目薬(点眼薬)を正しく使うために
概要
目薬は、目に直接たらして使うお薬の総称です。英語では「点眼薬」とも呼ばれ、飲み薬のように体全体に回るのではなく、目の表面や目の奥に直接届くように作られています。目薬には大きく分けて、炎症やかゆみをしずめるもの、細菌やウイルスへの働きをするもの、目の乾きを補うもの、目の中の圧力(眼圧=目の硬さのようなもの)を下げるものなどがあります。同じ「目薬」でも目的がまったく違うため、家族や友人の残りを使い回すのはおすすめできません。
重要な事実
- 目薬は「1回1滴」が基本です。2滴以上たらしても効果が増えるわけではなく、あふれてしまうことが多いと言われています。
- さしたあとは、まぶたを閉じて目頭(鼻に近いほうの角)を1〜2分軽く押さえると、薬が鼻やのどに流れにくくなります。
- 開封したあと使える期間の目安は製品ごとに決まっています(多くは1か月ほど)。箱や説明書の表示を確認しましょう。
- コンタクトレンズをつけたまま使えるかどうかは製品によって違います。必ず表示や医師・薬剤師の説明を確認してください。
- 複数の目薬を使うときは、少なくとも5分ほど間をあけると、後の目薬が洗い流されにくくなります。
とても身近なお薬です。目の乾き、花粉の時期のかゆみ、ものもらい、緑内障の治療など、さまざまな場面で使われます。医師の処方せんが必要なものと、薬局・ドラッグストアで相談して買えるものの両方があります。
こどもから高齢者まで、どなたでも使う可能性があります。特によく使うのは、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見る方、コンタクトレンズを使う方、花粉症やアレルギーのある方、目の乾き(ドライアイ=目の表面が乾いて傷つきやすい状態)を感じる方、緑内障(目の奥の神経が傷つき、見える範囲が少しずつ狭くなる病気)と診断された方などです。
症状
- 洗剤・漂白剤・酸やアルカリ性の液体・化学薬品が目に入った(まず水道水で15分以上よく洗い流し、すぐに救急へ連絡してください)
- 目に強い衝撃を受けた、とがったものが当たった、目から出血している
- 目の激しい痛みで目を開けていられない
- 視力が急に大きく落ちた、ものが急に見えなくなった
- ⚠目が赤く腫れて強い痛みがある
- ⚠光が異常にまぶしく、涙が止まらない
- ⚠視界がかすむ、ものが二重に見える
- ⚠コンタクトレンズをつけたまま寝てしまい、翌日から目が痛い
- ⚠目薬を使ってから、まぶたが腫れた・息苦しい・発疹が出た(アレルギーの可能性)
一般的な症状
- 目がかゆい、赤い、しみる、ごろごろする(異物感)
- 目が乾く、重い感じがする、夕方になると見えにくい
- 目やにが出る、涙が止まらない
- 光がまぶしい、まぶたが腫れる
- 花粉やほこりで目がかゆくなる(アレルギーの症状)
- 目薬をさしたあとに、かえってしみる・かゆみが増す(合っていない可能性があります)
子供の症状
- 目薬をこわがって、まばたきや抵抗でうまくさせない
- 泣くと涙と一緒に流れ出てしまい、薬が入りにくい
- さした薬が鼻やのどに流れて、変な味がすると言う
- 学校で使う場合は、医師の指示や学校との相談が必要になることがあります
- こども用と大人用では内容が違うことがあるため、大人の目薬を勝手に使わないようにしましょう
高齢者の症状
- 手の震えや肩の痛みで、うまく顔の上に構えられない
- ふたが固くて開けにくい、小さくて落としやすい
- 何種類も使っていて、順番や回数がわからなくなる
- 緑内障の目薬を毎日続ける必要があり、忘れやすい
- 点眼補助具(目薬を支える器具)を使うとさしやすくなることがあります
原因
主な原因
- 目の乾き(ドライアイ):乾燥した空気、長時間の画面作業、加齢などで涙のバランスが崩れる
- アレルギー性の結膜炎(白目の表面をおおう薄い膜の炎症):花粉、ほこり、ペットの毛など
- 細菌やウイルスによる目の感染
- 緑内障・眼圧(目の中の圧力)が高い状態
- 目の手術のあとの炎症や感染予防
- けがや異物による目の刺激
- 目薬の使い方のトラブル:家族と共有する、使用期限を過ぎたものを使う、さしすぎる、コンタクトレンズとの相性を確かめない
リスク要因
- コンタクトレンズを使っている
- 花粉症やアレルギーの既往がある
- 加齢により涙の量や質が変わる
- エアコンや暖房で乾燥した部屋に長くいる、画面を長時間見る
- 複数の目薬や他のお薬を併用している
- 手や肩に痛み・震えがあり、自分でさしにくい
- こどもが誤って使ってしまう環境にある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目が急に赤く腫れて痛む、目やにが大量に出る
- 視力が急に落ちた、視界が欠ける感じがする
- 化学薬品や異物が目に入った
- 目薬を使ってから腫れ・かゆみ・息苦しさが出た
- コンタクトレンズを付けたまま眠り、目が痛い
定期受診を予約すべき場合:
- 市販の目薬を1〜2週間使ってもよくならない
- 目の乾きやかすみが続いている
- 緑内障の目薬をさし忘れることが多い、続けられない
- 目薬のさし方がわからない、うまくさせない
- 妊娠中・授乳中で、使ってよい目薬かどうか知りたい
- 他の病気で飲み薬を使っていて、目薬との組み合わせが心配
診断
まず、どんな症状がいつからあるか、どの目薬をどれくらい使っているか、コンタクトレンズの使用、アレルギーや他のお薬、妊娠の有無などを聞かれます。そのうえで医師が目を直接観察します。目薬を選ぶときは、症状だけでなく、目の中の状態や涙の量、眼圧なども合わせて確認します。薬局で市販薬を選ぶときは、薬剤師に症状と使用中の薬を伝えて相談しましょう。
