まぶたの乾燥(乾燥性眼瞼)
概要
まぶたの皮膚が乾いてかさかさし、皮がむけたり、かゆくなったりする状態です。皮膚のいちばん外側には「バリア」という、外からの刺激を防いで水分を閉じこめる膜のようなはたらきがあります。まぶたの乾燥では、このバリアが弱って水分が逃げやすくなっていると考えられます。目の病気というより皮膚のトラブルであることがほとんどですが、目にとても近い場所なので、目の乾きやごろごろ感などを一緒に感じることもあります。
重要な事実
- まぶたの皮膚は体の中でも特に薄く、乾燥しやすい部分です。
- かゆくてこすると悪化しやすいので、「こすらない」ことがとても大切です。
- 多くの場合、スキンケアの見直しと適切な治療で数週間のうちに改善します。
とてもよくある悩みです。空気が乾燥する秋から冬、暖房を使い始める時期に増えます。皮膚科でも眼科でも相談できるテーマです。
乾燥肌やアトピー性皮膚炎のある方、アレルギー体質の方、まぶたに合わない化粧品を使っている方、高齢の方、コンタクトレンズを使う方、エアコンの風が直接当たる場所で長時間過ごす方によくみられます。子どもから大人まで、幅広い年代で起こります。
症状
- 顔やまぶたが急に大きく腫れ、息苦しさ、のどのつまり、声のかすれがある(アナフィラキシーの疑い)— すぐに119番に連絡してください
- まぶただけでなく顔全体が急に腫れ、呼吸が苦しい
- 目や顔を強く打ったあと、意識がぼんやりする、立てない
- ⚠目やにがたくさん出る、目が充血して開けにくい
- ⚠まぶたが赤く腫れて熱をもち、痛む(感染の疑い)
- ⚠視力が落ちた、ものが二重に見える
- ⚠目に強い痛みがある
- ⚠けがや薬品が目に入ったあとに症状が出ている
一般的な症状
- まぶたの皮膚がかさかさして、粉をふいたようになる
- 皮がむける、薄くはがれる
- かゆみ(夜に強くなることがあります)
- 赤み、ひりひりする感じ
- 細かいひび割れや、切れたときの痛み
- まぶたが少し腫れぼったい
- 目が乾く、ごろごろする、涙が出る
- まぶたの縁が赤くなり、かさぶたのようなものがつく
子供の症状
- アトピー性皮膚炎のある子どもでは、まぶたも湿疹が出やすい場所です
- かゆくて無意識にこすってしまい、悪化をくり返しやすい
- かゆみで寝つきが悪くなる、機嫌が悪くなることがある
- 目をこすりすぎて、まぶたの皮膚が厚くなったり黒ずんだりすることがある
高齢者の症状
- 加齢で皮脂や水分を保つ力が下がり、乾燥しやすくなります
- 涙の量が減って、ドライアイを一緒に起こしやすい
- まぶたのたるみで涙が皮膚にたれ、かぶれの原因になることがある
- かゆみでこすって皮膚を傷つけ、感染しやすくなることがある
原因
主な原因
- 空気の乾燥(冬、暖房、冷房)
- 洗いすぎ・こすりすぎで皮膚のバリアが弱ること
- 刺激の強い化粧品、クレンジング、目元用の美容液
- アトピー性皮膚炎や湿疹などの皮膚の病気
- かぶれ(接触皮膚炎)— 化粧品、目薬、マスカラ、つけまつげののりなど
- まぶたの縁の炎症(眼瞼炎=まぶたのふちが赤く荒れる状態)やドライアイ
- 加齢による皮脂と水分の減少
- アレルギー(花粉、ほこり、ペットなど)
- 涙が皮膚にたれ続けることによるかぶれ
リスク要因
- 乾燥肌・アトピー・アレルギーの体質
- 高齢であること
- 寒く乾燥した季節、暖房の使用
- 長時間の画面作業(まばたきが減ります)
- コンタクトレンズの装用
- アイメイクを落としきれていない、または落とし方が強い
- 香料や防腐剤など刺激の強い製品の使用
- 喫煙、睡眠不足、ストレス
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 目やにが多く、目が開けにくい、充血が強い
- まぶたが赤く腫れて熱をもち、痛む
- 視力が落ちた、ものが二重に見える
- 目に強い痛みがある
- 市販の保湿剤を使って数日たっても、どんどん悪くなる
定期受診を予約すべき場合:
- かさつきやかゆみが2週間以上続く
- 良くなってはまた悪くなることをくり返している
- かゆみで眠れない、日常生活に支障がある
- まぶたの赤みや腫れが広がってきた
- 目が乾いて仕方がない、目薬をよく使うようになった
診断
問診と診察で診断します。いつから始まったか、かゆみはあるか、使っている化粧品や目薬、アレルギーの有無、コンタクトレンズの使用などを聞かれ、まぶたの皮膚の状態と目の様子をみます。多くの場合、その場で診断がつきます。
行われる可能性のある検査
- 視力検査
- 細隙灯顕微鏡(スリットランプ)で目の表面をみる検査
- アレルギー検査(血液検査)
- パッチテスト(かぶれの原因を調べる検査)
- 涙の量や質をみる検査
- まつげやまぶたのふちの清潔状態の確認
診察で予想されること
