おねしょ(夜尿症)
概要
おねしょ(夜尿症)は、眠っている間に尿が漏れてしまい、自分では止められない状態のことです。ふつうは5歳くらいまでに夜も尿をためられるようになりますが、それ以降も週に何回も続く場合に「夜尿症」と呼びます。多くは体の成長の途中のことで、しつけや本人の努力の問題ではありません。
重要な事実
- おねしょは「わざと」や「甘え」ではなく、体の仕組みがまだ育ちきっていないことが主な原因です。
- 多くの子どもは年齢とともに自然に改善します。あせらず見守ることが大切です。
- 便秘(うんちが硬くて出にくい状態)や睡眠の質が関係していることがあります。
- 大人になってから始まったおねしょは、ほかの病気が隠れていることがあるので、医療機関に相談しましょう。
とてもよくあることです。5歳でおよそ5〜6人に1人、7歳でおよそ10人に1人、10歳でおよそ20人に1人、15歳でも100人に1人くらいがいると言われています。決してめずらしいことではありません。
主に子どもに見られますが、思春期や大人になっても続く人もいます。家族の中におねしょだった人がいる場合は起こりやすい傾向があります。
症状
- 尿がまったく出なくなり、お腹が張って強く痛む(尿閉=尿がたまって出せない状態)
- 高い熱、腰や背中の強い痛み、血の混じった尿が同時にある
- 意識がもうろうとしている、けいれんがある
- 呼吸が苦しい、顔色が明らかに悪い
- ⚠血の混じった尿が出た
- ⚠おしっこをするときに痛みやしみる感じがある
- ⚠これまでなかったおねしょが急に始まった
- ⚠のどが異常に渇く、水をたくさん飲む、尿の量がとても多い
- ⚠体重が減った、元気がない状態が続く
- ⚠便秘がひどく、お腹が張って苦しい
一般的な症状
- 眠っている間に尿が漏れてしまい、朝起きると下着やシーツが濡れている
- 週に何回も、またはほぼ毎晩続く
- 昼間はトイレで上手にできていることが多い
- 本人は濡れたことに気づかない、または朝になって気づく
- トイレの回数が多い、または尿をがまんする時間が短いことがある
子供の症状
- 昼間もトイレが近い、または急にトイレに行きたくなることがある
- うんちが硬く、2〜3日に1回など便秘ぎみ
- いびきをかく、眠りが浅い、朝のだるさがある
- お泊まり会や旅行など行事への参加を不安に感じる
- 自分を責めたり、はずかしいと感じたりしている様子が見える
高齢者の症状
- 子どもの頃からずっと続いている場合と、大人になってから急に始まった場合がある
- 大人になってから始まった場合は、睡眠の病気や糖尿病、前立腺の病気などが隠れていることがある
- 昼間の尿もれや頻尿、トイレに行く回数の増加をともなうことがある
- 疲れやすさや睡眠不足が重なっていることがある
原因
主な原因
- 夜に尿を減らすための体の働き(ホルモンの分泌リズム)がまだ整っていない
- 膀胱(おしっこをためる袋)にためられる量が、年齢に比べてまだ小さい
- 眠りが深く、尿がたまっても「起きてトイレに行こう」という信号に気づきにくい
- 便秘で膀胱が圧迫され、ためられる量が減っている
- 遺伝的な体質(家族におねしょだった人がいる)
- 生活リズムの乱れ、夜遅くの水分やカフェインのとりすぎ
リスク要因
- 家族(親やきょうだい)におねしょだった人がいる
- 慢性的な便秘がある
- 睡眠時無呼吸(いびきがひどい、息が止まるように見える)がある
- 心理的なストレスや生活环境の大きな変化(引っ越し、転校、家族の変化など)
- 注意や集中の特性があり、体の感覚に気づきにくいことがある
- 大人の場合は、糖尿病や前立腺の病気、睡眠の病気などが関係することがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿がまったく出ない、お腹が張って痛い
- 血の混じった尿がある
- おしっこをするときの強い痛みや発熱がある
- 急に始まったおねしょで、のどの渇きや尿の量が異常に多い
- 元気がなく、体重が減っている
定期受診を予約すべき場合:
- 5〜6歳を過ぎても週に2回以上おねしょが続く
- 小学校に上がって、お泊まりや旅行がこまりごとになっている
- 本人がはずかしい、つらいと話している
- 便秘が続いている、または昼間のトイレの回数がとても多い
- 大人になってから、または長く続いていたおねしょが再び始まった
診断
まず問診で、いつから、どのくらいの頻度で、昼間の様子はどうか、便秘はないか、家族に同じ経験があるかを聞きます。あわせて「おしっこ日記(排尿日記)」をつけてもらい、何時にどれくらい尿が出たか、飲み物の量などを記録します。これで多くの場合は見通しが立ちます。必要に応じて尿検査や超音波検査を行い、ほかの病気がないかを確かめます。
行われる可能性のある検査
- 問診(生活リズム、便秘、睡眠、家族歴などの確認)
- 排尿日記・おねしょ日記の記録
- 尿検査(尿の成分や感染の有無を調べる)
- 超音波検査(膀胱や腎臓の形、残っている尿の量を調べる)
- 必要な場合の血液検査(血糖値や腎臓の働きなど)
- 睡眠の様子が気になる場合の追加の検査
診察で予想されること