行われる可能性のある検査
- 視力検査(ランドルト環などで見え方を測る)
- 細隙灯顕微鏡検査(目を何倍にも拡大して照らして見る器械で、まぶた・白目・黒目を観察します)
- 眼圧検査(目の中の圧力を測る、空気を軽く当てる検査)
- 角膜の傷を調べる検査(色のついた目薬で傷の場所を見つけます)
- 涙の量や安定性を調べる検査(ドライアイが疑われるとき)
診察で予想されること
診察は数分から十数分で、ほとんどの検査は痛みがありません。眼圧検査で軽く風が当たる程度の刺激を感じることがあります。医師からは「1日何回か」「いつまで使うか」「コンタクトレンズをつけたまま使えるか」「冷蔵庫で保管するか」などを説明されます。わからないことは遠慮なく聞いてください。
治療
目薬による治療でいちばん大切なのは、正しい使い方を続けることです。処方された回数・期間を守り、自己判断で回数を増やしたり急にやめたりしないようにしましょう。効果が感じられないときも、勝手に別の目薬を足さずに医師・薬剤師へ相談してください。
自宅でのセルフケア
- さす前に必ず手を洗う
- ふたは内側を上にして置き、容器の先がまぶたやまつ毛に触れないようにする
- 1回1滴を、決められた回数だけさす
- さしたらまぶたを閉じ、目頭を1〜2分軽く押さえる
- 複数の目薬は5分ほど間をあける
- コンタクトレンズは指示に従って外す、またはレンズ対応の製品を使う
- 使用期限と開封後の期間を守り、濁り・変色・においの変化があれば使わない
- 家族や友人と目薬を共有しない
- 冷所保存の指示があるものは冷蔵庫へ。ただし凍らせない
- うまくさせないときは、点眼補助具やさしやすい容器について薬剤師に相談する
医療治療
医師は、原因や症状に合わせて目薬の種類を選びます。炎症やかゆみをしずめるもの、アレルギー反応を抑えるもの、細菌への働きをするもの、目の乾きを補うもの、目の中の圧力を下げるものなどがあり、症状が合わなければ種類を変えたり、飲み薬や他の治療を組み合わせたりします。炎症を強く抑えるタイプの目薬は、自己判断で長期間使うと別のトラブルにつながることがあるため、必ず指示どおりに使いましょう。なお、具体的な薬の名前や量は、あなたの状態に合わせて医師・薬剤師から説明されます。
手術が検討される場合
目薬だけでは目の圧力を十分に下げられない緑内障などでは、レーザー治療や手術が検討されることがあります。また、目のけがや網膜の病気など、目薬では対応できない状態では別の治療が必要になります。いずれも主治医から目的と流れの説明があります。
この病気と共に生きる
毎日の点眼は、習慣にできるかどうかが続けるコツです。歯みがきのあと、朝食のあとなど、すでにある習慣にくっつけると忘れにくくなります。スマートフォンのアラームやカレンダーのチェック、1週間分の点眼チェック表も役立ちます。何種類かあるときは「さす順番」を決めて、容器に印をつけておくと迷いません。
生活習慣のアドバイス
- 画面を見るときは、20分ごとに20秒、遠くを見て目を休める
- 部屋の加湿を心がけ、エアコンの風が直接目に当たらないようにする
- 花粉やほこりの時期は、メガネやマスクで目を守る
- コンタクトレンズは使用時間とケアのルールを守る
- 十分な睡眠をとる
- たばこの煙は目を刺激するため、控えることが望ましい
- 目をこすらない(こすると傷ついたり悪化したりします)
食事と運動
特定の食べ物が目薬の代わりになるわけではありません。バランスのよい食事と水分補給を心がけましょう。適度な運動は血流を保ち、体調全体によい影響があります。ただし緑内障がある方は、息を止めて力むような激しい運動や、長時間うつむく姿勢が眼圧に関わることがあるため、運動の内容は主治医に相談してください。
精神的健康と心の健康
毎日の点眼が負担に感じたり、緑内障のように長期の付き合いになる場合は将来への不安が生じたりすることがあります。1回さし忘れたくらいで自分を責める必要はありません。気持ちがつらい日が続くときは、かかりつけ医や薬剤師、地域の保健所の相談窓口などに話してみてください。
予防
目薬が必要になる目のトラブルは、ある程度予防できます。乾燥を避ける、画面を休める、目をこすらない、コンタクトレンズを正しく扱う、といった日々の工夫が助けになります。また、目薬によるトラブルを防ぐには、家族と共有しない、期限を守る、容器の先を触らない、という3つが大切です。
検診プログラム
緑内障は初期には自覚症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに進むことがあります。40歳を過ぎたら、健康診断や眼科での定期的な目の検査を受けることがすすめられています。厚生労働省も目の健康づくりについて情報を提供しています。
合併症
治療しない場合
- 炎症や感染が広がり、治療に時間がかかることがある
- 緑内障の場合、治療を続けないと見える範囲が狭くなり、失った視野は元に戻りにくい
- 合わない目薬を使い続けて、目が刺激され荒れる
- 防腐剤やコンタクトレンズとの相性でトラブルが起きる
- 自己判断で中止して症状がぶり返す
長期的な見通し
多くの目のトラブルは、適切な目薬と正しい使い方で落ち着きます。毎日の点眼が習慣になれば、負担は少しずつ軽くなります。うまくいかないときは、ひとりで抱えずに医師や薬剤師に相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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