足と足の指の潰瘍
概要
足や足の指にできる、なかなか治らない傷を「潰瘍(かいよう)」といいます。皮膚の表面だけでなく、その下の組織まで傷んでいる状態です。小さな靴ずれやけがから始まることもありますが、糖尿病や血行不良があると治りにくくなることがあります。
重要な事実
- 糖尿病のある方は、足の小さな傷でも悪化しやすいので注意が必要です。
- 早期に適切なケアを受ければ、多くの傷は治ります。
- 神経障害があると痛みを感じにくく、気づかないうちに悪化することがあります。
一般の人の日常ではそれほど多くありませんが、糖尿病や血行不良、寝たきりなどがある人ではよく見られます。
糖尿病、手足の血管が狭くなる病気(末梢動脈疾患)、神経障害、寝たきりや車いす、足の変形、過去に足の潰瘍があった人に起こりやすいです。高齢者に多いですが、若い人でもけがや感染で起こることがあります。
症状
- 足の傷口から大量に出血している、または出血が止まらない
- 発熱、悪寒、息苦しさ、意識がぼんやりする、皮膚がまだらに青白いなど、感染が全身に広がった疑いがある
- 傷の周りが急に黒くなり、激しい痛みや状態の急な悪化がある
- これらの症状があるときは、ためらわずに119番へ連絡してください。
- ⚠新しくできた足の傷、特に糖尿病がある人の傷
- ⚠赤み・腫れ・膿・悪臭が広がっている
- ⚠発熱や寒気がある
- ⚠傷が2週間以上治らない、または悪化している
- ⚠足の指が黒ずんできた、感覚が急に変わった
- ⚠これらの症状があるときは、当日中に医療機関へ相談してください。
一般的な症状
- 足の指、足の裏、かかと、くるぶしなどに傷ができる
- 傷が数日から数週間たっても治らない、または広がる
- 傷の周りが赤く腫れる、膿(うみ)や悪臭が出る
- 痛みがあることも、糖尿病の神経障害で痛みがほとんどないこともある
- 歩くと痛む、足が冷たい、皮膚の色が白っぽい・紫っぽい
- たこやうおのめが繰り返しできる、皮膚が硬くなる
子供の症状
- 子どもではまれですが、靴ずれ、やけど、けが、とげ、感染などで起こることがあります。
- 糖尿病のある子どもは、足の傷に特に注意が必要です。
- 傷が治らない、赤く腫れる、熱が出る場合は早めに受診してください。
高齢者の症状
- 高齢者は血行不良、皮膚が薄いこと、寝たきりによる圧迫、糖尿病、靴が合わないこと、視力低下などで足の傷に気づきにくいことがあります。
- 痛みがなくても悪化することがあるため、毎日の足の観察が大切です。
- 足の爪の変化や水虫、むくみも傷の原因になることがあります。
原因
主な原因
- 糖尿病による神経障害(感覚が鈍る)と血行不良
- 手足の血管が狭くなる病気(末梢動脈疾患)で、酸素や栄養が届きにくくなる
- 靴ずれ、たこ、うおのめ、やけど、けが、圧迫
- 傷からの感染
- 寝たきりや車いすによる同じ場所への圧迫
リスク要因
- 手足の血管の病気
- 神経障害や感覚の低下
- 腎臓の病気
- 過去に足の潰瘍や足の切断があった
- 足の変形、外反母趾(がいはんぼし)など
- 合わない靴を履いている
- 視力低下で足の傷に気づきにくい
- 栄養状態が悪い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 新しく足に傷ができた、特に糖尿病がある
- 傷の赤み・腫れ・膿・悪臭が広がっている
- 発熱や寒気がある
- 傷が2週間以上治らない、または悪化している
- 足の指の色が黒ずんできた、感覚が急に変わった
定期受診を予約すべき場合:
- 足のしびれ、冷え、むくみが続く
- たこやうおのめが繰り返しできる
- 靴が合わず傷ができやすい
- 糖尿病と診断されていて、足の定期チェックを受けていない
- 爪の異常や水虫がある
- 足の形の変化が気になる
診断
医師が問診と足の診察を行い、傷の場所や深さ、周りの皮膚の状態、足の脈、感覚、靴の跡などを確認します。必要に応じて、血行や感染、骨までの傷みを調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血糖、HbA1c、炎症の値、腎機能などを調べる)
