ひじ・うでの痛み
概要
ひじ(肘)やうで(腕)の痛みは、日常生活でとてもよくある症状です。うでは、骨、関節、筋肉、腱(けん=筋肉と骨をつなぐ丈夫なひも状の組織)、靭帯(じんたい=骨と骨をつなぐ組織)、神経など、たくさんの部分からできています。そのどこかに負担がかかったり、傷ついたり、炎症が起きたりすると、私たちは「痛い」と感じます。原因は、使いすぎによるものから、けが、神経の圧迫、肩や首の問題、まれに体の内側の病気までさまざまです。多くは命に関わるものではありませんが、原因によって対処の仕方が変わるため、長引くときは医療機関に相談することが大切です。
重要な事実
- ひじ・うでの痛みの多くは、使いすぎや小さなけがによるもので、安静にしながら様子を見ているうちに良くなることが多いです。
- 痛みに加えて、しびれ・力が入りにくい・腫れがあるときは、神経や骨の問題かもしれないので早めに受診しましょう。
- 左うでの痛みに、胸の痛み・息苦しさ・冷や汗を伴うときは、心臓の病気の可能性があります。その場合はすぐに119番で救急を呼んでください。
はい、とてもよくある症状です。医療機関を受診する理由として多いもののひとつで、特に手や腕をよく使う仕事やスポーツをする人に多く見られます。年齢を問わず起こります。
特定の誰かだけのものではありません。パソコン作業や家事、力仕事などで腕を繰り返し使う人、テニスやゴルフなどのスポーツをする人、転びやすい高齢者、骨が弱くなっている人、首の病気がある人などに多く見られます。子どもでは、転んだり手を強く引っ張られたりした後に起こることがあります。
症状
- 左うでの痛みに、胸の痛み・締めつけられる感じ・息苦しさ・冷や汗・吐き気を伴う(心臓の病気の可能性)
- けがのあと、腕が明らかに曲がっている、骨が見えている、ひどく腫れている
- 手や指の感覚が急になくなった、力が入らない、動かせない
- 腕が急に赤く腫れて熱を持ち、発熱や寒気を伴う(感染の可能性)
- けがのあと意識がもうろうとしている、ぐったりしている
- ⚠けがのあと、腫れや痛みが強くて腕を使えない
- ⚠指先の色が青白い・紫色になっている、冷たい
- ⚠しびれや力の入りにくさが続いている
- ⚠痛みで眠れない、日常生活が難しい
- ⚠腫れや赤みに発熱を伴う
一般的な症状
- ひじの外側や内側に、押すと痛む場所がある
- 物を持ち上げる、雑巾を絞る、ドアを開けるなどで痛む
- だんだん痛みが強くなる、使いすぎた後に悪化する
- 腕や手のしびれ、ピリピリした感じ
- ひじを曲げ伸ばししにくい、動かすと痛む
- 腫れ、熱っぽさ、赤み
- 夜、横になると痛む
子供の症状
- 転んだ・ぶつけた後に、腕を動かさなくなる、痛がって泣く
- 手を引っ張られた後に、腕をだらんと下げて使わなくなる(医療機関での確認が必要です)
- ひじの周りが腫れている、変形して見える
- 腫れに発熱を伴う
高齢者の症状
- 骨が弱くなっていると、軽い転倒でも骨折することがあります
- 長年の使用による関節の変形で、動かし始めに痛むことがあります
- 首の骨の変化によるしびれや痛み
- 肩の問題が、うでの痛みとして感じられることがある
原因
主な原因
- 使いすぎによる腱や筋肉の炎症(テニス肘・ゴルフ肘などと呼ばれるものも含まれます)
- 転倒・打撲・スポーツ中のけがによる骨折や捻挫
- 神経が圧迫されることによる痛みやしびれ(首やひじの部分で起こることがあります)
- 長年の使用による関節の変形
- 肩や首の問題が、うでの痛みとして感じられること(関連痛)
- まれに、心臓や肺など体の内側の病気が、うでの痛みとして現れることがある
リスク要因
- 腕や手を繰り返し使う仕事・家事・スポーツ
- 急に運動量を増やした、久しぶりに激しく動かした
- 長時間の同じ姿勢(パソコン作業など)
- 年齢とともに筋力や骨が弱くなること
- 骨粗鬆症など、骨が弱くなる病気
- 糖尿病などの持病がある(神経や腱の問題が起こりやすくなることがあります)
- 転びやすい環境(段差、滑りやすい床など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けがの直後で、腫れや痛みが強く腕が使えない
- 手や指のしびれ・力の低下が急に出た
- 指先の色が悪い、冷たい
- 腕が赤く腫れて熱を持ち、発熱がある
- 安静にしていても強い痛みが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが2週間以上続く、または少しずつ悪くなっている
- 自分でできるケアをしても改善しない
- 同じ場所の痛みを繰り返す
- 腕を動かせる範囲が狭くなってきた
- しびれがときどき出る
診断
医師はまず、どんなときに痛むのか、いつから始まったのか、仕事やスポーツで何をしているかなどを聞きます(問診)。次に、腕を動かしてもらい、痛む場所や動きの制限、腫れ、しびれの範囲を確認します。必要に応じて画像検査を行い、骨・関節・腱・神経の状態を調べます。
行われる可能性のある検査
- レントゲン検査(骨の骨折や変形を調べる)
- 超音波(エコー)検査(腱や筋肉の炎症、腫れを調べる)
