高血圧と頭痛
概要
高血圧は、血管の中を流れる血液の圧力(血圧)が高い状態が続くことをいいます。では、高血圧になると頭痛がするのでしょうか。実は、多くの高血圧の方は頭痛などの自覚症状がほとんどありません。ふだん感じる頭痛の多くは「緊張型頭痛」や「片頭痛」といった、高血圧とは別の理由によるものです。ただし、血圧が急に、そしてとても高くなったときには、頭痛が体からのサインとして現れることがあります。つまり「高血圧だから頭痛がする」と決めつけるのではなく、「頭痛があるときは血圧を測ってみる」「血圧が高いと言われたら頭痛の特徴も記録しておく」という考え方が大切です。
重要な事実
- 高血圧は「静かな病気」と呼ばれ、痛みや不快感がないまま進むことが多いです。
- ふだんの頭痛の多くは高血圧が原因ではなく、緊張型頭痛や片頭痛などが原因です。
- 血圧が非常に高い状態で起きる頭痛は、腦や血管の緊急事態のサインであることがあります。
高血圧は日本でとても多い病気で、成人の多くが該当するといわれています。一方、頭痛も日本人の多くが経験する身近な症状です。このため「高血圧」と「頭痛」が同じ人に起きることはよくあり、偶然重なっているだけの場合も少なくありません。
高血圧は年齢とともに増え、40代以降、とくに50代以降で多くなります。男性は比較的若いころから、女性は閉経の前後から増える傾向があります。家族に高血圧の人がいる、塩分の多い食事をとりやすい、お酒をよく飲む、体重が増え気味、運動不足、睡眠が足りない、ストレスが多い、といった方は注意が必要です。若い方や子どもでも、腎臓の病気などが原因で高血圧になることがあります。
症状
- 今まで経験したことのない、突然の激しい頭痛(雷が落ちたような痛み)
- ろれつが回らない、言葉が出てこない、人の話が理解できない
- 顔や手足の片側が動かない、しびれる、力が入らない
- 視界が急に欠ける、ものが二重に見える、突然見えにくくなる
- 意識がもうろうとする、呼びかけに反応が弱い、けいれんが起きた
- 胸の強い痛み、息苦しさ、冷や汗を伴う頭痛
- 頭痛とともに何度も吐いてしまい、水分がとれない
- ⚠血圧が非常に高い状態(上の血圧180以上、下の血圧110以上が目安)が続く
- ⚠頭痛が数日続く、または日ごとに強くなっている
- ⚠発熱を伴う頭痛
- ⚠頭をぶつけたあとに出てきた頭痛
- ⚠市販の痛み止めを頻繁に使うようになった、使う量が増えている
- ⚠妊娠中または出産後まもなくの強い頭痛
一般的な症状
- 高血圧そのものはほとんど無症状のことが多い
- 後頭部(頭の後ろ)が重い、締めつけられるような頭痛(ただし高血圧との関係ははっきりしないことも多い)
- 朝起きたときの頭の重さ、すっきりしない目覚め
- 肩こりや首のこりを伴う頭痛
- 頭痛のほかに、めまい、耳鳴り、動悸を感じることもある
- 血圧を測ると高い数値が続いている
子供の症状
- 子どもの高血圧はまれですが、腎臓や血管の病気が原因のことがあります
- 頭痛を訴えるときは、学校の健康診断で血圧を測ってもらうと安心です
- 頭痛が繰り返す、学校を休みたがる、元気がないときは小児科に相談してください
高齢者の症状
- 高齢者は血圧の変動が大きく、朝に急に高くなることがあります
- 頭痛に加えて、立ちくらみ、ふらつき、力が入りにくいと感じることがある
- のどの渇きや脱水で血圧が乱れることがあるため、水分補給が大切です
- 頭痛以外に、言葉が出にくい、物忘れが急に増えたと感じたら早めに受診してください
原因
主な原因
- 本態性高血圧:はっきりした原因が一つに絞れず、塩分、体重、飲酒、運動不足、加齢、体質などが重なって起こるタイプ(高血圧の大多数を占めます)
- 二次性高血圧:腎臓の病気、ホルモンの病気、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が止まる病気)、一部の薬の影響など、別の原因があるタイプ
- 緊張型頭痛:肩や首のこり、姿勢、ストレスなどで起こる、締めつけられるような頭痛
- 片頭痛:脈打つような痛みで、光や音がつらく感じる頭痛
- 薬物乱用頭痛:痛み止めを使いすぎることで、かえって頭痛が増えてしまう状態
- 睡眠不足、脱水、空腹、アルコール、カフェインのとりすぎや急な中止、気圧の変化
リスク要因
- 塩分の多い食事(漬物、汁物、加工食品、外食が多い)
- お酒をたくさん飲む
- 体重が増えている、肥満がある
- 運動不足
- たばこを吸う
- 睡眠不足、いびきや睡眠時無呼吸を指摘されたことがある
