス(高周波手術)で行う治療について
概要
電気メス(でんきメス)は、高周波(こうしゅうは:1秒間に何十万回も向きが変わる電流)の電気エネルギーを使って、体の組織を切ったり、出血を止めたりする手術の方法です。「高周波手術」「電気凝固法」と呼ばれることもあります。細い針金や小さなへらのような先端に電流を流し、その部分だけが熱くなって組織を切開したり、血を固めて(凝固:ぎょうこ)止めたりします。ふつうのメスと違って、切りながら同時に出血を抑えられるのが特徴です。
重要な事実
- 電気メスは「病気の名前」ではなく、手術や処置に使われる道具と方法の名前です。皮膚のいぼやほくろの除去から、内視鏡(ないしきょう)手術、大きな外科手術まで、とても幅広く使われています。
- 体の表面に電流が流れるしくみのため、心臓のペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)を使っている人は、必ず手術の前に医師に伝えてください。工夫すれば安全に行えることがほとんどです。
- 多くの場合、麻酔(ますい:痛みを感じなくする処置)をして行うので、処置そのものの痛みはありません。術後は軽い痛みや赤み、かさぶたが出ることがありますが、ふつうは数日から数週間で落ち着きます。
はい、とてもよく行われています。皮膚科、外科、婦人科、耳鼻咽喉科、消化器内科など、多くの診療科で日常的に使われている基本的な技術です。日帰りの小さな処置から、入院して行う大きな手術まで、規模を問わず使われます。
子どもから高齢者まで、必要に応じてどの年代にも行われます。年齢そのものが問題になることは少ないですが、妊娠中、ペースメーカーなどの医療機器を使っている場合、出血しやすい状態の場合、傷あとが盛り上がりやすい体質(ケロイド体質)の場合は、事前に医師へ伝えることが大切です。
症状
- 処置のあと、胸が痛い・息が苦しい・動悸が強く続く(特に心臓の医療機器を使っている人)
- 意識がもうろうとする、けいれんが起きる、会話がかみ合わない
- 傷から大量の血が出て、押さえても10分以上止まらない
- 顔色が青白い、冷や汗がひどい、気を失いそうになる
- 処置のあと急に高熱が出て、ぐったりしている
- ⚠傷の赤み・腫れ・痛みが日ごとに強くなる
- ⚠傷から膿(うみ)のようなものが出る、においがする
- ⚠38度以上の発熱が続く
- ⚠傷のまわりの水ぶくれややけどの範囲が広がる
- ⚠出血が少量でも、じわじわと止まらず続く
- ⚠傷あとが赤く盛り上がり、かゆみや痛みが強い(ケロイドの可能性)
一般的な症状
- 電気メスそのものに「症状」はありません。ここでは、処置を受けるときや後に、よく experienced することがらを説明します。
- 処置中:麻酔のおかげで痛みを感じないことがほとんどです。意識がある場合は、軽い熱さや引っぱられる感じ、チクッとする感じを覚えることがあります。
- 処置の直後:傷のまわりが少し赤くなる、軽く腫れる、じんじんする、かさぶたができる、といったことがよくあります。
- 数日〜数週間:かさぶたが自然にはがれ、新しい皮膚になります。傷あとに薄い色の変化が残ることがあります。
- 傷のまわりに小さな水ぶくれや、軽いやけどのような跡ができることがあります(多くは軽く、自然に治ります)。
子供の症状
- 子どもは恐怖や不安を感じやすいので、処置の前にやさしく説明し、親がそばにいられるように工夫してもらえることが多いです。
- 麻酔の方法は年齢や協力できるかどうかで相談します。必要なら鎮静(ちんせい:うとうとした状態にすること)や全身麻酔を使うこともあります。
- 処置のあとは、痛みや不快感で泣いたり不機嫌になったりすることがあります。多くは数時間から数日で落ち着きます。
- 子どもの皮膚は治りが早い一方で、傷あとが目立ちやすいこともあります。気になるときは遠慮なく相談してください。
高齢者の症状
- 皮膚が薄く、血流や治癒力が若い頃と異なるため、治るのに少し時間がかかることがあります。
- ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、人工内耳などの医療機器を使っている場合は、必ず事前に伝えてください。電流の影響を避ける工夫をします。
- 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)を使っている場合、中止してよいかどうかは自己判断せず、必ず医師に相談してください。
- 糖尿病や腎臓の病気などがあると治りが遅くなることがあるため、ふだんの治療状況も伝えると安心です。
原因
主な原因
