赤ちゃんの下痢
概要
赤ちゃんの下痢は、うんちがいつもより水っぽくなり、回数が増える状態です。多くはウイルスや細菌による胃腸炎(おなかの感染症)が原因で、数日から1週間ほどで自然に良くなることがほとんどです。赤ちゃんは体が小さいため、大人より脱水(体の水分が足りなくなること)になりやすいので、「水分をとれているか」を見守ることがいちばん大切です。
重要な事実
- 赤ちゃんの下痢の多くは感染によるもので、特別な薬がなくても自然に治っていきます。
- いちばん気をつけたいのは脱水です。おしっこの回数と量、口の中の乾き、泣いたときの涙をチェックしましょう。
- 下痢止めは使わないことが多く、水分と栄養をこまめに補うことが回復の近道です。薬は自己判断で使わず、医師や薬剤師に相談してください。
とてもよくあることです。2歳くらいまでの赤ちゃんは、1年に何度かおなかの調子を崩すことがあります。
主に0〜3歳の乳幼児です。保育園などの集団生活をしている子、兄弟がいる子、免疫がまだ育ちきっていない子はかかりやすい傾向があります。母乳でもミルクでも起こります。
症状
- 意識がない、呼びかけても反応が弱い、ぐったりしている
- けいれんを起こしている
- 呼吸が苦しそう、顔色が青白い・土色をしている
- 泣いても涙が出ず、口の中がとても乾いている、おしっこが8時間以上出ていない(重症の脱水のサイン)
- 皮膚をつまんだ跡がすぐに戻らない
- おなかが固く張って、触ると強く痛がる、血便が続く
- ⚠嘔吐が繰り返しあって水分がとれない
- ⚠38.5℃以上の熱が続く
- ⚠飲める量がいつもの半分以下で、元気がない状態が続く
- ⚠下痢が1週間以上続く、または日ごとに悪くなっている
- ⚠血が混じった便が出た
- ⚠おしっこの量が明らかに減っている
- ⚠生後6か月未満の赤ちゃんに下痢が出た(早めに受診しましょう)
一般的な症状
- 水のようにゆるい、またはドロドロのうんちが出る
- うんちの回数がいつもより明らかに多い
- うんちの色やにおいがいつもと違う(緑色っぽい、酸っぱいにおいなど)
- おなかが張る、ゴロゴロする、泣いて不機嫌になる
- 吐く、熱が出る(ウイルス性胃腸炎のことが多い)
- 飲みや食欲が少し落ちる
子供の症状
- おむつから漏れるほどの水っぽい便が続く
- おっぱいやミルクの飲みが悪い、すぐやめてしまう
- 元気がなく、ぼんやりして見える
- おしっこの回数が減る、おむつがいつもより軽い
- 口の中が乾いている、泣いても涙が少ない
- 皮膚をつまんだ跡が戻りにくい(脱水のサイン)
- 38℃以上の発熱や、繰り返す嘔吐がある
- 血が混じった便、黒っぽい便が出る
高齢者の症状
- まわりの大人(ご家族)に同じような下痢や嘔吐があるときは、感染性の胃腸炎が家族の中で広がっている可能性があります
- 手洗いを徹底し、タオルや食器は分けましょう
- 高齢の方は脱水が進みやすいので、同じ症状が出たら早めに医療機関へ相談してください
原因
主な原因
- ウイルスによる胃腸炎(ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなど)
- 細菌による胃腸炎(サルモネラ、カンピロバクターなど。食べ物が原因のこともあります)
- 食べ過ぎ、冷え、消化不良、離乳食の急な変化
- 抗生物質などの薬の影響で腸の調子が変わること
- 食物アレルギー(まれですが、ほかの症状を伴うことがあります)
- 一時的に乳糖(ミルクに含まれる糖分)を消化しにくくなること
リスク要因
- 保育園など集団で過ごす時間が長い
- 家族の中に同じ症状の人がいる
- 手洗いが十分でない
- 離乳食を始めたばかり、食べ慣れないものを食べた
- 免疫がまだ未熟(特に6か月未満)
- 体調がすぐれない、栄養状態がよくない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水分がとれない、嘔吐を繰り返す
- おしっこが半日以上出ない、口の中が乾いている
- ぐったりしていて元気がない
- 血便がある、高い熱が続く
- 生後6か月未満の赤ちゃんの下痢
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が2〜3日続いている
- 回数は多いが水分はとれている
- おむつかぶれがひどく、痛がる
- 受診のタイミングに迷う(電話相談を利用するのもひとつの方法です)
診断