- 強いストレス、長時間の同じ姿勢、眼精疲労
- 家族に高血圧の人がいる
- 年齢(40代以降、とくに50代以降で増える)
- 糖尿病や腎臓の病気などの持病がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい頭痛、または今までにないタイプの頭痛
- 手足の麻痺、言葉の出にくさ、視界の異常、意識の変化がある
- 血圧が非常に高い状態が続いている
- 発熱、けいれん、繰り返す嘔吐を伴う頭痛
- 頭をぶつけたあとの頭痛
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や家庭の血圧計で高い数値を指摘された
- 頭痛が月に何度もあり、生活に支障が出ている
- 痛み止めを使う回数が増えている
- 肩こりや首のこりを伴う頭痛が続いている
- 妊娠中・出産後の頭痛
- 家族に高血圧の人がいて、自分の血圧が気になる
診断
診察では、まず血圧を測ります。病院で測る血圧だけでなく、家庭で測った血圧の記録があると、より正確に判断できます。あわせて、頭痛の始まり方、痛む場所、痛み方、回数、一緒に起きる症状、使っている薬などをうかがいます。高血圧と頭痛の両方がある場合は、「高血圧が原因の頭痛なのか」「別の理由の頭痛がたまたま重なっているのか」を整理していきます。必要に応じて、高血圧の原因や体への影響を調べる検査と、頭痛の原因を調べる検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 診察室での血圧測定(何回か繰り返し測ることがあります)
- 家庭血圧の測定(朝と夜に記録していただくことがあります)
- 血液検査(腎臓の働き、血糖、コレステロール、ホルモンなど)
- 尿検査(腎臓の病気やたんぱく尿の確認)
- 心電図(心臓への負担を確認)
- 眼底検査(目の奥の血管の状態を確認)
- 必要に応じて胸部レントゲンや心エコー
- 頭痛の原因を調べるための頭部CT・MRI(緊急性が疑われるときや、神経の症状があるとき)
- 睡眠時無呼吸が疑われるときの睡眠検査
診察で予想されること
診察は問診と血圧測定から始まり、多くの場合はその日のうちに大まかな方針が決まります。検査の結果が出るまで数日から1〜2週間かかることがあります。頭痛の記録(いつ、どんなふうに痛むか、血圧の値、薬を使ったか)を持参すると、診察がスムーズに進みます。一度で結論が出ないこともありますが、記録を続けることで見えてくることが多いです。
治療
治療の柱は2つあります。ひとつは「血圧を適正な範囲に保つこと」、もうひとつは「頭痛のタイプに合った対処をすること」です。血圧が高い状態が続くと腦や心臓、腎臓の血管が少しずつ傷んでいくため、自覚症状がなくても血圧を整えることが大切です。同時に、頭痛が高血圧とは別の理由で起きている場合には、その頭痛に合わせた対応を行います。治療はひとりひとりの体質や生活に合わせて調整していくものです。
自宅でのセルフケア
- 家庭で血圧を測る習慣をつけ、朝と夜の値を記録する(測る前は数分安静に)
- 頭痛の記録をつける(日時、痛み方、場所、強さ、血圧、薬の使用、睡眠や食事)
- 塩分を控えめにする(汁物を少なく、加工食品や外食を減らす)
- 適正な体重を保つ
- お酒は量と頻度を減らし、休肝日をつくる
- たばこを吸わない(受動喫煙も避ける)
- 睡眠を十分にとり、寝不足や寝すぎを避ける
- 水分をこまめにとる(とくに暑い季節や高齢の方)
- 長時間の同じ姿勢を避け、肩や首をときどき動かす
- 痛み止めの使いすぎに注意し、使用回数を記録しておく
- ストレスをためこまず、自分に合った息抜きの時間をもつ
医療治療
高血圧に対しては、まず生活習慣の見直しを行い、それでも血圧が高い場合には医師の判断で降圧薬(血圧を下げる薬)を使うことがあります。薬の種類や量は、年齢、持病、腎臓の働き、副作用の出やすさなどを見ながら医師が調整します。自己判断で飲むのをやめたり量を変えたりすると血圧が乱れることがあるため、気になることがあれば医師や薬剤師に相談してください。頭痛については、緊張型頭痛か片頭痛かなどタイプに応じた対応を行います。痛み止めを頻繁に使うことで頭痛が増える「薬物乱用頭痛」を防ぐため、使用状況を一緒に確認しながら進めます。睡眠時無呼吸など別の原因が見つかった場合は、その治療も並行して行います。
手術が検討される場合
