成人の黄疸(おうだん)
概要
黄疸とは、皮膚や白目(しろめ)の部分が黄色くなる変化のことです。肝臓でつくられる「ビリルビン」という黄色い色素が、何らかの理由で血液中に増え、体の外へうまく出ていけなくなると起こります。黄疸はそれ自体が病気というより、肝臓や胆のう・胆管、血液などに起きている変化を知らせる「サイン」です。
重要な事実
- 黄疸は病気そのものではなく、体の中で起きている変化を知らせるサインです。
- 原因は、肝臓の細胞が傷つく場合、胆汁(たんじゅう)の流れが詰まる場合、赤血球が早く壊れすぎる場合など、いくつかあります。
- 血液検査や尿検査、画像検査で原因を調べることで、適切な対処につなげられます。
黄疸は決して珍しいものではありません。外来で相談されることのある症状で、成人でもよく見られます。ただし原因によって意味が大きく変わるため、自己判断せず医療機関で確認することが大切です。
成人では、肝臓の病気(ウイルス性肝炎やアルコールによる肝障害など)のある方、胆石のある方、飲酒量の多い方、肥満や糖尿病のある方に多く見られます。薬やサプリメントが関係していることもあります。
症状
- 意識がもうろうとする、会話がかみ合わない、呼びかけへの反応が弱い
- 大量の吐血、または黒い便・血の混じった便が続く
- 激しい腹痛で動けない、お腹が板のように硬い
- 呼吸が苦しい、顔色が青白い、冷や汗が止まらない
- これらの症状があるときは、ためらわずにすぐ119番へ連絡してください。
- ⚠黄疸が急に出た、または数日のうちにどんどん強くなっている
- ⚠黄疸と一緒に38℃以上の発熱や寒気がある
- ⚠便が白っぽくなり、尿が濃い茶色になった
- ⚠嘔吐が続いて水分がとれない
- ⚠強い腹痛や右の脇腹の痛みがある
一般的な症状
- 白目や皮膚が黄色くなる
- 尿の色が濃い(お茶やコーラのような色)
- 便の色が白っぽい、または灰白色になる
- だるさ、疲れやすさ、食欲がわかない
- 吐き気、お腹の張り、右上腹部の痛み
- 皮膚のかゆみ
- 体重が減る、微熱が続く
子供の症状
- 生まれた直後の赤ちゃんには生理的な黄疸がよく見られ、多くは自然に落ち着きます。
- 幼児以上の子どもで黄疸が出た場合は、大人と同じように原因を調べる必要があります。
- 子どもは症状をうまく言葉にできないことがあるため、顔色・尿の色・元気さの変化に気づいたら受診してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では、黄色くなる前に、だるさ・食欲低下・脱水・意識がぼんやりするといった形で現れることがあります。
- 持病の薬やサプリメントが関係する場合があるため、飲んでいるものはすべて医師に伝えてください。
- 発熱や腹痛があっても感じ方が弱いことがあり、気づいたときには重くなっている場合があります。
原因
主な原因
- 肝臓の細胞が傷つく:ウイルス性肝炎、アルコールによる肝障害、脂肪肝、薬やサプリメントによる影響など
- 胆汁の流れが詰まる:胆石、胆管の炎症、胆管や膵臓(すいぞう)のできものなど
- 赤血球が早く壊れすぎる:溶血(ようけつ)と呼ばれる状態で、貧血を伴うことがあります
- 生まれつきビリルビンの処理がゆっくりな体質(健康な方にも見られます)
- 手術後や重症の感染症など、体に大きな負担がかかったとき
リスク要因
- 飲酒量が多い
- 肥満や糖尿病がある
- 肝炎ウイルスに感染したことがある、または家族に感染者がいる
- 胆石を指摘されたことがある
- 薬やサプリメントを多く使っている
- 海外渡航歴や、加熱不十分な食品を食べる機会が多い
- 急な減量や極端な絶食をした
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 白目や皮膚が黄色くなったことに気づいたら、できるだけ早めに受診してください。
- 黄疸に発熱、腹痛、白っぽい便、濃い尿のいずれかが組み合わさるときは、その日のうちに受診が必要です。
- 妊娠中、または産後まもない方で黄疸が出たときは、早めに医療機関に相談してください。
定期受診を予約すべき場合:
- white目が少し黄色い気がする、という程度でも、続くようなら検査を受けましょう。
- 尿が濃い状態が続く、だるさや食欲低下が長引く
- 理由なく体重が減る、皮膚のかゆみが続く
- 健康診断で肝機能の数値の異常を指摘された
診断
まず問診で、いつから黄色くなったか、飲酒の量、使っている薬やサプリメント、既往歴、海外渡航歴、家族の肝臓病などを確認します。そのうえで診察と血液・尿検査を行い、必要に応じて腹部の画像検査を組み合わせて原因を絞り込んでいきます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:ビリルビン値、肝臓の酵素、血算(赤血球など)、凝固(血液の固まりやすさ)を調べます
- 尿検査:尿の中のビリルビンやウロビリノーゲンを確認します
- 腹部超音波(エコー)検査:胆石や胆管の詰まり、肝臓の様子を見ます
- CT・MRI検査:より詳しく臓器の状態を調べます