- 電気メスは治療の方法なので、「原因」という考え方は当てはまりません。ここでは、どのような理由で電気メスが選ばれるかを説明します。
- 切りながら同時に出血を止められるため、出血を減らしたい処置でよく選ばれます。
- 先端が細く、小さな範囲だけを正確に処置できるため、いぼ・ほくろ・小さなできものの除去に向いています。
- 内視鏡(ないしきょう:細い管を通して体の中を見る方法)と組み合わせやすく、体への負担が少ない手術ができます。
- 傷が小さく済み、日帰りで行える処置が増えるため、生活への負担を減らせます。
リスク要因
- ペースメーカーや植込み型除細動器などの医療機器を使っている(事前に伝えれば多くの場合対応可能です)
- 血液をサラサラにする薬を使っている、または出血しやすい体質・病気がある
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある
- 傷あとが盛り上がりやすい体質(ケロイド体質)、過去にケロイドになったことがある
- 糖尿病、腎臓病、免疫の病気など、傷の治りに影響する持病がある
- 喫煙(血の流れが悪くなり、治りが遅くなることがあります)
- 処置する部位が、皮膚の薄いところ・関節の曲がるところ・粘膜に近いところ
- 金属アレルギーや、麻酔薬で具合が悪くなった経験がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 傷から出血が止まらない、または繰り返し出血する
- 傷の赤み・腫れ・痛みが急に強くなった、膿が出る、38度以上の熱がある
- 処置のあと胸の痛み・息苦しさ・強い動悸がある(特に心臓の医療機器を使っている人)
- 水ぶくれややけどのような跡が広がっている
- 処置した部位の感覚が戻らない、動かしにくい
定期受診を予約すべき場合:
- 傷あとが赤く硬く盛り上がってきた、かゆみや痛みが続く
- 傷あとの色や形が気になる(美容面の相談も遠慮はいりません)
- かさぶたがなかなか取れない、治りが遅いと感じる
- 処置を受ける前に、持病・薬・医療機器・アレルギーについて確認したいことがある
- 処置の必要性や、ほかに選べる方法について詳しく聞きたい
診断
電気メスは「診断する病気」ではなく、治療や処置の方法です。どのような症状やできものがあるかを診察し、必要なら検査をして、電気メスで処置するのが適切かどうかを医師が判断します。同時に、ほかの方法(通常のメス、レーザー、冷凍、薬での治療など)のほうが合っているかどうかも検討されます。
行われる可能性のある検査
- 問診:症状の経過、持病、使っている薬、アレルギー、過去の手術歴、ペースメーカーなどの医療機器の有無を確認します。
- 診察:処置する部位を直接見て、皮膚の状態や範囲を確認します。
- 必要に応じた血液検査:出血しやすさや貧血、血糖、腎臓の働きなどを確認します。
- 心電図:心臓の医療機器を使っている人や、持病がある人で必要に応じて行います。
- 画像検査:超音波(エコー)やレントゲンなどで、できものの深さや広がりを確認することがあります。
- 組織検査:取り除いた組織の一部を調べることで、良性かどうかなどを確認します。
診察で予想されること
まず診察と説明があり、処置の目的・方法・ほかに選べる方法・起こりうるリスクについて説明を受けます。納得したうえで同意し、処置の日を決めます。多くは局所麻酔(きょくしょますい:処置する場所だけを麻痺させる麻酔)で行われ、処置そのものは数分から数十分のことが多いです。日帰りでできることも多く、必要なら翌日以降に傷の確認があります。
治療
電気メスは、それ自体が治療・処置の方法です。組織を切る・取り除く・出血を止めるという目的に応じて、先端の形や電流の流し方を変えて使います。処置の範囲や部位、あなたの体の状態に合わせて、麻酔の方法や日帰りか入院かが決められます。
自宅でのセルフケア
- 処置のあとは、医師や看護師に教わったとおりに傷を清潔に保ちましょう。
- 傷はこすらず、やさしく洗い、水分をよく拭き取ってください。
- かさぶたは無理にはがさないでください。自然にはがれるのを待つと、傷あとがきれいになりやすいです。
- 処置した日は、指示に応じて激しい運動・長風呂・サウナ・飲酒を控えめにしましょう。
- 紫外線は傷あとの色を濃くすることがあるため、外出時は日焼け対策をするとよいでしょう。
- かゆみが出ても、かきむしらないようにしてください。
- 出血したときは清潔なガーゼで軽く押さえ、止まらない場合は医療機関に連絡してください。
医療治療
