月経と月経のあいだの出血(不正出血)について
概要
月経(生理)と月経のあいだの、本来なら出血しない時期に出血があることを「月経間出血」または「不正出血」と呼びます。多いのは、おりものに血が混じる、茶色っぽいおりものが出る、トイレットペーパーや下着に少し血がつく、といった少量の出血です。体のちょっとした変化で起こることも多く、多くは命に関わるものではありませんが、原因を確かめておくことで安心できます。
重要な事実
- 月経と月経のあいだの出血は、婦人科を受診する理由としてとても多いもののひとつです。
- ホルモンのゆらぎ、避妊の方法、ポリープや筋腫(子宮にできる良性のできもの)、感染症など、原因はさまざまです。
- 閉経(生理が完全に終わること)のあとの出血は、量が少なくても必ず医療機関に相談してください。
- 出血の量・色・タイミングを記録しておくと、診察のときに役立ちます。
とてもよくある相談です。多くの場合は体の自然な変化や治療できる病気によるもので、深刻な病気が見つかることは多くありません。ただし「よくあること」と決めつけず、気になるときは早めに相談することが大切です。
生理のある年齢の人なら、10代から50代まで誰にでも起こりえます。思春期はホルモンが不安定で出血のパターンが乱れやすく、40代からの更年期も周期が乱れやすくなります。閉経後の出血は年齢的な変化ではなく検査が必要なサインなので、必ず受診してください。
症状
- 出血が止まらず、1時間にナプキンを何枚も替える必要がある、または大きな血のかたまりが続けて出る
- ふらふらする、動悸がする、息切れがひどい、顔色が悪い、意識が遠のく(大量の出血のサインのことがあります)
- 突然の激しい下腹部の痛みで動けない
- 妊娠の可能性があり、出血と強い腹痛がある
- ⚠閉経後の出血(少量でも当日〜数日以内に受診を)
- ⚠妊娠の可能性があるときの出血
- ⚠38度以上の発熱や、においの強いおりものを伴う出血
- ⚠出血が1週間以上続く、または少しずつ量が増えてきている
- ⚠生理の量が急に2倍以上になった、レバー状の血のかたまりが何日も続く
一般的な症状
- 生理と生理のあいだに、少量の出血がある
- おりものに血が混じる、茶色っぽいおりものが出る
- 下着やトイレットペーパーに血がつく程度の出血
- 性交渉のあとに出血する
- 出血の量や期間がいつもと違う
- 下腹部の軽い痛みや張りを伴うことがある
- おりもののにおいや色がいつもと違う(感染症のサインのことがあります)
子供の症状
- 生理がまだ始まっていない女の子の出血は珍しく、診察が必要です。
- 思春期に生理が始まったばかりの数年間は、ホルモンが不安定で出血のパターンが乱れやすい時期です。
- 思春期前の出血では、感染、けが、早すぎる思春期の始まりなどが関係することがあり、大人が気づいたらやさしく声をかけて医療機関につないであげてください。
- 子どもが出血を話しづらそうにしているときは、責めずに「一緒に病院で見てもらおう」と伝えると安心します。
高齢者の症状
- 閉経後の出血は、たとえ少量でも必ず医療機関に相談してください。
- 40代後半から50代前半の更年期は、ホルモンの変化で周期や出血量が乱れやすくなります。
- のぼせ、ほてり、睡眠の乱れなど更年期の症状と一緒に出血があるときも、相談のきっかけになります。
- 血液をサラサラにする薬を使っている場合は、出血が止まりにくくなることがあるので医師に伝えてください。
原因
主な原因
- ホルモンバランスの乱れ(排卵の時期の出血、ストレスや体重変化による周期の乱れなど)
- 避妊の方法によるもの(低用量ピルや子宮内避妊具の使用開始時・不調時など)
- 子宮頸部(子宮の入り口)や子宮内膜(子宮の内側の膜)にできるポリープ(良性のできもの)
- 子宮筋腫(子宮の筋肉にできる良性のこぶ)や子宮内膜症(子宮の内側の膜に似た組織が別の場所にできる病気)
- 腟や子宮の感染症(性感染症を含む)
- 甲状腺(首にあるホルモンの器官)の病気
- 妊娠に関係する出血(着床出血や流産の始まりなど)
- 子宮頸がんや子宮体がんなどの悪性の病気(頻度は高くありませんが、確認しておく必要があります)
リスク要因
- 強いストレスや睡眠不足が続いている
- 短期間での急な体重の増減
- 激しい運動のしすぎ
- ホルモン剤や子宮内避妊具を使っている
- 性感染症にかかったことがある、またはパートナーがいる
- 甲状腺の病気や糖尿病などの持病がある
- 子宮頸がん検診をしばらく受けていない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 閉経後の出血があったとき
- 妊娠の可能性があるときの出血
- 発熱や強いにおいのおりものを伴うとき
- 出血が1週間以上続く、または量が増えてきているとき
- 性交渉のあとの出血が繰り返されるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 生理と生理のあいだの出血が2〜3周期続いている
- 出血の量や周期が以前と変わってきた
- 下腹部の痛みや張りが続いている
- 市販の鎮痛薬で対応できない生理痛がある
- 子宮頸がん検診を2年以上受けていない
診断
まず問診で、出血の時期・量・色、生理周期、避妊の方法、飲んでいる薬、妊娠の可能性などを確認します。そのうえで、内診や超音波検査、血液検査などを組み合わせて原因を探ります。検査は強い痛みを伴うことは少なく、短時間で終わることがほとんどです。
行われる可能性のある検査
- 問診(出血の記録、生理周期、避妊法、服用中の薬、既往歴)
- 妊娠検査(尿検査)
- 内診・腟鏡診(腟や子宮の入り口の状態を直接見る検査)