多くは診察と問診だけで判断できます。「いつから」「1日に何回」「どんな便か」「吐き気や熱はあるか」「どれくらい飲めているか」「おしっこの回数」をメモしておくと役立ちます。体重を測って、脱水がどのくらい進んでいるかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 便の検査(ウイルスや細菌の種類を調べる)
- 尿の検査(脱水や感染の有無の確認)
- 血液検査(重症のとき、脱水や電解質のバランスを調べる)
- 体重測定とおなかの触診
診察で予想されること
検査は必要に応じて行われ、多くは診察だけで終わります。便を持ってくるように言われたら、おむつごと清潔な容器や袋に入れて持っていくとよいでしょう。
治療
治療の基本は「失った水分と栄養をこまめに補うこと」です。薬で下痢を止めるというより、赤ちゃんの体が自分で治す力を支えるイメージです。
自宅でのセルフケア
- 母乳やミルクは基本的に続けて大丈夫。飲めるだけ、少しずつ頻回にあげましょう
- 経口補水液(水・塩分・糖分のバランスをとった飲みもの)を少量ずつ何回にも分けてあげる
- 離乳食は食べられるものを少量ずつ。無理に食べさせない
- おむつはこまめに替え、おしりを洗ってよく乾かす(おむつかぶれ予防)
- 家族全員で石けん手洗い。タオルや食器は分ける
- 下痢止めや市販薬は自己判断で使わない
- 体重とおしっこの回数を記録しておくと受診時に役立つ
医療治療
多くは自然に治るため、治療の中心は脱水を防ぐ水分補給です。水分がとれないときは点滴で補うことがあります。原因や症状によっては、医師が必要と判断した場合に薬を使うことがありますが、下痢止めは基本的に使わないことが多いです。薬の名前や使い方は医師・薬剤師の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
機嫌、おしっこ、飲めている量を見ながら、家でゆっくり過ごしましょう。保育園や幼稚園は、症状が落ち着いて便が固まってくるまで休むのが一般的です。登園の基準は園やかかりつけ医に確認してください。
生活習慣のアドバイス
- 家族全員で手洗いを徹底する
- タオル、食器、コップは分けて使う
- おむつ替えのあとは必ず手を洗う
- 嘔吐物や便の処理は手袋を使い、部屋を換気する
- 室温を保ち、こまめに水分をとらせる
食事と運動
無理に食べさせず、おかゆ、うどん、にんじんスープなど消化のよいものを少量ずつあげましょう。母乳やミルクは基本的に続けて大丈夫です。スポーツドリンクは糖分が多く塩分が少なめなので、赤ちゃんには経口補水液が向いています(使い方や薄め方は薬剤師に相談してください)。運動は回復してから。入浴は元気であれば短時間で構いません。
精神的健康と心の健康
赤ちゃんの下痢は、保護者にとって睡眠不足と不安の連続です。「自分が何かしたから」と考えがちですが、多くは感染によるもので、育て方のせいではありません。疲れたときは家族やサポートサービスに頼り、ひとりで抱え込まないでください。つらい気持ちが続くときは、産後ケアや自治体の相談窓口、医療機関に相談を。気持ちが追い詰められていると感じたら、迷わず地域の相談窓口や医療機関に連絡してください。
予防
すべては防げませんが、手洗いと衛生管理でリスクを下げることができます。
ワクチン
ロタウイルスワクチンがあります。日本では任意接種で、自治体によって助成がある場合があります。接種の位置づけは見直されることがあるため、最新の情報は自治体やかかりつけ医に確認してください。
検診プログラム
赤ちゃんの下痢に決まった検診はありませんが、乳幼児健診で体重の増え方や成長の様子を確認できます。
合併症
治療しない場合
- 脱水(重症になると点滴や入院が必要になることがあります)
- 体液の中の塩分(電解質)のバランスが乱れる
- 体重が増えない、一時的な栄養不足
- おむつかぶれや皮膚の炎症
- まれに腸の重い感染症や、一時的にミルクの糖分を消化しにくくなること
長期的な見通し
ほとんどの赤ちゃんは、水分をとれていれば数日から1週間ほどで元気を取り戻します。下痢のあと1〜2週間は便がゆるいことがありますが、機嫌と食欲が戻ってくれば心配いりません。気になる点は早めに小児科に相談しながら、ゆっくり回復を見守りましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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