電気メスにはいくつか種類があります。電流が体全体に流れるしくみのもの(モノポーラ)と、先端の2点の間だけに電流が流れるしくみのもの(バイポーラ)があり、処置する場所や目的で使い分けます。鋭く切る使い方、じわじわ組織を固めて止血する使い方、組織を少しずつ削る使い方などがあります。痛みや不安が強いときは、麻酔の方法を相談できます。処置後の痛みや傷のケアについても、医師や薬剤師に相談してください。なお、具体的な薬の名前や量は、あなたの状態に合わせて医療機関で判断されるものです。
手術が検討される場合
いぼ・ほくろ・小さなできものの除去、皮膚の小さな手術、内視鏡を使った処置、止血が必要な処置などでよく用いられます。一方で、範囲が広い病変、ペースメーカーなどの医療機器を使っていて電気の影響を避けたい場合、妊娠中で念のため避けたい場合などは、通常のメスやレーザー、冷凍凝固など別の方法が選ばれることがあります。どの方法がよいかは、診察のうえで医師と一緒に決めていきましょう。
この病気と共に生きる
処置のあとは、ふだんの生活を続けながら傷の治りを見守ることになります。多くは数日で日常生活に戻れますが、傷の場所によっては動かし方や洗い方に少し気をつける必要があります。傷の変化を毎日少しだけ観察する習慣をつけると、異常に早く気づけます。
生活習慣のアドバイス
- 傷を清潔で乾いた状態に保ち、汗や汚れが長時間つかないようにしましょう。
- 睡眠と休息を十分にとると、体の回復を助けます。
- 禁煙は血の流れを良くし、傷の治りを助けることが知られています。
- 処置した部位を強くこすったり、締めつける衣服を長時間着たりするのは控えめにしましょう。
- 紫外線対策(帽子、日傘、日焼け止め)は、傷あとの色ムラを目立ちにくくする助けになります。
- 処置後の入浴や運動の再開時期は、医療機関の指示に従ってください。
食事と運動
特別な食事制限が必要になることは多くありません。バランスのよい食事と十分な水分は、体の回復を支えます。糖尿病がある人は血糖を安定させることが傷の治りに役立つため、かかりつけ医と相談しながら食事と運動を続けましょう。運動は、処置した部位に負担のかからない範囲で、指示に合わせて少しずつ再開するとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
「傷あとが残ったらどうしよう」「また同じことが起きたら」と不安になるのは自然なことです。見た目の変化が気持ちに影響することもあります。不安が続いて眠れない、気分が落ち込む、日常生活に支障が出るようなときは、ひとりで抱えずに医療機関や相談窓口に話してください。つらい気持ちが強いときや、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに地域の救急(119)や、お住まいの自治体のこころの相談窓口に連絡してください。
予防
電気メスは治療の方法なので、「予防する」という性質のものではありません。ただし、処置に伴うトラブルを減らすための準備はできます。持病・飲んでいる薬・アレルギー・ペースメーカーなどの医療機器は、処置の前に必ず伝えてください。喫煙を控える、血糖を安定させる、処置後の指示を守ることも、治りを良くする助けになります。
検診プログラム
電気メス自体のための検診はありません。ただし、皮膚のできものやほくろの形・色・大きさの変化が気になる場合は、早めに皮膚科などで診てもらうことが大切です。また、持病のある人はかかりつけ医での定期的な健康チェックを続けましょう。
合併症
治療しない場合
- 電気メスは治療の方法であるため、「受けなかった場合」に起こることは、元の症状によって異なります。気になるできものや症状をそのままにすると、大きくなったり、変化に気づくのが遅れたりすることがあります。
- 処置後に適切なケアをしないと、傷の感染や治りの遅れにつながることがあります。
- 傷あとが赤く盛り上がる(ケロイド)ことがあります。体質が関係するため、事前に伝えておくと対策を相談できます。
- まれに、やけどや出血、心臓の医療機器への影響などが起こることがあります。医療機関はこれを防ぐための確認を丁寧に行います。
長期的な見通し
電気メスは長年使われてきた、確立された安全な技術で、多くの処置は短時間で終わり、回復も比較的早いのが特徴です。傷の治りには個人差がありますが、指示どおりにケアを続けることで、ほとんどの方は落ち着いて経過します。気になる変化があれば早めに相談することが、安心につながります。
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最終更新: 2026年11月3日
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