長引く皮膚の真菌感染症-正しく知って、再発を防ぐ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
皮膚の真菌感染症(しんきんかんせんしょう)は、カビの一種である真菌が皮膚や髪、爪の表面にはえて起こる感染症です。赤み、かゆみ、かさつき、輪のような形の発疹などが現れ、長引くことがあります。日本人に多い水虫(みずむし)やたむしも、この真菌感染症の仲間です。
重要な事実
- 真菌は、汗で蒸れる足や股、頭皮などの温かく湿った場所を好みます。
- 接触や共有物によって人にうつることがありますが、手洗いや衛生習慣で予防できます。
- 感染を完全に治すには、症状がよくなっても医師に指示された期間、治療を続けることが大切です。
はい。皮膚の真菌感染症は、全国の皮膚科外来でも非常によく見られる一般的な病気です。特に水虫は、成人の多くが経験すると言われています。
子どもからお年寄りまで、誰でもかかる可能性があります。特に、汗をかきやすい体質の人、通気性の悪い靴や衣類をよく履く人、糖尿病などの持病がある人、免疫力が低下している人は、感染しやすく長引きやすい傾向があります。
症状
- 感染した場所から赤い線が腕や脚の中心に向かって伸びている
- 高熱(さむけを伴う)、意識がぼんやりする、呼吸が苦しいなど、全身状態が急に悪化する
- 皮膚の広い範囲に急に水ぶくれや強い腫れが出現する
- ⚠痛みや腫れがあり、赤みが急に広がって熱を持っている(細菌の二次感染が疑われる)
- ⚠持病の糖尿病などがあり、足の感染が急に悪化している場合
- ⚠免疫力が低下する病気や治療中で、発疹が急速に拡大する場合
一般的な症状
- かゆみを伴う赤い発疹や、輪の形に広がるカサカサした皮膚
- 足の指の間(特に第4指と第5指の間)が白くふやけ、むける
- 股の内側やひじ、ひざなどに、境目のはっきりした赤い斑(はん)ができる
- 爪が厚くなり、白や黄色に濁る(爪白癬)
- 頭皮のかさつきや、髪の毛が抜けて丸い脱毛斑ができる(頭部白癬)
原因
主な原因
- 白癬菌(はくせんきん)という真菌が、皮膚の表面のケラチンというたんぱく質を栄養に増えます。
- 感染している人や動物の皮膚、毛、フケなどに直接触れる
- 感染した人が使ったタオル、スリッパ、床、くし、帽子、寝具などを共有する
リスク要因
- 高温多湿の環境や、汗をかいたままの状態が続くこと
- 通気性の悪い靴や、締め付けの強い衣服を身につけること
- 糖尿病や免疫力に影響する病気があること
- 高齢のために皮膚のバリア機能や免疫の働きが弱っていること
- 肥満、または通気の悪い環境でのスポーツや仕事をしていること
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状が急速に悪化する場合
- 痛み、腫れ、発熱など、細菌感染を疑うサインがある場合
- 糖尿病など持病のある方で、特に足の感染が進行した場合
定期受診を予約すべき場合:
- かゆみや発疹が2週間以上続く場合
- 自己判断で市販の薬を使っても改善しない場合
- 家族やペットにも同じような症状がある場合
診断
診察では、まず皮膚の状態を明るい場所でよく観察し、いつから・どのように広がったかを詳しく聞きます。必要に応じて、皮膚のカケラを少し採取し、顕微鏡で真菌を探す検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 顕微鏡検査(KOHプレパラート検査):皮膚のカケラを特殊な液で処理し、真菌の形を直接観察します。
- 真菌培養検査:感染したカケラを培地に置いて菌を増やし、原因の種類を特定します。
- ウッド灯検査:特殊な紫外線を当てて、頭部白癬など一部の真菌感染で特有の蛍光色を観察します。
診察で予想されること
皮膚科の受診は、通常10〜15分程度で終わります。皮膚をこそげ取る検査は、少しひっかく程度の感じで、痛みはほとんどありません。結果は、顕微鏡検査なら当日、培養検査なら種類の判定に1~4週間ほどかかります。
治療
