耳だれ(耳から液体が出る)
概要
「耳だれ」は、耳の穴(外耳道)から液体が出てくる状態のことです。液体は、さらさらしたもの、ねばねばしたもの、黄色や白っぽいもの、においのあるものなど、原因によってさまざまです。耳だれはそれ自体が病気というより、「耳の中で何かが起きているサイン」です。多くは耳の入り口から鼓膜までの「外耳」や、鼓膜の奥の「中耳」に炎症が起きたときに見られます。たいていは心配のいらないものですが、原因によって対応が変わるので、一度耳鼻咽喉科で見てもらうのが安心です。
重要な事実
- 耳だれの多くは、中耳炎や外耳道炎(外耳の炎症)などの炎症が原因です。
- かぜをひいたあとや、耳に水が入ったあと、耳そうじのしすぎのあとに起こることがあります。
- 痛みや発熱、聞こえにくさをともなうとき、糖尿病などの持病があるときは早めに受診しましょう。
耳だれはとてもよくある症状で、特に小さな子どもではかぜや中耳炎にともなってしばしば見られます。大人でも、耳に水が入りやすい季節や、耳そうじの習慣がある人、アレルギー体質の人などに起こります。あわてずに、原因を確かめることが大切です。
生後数か月から小学生くらいまでの子どもがもっとも多く、保育園や幼稚園に通う時期は特に頻繁に起こります。大人では、水泳やサーフィンをする人、補聴器やイヤホンをよく使う人、アレルギーや皮膚の湿疹がある人、糖尿病などで免疫力が下がっている人に多く見られます。
症状
- 頭を強く打ったあとに、耳から透明な液体や血が流れている(頭の中のけがの可能性)
- 意識がもうろうとしている、返事がおかしい、けいれんがある
- 高熱と首の硬さ、はげしい頭痛、何度も吐く
- 顔の片側が動かない、口がゆがむ、ろれつが回らない
- はげしいめまいで立っていられない、歩けない
- 耳からの出血が多く、止まらない
- ⚠耳の後ろや周りが赤く腫れている、触ると痛い
- ⚠38度以上の発熱と耳の強い痛みが続く
- ⚠耳だれが3日以上続く、悪化している
- ⚠糖尿病や免疫の低下がある人に耳だれが出た
- ⚠耳に虫や異物が入った可能性がある
- ⚠急に聞こえにくくなった
一般的な症状
- 耳の穴から液体が出る(透明・白・黄色・においのあるものなど)
- 耳の痛みや、押すと痛む感じ
- 耳のかゆみ、耳の中がふさがった感じ
- 聞こえにくさ、耳鳴り
- 液体が乾いて耳の入り口がかさつく、かさぶたができる
- 発熱やだるさ(かぜや中耳炎をともなうとき)
子供の症状
- 不機嫌、ぐずる、泣き止まない
- 耳をたびたび触る、かく、引っぱる
- 夜中に何度も目を覚ます、眠りが浅い
- 発熱、哺乳(授乳)のときに嫌がる、食欲が落ちる
- 呼びかけへの反応が悪い、テレビの音を大きくしたがる
- 耳の後ろが赤く腫れる(この場合は早めに受診)
高齢者の症状
- 聞こえにくさが進んだように感じる、補聴器の調子が悪くなる
- 耳のかゆみや乾燥、かさつきが続く
- 耳だれが長引きやすい、治りが遅い
- めまいやふらつきをともなうことがある
- 痛みがはっきりしないまま、だらだらと続く
原因
主な原因
- 中耳炎:かぜなどで鼓膜の奥にたまった液が、鼓膜に小さな穴が開いて外に流れ出る
- 外耳道炎(外耳炎):耳の入り口から鼓膜までの皮膚に炎症が起きる。水が入ったあとや耳そうじの刺激で起こりやすい
- 鼓膜の穴(穿孔):けがや中耳炎のあとに鼓膜に穴が開き、液体が流れ出る
- 耳の湿疹や皮膚炎:アレルギーや皮膚の炎症で、じくじくしたりかゆくなったりする
- 耳あかや異物:耳あかが水を含んでふやける、異物が刺激になる
- 真珠腫(しんじゅしゅ):鼓膜の奥に皮膚のような組織が入り込み、においのある耳だれが続くことがある