- 足の脈を触る診察、超音波検査、ABI(足首と上腕の血圧の比を調べる検査)
- 傷の分泌物の検査(感染の原因を調べる)
- レントゲン、CT、MRI(骨まで感染が及んでいないかを調べる)
- 必要に応じて血管造影(血管の詰まりや狭さを調べる)
診察で予想されること
診察では傷に触れることがありますが、やさしく確認します。検査は当日にできるものもあれば、後日になるものもあります。結果をもとに、足の専門家や看護師、必要に応じて血管や糖尿病の専門家が一緒に治療方針を考えます。
治療
治療の中心は、傷にかかる圧力を減らすこと、傷を清潔に保つこと、感染と血行不良に対処すること、糖尿病などの背景にある病気を整えることです。足の専門家と一緒に、治りを助けるケアを続けます。
自宅でのセルフケア
- 毎日、明るい場所で足の裏や指の間まで観察する
- 医療者に教わった方法で傷を清潔に保ち、指示された被覆材を使う
- 傷に体重がかからないよう、松葉杖や専用の靴・装具を使う
- 裸足で歩かない、合わない靴を履かない
- 自分でたこやうおのめを削ったり切ったりしない
- 血糖値を整える、禁煙に取り組む
- バランスのよい食事と十分な栄養を心がける
医療治療
医師や看護師、足の専門家が協力して、傷の洗浄と保護、圧力を分散する装具や靴の使用、感染が疑われる場合の治療、血行を改善する処置、糖尿病や栄養状態の管理を行います。治療は一人ひとりの状態に合わせて選ばれます。
手術が検討される場合
壊死(えし)した組織を取り除く処置、膿を出す処置、血管のバイパスやカテーテル治療、まれに足の一部を切除する手術が必要なことがあります。手術は状態に応じて検討されます。
この病気と共に生きる
毎日、足の裏や指の間を明るい場所で見て、傷・赤み・腫れ・水ぶくれ・爪の変化を確認しましょう。見えにくい場所は鏡や家族の助けを借りると安心です。靴を履く前には、石や異物が入っていないかも確かめましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙に取り組む
- 適正体重を目指す
- 足に合った靴を選び、靴ずれを防ぐ
- 足を冷やしすぎない、湯たんぽやこたつでやけどをしないよう注意する
- 運動は足に負担のかからない方法を医療者と相談して行う
- 爪切りは自分で深く切らず、必要なら専門家に相談する
- 水虫や爪の病気があれば早めに相談する
食事と運動
バランスのよい食事で血糖値や体重を整えることが、傷の治りを助けます。運動は足に傷があるときには無理をせず、医療者と相談しながら安全な方法で行いましょう。痛みを我慢して歩かないことが大切です。
精神的健康と心の健康
長引く傷は、不安、いらいら、孤立感、気分の落ち込みにつながることがあります。気持ちが追い詰められていると感じたら、一人で抱えず、医療者や家族、地域の相談窓口に連絡してください。命に関わる緊急時は119番をためらわずに呼んでください。
予防
多くは予防できます。毎日の足の観察、合った靴、血糖値や血行の管理、禁煙、定期的な足のチェックが大切です。
ワクチン
破傷風は傷から感染することがあるため、けがをしたときは破傷風の予防接種歴を医師に伝えてください。定期接種の対象年齢などは自治体の案内を確認しましょう。
検診プログラム
糖尿病がある人は、少なくとも年に1回は足のチェックを受けましょう。足の感覚や脈、皮膚の状態を定期的に確認することが、潰瘍の予防につながります。
合併症
治療しない場合
- 感染が足の周りに広がる
- 骨まで感染が及ぶ
- 組織が壊死(えし)して黒くなる
- 足の切断が必要になることがある
- 敗血症(全身に感染が広がる危険な状態)になる
長期的な見通し
早めに発見して適切なケアを受ければ、多くの傷は治ります。糖尿病や血行不良がある場合は時間がかかることがありますが、医療チームと一緒に根気よくケアを続けることが大切です。希望を持ってください。
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最終更新: 2026年11月3日
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