頭痛(ずつう)について
概要
頭痛とは、頭の一部または全体に感じる痛みや不快な感覚のことです。頭痛そのものは「病気の名前」ではなく、体が発しているサインのひとつです。大きく分けると、風邪や肩こり、ストレスなどが原因の「危険ではない頭痛」と、脳の病気などが隠れている「注意が必要な頭痛」があります。ふつうに生活している人の頭痛のほとんどは、命に関わりのないタイプです。ただし、今までにない急な激しい頭痛などは、すぐに医療機関を受診するサインになります。
重要な事実
- 頭痛はとてもよくある症状で、多くの人が何度も経験します。その大半は、緊張型頭痛(肩や首のこりからくる締めつけるような痛み)と片頭痛(脈打つような痛み)です。
- 「今まで経験したことのない、突然の激しい頭痛」や、手足の麻痺(まひ)、ろれつが回らない、意識がぼんやりするなどがあれば、迷わず119番に連絡してください。
- 痛み止めを頻繁に使うと、かえって頭痛が増えることがあります(薬物乱用頭痛)。市販薬の使い方に不安があれば、薬剤師やかかりつけ医に相談しましょう。
頭痛は、外来を受診する理由としてとても多い症状のひとつです。一生のうちに何度も経験する人も珍しくありません。多くの場合は休息や生活の見直しで落ち着きますが、繰り返す場合は一度相談しておくと安心です。
子どもから高齢者まで、どの年代でも起こります。片頭痛は女性に多く、月経(生理)の周期や天気の変化で誘発されることがあります。緊張型頭痛は、パソコン作業が多い人や長時間同じ姿勢でいる人に多くみられます。年齢を重ねてから初めて起こる頭痛は、念のため早めに受診が勧められます。
症状
- 突然、今まで経験したことのない激しい頭痛が数秒〜数分でピークに達した(雷鳴頭痛)
- 頭痛に加えて、発熱・首が硬くて前に曲げにくい・意識がぼんやりする
- 頭を打ったあとに、頭痛が強くなる、嘔吐を繰り返す、けいれんが起こる
- 体の片側が動かない・しびれる、ろれつが回らない、言葉が出ない
- 意識を失う、けいれんする、呼びかけへの反応がおかしい
- 突然の視力低下や、ものが二重に見える
- ⚠妊娠中や産後まもなく、強い頭痛とともに急に体調が悪くなった
- ⚠頭痛が何日もかけてどんどん強くなっている
- ⚠発熱をともなう頭痛が続く
- ⚠50歳を過ぎてから初めて起こった頭痛
- ⚠ものが噛みにくい、あごが痛い、食事のときにあごが疲れる(噛むと痛む)
- ⚠軽い頭のけがのあと、頭痛や吐き気が続く
一般的な症状
- 頭が締めつけられる、重い、圧迫されるような痛み(緊張型頭痛でよくみられます)
- 脈打つようにズキズキする痛み、体を動かすと悪化する(片頭痛でよくみられます)
- 吐き気や嘔吐(おうと)、光や音がまぶしく・うるさく感じる
- 肩や首のこり、目の奥の重さ
- 寝不足・寝すぎ、空腹、ストレス、天気の変化で起こりやすい
子供の症状
- 言葉で「頭が痛い」と言えないことがあり、不機嫌、ぐずる、泣き続ける、元気がないといった様子で表れることがあります
- 吐き気や嘔吐をともない、暗い静かな場所で横になりたがる
- 学校に行きたがらない、集中できない、遊びへの興味が減る
- 発熱や首のこり、繰り返す嘔吐があるときは、早めに小児科に相談してください
高齢者の症状
- 50歳を過ぎてから初めて起こる頭痛は、注意が必要なことがあります
- 痛みの感じ方が若い頃と違う、ぼんやりした痛みが続くなど、はっきりしない症状で始まることがあります
- 物忘れや歩きにくさ、視界の変化などをともなう場合は早めに受診してください
- 複数の薬を飲んでいる場合は、薬剤師や医師に頭痛との関係を確認してもらいましょう
原因
主な原因
- 緊張型頭痛:肩・首・頭の筋肉がこわばり、血流が悪くなることで起こると考えられています
- 片頭痛:脳の血管や神経の働きの変化によって起こると考えられており、遺伝的な体質も関係します
- 群発頭痛:目の奥をえぐるような激しい痛みが、一定の期間に繰り返し起こるタイプです
- 薬物乱用頭痛:痛み止めを使いすぎることで、かえって頭痛が増えてしまう状態です