- 外傷:耳かきや綿棒、耳への衝撃
リスク要因
- 子ども(特に集団生活の場に通う時期)
- かぜや鼻の炎症をくり返している
- プールや海、お風呂で耳に水が入りやすい
- 耳そうじを頻繁にする、綿棒や耳かきを深く入れる
- アレルギー体質、アトピー性皮膚炎、乾燥肌
- 補聴器やイヤホンの長時間使用
- 喫煙(本人または家族の煙にさらされること)
- 糖尿病や免疫の低下、高齢
- 耳の形や鼻・のどの構造の個人差
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 耳の強い痛みや発熱がある
- 耳だれが数日続く、量が増えている、においが強くなっている
- 耳の後ろが腫れている、赤い
- 急に聞こえにくくなった、耳鳴りが強い
- 糖尿病や免疫の低下がある人の耳だれ
- 頭を打ったあとの耳だれ、出血
定期受診を予約すべき場合:
- 少量の耳だれがときどき出る、かゆみがある
- 耳だれは治まったが、聞こえにくさが残る
- 子どもが耳をよく触る、テレビの音が大きくなった
- 水泳や耳そうじのあとに決まって耳だれが出る
- 耳だれをくり返している
診断
診察ではまず、症状の出方はじまり、かぜをひいていたか、水泳や耳そうじの習慣、持病の有無などを聞きます。そのうえで、耳鏡や細いカメラで耳の穴と鼓膜を直接観察します。耳だれの色や量、鼓膜の状態、においなどを確認することで、原因の見当をつけます。多くの場合、診察だけで十分に判断できます。
行われる可能性のある検査
- 耳鏡・耳用内視鏡による観察(鼓膜の状態や穴の有無を確認)
- 聴力検査(聞こえの程度を調べる)
- ティンパノメトリー(鼓膜の動きやすさを調べ、中耳に液がたまっていないかを見る)
- 必要に応じて耳だれの細菌検査
- 長引く場合や真珠腫が疑われる場合の画像検査(CTなど)
- アレルギーが疑われる場合のアレルギー検査
診察で予想されること
診察は数分から十数分で終わることが多く、痛みもほとんどありません。耳の中をきれいにしてもらうと、聞こえが一時的に良くなることもあります。聴力検査はヘッドホンで音を聞くだけの簡単なもので、子どもの場合は遊びのような形で行われます。結果の説明を受け、原因に応じた対応を相談しましょう。
治療
耳だれの対応は原因によって変わります。大切なのは、耳を清潔に保ちながら、炎症のもとを取り除くことです。多くは通院での処置とご家庭でのケアで改善します。使う薬は原因や年齢、持病によって変わるため、医師・薬剤師の指示に従ってください。
自宅でのセルフケア
- 耳を触らない、かかない。綿棒や耳かきを耳の奥に入れない
- 耳だれは清潔なガーゼやティッシュで外側だけをそっと拭き取る
- 入浴やシャワーのあとは、タオルで耳の入り口をやさしく乾かす
- 耳だれが続いている間は、プールや海での水泳を控える
- かぜをひいたときは鼻を強くかみすぎず、やさしくかむ
- 痛みや発熱がつらいときは、市販の解熱鎮痛薬を使う前に薬剤師に相談する
- 自分で買った点耳薬を、医師に相談せずに使わない
- 喫煙を避け、煙のない環境を整える
医療治療
医師はまず耳の中をきれいにし、たまっている液や耳あかを取り除きます。原因が細菌による炎症の場合は、抗菌薬が使われることがあります(飲み薬か点耳薬か、どの種類を使うかは医師が判断します)。痛みや熱には、症状に合わせた薬が検討されます。アレルギーや湿疹が関係している場合は、皮膚の炎症を抑える治療が行われます。中耳に液がたまっている場合は、鼓膜の動きをよくする処置や、様子を見ながらの経過観察が選ばれることもあります。治療の内容は必ず医師の説明を受け、指示どおりに通院してください。
