皮膚の真菌感染症(カビ)と発熱 ― 知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
皮膚の真菌感染症(しんきんかんせんしょう)は、カビの一種である真菌が皮膚に増えて起こる病気です。ふつうはかゆみや赤みなど皮膚だけの症状ですが、発熱を伴う場合は、感染が皮膚の外に広がっている可能性があり、早めの対応が必要です。
重要な事実
- 真菌はもともと皮膚の表面にいても、普段は害を起こしません。
- 免疫力が落ちていると、真菌が増えて感染症を起こします。
- 発熱がある場合は、真菌が血液に入る「全身性真菌症」や、細菌との「混合感染」の可能性があります。
- 自己判断で市販薬を使うと、症状がかえって悪化したり、診断が遅れることがあります。
皮膚の真菌感染症はよく見られる病気ですが、発熱を伴うケースは多くありません。発熱がある場合は、より注意が必要な状態です。
特に、免疫力が低下している人(高齢者、糖尿病の方、がん治療中・ステロイド薬を使用中の方)、乳幼児、入院中の方などがかかりやすいです。健康な方でも、高温多湿の環境で皮膚が不潔だと起こることがあります。
症状
- 意識がもうろうとする
- 呼吸が苦しい
- めまいや立ちくらみなど、血圧が下がるような症状
- 皮膚に急速に広がる赤紫色の斑点
- けいれん
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠発疹が急速に広がっている
- ⚠皮膚の痛みが強い
- ⚠水ぶくれが増えて破れたり、ただれてきた
- ⚠全身のだるさが強く、食事や水分がとれない
- ⚠顔や手足の腫れがある
一般的な症状
- 皮膚の赤みやかゆみ
- リング状(輪っかの形)の発疹
- 皮膚のカサカサやはがれ
- 小さな水ぶくれやただれ
- 足の指の間のふやけや白いカス
- 頭皮のかゆみやフケ様の落屑、脱毛(はげたように見える)
- 発熱(37.5度以上)
子供の症状
- 乳幼児では、おむつかぶれがひどくなったような赤い発疹
- 頭皮に丸い脱毛斑(はげ)ができる
- 発熱、機嫌が悪い、哺乳量が減る
- 全身に赤いぶつぶつが広がる
高齢者の症状
- 皮膚の乾燥とともに赤みやかゆみ
- 足の指の間や股間(そけい部)、わきの下の発疹
- 発熱に伴う悪寒(おかん)や体のだるさ
- 糖尿病のある方は、皮膚のただれが治りにくい
原因
主な原因
- 白癬菌(はくせんきん)やカンジダなどの真菌(カビ)が皮膚に感染して起こります。
- 発熱がある場合、真菌が皮膚の深い部分や血液中に入っている(全身性真菌症)か、真菌の感染した場所に細菌も増えて「混合感染」を起こしている可能性があります。
- 長期間のステロイド外用薬の使用で、皮膚の防御機能が弱っていることもあります。
リスク要因
- 糖尿病やがんなどで免疫力が低下している
- 長期間ステロイド薬や免疫抑制薬を使っている
- 高齢や乳幼児で免疫機能が未熟・低下している
- 入院中でカテーテル(管)を入れている
- 高温多湿の環境、汗をかいたままの衣服や靴
- タオルや衣類、靴の共有
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚の症状とともに発熱がある場合は、すぐに皮膚科または内科を受診してください。夜間や休日であれば、救急外来に相談しましょう。
- 発熱に加えて、息苦しさや意識の変化がある場合は、ためらわずに119番に電話してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 発熱はないが、皮膚の赤みやかゆみ、フケ、脱毛が2週間以上続く場合は、皮膚科で相談しましょう。
- 市販の水虫薬やかゆみ止めを使ってもよくならない場合も、医療機関を受診してください。
診断
医師が皮膚の状態を直接診て、問診を行います。発熱がある場合は、感染が全身に広がっていないかを確認するために、血液検査などの追加検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 顕微鏡検査(皮膚をそっとこすり取って、真菌がいるか直接観察する)