診察は数分から十数分ほどで、ほとんど痛みはありません。検査は必要に応じて行われ、その日に結果がわかるものもあれば、後日になるものもあります。皮膚科と眼科の両方でみてもらうと安心です。
治療
いちばん大切なのは、乾燥と刺激を取り除いて、皮膚のバリアを整えることです。そのうえで、炎症やかゆみがあるときは、医師が状態に合わせて塗り薬や目薬を選びます。自己判断で強い薬を使ったり、長期間使い続けたりせず、医師や薬剤師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- まぶたはぬるま湯でやさしく洗い、ゴシゴシこすらない
- 洗顔料やクレンジングは刺激の少ないものを選び、よくすすぐ
- 無香料・低刺激の保湿剤を、洗顔後すぐに薄く塗る
- かゆいときはこすらず、冷たいタオルで冷やして落ち着かせる
- エアコンやヒーターの風を直接顔に当てない、加湿器を使う
- コンタクトレンズは使用時間を守り、症状が強いときは医師に相談する
- アイメイクは落とし残しがないように、やさしく落とす
- 睡眠を十分にとる
医療治療
医師は、皮膚の炎症の強さや、目やに・ドライアイなどの有無をみて治療を組み立てます。炎症には、炎症をしずめる塗り薬を短期間使うことがあります。かゆみが強いときは内服薬が使われることもあります。目やにや感染が疑われるときは、抗菌薬の目薬などが処方されることがあります。まぶたのふちの炎症(眼瞼炎)が関わる場合は、まぶたのやさしい清拭の方法を教えてもらいます。ドライアイには涙を補う目薬が使われることがあります。薬の種類や量は医師の判断で決まります。市販薬を自己判断で重ねて使うのは避け、迷ったら薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
手術が必要になることはほとんどありません。まれに、まぶたのたるみで涙がたれて皮膚が荒れ続ける場合や、まぶたの形に問題がある場合に、専門医が手術を含めて検討することがあります。
この病気と共に生きる
毎日の保湿を習慣にすることが一番の近道です。朝と、洗顔後や入浴後の1日2回、薄く保湿するだけでも違ってきます。かゆみが出たときは「こすらない・冷やす・保湿する」の3つを思い出してください。
生活習慣のアドバイス
- 部屋の湿度を50〜60%くらいに保つ
- 画面を見るときは意識してまばたきをし、1時間ごとに休憩をとる
- タオルや枕カバーを清潔に保つ
- 香料の強い柔軟剤や洗剤を避ける
- 喫煙を避ける(煙は目と皮膚の刺激になります)
- ストレスと睡眠不足をためない
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスの良い食事と、十分な水分を心がけてください。適度な運動は血のめぐりとストレス管理に役立ちます。汗をかいたら、顔をやさしく洗って保湿し直しましょう。サプリメントで改善するという十分な根拠はないため、試す場合は医師や薬剤師に相談してください。
精神的健康と心の健康
見た目が気になる、かゆみで眠れないといったことで、気分が落ち込んだりイライラしたりすることがあります。これはわがままではなく、皮膚の症状にともなってよく起こることです。ストレスは湿疹を悪化させることもあります。つらさが続くときは、ひとりで抱え込まず、医師やカウンセラーに話してください。気持ちがとてもつらいときは、地域の相談窓口や医療機関に連絡してください。
予防
完全に防ぐことはできませんが、乾燥と刺激を避けることでかなり予防できます。毎日の保湿、加湿、こすらない習慣、刺激の少ない製品選びが中心です。乾燥する季節が始まる前にケアを始めると効果的です。
ワクチン
ワクチンで予防できる病気ではありません。
検診プログラム
この症状に特別な検診はありません。気になる症状があれば、検診を待たずに医療機関に相談してください。
合併症
治療しない場合
- ひび割れから細菌が入り、とびひのような感染を起こすことがある
- かゆみ→こする→悪化のくり返しで、皮膚が厚くなったり色素が沈着したりする
- まぶたのふちの炎症(眼瞼炎)やドライアイが悪化することがある
- 目をこすりすぎて、角膜(黒目の表面)を傷つけることがある
- 見た目が気になって、日常生活や気分に影響することがある
長期的な見通し
まぶたの乾燥は、多くの場合、毎日のケアと適切な治療で少しずつ良くなります。数日で劇的に変わることは少ないですが、2〜4週間ほどで改善してくる人が多いです。良くなったあとも保湿を続けると、くり返しにくくなります。治りが遅いと感じたときや、症状が変わったと思ったときは、遠慮なく医師に相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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