新鮮凍結血漿(FFP)輸血について知っておきたいこと
概要
新鮮凍結血漿(しんせんとうけつけっしょう、FFP)は、献血で集めた血液から赤血球や血小板を取り除いた「血漿(けっしょう)」という液体の部分を、そのまま凍らせて保存したものです。血漿には、けがをして血が出たときに血を固めるためのたんぱく質(血液凝固因子)が含まれています。FFP輸血は、この「血を固める力」を補って、出血を止めたり、これから受ける手術や処置のあいだの出血を防いだりするために行われます。薬ではなく、献血から作られる「血液製剤」のひとつで、病院で点滴として使われます。
重要な事実
- FFPは献血された血液から作られる血液製剤で、血を固める成分(血液凝固因子)を含んでいます。
- 使う直前にマイナス20℃以下で凍らせたものを溶かし、血液型を合わせてから点滴で投与します。
- 効果は数時間から1日ほどで、出血が続く場合や手術の前後には繰り返し使われることがあります。
- 自己判断で受けられるものではなく、医師が必要と判断したときだけ、病院で行われます。
赤血球の輸血に比べると、FFPが使われる場面は限られています。それでも救急、手術、肝臓の病気の治療などで広く行われる、標準的な治療のひとつです。
年齢を問わず、必要と判断された方に行われます。肝臓の病気がある方、大きなけがや手術を受ける方、血液が固まりにくくなる状態の方、生まれつき凝固因子が足りない方などが対象になります。
症状
- 大量の出血が続いていて、自分では止められない
- 吐血(血を吐く)や、コーヒー色のものを吐く、黒い便が続く
- 頭を打ったあとに意識がぼんやりする、激しい頭痛、繰り返す嘔吐がある
- 顔色が真っ白で冷汗が出る、脈が速い、ぐったりして反応が弱い(ショックの可能性)
- けがや手術のあとで、出血が止まらずにふらつく・立っていられない
- ⚠鼻血が15〜20分以上たっても止まらない、または何度も繰り返す
- ⚠歯ぐきや傷口からの出血が長引く
- ⚠新しいあざが次々にできて増えていく
- ⚠血尿や血便に気づいた
- ⚠月経の出血が異常に多く、ふらつきや息切れがある
一般的な症状
- 鼻血や歯ぐきの出血が止まりにくい、またすぐに出血する
- 理由に心当たりのないあざができやすい、あざが大きくなる
- 血便や血尿が出る、トイレットペーパーに血がつく
- 手術やけがのあとの出血が長引く
- 皮膚に細かい赤い点(点状出血)が増える
- 月経の出血量がいつもより明らかに多い
子供の症状
- 生まれつき血液凝固因子が足りない病気が見つかったとき
- 肝臓の病気や重い感染症で血が固まりにくくなっているとき
- 大きなけがや手術の前後に、出血を防ぐ目的で使われることがある
- 小さな子は出血をうまく伝えられないため、あざや元気のなさに気づくことが大切
高齢者の症状
- 肝臓の病気があり、血を固める力が低下している
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいて、出血が止まりにくい
- 手術や骨折、転倒後のけがで出血が多い
- がんや栄養状態の低下で、出血しやすい状態になっている
原因
主な原因
- 肝臓の病気:血を固める成分の多くは肝臓で作られるため、肝臓が弱ると出血しやすくなります。
- 大量の出血や大きな手術:出血を止めるための成分が足りなくなったり、輸液で薄まったりします。
- 血液が全身で固まりすぎて、逆に固める成分が使い果たされる状態(播種性血管内凝固:はしゅうせいけっかんないぎょうこ)。
- 重いけが、やけど、重い感染症(敗血症)などで体が大きな負担を受けているとき。
- 生まれつき特定の凝固因子が足りない、または働きが弱い体質。
- 脂溶性ビタミン(ビタミンK)の不足や、栄養状態の低下。
- 血液を固まりにくくする薬の影響で出血しやすくなっているとき。
リスク要因
- 肝臓の病気(肝炎、肝硬変など)がある
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいる
- 大きな手術、大きなけが、やけどを受けた
- 重い感染症や敗血症にかかっている
- 妊娠・出産に関わる合併症がある
- 長期間十分に食べられず、栄養状態が悪い
- 生まれつき出血しやすい体質がある、または家族にいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が止まらない、または止まりにくいと感じたとき
- 吐血や下血、黒い便があったとき
- 頭を打ったあとに意識や話し方がいつもと違うとき(ためらわず119番へ)
- 手術や処置のあとで、傷口からの出血が続くとき
- 輸血を受けたあとで、発熱・寒気・じんましん・息苦しさ・胸の苦しさが出たとき(すぐに医療スタッフへ伝えてください)
定期受診を予約すべき場合:
- あざができやすい、歯ぐきの出血が続くなど、出血しやすい状態が続いている
- 肝臓の病気や血液の病気で通院しており、出血について不安がある
- 手術や処置を控えていて、輸血が必要かどうか聞いておきたい
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいて、出血が心配
診断
FFPが必要かどうかは、出血の様子や病気の経過を聞き、体を診察し、血液検査の結果を合わせて医師が判断します。検査では「血が固まるまでの時間」や「固める材料が足りているか」を調べます。輸血の前には、血液型や、血が合いにくい体質でないかを確認する検査も行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血小板の数、血が固まるまでの時間、フィブリノゲンという固める材料の量など)