- 真菌培養検査(菌の種類を特定するために、数日かけて育てる)
- 血液検査(炎症の程度や真菌の有無を調べる)
- 胸部X線検査(肺など内臓への感染がないか確認)
診察で予想されること
皮膚の検査は痛みを伴いません。結果がすぐに出る検査もあれば、培養検査のように数日待つものもあります。医師は結果を確認してから、治療方針を説明します。
治療
治療は抗真菌薬(真菌の増殖を抑える薬)が中心になります。症状の範囲や発熱の有無によって、塗り薬だけの場合もあれば、飲み薬や点滴が必要な場合もあります。必ず医師の指示に従って最後まで治療を続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 皮膚を毎日清潔にし、通気性の良い綿の衣服や下着を着ける
- 汗をかいたらこまめに拭き取り、皮膚を乾燥させる
- タオルや寝具、靴は家族と共有しない
- かゆくても掻かない。爪を短く切り、手を清潔に保つ
- 飲み薬を処方された場合は、指示された回数と期間を守る
医療治療
医療機関で行う治療としては、皮膚に外用する抗真菌薬(塗り薬)や、感染が広い場合や爪・毛髪に及ぶ場合、発熱や全身症状がある場合は内服薬(飲み薬)や点滴による抗真菌薬が使われます。症状が改善しても、医師の指示がない限り自己判断で薬を止めず、再診して確認しましょう。
手術が検討される場合
真菌感染症そのものに手術が必要になることはまれです。ただし、細菌の混合感染で膿(うみ)がたまった場合、皮膚を切開して膿を出す処置が行われることがあります。爪の真菌感染症が重症で薬で治らない場合は、爪を除去する手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
治療中は、皮膚の状態をよく観察し、気になる変化があれば医師に伝えましょう。発熱がある間は無理をせず、しっかり休むことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日入浴し、皮膚を拭いた後は特によく乾かす
- 靴は通気性の良いものを選び、複数足を履き回す
- 頭皮に症状がある場合は、清潔なタオルを使い、枕カバーもまめに洗う
- 十分な睡眠と適度な運動で免疫力を整える
- 禁煙(喫煙は免疫力を低下させます)
食事と運動
特別な食事制限はありません。バランスの良い食事(野菜、果物、たんぱく質)を心がけ、偏った食事や過度なダイエットは避けましょう。体調が良ければ、軽い散歩などの運動を行っても問題ありませんが、発熱中は安静にしてください。
精神的健康と心の健康
皮膚の見た目やかゆみ、発熱が続くと、不安やストレスを感じるのは自然なことです。我慢せずに、医療者や家族に気持ちを話しましょう。
予防
皮膚を清潔で乾燥した状態に保つこと、免疫力を高める生活習慣が予防につながります。また、人とタオルや衣服、くしを共有しないことも大切です。
ワクチン
現在、真菌皮膚感染症を予防するワクチンはありません。厚生労働省の定期接種にも含まれていません。
検診プログラム
特別な検診プログラムはありませんが、糖尿病などの持病がある人は、日頃から疾患の管理をしっかり行うことで、真菌感染症のリスクを下げることができます。
合併症
治療しない場合
- 感染範囲が広がり、全身の皮膚に発疹が及ぶ
- 細菌との混合感染で、皮膚が化膿したり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)のような深い炎症を起こす
- 爪や毛髪への感染が慢性化し、変形や脱毛が残る
- まれに真菌が血液に入り込み、全身性真菌症(髄膜炎や臓器の感染など)を発症する
長期的な見通し
皮膚の真菌感染症は、正しい診断と治療を受ければ、数週間から数か月で改善するものがほとんどです。発熱を伴う場合でも、適切な治療(内服薬や点滴)を早期に始めれば、回復が期待できます。治療を根気よく続け、経過を医師と確認しながら進めていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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