高血圧や頭痛の治療で手術が必要になることは多くありません。ただし、高血圧の原因がホルモンの病気や血管の狭さなどで、手術やカテーテル治療が有効と判断される場合や、頭痛の原因が脳の血管の病気(動脈瘤など)と分かった場合には、専門医のもとで治療の選択肢が検討されます。
この病気と共に生きる
血圧と頭痛を「見える化」することが、毎日を安心して過ごすコツです。朝起きてすぐと、夜寝る前など、決まった時間に血圧を測って記録しましょう。頭痛がしたときは、その日の血圧と睡眠、食事、ストレスをあわせてメモしておくと、パターンが見えてきます。記録は完璧でなくて大丈夫。「なんとなく続ける」ことが一番役に立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 測る時間を決めて、無理のない範囲で血圧を記録する
- 毎日の睡眠時間をできるだけ一定にする
- 休憩をこまめにとり、肩や首をほぐす
- カフェインやアルコールの量を意識する
- 急な温度変化を避ける(寒い浴室、暑い屋外など)
- 決まった時間に食事をとり、極端な空腹を避ける
- 受診のときは記録ノートとお薬手帳を持参する
食事と運動
食事では、塩分を控えめにすることが基本です。厚生労働省の目標では、成人の1日の食塩摂取量は男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満が目安とされています。汁物を1日1杯に、加工食品や外食を減らすだけでも変わります。野菜、果物、乳製品、魚、大豆製品をとり、バランスよく食べましょう。運動は、早歩きや軽いジョギング、水泳、サイクリングなど、息が少しはずむ程度の有酸素運動を、無理のない範囲で毎日少しずつ行うのがおすすめです。持病がある方や運動に不安がある方は、始める前に医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
頭痛が続くと「また痛くなったらどうしよう」と不安になり、それがストレスになって頭痛を呼びやすくなることがあります。血圧の数値に一喜一憂してしまう気持ちも自然なことです。一人で抱え込まず、家族や友人、かかりつけ医に話してみてください。気持ちの落ち込みや不安が長く続くときは、医療機関で相談することが大切です。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口や医療機関を頼ってください。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、生活習慣を整えることで高血圧を防いだり、進行をゆるやかにしたりすることは十分に可能です。とくに減塩、適正体重の維持、運動、節酒、禁煙、良質な睡眠は効果が期待できます。頭痛についても、睡眠や食事、ストレス管理を整えることで起こりにくくなることがあります。
ワクチン
高血圧や頭痛を直接防ぐワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎などの感染症は、体調を崩して血圧が乱れるきっかけになることがあります。対象となる方は、かかりつけ医と相談のうえで予防接種を検討してください。
検診プログラム
日本では、40〜74歳の方を対象とした特定健康診査(メタボ健診)で血圧測定が行われます。また、職場の健康診断や自治体の健診でも血圧を測る機会があります。健診を毎年受けることが、自覚症状のない高血圧を早く見つける一番の方法です。家庭用の血圧計でときどき測ってみることもおすすめです。
合併症
治療しない場合
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスクが高まる
- 心臓の病気(心筋梗塞、狭心症、心不全)のリスクが高まる
- 腎臓の働きが少しずつ落ちる(腎障害)
- 目の奥の血管が傷み、視力に影響することがある(網膜症)
- 血管がもろくなり、動脈瘤ができることがある
- もの忘れや認知機能の低下につながることがある
- 頭痛については、痛み止めの使いすぎによって頭痛が増えてしまうことがある
長期的な見通し
高血圧は長く付き合うことになることが多い病気ですが、きちんと血圧を整えれば、脳や心臓、腎臓への負担を大きく減らせることが分かっています。頭痛についても、タイプに合った対処と生活の工夫で、ずいぶん楽になる方がたくさんいます。数値が思うように下がらない時期があっても、あせらず記録を続けて医師と相談してください。小さな積み重ねが、将来の安心につながります。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.