- 血液型の検査と、輸血する血が合うかどうかの検査
- 肝臓や腎臓の働きをみる血液検査
- 必要に応じて、出血している場所を調べる画像検査や内視鏡検査
診察で予想されること
輸血は病院で行われます。腕の点滴から、はじめはゆっくりと時間をかけて入れ、体調の変化がないかを確認しながら続けます。所要時間は1〜数時間程度で、終わったあともしばらく観察します。輸血の前には、これまでの輸血歴やアレルギー、飲んでいる薬、妊娠の可能性などを聞かれるので、正確に伝えてください。
治療
FFP輸血は、出血を止める力が足りないときに、その力を外から補う治療です。量や回数は、体重・検査の結果・出血の程度に合わせて医師が決めます。同時に、出血の原因になっている病気そのものの治療も進めます。
自宅でのセルフケア
- これまでに輸血を受けたことがある、アレルギーがある、飲んでいる薬やサプリメントがある場合は、必ず事前に伝える。
- 輸血中や輸血後に、寒気・発熱・じんましん・かゆみ・息苦しさ・胸の苦しさを感じたら、我慢せずすぐにスタッフへ伝える。
- 輸血のあとは、指示されたとおりに水分をとり、無理のない範囲で休む。
- 出血しやすい状態が続くあいだは、ひげそりや爪切りなどでけがをしないよう、道具と手元に気をつける。
- 通院の予定や検査の予定は、自己判断で変更せず、気になることがあれば早めに相談する。
医療治療
治療は大きく2つに分かれます。ひとつは、足りない「血を固める力」を補うこと。もうひとつは、出血の原因になっている病気の治療です。原因に応じて、肝臓の病気の管理、感染症の治療、止血の処置などが行われます。凝固因子を補う別の方法が適している場合もあり、体の状態に合わせて医師が選びます。輸血中は体調の変化を観察し、万が一反応が起きたときにはすぐに対応できる体制で行われます。
手術が検討される場合
手術の前後に出血が心配される場合や、手術中に出血が多くなった場合に、FFPが使われることがあります。手術を受ける際は、出血しやすい体質や飲んでいる薬について、事前に必ず麻酔科や手術担当の医師に伝えてください。
この病気と共に生きる
FFP輸血は1回で終わることもあれば、状態によって繰り返すこともあります。日常生活では、出血のサイン(あざ、歯ぐきの出血、血便・血尿など)を意識して見ておき、気づいたらメモして通院時に伝えると役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 飲んでいる薬(特に血を固まりにくくする薬)は、自己判断でやめたり量を変えたりせず、必ず医師に相談する。
- 刃物や工具を使うとき、転びやすい場所を歩くときは、けがをしないように気をつける。
- 飲酒は肝臓に負担をかけるため、医師に量の目安を確認する。
- 睡眠と休息を十分にとり、体調の変化を記録しておく。
- 出血しやすい時期は、激しい接触のあるスポーツを控えるなど、医師の指示に従う。
食事と運動
食事は、肝臓や体の回復を助けるために、バランスのよい食事を規則正しくとることが基本です。塩分やお酒の量は、肝臓の状態に合わせて医師や管理栄養士に相談してください。運動は、散歩など無理のない範囲から始め、出血しやすい時期には転倒や打撲のリスクが高い運動を避けます。どの程度動いてよいかは、主治医に確認するのが安心です。
精神的健康と心の健康
輸血と聞くと不安になったり、『自分の体は大丈夫だろうか』と気持ちが沈んだりするのは自然なことです。特に繰り返し輸血が必要な場合や、肝臓の病気など長く付き合う病気がある場合は、気持ちの負担が大きくなりがちです。眠れない、食欲がない、不安が続くといった状態があるときは、一人で抱えず、かかりつけ医や看護師、地域の相談窓口に話してください。つらい気持ちが強いときは、地域の精神保健福祉センターや、いのちの電話などの相談窓口も利用できます。急に自分を傷つけたい気持ちが強くなったときは、ためらわず119番に連絡するか、近くの人に助けを求めてください。
予防
FFP輸血そのものを『予防する』という考え方ではありません。大切なのは、輸血が必要になる背景、たとえば肝臓の病気や出血しやすい状態を早めに見つけて管理することです。出血のサインに気づいたら早めに相談することが、結果として大きな出血や輸血を減らすことにつながります。
検診プログラム
健康診断や肝機能の血液検査は、肝臓の病気を早く見つける助けになります。出血しやすいと感じる方や、家族に出血しやすい体質の人がいる方は、かかりつけ医に相談して血液の検査を受けておくと安心です。
合併症
治療しない場合
- 出血が止まらず、貧血やふらつき、息切れが強くなることがあります。
- 出血が大量になると血圧が下がり、体の大切な臓器に十分な血が届かなくなる(ショック)ことがあります。
- 手術や処置のあとの出血が続き、回復が遅れることがあります。
- 輸血には、発熱やじんましんなどの反応、まれに肺や心臓への負担がかかることがありますが、医療スタッフが観察しながら行うことで対応できます。
長期的な見通し
FFP輸血は、出血を止めるための確立された治療で、多くの方は出血が落ち着き、治療を続けられます。大切なのは、出血の原因になっている病気の治療を続けることと、気になる変化を早めに相談することです。不安があるときは、一人で抱えずに医療スタッフに聞いてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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