痔の手術や処置を受ける前の準備について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
痔(いぼ痔/痔核)は、肛門または直腸の静脈が腫れてできるできものです。排便時のいきみや妊娠、長時間座ることなどが原因で起こります。この記事では、痔の処置(手術やゴム輪結紮術など)を受ける前に知っておくべき準備について説明します。
重要な事実
- 痔は非常によく見られる病気で、日本人の約3人に1人が経験すると言われています。
- 多くの場合、生活習慣の改善や薬で症状がよくなります。
- ひどい場合や保存的治療が効かない場合、ゴム輪結紮術や手術などの処置が必要になることがあります。
- 処置の前には、医師から具体的な準備方法が指示されます。
はい、痔は非常に一般的な病気です。厚生労働省の調査によると、日本人の約3人に1人が何らかの痔の症状を経験したことがあるとされています。
痔はすべての年齢層に見られますが、特に20歳代から50歳代の成人に多く、妊娠中の女性や出産後、便秘がちな人、長時間座って働く人に多い傾向があります。
症状
- 大量の出血(便器が真っ赤になる、止血しない)
- 強い痛みで動けず、座っていられない
- めまいや失神、冷や汗(出血性ショックの疑い)
- 発熱とともに肛門周囲が激しく腫れ、触ると痛い(感染の可能性)
- ⚠出血は少量だが、数日続く、または繰り返す
- ⚠痔核が痛くて触れない、または外に飛び出したまま戻らない
- ⚠処置や手術後の痛みや出血が治まらない
- ⚠排便習慣が急に変わった(便秘や下痢が続く)
一般的な症状
- 排便時に鮮やかな赤い血が出る
- 肛門のかゆみや不快感
- 肛門の周りにしこり(イボのようなもの)を感じる
- 排便後の痛みや違和感
子供の症状
- 小児では便秘が原因で起こることが多く、排便時にいきむことで症状が出ます。
- 出血よりも、痛みやかゆみを訴えることが多いです。
- 肛門周囲にしこりを触れることもあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、筋力の低下や便秘、排尿障害などが原因で痔が悪化しやすいです。
- 出血が見られた場合、大腸がんなど別の病気の可能性もあるため、早めに医師に相談することが大切です。
- 痔核が外に出たまま戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」が起こりやすくなります。
原因
主な原因
- 排便時の強い怒責(いきみ)
- 長時間座り続ける(特にトイレでの長居)
- 妊娠・出産(子宮が直腸を圧迫し、血流が悪くなる)
- 慢性的な便秘や下痢
- 肥満(腹腔内圧が上がる)
- 加齢(組織が弱くなる)
リスク要因
- 低繊維食や水分不足による便秘
- 長時間の座位作業(運転手、デスクワーカーなど)
- 妊娠中の女性
- 肥満(BMIが高い)
- 慢性の咳やアレルギー(腹圧がかかる)
- 直腸がんや炎症性腸疾患の既往
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が大量、または止血しない
- 強い痛みや発熱がある
- 痔核が腫れて座れない
- 処置後に異常な痛みや出血が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 排便時に少量の血がつくことがある
- 肛門のかゆみやしこりが気になる
- 痔の症状で日常生活に支障を感じる
- 処置・手術を検討したい場合
診断
医師が肛門や直腸の状態を直接診察して診断します。問診や視診、触診(指で触る)が基本です。必要に応じて、肛門鏡や大腸カメラを使って詳しく調べることもあります。
行われる可能性のある検査
- 視診(肛門の外から見る)
- デジタル直腸診(医師が指で肛門内を触る)
- 肛門鏡(肛門に挿入する短い内視鏡)
- 直腸鏡やS状結腸鏡(必要に応じて)
- 大腸カメラ(全大腸内視鏡検査)(出血の原因が他にないか確認するため)
診察で予想されること
診察は通常、横向きに寝た姿勢(シムス位)やひざまずく姿勢で行われます。肛門に潤滑剤をつけた指や器具を入れるため、少し違和感がありますが、痛みはほとんどありません。検査前に説明があります。
治療
痔の治療は、まず生活習慣の改善や薬による保存療法が行われます。それでも改善しない場合や重度の場合に、ゴム輪結紮術(痔核の根元にゴムをかける)、硬化療法(薬を注入する)、レーザー治療、あるいは手術(痔核切除術)などの処置が検討されます。処置を受ける前には、医師から詳しい準備について説明があります。