- 内視鏡検査:胆汁の通り道を直接見たり、詰まりを取ったりする処置を兼ねることもあります
- ウイルス検査:肝炎ウイルスの有無を調べます
- 必要に応じて肝生検(肝臓の組織を少量採取する検査)
診察で予想されること
診察と血液・尿検査でおおよその方向性がわかり、多くの場合はその日のうちに説明を受けられます。画像検査を行う場合は、結果の説明が後日になることもあります。原因がはっきりしないときは、専門の医療機関を紹介されることがあります。
治療
黄疸の治療は「黄色を消すこと」が目的ではなく、原因に対する治療が中心になります。原因がわかれば、必要な対応は多くの場合ではっきりします。まずは検査を受けて原因を確かめることが第一歩です。
自宅でのセルフケア
- お酒は控える、または量を減らす
- 水分をこまめにとり、食事は少しずつでもとる
- 強いだるさがあるときは無理をせず休む
- 市販薬やサプリメントを自己判断で増やさない(使っているものは医師に伝える)
- かゆみがあるときは爪を短くし、保湿を心がける
- 尿や便の色の変化をメモしておき、受診時に伝える
医療治療
原因に応じて、肝臓の炎症を落ち着かせる治療、胆汁の流れを妨げている詰まりを取り除く処置、貧血の管理、水分と栄養の補給、かゆみをやわらげる対応などを行います。使うお薬や処置は原因と体の状態によって変わるため、かかりつけ医や専門医の指示に従ってください。自己判断で薬を追加したり中止したりするのは控えましょう。
手術が検討される場合
胆石や胆管の詰まり、胆管や膵臓のできものが原因のときは、内視鏡を使って詰まりを取る処置や、手術が検討されることがあります。必要性や方法は、検査の結果と体の状態をふまえて医師と相談して決めます。
この病気と共に生きる
黄疸がある間は、体が疲れやすいことがあります。無理をせず、こまめに水分をとり、食事は少しずつでもとるようにしましょう。尿や便の色、だるさの程度を簡単にメモしておくと、受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 飲酒は控えめにし、少なくとも治療中は休肝日を多めにする
- 睡眠を十分にとり、生活のリズムを整える
- バランスのよい食事を心がけ、揚げ物や甘い飲み物をとりすぎない
- 体重を適正に保つ
- 薬・サプリメント・健康食品の使用は医師や薬剤師に相談する
- 手洗いと食品の加熱を心がける
食事と運動
特別な食事制限が必要かどうかは原因によって変わります。一般的には、極端な糖質制限や急な絶食、揚げ物ばかりの食事は肝臓に負担をかけることがあります。バランスよく、よく噛んで、腹八分目を心がけましょう。運動は、だるさが強いときは無理をせず、体調が落ち着いてから散歩など軽いものから始めると安心です。
精神的健康と心の健康
黄疸は見た目の変化があるため、人に気づかれて不安になったり、恥ずかしいと感じたりすることがあります。原因がわからない時期は、特に心配が大きくなりがちです。気持ちが落ち込んで眠れない、不安が強い、ひとりで抱えられないと感じるときは、遠慮せずにかかりつけ医や、地域の保健所・精神保健福祉センターなどの相談窓口を頼ってください。気持ちがとてもつらいときは、すぐに119番(救急)やお住まいの地域の緊急相談窓口を利用してください。
予防
すべての黄疸を防ぐことはできませんが、原因によっては予防できるものがあります。飲酒を控えめにする、肥満や糖尿病を放置しない、肝炎ウイルスを調べる、薬やサプリメントの使い方に気をつける、といったことが役立ちます。
ワクチン
肝炎ウイルスには、ワクチンで予防できるものがあります(A型・B型など)。接種が必要かどうかは、住んでいる地域や生活状況によって変わりますので、かかりつけ医やお住まいの自治体の窓口にご相談ください。
検診プログラム
健康診断の血液検査(肝機能)や、自治体が行っている肝炎ウイルス検査は、肝臓の変化を早く見つける助けになります。対象や受け方は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の案内をご確認ください。
合併症
治療しない場合
- 肝臓の働きが徐々に低下し、だるさや食欲低下が続く
- 肝臓が硬くなる(肝硬変)、お腹に水がたまる(腹水)
- 意識がぼんやりする、眠気が強くなるなど、脳に影響が出る状態
- 胆管の炎症が進み、高熱や強い痛みを伴う状態になる
- 腎臓の働きの低下や、栄養状態の悪化
- 出血しやすくなる、感染症にかかりやすくなる
長期的な見通し
黄疸の見通しは原因によって大きく変わりますが、多くの場合は適切な検査と治療で改善が期待できます。生まれつきの体質によるもので、心配の少ない場合もあります。大切なのは、放っておかずに原因を確かめることです。早めに相談すれば、選べる方法は多くあります。
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最終更新: 2026年11月3日
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