痔と疲労感について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
痔(じ)は、肛門(こうもん)の周りにある血管のふくらみです。いわば、足の静脈瘤(じょうみゃくりゅう)が肛門にできたようなものです。疲労感(ひろうかん)とは、体がだるい、疲れやすい状態を指します。痔と疲労感が一緒に出るときは、痔からの出血が原因で貧血(ひんけつ)になっている可能性があります。また、痔の痛みや不快感で眠れず、疲れがたまることもあります。
重要な事実
- 痔は非常に一般的で、多くの人が一度は経験します。
- 痔からの出血が続くと、鉄分不足による貧血で疲れやすくなることがあります。
- 疲労感の原因は痔以外にもたくさんあるため、必ず医師に相談しましょう。
- 生活習慣の改善で症状を和らげられることが多いです。
はい、痔はとても一般的な病気です。日本人の3人に1人以上が経験するといわれています。疲労感を伴うケースは、出血が原因の貧血の場合にみられますが、それほど頻繁ではありません。
痔は特に便秘がちな人、長時間座り続ける仕事の人、妊娠中の女性、高齢者に多くみられます。疲労感を伴う場合は、出血が多い人や、もともと貧血傾向のある人がなりやすいです。
症状
- 大量の出血(トイレが真っ赤になるほど)
- めまいや立ちくらみで倒れそうになる
- 激しい痛みで動けない
- ⚠出血が数日続く、または繰り返す
- ⚠痔のいぼが腫れて激しく痛む(血栓性痔核の可能性)
- ⚠疲労感が強く、日常生活に支障が出る
- ⚠原因不明の体重減少や発熱を伴う
一般的な症状
- 肛門のかゆみや痛み
- 排便時の出血(鮮やかな赤い血)
- 肛門の周りにできるいぼ(痔核)
- 肛門の違和感や腫れ
- 疲労感、だるさ、眠気(貧血が原因の場合)
子供の症状
- 子どもでは痔はまれですが、慢性の便秘によって起こることがあります。
- 出血に気づいたら、早めに小児科医に相談しましょう。
- 疲労感がある場合は、痔以外の原因も考えられます。
高齢者の症状
- 高齢者は組織が弱くなり、痔になりやすいです。
- 出血が少しでも続くと貧血になりやすく、疲労感が出やすいです。
- 便秘や下痢を避けるための生活習慣が大切です。
- 他の病気(大腸がんなど)の可能性もあるため、出血や疲れが続く場合は必ず受診しましょう。
原因
主な原因
- 排便時のいきみ(便秘や下痢による)
- 長時間座り続けること
- 妊娠・出産によるお腹の圧力
- 遺伝的に静脈が弱い
- 慢性的な出血による鉄欠乏性貧血(疲労感の原因)
リスク要因
- 便秘や下痢になりやすい体質
- 食物繊維の不足と水分不足
- 運動不足
- 重いものを持ち上げる仕事
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血量が多い、または止まらない
- 激しい痛みがある
- めまいやふらつきがある
- 疲労感が急に強くなった
定期受診を予約すべき場合:
- 排便時の出血が続く
- 肛門の違和感や痛みが長引く
- 疲労感が数週間以上続く
- 自分でできるケア(食事や生活習慣の改善)をしてもよくならない
診断
医師があなたの症状を聞き、肛門の診察(視診・触診)を行います。必要に応じて、肛門鏡(こうもんきょう)という器具で内部を見る検査や、大腸カメラ(内視鏡)を行うこともあります。また、疲労感がある場合は、血液検査で貧血の有無を調べます。
行われる可能性のある検査
- 肛門の視診・触診
- 肛門鏡検査(肛門の内部を直接見る)
- 大腸内視鏡検査(必要に応じて)
- 血液検査(貧血や炎症の有無)
診察で予想されること
診察は数分で終わることが多く、痛みはほとんどありません。肛門鏡検査は少し違和感がある程度です。血液検査は腕から採血します。結果が出るまでに数日かかることもありますが、医師が説明してくれます。
治療
