子どもの発熱 ― 保護者のための基礎知識
概要
発熱とは、体の温度がふだんより高くなることです。日本では、わきの下で測って37.5℃以上を発熱の目安とすることが多いです。大切なのは「熱そのものは病気ではなく、体が細菌やウイルスと戦っているサイン」だということです。熱が高い=重症とは限らず、元気があるか、水分がとれているかのほうが大事な手がかりになります。
重要な事実
- 発熱は病気そのものではなく、体が感染と戦っているサインです
- 子どもの発熱の多くはウイルスによるもので、数日で自然に良くなります
- 熱の高さと病気の重さは必ずしも比例しません。元気があるか、水分がとれるかを見ましょう
とてもよくあることです。子どもは大人より体温を上げやすく、保育園・幼稚園・学校で流行る感染症によって、年に何度も熱を出すことがあります。
症状
- けいれんが5分以上続く、または短いけいれんを繰り返す
- 意識がない、呼びかけに反応しない、ぐったりして動かない
- 呼吸が苦しそう、息が速すぎる、顔色が青白い・紫色をしている
- 生後3か月未満の赤ちゃんで38℃以上の熱がある
- 皮膚に赤や紫の点状の出血斑が出て、押しても消えない
- 水分がまったく飲めない、泣いても涙が出ない、おしっこが半日以上ない
- 首が硬い、光を嫌がる、激しい頭痛を訴える(重い感染症の疑いがあるため、すぐ受診が必要です)
- ⚠38℃以上の熱が3日以上続く
- ⚠いったん下がった熱がまた上がる(ぶり返す)
- ⚠耳の痛みや耳だれがある
- ⚠咳が強く続く、息が速い、呼吸が苦しそう
- ⚠呕吐や下痢が続き、水分がとりにくい
- ⚠機嫌が悪く、水分もとれない
- ⚠発疹が出て、どんどん広がる
- ⚠おしっこの量が明らかに少ない
一般的な症状
- 体温が上がる(わきの下で37.5℃以上がひとつの目安)
- 顔が赤くなる、体が熱い、汗をかく
- ぐったりする、機嫌が悪くなる
- 食欲が落ちる、水分をとる量が減る
- さむけやふるえ(熱が上がる前によくみられます)
- 脈や呼吸がいつもより速くなる
子供の症状
- いつもと違うぐずり方をする、泣き止まない
- 母乳やミルクを飲む量が減る、飲まない
- おしっこの回数が減る(紙おむつが濡れにくい)
- すぐ目を覚ます、眠りが浅い
- ひきつけ(熱性けいれん)が起こることがある
- 言葉がまだ出ない子は、耳を触る・頭を押さえるなど体の動きで不調を示すことがある
原因
主な原因
- ウイルスによる感染(かぜ、インフルエンザ、RSウイルス、手足口病、突発性発疹など)
- 細菌による感染(中耳炎、肺炎、尿路感染症、溶連菌感染症など)
- ワクチンを接種した後の一時的な発熱
- 暑さ・厚着・脱水による体温の上昇(熱中症など)
- まれに、川崎病のように体の炎症が続く病気
リスク要因
- 集団保育や学校など、人が集まる場所で過ごす
- 兄弟姉妹からの感染
- ワクチンがまだ接種できていない
- 生後6か月未満(体の免疫がまだ未熟なため)
- 心臓・肺の病気や、免疫の病気などの基礎疾患がある
- 季節(冬のインフルエンザ、夏の手足口病やプール熱など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 生後3か月未満で38℃以上の熱がある(時間を置かず受診してください)
- けいれんを起こした、意識がぼんやりしている
- 呼吸が苦しそう、顔色が悪い
- 水分がとれず、おしっこが半日以上出ていない
- 数時間でぐったりしてきた、表情が乏しい
定期受診を予約すべき場合:
- 熱はあるが元気で、水分がとれている場合も、24〜48時間を目安にかかりつけ医に相談しましょう
- 熱が3日以上続く、またはいったん下がってから再び上がった
- 耳を触って痛がる、耳だれがある
- 咳や鼻水が長引いている
- 発疹が出てきた
- 食事や水分の量がいつもより明らかに少ない
診断
医師はまず、熱がいつから出たか、ほかにどんな症状があるか、水分やおしっこの様子などを聞き取ります。そのうえで、のど・耳・胸・おなか・皮膚を診察し、首の硬さなども確認します。多くの場合、この診察だけで原因のおおよその見当がつきます。
行われる可能性のある検査
- ウイルスや細菌の迅速検査(インフルエンザ、溶連菌、RSウイルスなど)
- 尿検査(尿路感染症を調べるため)
- 血液検査(炎症の程度や体の状態をみるため)
- 胸部レントゲン(肺炎が疑われるとき)
- 必要に応じて、より詳しい検査(医師が必要と判断した場合)
診察で予想されること
