目が赤い(充血)― 原因と受診の目安
概要
「目が赤い」とは、白目の部分(結膜)の細い血管が広がって、赤く見える状態のことです。医学的には「充血」や「結膜充血」と呼ばれます。目が赤くなる原因はとても多く、数日で自然に消える軽いものから、すぐに眼科で診てもらったほうがよいものまであります。大切なのは「見え方は変わっていないか」「痛みはあるか」を一緒に確認することです。
重要な事実
- 目の赤みの多くは、結膜炎(ウイルス・細菌・アレルギー)、ドライアイ、結膜下出血など、命に関わらない原因によるものです。
- 「見えにくさ」「強い痛み」「光がまぶしい」の3つがそろうときは、緊急性の高い目の病気が隠れていることがあります。
- コンタクトレンズを使っている人の充血は、角膜(黒目の表面)を傷めているサインのことがあるので、早めの受診が勧められます。
とてもよくある症状です。一般外来を受診する人のなかでも多い相談のひとつで、一生のうちに何度か経験する人は少なくありません。
子どもから高齢者まで、どの年代にも起こります。コンタクトレンズを使っている人、アレルギー体質の人、パソコンやスマートフォンを長時間見る人、空気が乾燥した環境にいる人では特に起こりやすくなります。
症状
- 薬品・洗剤・農薬などの化学物質が目に入った(すぐに水で洗いながら、119番に連絡して指示を求めてください)
- 目に強い衝撃を受けた、ものが刺さった、眼球が破けた可能性がある
- 突然、視力が大きく低下した
- 激しい目の痛みに、頭痛・吐き気・嘔吐を伴う(急性の緑内障発作の可能性があります)
- 目の周りが急に大きく腫れて、ものが見えにくい
- ⚠コンタクトレンズをつけたまま、強い痛み・充血・見えにくさがある
- ⚠光がとてもまぶしく、目を開けていられない
- ⚠黄色や緑色の膿(うみ)のような目やにが大量に出る
- ⚠目やまぶたの腫れと一緒に発熱がある
- ⚠片目だけの充血が2日以上続く、またはどんどん悪くなっている
- ⚠目の中に異物が入った感じが取れない
一般的な症状
- 白目が赤い、またはピンク色に見える
- 目やにが出る(透明・白・黄色など)
- かゆみ、ゴロゴロする異物感
- 涙が増える
- まぶたが腫れる、重い感じがする
- 光がまぶしく感じる
- 軽い痛みやしみる感じ
子供の症状
- ウイルスによる結膜炎(いわゆる「はやり目」)が多く、保育園や学校で広がることがあります
- 鼻水やのどの痛みなど、かぜの症状と一緒に出ることが多い
- かゆくて目をこすってしまい、まぶたが腫れることがある
- 小さな子どもは「目が痛い」「見えにくい」と上手に伝えられないことがあるので、様子の変化に気をつけましょう
高齢者の症状
- ドライアイによる慢性的な充血が起こりやすい
- 結膜下出血(白目の一部が真っ赤になる)が起こりやすく、高血圧や血液を固まりにくくする薬を使っている人では特にみられます
- 白内障の手術を受けたことがある人は、術後の目の状態の変化に注意が必要です
- 緑内障の発作は、目の痛みと頭痛・吐き気を伴うことがあり、緊急の対応が必要です
原因
主な原因
- ウイルス性結膜炎(かぜのウイルスなどによる、感染力のある結膜炎)
- 細菌性結膜炎(細菌が原因で、黄色っぽい目やにが出やすい)
- アレルギー性結膜炎(花粉やほこりなどで、かゆみが強い)
- ドライアイ(涙の量や質が低下して、目が乾き、赤くなる)
- 結膜下出血(白目の細い血管が切れて、白目が赤く染まる。痛みは通常ない)
- コンタクトレンズのトラブル(角膜の傷、レンズの汚れ、酸素不足)
- 角膜の傷や異物(ほこり、まつげ、小さな虫など)
- まぶたのふちの炎症(眼瞼炎)や、まぶたの腺のつまり(ものもらい)
- 紫外線・ほこり・乾燥した空気・化粧品などの刺激
- 緊急性の高い病気(急性の緑内障発作、ぶどう膜炎、角膜の感染症など)
リスク要因
- コンタクトレンズの使用(特に長時間装用、汚れたレンズ、レンズをつけたまま眠る)
- 花粉症などのアレルギー体質
- 空気の乾燥、エアコンの風、長時間の画面作業
- 手で目をこする癖、目元の清潔が保ちにくい状況
- 家族や身近な人に感染力のある結膜炎の人がいる
- 高血圧、血液を固まりにくくする薬の使用(結膜下出血との関連)
- 免疫力が低下するような病気や疲労・睡眠不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 見えにくさがある、または急に視力が落ちた
- 強い目の痛みがある
- 光がまぶしくて目を開けていられない
- 化学物質が目に入った、目にけがをした
- コンタクトレンズをつけていて痛みや充血が強い
- 頭痛・吐き気を伴う目の痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- 赤みが1週間以上続く、または何度も繰り返す
- 目やにやかゆみが続いて生活に支障がある
- 片目だけが赤い状態が続く
- 目が乾く、ゴロゴロする感じが続く
- 子どもが目をこすり続けている、まぶたが腫れている
診断
まず、いつからか、痛みやかゆみはあるか、見え方は変わったか、コンタクトレンズを使っているか、アレルギーや持病はあるかなどを聞かれます。そのうえで、光を当てて目を詳しく見る検査(細隙灯顕微鏡検査)や視力検査を行い、原因を絞り込んでいきます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の経過、コンタクトレンズの使用、アレルギーの有無など)
