肝臓の病気:よくある質問とその答え
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肝臓は体の右上腹部にある大きな臓器で、食べ物の消化や毒素の除去、栄養の貯蔵など多くの重要な働きをしています。肝臓の病気とは、この肝臓に炎症や障害が起こり、正常な機能が妨げられる状態です。
重要な事実
- 肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。
- 主な肝臓の病気には脂肪肝、肝炎(ウイルス性・自己免疫性)、肝硬変、肝臓がんなどがあります。
- 早期発見と適切な治療で多くの肝臓病は管理可能です。
- 生活習慣の改善(バランスの良い食事、適度な運動、節酒など)が予防に役立ちます。
肝臓の病気は日本でも非常に多く、特に脂肪肝は成人の約3割に見られるといわれています。健康診断で肝機能の数値に異常を指摘される人も少なくありません。
肝臓の病気はどの年齢層でも起こりえますが、ウイルス性肝炎は感染経路により若い世代でもみられます。脂肪肝は中年以降の男性や肥満傾向のある人に多く、アルコール性肝障害は飲酒習慣のある人にみられます。
症状
- 急激な意識障害や混乱、性格の変化(肝性脳症の可能性)
- 大量の吐血や黒いタール状の便(消化管出血の可能性)
- 激しい右上腹部の痛みや腹部全体の張り
- ⚠黄疸が急速に悪化する
- ⚠尿が全く出なくなる
- ⚠38度以上の発熱が続く
- ⚠急に腹囲が増えた(腹水の可能性)
一般的な症状
- 疲れやすさ、だるさ(倦怠感)
- 食欲不振、吐き気
- 右上腹部の不快感や痛み
- 尿の色が濃くなる(紅茶のような色)
- 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
- 体がかゆい
子供の症状
- 黄疸が長引く(新生児の場合は生理的黄疸と区別が必要)
- 成長の遅れ
- 腹部の膨らみ(肝臓や脾臓の腫大)
- 便の色が白っぽい
高齢者の症状
- 高齢者は症状が非典型的で、単なる老化や他の病気と間違われやすい
- 転びやすくなる、筋肉量の減少(サルコペニア)
- 意識の混濁(肝性脳症の初期症状)
- 既存の薬の副作用として肝障害が現れることもある
原因
主な原因
- ウイルス感染(B型・C型肝炎ウイルス)
- 過度の飲酒(アルコール性肝障害)
- 肥満やメタボリックシンドロームによる脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎)
- 自己免疫の異常(自己免疫性肝炎)
- 薬剤やサプリメントの副作用(薬剤性肝障害)
- 遺伝的要因(ヘモクロマトーシスなど)
リスク要因
- 大量の飲酒習慣
- 肥満や糖尿病、脂質異常症
- 不衛生な注射器や刺青、入れ墨によるウイルス感染
- 特定の薬や健康食品の長期使用
- 家族に肝臓病の人がいる
- ウイルス性肝炎の既往またはキャリア状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がもうろうとする、あるいは性格が変わった
- 血を吐いたり、黒い便が出る
- お腹が急に大きく張って痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で肝機能(AST、ALTなど)の数値が高いと指摘された
- 長期間にわたってだるさや疲れが取れない
- 食欲がない、体重が減ってきた
- 黄疸(皮膚や目が黄色い)に気づいた
- 飲酒量が多いと自覚している
診断
肝臓の病気は、まず問診と血液検査で肝機能の数値(AST、ALT、γ-GTP、ビリルビンなど)を調べます。異常があれば、画像検査(腹部エコー、CT、MRI)や肝生検(肝臓の組織を針で採取して調べる)で確定診断を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(肝機能、ウイルスマーカー、自己抗体など)
- 腹部超音波(エコー)検査
- CTスキャンまたはMRI
- 肝生検(組織を採取する精密検査)
- FibroScan(肝臓の硬さを測る検査)
診察で予想されること
初診では、医師から生活習慣(飲酒量、食事、運動)や症状について詳しく質問されます。血液検査の結果は当日から数日でわかります。画像検査は痛みを伴わず、外来で行えます。肝生検は入院が必要な場合もありますが、局所麻酔で行われます。検査後は安静が必要です。