- 経腟超音波検査(腟から超音波を当てて子宮や卵巣を調べる)
- 血液検査(ホルモン、甲状腺の働き、貧血の有無など)
- 子宮頸がん検診(細胞診)
- 必要に応じて子宮内膜の組織を調べる検査、MRI検査、子宮鏡検査(細いカメラで子宮の内側を見る検査)
診察で予想されること
受診のときは、生理が始まった日、出血があった日、量や色の変化をメモして持っていくと役立ちます。診察は10〜30分程度が目安です。内診が不安なときは、遠慮なく「緊張しています」と伝えてください。医師や看護師が配慮してくれます。結果の説明を受け、必要なら追加の検査や治療の相談をします。
治療
治療は原因によって変わります。はっきりした原因が見つからない場合や、排卵の時期に起こる軽い出血であれば、経過を見るだけでよいことも多いです。貧血があるときは体調を整えることを優先します。どの場合も、原因と体の状態に合わせて医師と一緒に決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 出血があった日、量、色、期間をカレンダーやアプリに記録する
- バッグに生理用品を多めに入れておき、外出先でも慌てないようにする
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
- ストレスをため込まず、話せる相手や相談先を持つ
- 喫煙をしている場合は減らす・やめることを検討する
- 急なダイエットや過度な運動を避ける
- おりものの変化や痛みなど、気になる症状も一緒にメモしておく
医療治療
原因に応じて治療の方向性が変わります。ホルモンのバランスが乱れている場合は、ホルモン療法で周期を整えることがあります。感染症が原因のときは、原因となる菌に合わせた治療を行います。貧血があれば、食事の見直しや医師の判断による補充を行います。ポリープや筋腫がある場合は、大きさや症状、妊娠の希望などを踏まえて方針を相談します。治療の内容や必要性は医師から丁寧に説明してもらえます。
手術が検討される場合
ポリープや大きな筋腫、子宮内膜の異常などが見つかった場合に、手術を検討することがあります。手術が必要かどうかは、症状の強さ、年齢、妊娠の希望、体の状態によって変わります。急に決める必要はないことが多く、納得いくまで質問してから決めて大丈夫です。
この病気と共に生きる
出血があると「いつ来るかわからない」不安がつきまといます。記録をつけること、外出時に生理用品を用意しておくことは、気持ちの余裕につながります。出血そのものより、生活のリズムを整えることが体の安定につながります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の睡眠時間をできるだけ一定にする
- 無理のない範囲で体を動かす習慣をつくる
- 冷えを避け、入浴などで体を温める時間をとる
- アルコールやカフェインのとりすぎに気をつける
- 定期的に婦人科検診を受ける予定を入れておく
食事と運動
食事は、鉄分(ほうれん草、小松菜、赤身の肉や魚、大豆製品など)とたんぱく質を意識してとると、出血が続いたときの体の疲れを防ぎやすくなります。ビタミンCを一緒にとると鉄分の吸収が助けられます。運動は、ウォーキングや軽いストレッチなど、話しながらできる程度の強さがおすすめです。激しすぎる運動は周期を乱すことがあるので、極端に追い込まないようにしましょう。
精神的健康と心の健康
出血が続くと、「何か悪い病気かもしれない」という不安や、人に話しづらさを感じることがあります。不安は自然な気持ちです。ひとりで抱え込まず、信頼できる人や医療者に話してみてください。つらい気持ちが長く続くときや、眠れない日が続くときは、地域の相談窓口や医療機関に連絡を。自分や大切な人の命に関わる危機を感じたときは、ためらわずに119番、またはお住まいの地域の緊急相談窓口を利用してください。
予防
すべての出血を防ぐことはできませんが、生活のリズムを整え、ストレスや極端な体重変化を避け、定期的に婦人科検診を受けることで、リスクを下げたり早く気づいたりすることができます。出血の記録を続けることも、変化に気づく助けになります。
ワクチン
子宮頸がんの原因となるウイルス(HPV)を防ぐワクチンがあります。日本では小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期接種が行われています。対象年齢を過ぎていても接種を検討できる場合があります。詳しくは厚生労働省の情報や、かかりつけの医療機関・自治体の案内をご確認ください。
検診プログラム
日本では、20歳以上の女性に2年に1回の子宮頸がん検診が推奨されています。お住まいの自治体の検診案内を確認し、受け忘れがないようにしましょう。閉経後の出血があった場合は、検診の時期にかかわらず受診してください。
合併症
治療しない場合
- 出血が続くことで貧血になり、だるさや息切れを感じやすくなる
- 感染症が原因の場合、治療が遅れると炎症が広がることがある
- ポリープや筋腫などが大きくなり、症状が強くなることがある
- 妊娠に関わる問題や、治療が必要な病気の発見が遅れることがある
- 不安が続くことで、生活の質や心の状態に影響することがある
長期的な見通し
月経と月経のあいだの出血は、原因の多くが治療できるもので、日常生活に戻れる方がほとんどです。重い病気が見つかることは多くありません。気になるときに記録を持って相談することが、安心への一番の近道です。
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最終更新: 2026年11月3日
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