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡検査(スリットランプで目の表面や内部を拡大して見る検査)
- 眼圧検査(目の硬さを測り、緑内障の可能性を確認する)
- 角膜の傷を調べる染色検査(目薬で色をつけて、傷の有無を見る)
- 目やにの検査やアレルギー検査(必要に応じて)
診察で予想されること
診察は通常10〜15分程度で、ほとんどの検査は痛みがありません。瞳孔を開く目薬を使って詳しく調べる場合は、数時間まぶしく感じたり、ものがぼやけたりすることがあるため、その日は車の運転を避けると安心です。検査の内容は医師の判断で変わります。
治療
治療は原因によって変わります。軽い充血や結膜下出血のように、時間とともに自然に治るものも多くあります。一方で、細菌やウイルスによる結膜炎、アレルギー、ドライアイ、角膜の傷などは、それぞれに合った対応が必要です。まずは原因を見極めることが治療の第一歩です。
自宅でのセルフケア
- コンタクトレンズを使っている場合は、いったん外して眼鏡にする
- 目をこすらない(こすると悪化したり、傷がついたりします)
- 清潔なタオルを使い、家族とタオルや枕カバーを共用しない
- こまめな手洗いを心がける
- 冷たいタオルで軽く冷やすと、かゆみや腫れが楽になることがある
- パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けず、ときどき目を休める
- 防腐剤の影響などが気になる場合は、目薬を使う前に医師や薬剤師に相談する
- 充血を取る目的の目薬を長期間使い続けると、かえって赤みが戻りやすくなることがあるので、使い方に迷ったら相談する
医療治療
原因に応じて、目薬や内服薬などの治療が検討されます。細菌が原因のときは抗菌薬の目薬、アレルギーが原因のときはアレルギーを抑える目薬や内服薬、ドライアイのときは涙を補う目薬などが使われることがあります。角膜に傷がある場合や異物が入っている場合は、異物を取り除いたり、傷の治りを助ける処置が行われます。緑内障発作など緊急性の高い状態では、眼圧を下げるための処置が優先されます。どの治療が適切かは医師が判断しますので、自己判断で市販薬を使い続けず、症状が続くときは受診してください。
手術が検討される場合
多くの目の赤みは手術を必要としません。ただし、緑内障の発作や、角膜の傷が深い場合、網膜や目の奥に問題がある場合などは、手術や専門的な処置が必要になることがあります。担当医から説明がありますので、不明な点は遠慮なく質問しましょう。
この病気と共に生きる
赤みが続いている間は、目をこすらず、コンタクトレンズを控えて眼鏡で過ごすと安心です。感染力のある結膜炎が疑われるときは、学校や仕事を休むかどうかを医師に相談してください。目やにが出る時期は、清潔なガーゼでそっと拭き取り、拭いた後は手を洗いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとり、目の疲れをためない
- 画面を見るときは、ときどき遠くを見て休憩する
- 部屋の乾燥を防ぐ(加湿を心がける)
- コンタクトレンズは説明された使い方と交換時期を守る
- 花粉の時期は、帰宅後に顔や目元をやさしく洗い流す
- タオルや化粧品、目薬は人と共用しない
食事と運動
特定の食べ物が目の赤みを直接治すというわけではありませんが、バランスのよい食事、十分な水分、適度な運動と睡眠は、体全体の調子を整え、目の乾燥や疲れの予防につながります。激しい運動は、目のけがを避けるためにゴーグルなどを活用すると安心です。
精神的健康と心の健康
かゆみや充血が続くと、集中しづらかったり、人と会うのが気になったりして、ストレスを感じることがあります。見た目のことが気になって落ち込むこともあるかもしれません。症状は多くの場合、適切な対応で改善します。こころがつらくて眠れない、気分が晴れない状態が続くときは、ひとりで抱え込まず、住んでいる地域の相談窓口や医療機関に相談してください。緊急に助けが必要なときは119番に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、手洗い、コンタクトレンズの正しい使用、目をこすらない習慣、部屋の加湿などを心がけることで、リスクを下げられます。厚生労働省や日本眼科学会などが一般向けに公開している情報も参考になります。
検診プログラム
目に関する決まった検診はありませんが、健康診断の視力検査で変化を指摘されたときや、赤みが繰り返すときは、眼科で一度詳しく見てもらうと安心です。
合併症
治療しない場合
- 角膜(黒目の表面)に傷がつき、ひどくなると見えにくさが残ることがある
- 細菌やウイルスによる結膜炎が長引いたり、周囲に広がったりする
- 緑内障の発作を放置すると、視力が回復しにくくなることがある
- コンタクトレンズによる感染症が進み、治療に時間がかかることがある
長期的な見通し
ほとんどの目の赤みは、原因に合った対応をすれば数日から2週間ほどで改善します。早期に受診して適切な対応をすることが、安心につながります。症状が続くときや不安があるときは、遠慮せず医療機関に相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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