- MRI検査(軟部組織や神経の状態を詳しく調べる)
- 血液検査(炎症や持病の有無を調べる)
- 神経の伝わり方を調べる検査(しびれがある場合)
診察で予想されること
診察は数分から十数分程度で、多くの場合その日のうちに大まかな見当がつきます。画像検査は当日できることもあれば、別の日に予約することもあります。診察のときは、痛みが始まったきっかけ、痛む動作、しびれの有無、仕事やスポーツの内容をメモして持っていくと伝えやすくなります。
治療
治療の中心は、原因となっている使い方を見直し、腕を休ませながら少しずつ動かしていくことです。多くの場合は手術をせずに改善します。痛みの強さや原因に合わせて、医師がいくつかの方法を組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- 痛みの出る動作を減らし、こまめに休憩をとる
- 急性のけがの直後は冷やし、慢性的なこりには温めると楽なことがあります(自分に合う方法を試してみてください)
- 痛みのない範囲で、ゆっくりしたストレッチを少しずつ行う
- 重い物を持つときは、体に近づけて両手で持つなど工夫する
- パソコン作業では、いすの高さや腕の角度を調整し、ひじを浮かせないようにする
- 睡眠を十分にとる
- 自分で対処しても改善しない場合は、我慢せず医療機関に相談する
医療治療
医療機関では、リハビリテーション(運動療法やストレッチの指導)、装具やテーピングによる安静、温める・冷やすなどの物理療法、必要に応じて痛みや炎症を和らげる薬や注射を用いることがあります。薬の種類や量は、年齢や持病、飲んでいる他の薬によって変わるため、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。自分で量を増やしたり、他の人にすすめられた薬を使ったりするのは避けましょう。
手術が検討される場合
手術が必要になるのはまれです。骨折のずれが大きい場合、神経の圧迫が強くしびれや力の低下が続く場合、長期間の治療で改善しない場合などに検討されます。手術の必要性は、画像検査の結果と日常生活への影響を合わせて、医師と相談して決めます。
この病気と共に生きる
痛みがあると、着替え・食事の準備・洗濯・仕事など、毎日の動作がつらく感じられます。まずは「痛みを我慢して頑張る」のではなく、道具や姿勢を工夫して腕への負担を減らすことが大切です。良くなったり悪くなったりを繰り返すこともありますが、あせらず少しずつ進めていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 仕事や家事の合間に、短い休憩と軽いストレッチを入れる
- 重い荷物はカートやリュックを使い、片手に集中させない
- スマートフォンやパソコンの長時間使用を減らし、画面の高さを調整する
- 運動を始めるときは、徐々に量を増やす
- 禁煙を検討する(血の流れが良くなり、回復を助けることがあります)
- 睡眠と休養を十分にとる
食事と運動
特別な食事療法があるわけではありませんが、たんぱく質・カルシウム・ビタミンDを含むバランスの良い食事は、筋肉や骨を保つのに役立ちます。運動は、痛みのない範囲で行うことが大切です。ウォーキングや、肩・腕をゆっくり回す体操などから始め、痛みが強くなる場合は中止して医師に相談してください。筋力をつけることで再発を減らせることもあります。
精神的健康と心の健康
痛みが長引くと、眠れない、イライラする、気分が落ち込む、仕事や家事への不安が強くなることがあります。これは珍しいことではなく、痛みへの対処の一部です。つらさが続くときは、一人で抱え込まず、医療機関や地域の相談窓口に話してみてください。気持ちが非常に追い詰められている場合や、自分を傷つけたい気持ちがわいた場合は、すぐに119番、または地域の救急・相談窓口に連絡してください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、日常の使い方を見直すことで、痛みの再発や悪化を減らせる可能性があります。
検診プログラム
特定のスクリーニング検査はありませんが、骨粗鬆症が心配な方や持病のある方は、かかりつけ医に相談してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みが長引き、日常生活の動作が制限される
- 腕の筋力が落ちる
- しびれや感覚の変化が残ることがある
- 睡眠や仕事、家事に影響が出る
- まれに、神経の圧迫が進んで手の動きが不自由になる
長期的な見通し
ひじやうでの痛みの多くは、適切に休みながら動かしていくことで、数週間から数か月かけて良くなっていきます。時間はかかっても改善する方がほとんどです。良くならないときや、しびれ・力の低下があるときは、早めに医師に相談することで、より合った対処が見つかります。
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最終更新: 2026年11月3日
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