痔の治療は、症状の重症度によって異なります。軽い場合は生活習慣の改善でよくなりますが、出血が多い場合や痛みが強い場合は医療機関での治療が必要です。疲労感が貧血による場合は、鉄分補給などの治療も行います。
自宅でのセルフケア
- 食物繊維の多い食事(野菜、果物、全粒穀物)をとる
- 水分を十分に飲む(1日1.5~2リットル程度)
- トイレで長時間いきまない
- ぬるめのお湯で温める座浴(毎日5~10分)
- 長時間座り続けない(1時間に1回は立ち上がる)
- 清潔を保つ(刺激の少ない石けんを使う)
- 冷やすことで腫れや痛みを和らげる(直接ではなくタオル越しに)
医療治療
医療機関では、症状に合わせて軟膏や座薬などの外用薬が処方されることがあります。また、内服薬(血流改善薬や便秘薬など)が使われることもあります。これらの薬は医師の指示に従って使用してください。疲労感の原因が貧血の場合は、鉄剤の処方や注射での補給が行われることがあります。
手術が検討される場合
内服や外用薬で改善しない重症の痔(高度の脱出や血栓)には、手術が検討されることがあります。手術にはいくつかの方法(レーザー治療や結紮術など)があり、医師が最適な方法を提案します。手術後の回復期間は数日から数週間程度です。
この病気と共に生きる
痔は再発しやすいですが、適切な生活習慣を続けることで症状をコントロールできます。疲労感があるときは無理をせず、十分な休息をとりましょう。出血が続く場合は医師に相談し、貧血のチェックを受けてください。
生活習慣のアドバイス
- バランスの良い食事を心がける(食物繊維・鉄分を意識)
- 適度な運動(ウォーキングなど)を週に数回行う
- 便秘を予防する(必要なら医師に相談して便軟化剤を使う)
- 排便習慣を整える(我慢せず、決まった時間にトイレに行く)
- ストレスを減らす(趣味やリラックス法を取り入れる)
食事と運動
食物繊維が豊富な野菜、果物、豆類、玄米などを積極的にとりましょう。鉄分を多く含む食品(レバー、ほうれん草、あさりなど)も貧血予防に役立ちます。適度な運動は血行をよくし、便秘の改善にもつながります。ウォーキングやストレッチから始めてみてください。
精神的健康と心の健康
痔の症状や疲労感が続くと、気分が落ち込んだり、不安を感じることがあります。「恥ずかしい」「人に言いにくい」と思うかもしれませんが、多くの人が経験する一般的な問題です。症状が心に影響している場合は、医師やカウンセラーに相談することも選択肢の一つです。
予防
痔は完全に予防するのは難しいですが、生活習慣を整えることでリスクを大きく減らせます。便秘を予防し、排便時のいきみを避けることが最も効果的です。また、疲労感を予防するためには、規則正しい生活とバランスの良い食事で体力を維持しましょう。
検診プログラム
痔自体のスクリーニング検査はありませんが、40歳を過ぎたら大腸がん検診(便潜血反応検査など)を定期的に受けることをおすすめします。痔の出血と大腸がんの出血を区別するためにも有用です。
合併症
治療しない場合
- 出血が続くことで鉄欠乏性貧血が進行し、疲労感が強くなる
- 痔核(いぼ)が大きくなり、肛門から出たまま戻らなくなる(脱出)
- 血栓ができて激しい痛みを伴う(血栓性痔核)
- 感染を起こすと膿瘍(のうよう)になることがある
- まれに、長期間の出血や症状放置が、他の病気の発見を遅らせる可能性がある
長期的な見通し
痔は適切なケアでほとんどの場合、症状を改善・コントロールできます。疲労感も貧血の治療や生活習慣の見直しで解消されることが多いです。ただし、自己判断せずに医師の診察を受けることが大切です。早期に対処すれば手術が必要になることはほとんどありません。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月30日
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