診察は痛みをともなうものではなく、子どもがこわがらないように配慮して行われます。日記の記録があると診断がスムーズになります。結果はその場でわかることも多く、治療は生活の工夫から始めることが一般的です。
治療
治療の中心は、薬よりもまず生活の工夫と「行動療法」です。具体的には、排尿日記をつけて記録し、夜の水分のとり方を調整し、寝る前にトイレに行く習慣をつけ、便秘を治し、できた日をほめる、といったことを続けます。これで改善しない場合、本人と家族がつらくなければ、医師の判断で追加の治療を検討します。
自宅でのセルフケア
- 寝る前の1〜2時間は、水分を少量にする(がまんしすぎはよくありません)
- 寝る直前にトイレに行く習慣をつける
- 毎朝うんちが出るように、食物繊維や水分、朝ごはんを整える
- おねしょ日記をつけて、できる日を一緒に喜ぶ
- おねしょシートや防水シーツを使って、洗濯の負担を減らす
- 夜中に起こす場合は、本人が起きてトイレに行ける範囲で、無理のないようにする
- カフェイン(コーヒー、紅茶、濃いお茶、エナジードリンク)は夕方以降を控える
医療治療
生活の工夫で改善しないときは、医師と相談のうえで治療を追加します。代表的なのは、夜中に尿が出そうになると知らせる装置を使う「アラーム療法」で、体に「起きる」感覚を覚えさせる方法です。また、夜間の尿の量や膀胱の働きに働きかける薬が使われることもありますが、薬は医師が必要と判断した場合にだけ処方されます。漢方やそのほかの方法についても、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。治療は数か月単位で続けることが多く、あせらず一歩ずつ進めます。
手術が検討される場合
おねしょそのもののために手術をすることは通常ありません。検査で尿の通り道の形の異常など、別の理由が見つかった場合に限り、専門の医師が手術の必要性を検討します。
この病気と共に生きる
おねしょは「毎日のちょっとした工夫」でぐっと楽になります。防水シーツやおねしょパッドを用意しておくと、片づけの負担が減り、家族の気持ちにも余裕が生まれます。朝は「濡れてしまったね、着替えよう」と淡々と伝え、責める言葉は使わないことが大切です。できた日は一緒に喜び、記録をためていくと、本人の自信につながります。
生活習慣のアドバイス
- 決まった時間に寝て、しっかり睡眠をとる
- 夕方以降は水分をとりすぎないように調整する
- 寝る前のトイレを日課にする
- 毎朝の排便習慣をつける
- お泊まりや旅行の前には、あらかじめ準備をしておく(おねしょパッド、着替え、防水シーツ)
- 家族みんなで協力し、特定の人が負担を背負わないようにする
食事と運動
特別な食事制限は必要ありませんが、バランスよく食べて便秘を防ぐことが大切です。野菜や果物、海藻、きのこなどの食物繊維をとり、朝に水分をとると便が出やすくなります。夕方以降のコーヒーや紅茶、濃いお茶、エナジードリンクなどは控えめにしましょう。日中に体を動かして遊ぶことは、睡眠のリズムを整え、便秘の予防にも役立ちます。
精神的健康と心の健康
おねしょが続くと、子どもは「自分だけだめなのかも」と感じたり、はずかしさからお泊まりを避けたりすることがあります。家族も疲れやイライラを感じることがあります。これは自然な気持ちです。おねしょは体の成長の途中のことで、本人の性格や努力のせいではありません。気持ちがつらい状態が続くときは、ひとりで抱えこまず、医療機関や地域の相談窓口に相談してください。気持ちがとても苦しく、自分を傷つけたいと考えてしまうようなときは、ためらわずに救急(119)や、地域の相談窓口、医療機関に連絡してください。
予防
おねしょは体の成長の途中で起こるもので、完全に防ぐことはできません。ただし、生活リズムを整える、便秘を防ぐ、夕方以降の水分やカフェインを控えめにする、寝る前にトイレに行くといった工夫で、回数を減らせることがあります。
検診プログラム
おねしょが続く場合は、5〜6歳ごろを目安に、かかりつけの小児科や地域の健康相談で一度相談してみると安心です。大人になってから始まった場合や、血尿・排尿時の痛みなどをともなう場合は、早めに医療機関を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 本人の自信が損なわれ、はずかしさや不安が強くなることがある
- お泊まりや旅行などの行事を避けるようになることがある
- 家族の睡眠不足や片づけの負担が続くことがある
- 便秘が悪化して、さらに症状が続きやすくなることがある
- 大人の場合、糖尿病や前立腺の病気など、ほかの病気が見つけにくくなることがある
長期的な見通し
おねしょの多くは、成長とともに自然に良くなります。毎晩続いていても、年齢が上がるにつれて回数が減っていくことはよくあります。生活の工夫や、必要に応じた治療で改善が期待できます。あせらず、本人と家族が無理なく続けられるペースで進めていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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