- 生活の乱れ:寝不足・寝すぎ、空腹、水分不足、カフェインの摂りすぎや急な中断、アルコール
- 目の疲れ、歯やあごの不調、鼻の奥(副鼻腔=ふくびくう)の炎症など、頭以外の原因
- まれに、脳の血管や腫瘍、感染症など、注意が必要な病気が隠れていることがあります
リスク要因
- 強いストレスや、ストレスから解放されたとき(週末や休暇の初日など)
- 睡眠のリズムの乱れ、長時間のスクリーン作業や同じ姿勢
- 食事を抜く、水分不足、カフェインやアルコールの習慣的な摂取
- 女性の月経周期、妊娠・更年期などのホルモンの変化
- 天気・気圧・気温の変化、強い光やにおい、騒音
- 家族に片頭痛の人がいる(体質が関係することがあります)
- 痛み止めを頻繁に使っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛、または今までにないタイプの頭痛
- 頭痛に発熱、首のこり、意識の変化、けいれん、手足の麻痺(まひ)、言葉の出にくさをともなう
- 頭を打ったあとの頭痛
- 妊娠中・産後の強い頭痛
- どんどん強くなる頭痛、朝方に強くなる頭痛が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 頭痛が月に何度もあり、仕事や勉強、家事に支障が出ている
- 痛み止めを使う回数が増えている、または毎日のように使っている
- 市販薬で楽にならず、生活に影響が出ている
- 頭痛のたびに吐き気が出て、横にならないと動けない
- 50歳を過ぎてから初めて頭痛が始まった
- 頭痛の記録をつけても、きっかけやパターンがわからない
診断
多くは問診(お医者さんとの会話)と体の診察で診断がつきます。いつから、どんなふうに痛むか、どのくらい続くか、吐き気や光のまぶしさがあるか、どんなときに起こるか、薬をどのくらい使っているかを聞かれます。あわせて、血圧を測ったり、神経の働きをみる診察(手足の動き、目の動き、反射など)を受けたりします。危険なサインがない場合は、画像検査をせずに様子をみることも少なくありません。
行われる可能性のある検査
- 問診と頭痛ダイアリー(痛みの日時・強さ・きっかけの記録)
- 血圧測定、熱の確認
- 神経診察(手足の力、感覚、目の動き、反射など)
- 必要な場合の頭のCT検査やMRI検査(危険なサインがあるときなど)
- 血液検査(炎症や貧血などを調べるため、必要に応じて)
- 目の奥の状態をみる眼底検査(必要に応じて)
診察で予想されること
診察は10〜20分程度で終わることが多く、痛みを我慢する必要はありません。頭痛の記録や、今飲んでいる薬(市販薬・サプリを含む)のメモを持っていくと役立ちます。画像検査はいつも必要というわけではなく、危険なサインがあるときに選ばれます。診断がはっきりしない場合は、数週間から数か月かけて経過をみていくこともあります。
治療
治療の中心は、痛みが出たときの対処と、頭痛が起きにくい体づくりの2つです。まずは睡眠・食事・水分・姿勢・ストレスなどの生活の見直しを行い、それでも生活に支障がある場合に薬による治療を検討します。頭痛のタイプによって合う対処法は違うため、自己判断で長く市販薬を使い続けるより、一度相談しておくと安心です。
自宅でのセルフケア
- 痛みが出たときは、暗く静かな場所で休む。片頭痛では冷やす、緊張型では温めると楽なことがあります
- 水分をこまめにとり、食事を抜かない
- 睡眠時間と起きる時間をなるべく一定にする
- 長時間の同じ姿勢を避け、1時間ごとに肩や首を軽く動かす
- カフェインは摂りすぎず、急にやめない(急な中断で頭痛が起こることがあります)
- 頭痛ダイアリーをつけて、きっかけ(天気・食事・睡眠・ストレス)を探す
- 目の疲れが疑われるときは、画面の明るさや姿勢を見直す
医療治療