手術が検討される場合
手術が必要になるのは限られた場合です。たとえば、中耳に液が長くたまって聞こえが悪い子どもでは、鼓膜に小さな穴を開けて液を抜いたり、換気のための小さなチューブを入れたりすることがあります。真珠腫(しんじゅしゅ)が見つかった場合や、鼓膜の穴がふさがらない場合も、手術が検討されます。いずれも必ず専門医の説明を聞いたうえで決めるものです。
この病気と共に生きる
耳だれが出ている間は、耳を清潔で乾いた状態に保つことが一番のポイントです。外側をやさしく拭き、耳の奥はいじらないようにしましょう。寝るときに耳だれが気になる場合は、枕にタオルを敷くと安心です。聞こえにくさがあるときは、テレビの音量を上げすぎず、話す人の正面で、ゆっくり話してもらうとよいでしょう。
生活習慣のアドバイス
- 水泳をするときは、医師に相談したうえで耳栓を使うなど工夫する
- イヤホンや補聴器は清潔に保ち、長時間の使用を避ける
- 規則正しい睡眠と休息で、かぜをひきにくい体調を保つ
- 室内の乾燥を防ぎ、加湿を心がける
- 鼻をかむときは片方ずつ、やさしく
- 耳そうじは月に一度、見える範囲をやさしく拭く程度にする
食事と運動
特別な食事制限は必要ありません。バランスのよい食事、十分な水分、適度な運動は、かぜやアレルギーの悪化を防ぎ、回復を助けます。耳だれが続いている間は、プールや海での運動は控え、散歩や室内での軽い運動など、耳に水が入りにくい方法を選びましょう。
精神的健康と心の健康
耳だれが続くと、「何か重い病気ではないか」「聞こえが悪くなったらどうしよう」と不安になるのは自然なことです。子どもがくり返す場合は、親御さんが疲れてしまうこともあります。多くは適切なケアで落ち着くものなので、ひとりで抱え込まず、診察のときに気になっていることを遠慮なく質問してください。睡眠や気分が大きく落ち込むようであれば、そのことも医療者に伝えましょう。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、日常の工夫で耳だれを起こしにくくすることはできます。耳をいじらない、かぜをひいたら早めにケアする、水が入ったらやさしく乾かす、煙のない環境をつくる、といった積み重ねが役立ちます。
ワクチン
かぜや肺炎、インフルエンザなどの感染症を予防するワクチンは、中耳炎のきっかけとなる感染を減らす助けになります。日本では子どもを対象にした定期接種の仕組みがあります。対象や時期については、母子健康手帳や自治体の案内、かかりつけ医にご確認ください。
検診プログラム
耳だれそのものを早期に見つける検診はありませんが、乳幼児健診や学校健診での聴力チェックは、聞こえの変化に気づく大切な機会です。気になる症状があれば、健診を待たずに耳鼻咽喉科で相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 聞こえにくさが続く、または進む
- 中耳に液がたまったままになり、くり返す
- 炎症が慢性化して、耳だれが長引く
- 鼓膜の穴がふさがらない
- まれですが、炎症が耳の周りや内耳、頭の中に広がることがある(強い痛み、発熱、めまい、顔の動きの異常などがあれば急いで受診)
- 真珠腫が見逃され、耳の骨を壊していく
長期的な見通し
耳だれの多くは、原因に合った対応をすれば数日から数週間で落ち着き、聞こえも戻ります。くり返す場合や長引く場合も、適切に治療を続けることで改善が期待できます。気になる症状は早めに相談し、焦らず一歩ずつ整えていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.