検査は必要なときだけ行われ、すべての子どもに必要なわけではありません。原因がはっきりしないことも少なくありませんが、その場合も「危険なサインがないか」を確認しながら経過をみていくことが中心になります。診察のときは、熱の経過をメモしておくと役立ちます。
治療
治療の中心は、原因に対する治療と、子どもが楽に過ごせるようにするケアです。ウイルスが原因の場合は特効となる薬がなく、自然に治るのを待つことが基本になります。細菌が原因と判断された場合は、医師が必要に応じて抗菌薬を使います。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにあげましょう(母乳・ミルク・湯冷まし・経口補水液など)
- 薄着にして、室温を快適に保ちましょう。厚着で熱をこもらせないことが大切です
- 安静を心がけますが、本人が遊びたがるときは無理に寝かせなくても大丈夫です
- 熱が高いときの入浴は避け、ぬれたタオルで体を拭く程度にしましょう
- 体温はこまめに測り、時刻と一緒に記録しておくと受診のときに役立ちます
- 解熱薬は医師や薬剤師の指示に従い、自己判断で重ねて使わないようにしましょう
- 熱性けいれんの経験がある子は、あらかじめ対応のしかたをかかりつけ医に確認しておきましょう
医療治療
原因が細菌の場合は、医師の判断で抗菌薬が使われることがあります。ウイルスが原因の場合は、つらい症状をやわらげる対症療法が中心です。解熱薬を使うかどうか、どのくらいの頻度で使うかは、医師や薬剤師の指示に従ってください。水分がとれないときは、医療機関で点滴を受けることがあります。
手術が検討される場合
発熱そのものに対して手術が必要になることは、ほとんどありません。まれに、中耳炎が長引いた場合や、膿(うみ)がたまった場合などに、医師の判断で小さな処置が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
熱の経過を記録し、水分とおしっこの回数を意識して観察しましょう。看病する家族への感染を防ぐため、タオルやコップは分け、手洗いをこまめにしてください。保育園や学校への登園・登校の目安は、自治体や施設の基準、かかりつけ医の指示に従いましょう。
生活習慣のアドバイス
- 家族全員で手洗い・うがいを習慣にしましょう
- 部屋の換気をこまめに行いましょう
- 睡眠を十分にとり、食事を規則的にとれるようにしましょう
- タオルや食器の共用を避けましょう
- 看病する大人も、疲れをためないように休憩をとりましょう
食事と運動
食欲がないときは無理に食べさせず、水分を優先してください。回復してきたら、おかゆやスープなど消化のよいものから少しずつ戻していきましょう。運動は、熱が下がってから1〜2日ほど様子をみて、本人の元気が戻ってから徐々に再開すると安心です。
精神的健康と心の健康
子どもの看病は、保護者にとって大きな負担です。眠れない夜が続くと不安が強くなり、「自分の対応が悪かったのでは」と自分を責めてしまうこともあります。子どもの発熱の多くは自然に治るもので、あなたのせいではありません。つらいときは一人で抱えず、家族や周りの人に助けを求めてください。
予防
すべての発熱を防ぐことはできませんが、感染症の一部は予防できます。手洗い・換気・十分な睡眠といった基本的な習慣と、ワクチン接種を組み合わせることが助けになります。
ワクチン
日本では、厚生労働省の予防接種スケジュールに沿って、定期接種が行われています。任意接種として選べるワクチンもあります。接種の時期や組み合わせは、自治体の案内やかかりつけ医に相談して決めましょう。
検診プログラム
発熱そのものを早期に見つけるスクリーニング検査はありません。ただし乳幼児健診などで、成長・発達や体の状態を定期的に確認することが、健康を守る助けになります。
合併症
治療しない場合
- 脱水(水分が足りなくなり、ぐったりすることがあります)
- 熱性けいれん(熱が急に上がるときに起こることがあります)
- 細菌感染が進むこと(中耳炎の悪化、肺炎、尿路感染症など)
- まれに、髄膜炎や敗血症といった重い感染症
長期的な見通し
ほとんどの子どもは、3〜5日ほどで熱が下がり、元気を取り戻します。経過を見守ることで大丈夫なことが多いのですが、元気がない、水分がとれない、呼吸が苦しそうといったサインがあれば、早めに医療機関に相談してください。不安なときは、迷わずかかりつけ医に聞くことが何よりの安心につながります。
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最終更新: 2026年11月3日
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