医療機関では、頭痛のタイプに合わせて、痛みが出たときに使う薬(痛み止め)と、頭痛が起こる回数を減らすために毎日続ける薬(予防薬)を組み合わせることがあります。薬の種類や量は、年齢・持病・妊娠の有無・他の薬との飲み合わせによって変わるため、必ず医師の指示に従ってください。痛み止めの使いすぎは頭痛を悪化させることがあるので、使用回数についても医師や薬剤師に相談しましょう。薬以外にも、生活指導やリラクゼーション、必要に応じて専門外来への紹介などが行われます。
手術が検討される場合
頭痛そのものに対して手術を行うことはほとんどありません。ただし、検査で脳の血管のこぶ(動脈瘤=どうみゃくりゅう)や腫瘍など、はっきりした原因が見つかった場合は、その病気に対して専門の治療が検討されます。
この病気と共に生きる
頭痛は「つきあい方」を工夫することで、生活の質を保ちやすくなります。痛みが出たときの対処をあらかじめ決めておく、大事な予定の前は睡眠と食事を整える、痛みの記録をとる——こうした小さな準備が助けになります。痛みがあることを周囲に伝えておくと、仕事や学校で無理をしすぎずにすみます。
生活習慣のアドバイス
- 起床・就寝の時間をそろえ、休日の寝すぎに注意する
- こまめに水分をとり、食事を規則的にとる
- 適度な運動(散歩や軽いストレッチ)を習慣にする
- 長時間の画面作業を減らし、姿勢と照明を見直す
- ストレスをためこまず、息抜きの時間を意識してつくる
- アルコールやカフェインの量を見直す
- 痛み止めの使いすぎに気をつけ、使用回数を記録する
食事と運動
決まった時間に食事をとり、水分をこまめにとることが基本です。空腹や脱水は頭痛のきっかけになります。特定の食べ物がきっかけになる人もいますが、自己判断で多くの食品を避けると栄養が偏ることがあるため、まずは記録をつけて確認しましょう。運動は、ウォーキングや軽いストレッチなど無理のない範囲から。激しすぎる運動や、暑い中の運動はかえって頭痛を招くことがあるので、体調に合わせて調整してください。
精神的健康と心の健康
頭痛が続くと、集中力が落ちる、眠れない、イライラするなど、心の状態にも影響が出ることがあります。「また痛くなるのでは」という不安がストレスになり、ストレスがまた頭痛を呼ぶ、という悪循環になることもあります。痛みを我慢しすぎず、つらさを誰かに話すことは大切です。気分の落ち込みや不安が強いときは、医療機関に相談してください。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口やいのちの相談窓口を利用することもできます。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、起こる回数を減らしたり、痛みを軽くしたりすることは十分に可能です。睡眠・食事・水分・運動・ストレス管理といった毎日の習慣を整えることが、いちばんの土台になります。自分にとっての「きっかけ」を頭痛ダイアリーで見つけ、それを避ける工夫をすることが役立ちます。
検診プログラム
頭痛そのものを早期に見つける検査はありません。ただし、50歳を過ぎてから初めての頭痛が続く場合や、生活習慣病(高血圧など)が気になる場合は、健康診断やかかりつけ医での相談が勧められます。決まった受診間隔は症状によって変わるため、医師に確認してください。
合併症
治療しない場合
- 痛み止めの使いすぎにより、頭痛がかえって増える(薬物乱用頭痛)
- 頭痛が頻繁になり、仕事・学校・家事など日常生活に支障が出る
- 睡眠の乱れや疲労が蓄積し、体調全体が悪くなる
- 「また痛くなるのでは」という不安から、外出や人づきあいを控えるようになる
- まれに、脳の血管や腫瘍などの病気が隠れていて、発見が遅れる
長期的な見通し
多くの頭痛は、生活の見直しと適切な治療でコントロールできます。頭痛と上手につきあいながら、ふだんどおりの生活を送っている人はたくさんいます。痛みのパターンを知り、早めに相談することが、安心につながります。心配な点があれば、いつでも医療機関に相談してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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