治療には、真菌を直接やっつける抗真菌薬(こうしんきんやく)を使います。症状の場所や広さ、経過に応じて、塗り薬と飲み薬を組み合わせます。根治には、症状が消えてからも約2~4週間(爪の場合は数か月)薬を続けることが必要です。医師の指示を守ってください。
自宅でのセルフケア
- 毎日シャワーや入浴で清潔にし、皮膚のしわや指の間をよく乾かす
- 通気性のよい靴下や下着を選び、毎日新しいものに替える
- タオル、シーツ、スリッパなどをこまめに洗濯・乾燥する
- 感染した部分を触った後は、手を石けんでよく洗う
- かゆくても強く掻かず、爪を短く切って皮膚を傷つけない
医療治療
医師が処方する塗り薬(クリーム、軟膏、液剤)や内服薬(かぜ薬のような形で飲む薬)を使います。薬は感染している皮膚の深さと面積に合わせて選ばれます。副作用や他の薬との飲み合わせを心配する場合は、処方時に医師や薬剤師に相談してください。また、市販の外用薬を使ってみたくなる場合は、まず薬剤師に相談してからにしましょう。
手術が検討される場合
手術が必要になることはほとんどありません。爪に深く感染し、薬だけでは治りにくい場合には、医療機関で爪の一部を切り取る処置(抜爪)を行うことがあります。これは治療の選択肢の一つであり、すべての場合に必要というわけではありません。
この病気と共に生きる
日々のケアでは、感染した皮膚を乾いた清潔な状態にしておくことが基本です。入浴後はタオルでこすらず、軽く押すようによく拭き取ります。爪を切るときは、感染した爪と健康な爪で道具を使い分けるか、使用後に消毒すると体の他の場所へ移すのを防げます。
生活習慣のアドバイス
- 靴は毎日同じものを使わず、少なくとも2足を交互に履いてよく乾かす
- ジム、温泉、プールなどの共有スペースでは、専用のスリッパやサンダルを使う
- ペットに脱毛や皮膚のかさつきが見られる場合は、動物病院での検査を検討する
- 床や浴室、バスマットはこまめに掃除・換気し、湿気をためない
食事と運動
真菌に直接作用する特別な食事はありません。バランスの良い食事と十分な睡眠で体の抵抗力を保つことが、治りを早め、再発を防ぐことにつながります。軽い運動やストレッチも血行を整え、皮膚の健康を助けます。
精神的健康と心の健康
長く続く皮膚の症状は、見た目が気になり、かゆみやにおいで眠れないこともあって、心に負担を感じることがあります。「人にうつさないか」「いつ治るのか」という不安を抱えるのは自然なことです。つらい気持ちが続く場合は、そのことを医師や看護師に話してみてください。話すだけでも安心できることがあります。
予防
はい。毎日の衛生習慣と、身の回りを乾燥・清潔に保つことで、真菌感染症はかなり予防できます。また、もし感染しても早めに受診して正しく治療することで、家族への感染を防ぐこともできます。
ワクチン
皮膚の真菌感染症を予防するワクチンは、現在ありません。予防の中心は衛生習慣と早期の受診です。
検診プログラム
特定の健康診断で真菌感染症だけを調べるスクリーニングは一般的ではありません。ただし、足や爪の変化に気づいたら早めに皮膚科で相談することが、悪化を防ぐうえでとても大切です。
合併症
治療しない場合
- 真菌がほかの部位に広がり、体・股・頭などに複数の病変ができる
- 爪の感染が進行し、爪が厚く変形して靴が履きにくくなったり、痛みが出る
- 掻き壊した傷から細菌(ブドウ球菌や連鎖球菌など)が入り、二次感染を起こす
- 免疫力が低下している人では、まれに真菌が血液中に入り全身に広がることがある
長期的な見通し
適切な治療を続ければ、皮膚の真菌感染症は多くの場合、数週間で消えます。爪に感染している場合は数か月かかることもありますが、治療を完遂すればやはり治ります。再発を防ぐには、治療後も足を清潔に保ち、通気性の良い靴や靴下を選んで、蒸れをためない生活習慣が効果的です。医師と一緒に続けることで、健康的な皮膚を取り戻せます。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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