自宅でのセルフケア
- 水分を十分に取り、食物繊維の多い食事(野菜、果物、全粒穀物)を心がける
- 排便時にいきみすぎない、トイレに長く座らない
- 温かいお湯に座浴(しっとう)をする(1日2~3回、10分程度)
- 肛門を清潔に保ち、刺激の少ない石けんを使う
- 市販の軟膏や座薬を使う場合も、長期間の使用は避け、医師に相談する
医療治療
医師の判断で、保存療法として座薬や軟膏(ステロイドや局所麻酔成分を含むもの)が処方されることがあります。それでも効果が不十分な場合、ゴム輪結紮術、硬化療法、凝固療法(赤外線や電気)、レーザー治療、そして手術(痔核切除術)が行われます。手術前には、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を一時的に中止するなど、医師の指示に従ってください。処置前に下剤や浣腸を使う場合もありますが、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
保存療法や外来処置で効果が得られない重度の痔(特に第3度・第4度の内痔核や外痔核、複合痔)、または合併症(嵌頓、血栓症)がある場合に、手術(痔核切除術)が検討されます。手術前に医師から具体的な準備方法(食事制限や浣腸、薬の調整など)が指示されますので、必ず守ってください。
この病気と共に生きる
痔の症状がある間や処置後の回復期は、毎日の排便習慣に注意しましょう。排便時は無理にいきまず、便意を感じたらすぐにトイレに行き、長居しないことが大切です。処置後は医師の指示に従い、安静や入浴、食事に気をつけてください。
生活習慣のアドバイス
- 食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、豆類、全粒穀物)を積極的に摂る
- 1日コップ8杯以上の水を飲む
- 適度な運動(ウォーキングなど)を習慣にする
- 長時間座る場合は、1時間に1回は立ち上がって体を動かす
- 便秘や下痢を避けるため、ストレスをためないようにする
- 喫煙は控える(血流を悪くするため)
食事と運動
バランスの良い食事と適度な運動が痔の予防と改善に役立ちます。特に食物繊維(1日20~30g)が推奨されます。水分を十分に取り、規則正しい排便リズムを作りましょう。ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、腹圧を上げすぎず、血行を良くするのに効果的です。ただし、重量挙げなど腹圧がかかる運動は避けたほうが良い場合があります。
精神的健康と心の健康
痔の症状はかゆみや痛み、出血などがあり、特に処置前の不安や羞恥心がストレスになることがあります。症状が日常生活に影響する場合や、処置に対する不安が強い場合は、医師や看護師に相談してください。必要に応じて、心理的なサポートやカウンセリングも役立ちます。
予防
完全に予防することは難しいですが、生活習慣の改善でリスクを大幅に下げることができます。便秘を予防し、排便時にいきまず、規則正しい生活を心がけることが最も重要です。
ワクチン
該当しません。
検診プログラム
痔そのもののスクリーニング検査はありませんが、便潜血検査(大腸がん検診)で出血が見つかった場合は、痔以外の病気の可能性も考慮し、医師の診察を受けることが勧められます。50歳以上の方は、定期的な大腸がん検診を受けることをおすすめします。
合併症
治療しない場合
- 痔核が外に飛び出して戻らなくなる(嵌頓)
- 血栓ができて強い痛みが生じる(血栓性外痔核)
- 感染を起こして肛門周囲膿瘍(のうよう)になる
- 慢性的な出血による貧血
- まれに、痔が治りにくくなり、より侵襲的な治療が必要になる
長期的な見通し
痔は多くの場合、適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできます。処置や手術を受けたとしても、ほとんどの方は問題なく回復し、日常生活に戻ることができます。合併症はまれですが、早期に治療すれば重篤になることはほとんどありません。安心して医師の指導に従ってください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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