治療
肝臓病の治療は原因と病期によって異なります。生活習慣の改善が基本で、ウイルス性肝炎には抗ウイルス薬、自己免疫性肝炎には免疫を調整する薬、肝硬変や肝不全には症状を和らげる治療や肝移植が検討されます。治療はかかりつけ医や専門医と相談しながら進めます。
自宅でのセルフケア
- 飲酒を控える(禁酒が推奨されます)
- バランスの良い食事をとる(糖質や脂質の取りすぎに注意)
- 適正体重を維持する(肥満の改善は脂肪肝に効果的)
- 薬やサプリメントは医師や薬剤師に相談してから使用する
- 定期的に運動する(週150分以上の有酸素運動が目安)
医療治療
治療法は原因に応じて選択されます。ウイルス性肝炎にはウイルスを抑える内服薬が使われます。自己免疫性肝炎には免疫の過剰な働きを抑える薬を用います。肝硬変での合併症(腹水、食道静脈瘤など)には利尿薬や内視鏡治療などが行われます。肝不全が進行した場合は肝移植が選択肢となります。いずれの治療も医師の指導のもとで行われます。
手術が検討される場合
肝臓がんや肝硬変による肝不全などでは、手術による腫瘍の切除や肝移植が検討されることがあります。ただし、手術が必要かどうかは病気の進行度や全身状態を総合的に判断して決まります。
この病気と共に生きる
肝臓病と診断されても、多くの人は日常生活を大きく変えずに過ごせます。ただし、定期的な通院と検査が欠かせません。疲れやすいと感じたら無理をせず休憩をとり、感染症予防のため手洗いや予防接種を心がけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁酒または節酒(医師の指示に従う)
- バランスの良い食事(野菜中心、タンパク質は適量、塩分を控えめに)
- 適度な運動(ウォーキングなど、無理のない範囲で)
- 十分な睡眠と休養
- ストレスをためない工夫をする
食事と運動
食事は、肝臓に負担をかけないよう、野菜や果物、魚、大豆製品を積極的にとり、揚げ物や甘いお菓子、アルコールは控えます。運動は、肥満解消に効果的な有酸素運動(ウォーキングや水中運動)を週に数回、30分ほど行うと良いでしょう。肝硬変が進行している場合は、医師の許可を得てから運動を始めてください。
精神的健康と心の健康
肝臓病は慢性の経過をたどることが多く、治療が長期にわたるため、不安やうつ状態になることがあります。特に自己免疫性肝炎や肝硬変では、症状の波に悩まされることもあります。気分の落ち込みが続く場合は、医師や看護師に相談しましょう。心理カウンセリングや患者会のサポートも役立ちます。
予防
肝臓病の多くは生活習慣の改善で予防または進行を遅らせることができます。特に脂肪肝は食事と運動で改善可能です。また、ウイルス性肝炎はワクチン(B型肝炎)や感染予防対策で防げます。定期的な健康診断で早期発見することも重要です。
ワクチン
B型肝炎ワクチンは予防接種で感染リスクを大幅に減らせます。日本では定期接種(乳児)の対象ですが、成人でも希望すれば接種できます。C型肝炎のワクチンは現在ありません。
検診プログラム
健康診断の血液検査で肝機能をチェックすることが基本です。高リスク者(大量飲酒、肥満、肝炎ウイルスキャリアなど)は、年に1回は腹部エコーなどの画像検査も検討しましょう。市町村の特定健診や職場の健診を活用してください。
合併症
治療しない場合
- 肝硬変への進行(肝臓が硬くなり機能が低下する)
- 腹水(お腹に水がたまる)
- 食道静脈瘤の破裂(致命的な出血のリスク)
- 肝性脳症(意識障害や行動異常)
- 肝臓がんの発症
長期的な見通し
肝臓病の経過は人によって大きく異なりますが、早期に発見して適切な治療と生活改善を行えば、多くの場合、進行を遅らせたり、症状をコントロールしたりすることが可能です。脂肪肝や軽度の肝炎では、生活習慣の改善だけで肝機能が正常化することもあります。慢性の肝臓病でも、定期的な通院とセルフケアを続けることで、健康な生活を長く保つことができます。希望を持って治療に取り組みましょう。
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地域の団体
- 日本肝臓学会 ↗ · 日本
- 肝炎情報センター(厚生労働省) ↗ · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
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