長く続くいぼ痔(痔核)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
いぼ痔(痔核)は、肛門の内側や外側にある血管の塊が腫れて、いぼのようにふくらんだ状態です。長く続く(慢性の)いぼ痔は、症状が数週間以上続いたり、頻繁に再発したりするものを指します。多くの場合、便を出すときのいきみや、長時間座ることなどが原因で起こります。
重要な事実
- いぼ痔は非常に多くの人が経験する一般的な症状です。
- 多くの場合、生活習慣の見直しや家庭でのケアで改善します。
- 出血があるときは、他の病気の可能性も考えられるため、医師の診察を受けることが大切です。
いぼ痔はとてもよくある病気です。成人の約半数が一生のうちに一度は症状を経験すると言われています。長く続く場合もありますが、適切なケアで多くの人が改善します。
いぼ痔はどの年齢でも起こりますが、特に30~50歳代に多く見られます。妊娠中の女性、慢性的な便秘や下痢のある人、長時間座り仕事をする人、肥満の方などに多くみられます。
症状
- 大量の出血(便器が真っ赤になる、または血の塊が出る)
- 強い痛みで動けない、または意識がもうろうとする
- 出血に加えてめまいや立ちくらみがある
- ⚠いぼ痔の症状が急に悪化した、または新しい症状が出た
- ⚠出血が何日も続く、または量が増えている
- ⚠肛門の強い痛みや腫れがあり、座れない
一般的な症状
- 肛門の周りにできる柔らかいしこり
- 排便時の出血(便器に血が落ちる、トイレットペーパーに血がつく)
- 肛門のかゆみや痛み
- 肛門の違和感や、何かが出ている感じ
- 排便後の痛みや不快感
子供の症状
- 子どもでは、便秘が原因でいぼ痔になることがあります。
- 排便時の痛みや出血、肛門周りの赤みやかゆみが主な症状です。
- 子どもは症状をうまく伝えられないことがあるため、便秘や出血に気づいたら早めに医師に相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者では、加齢による組織の弱まりや便秘、長い座位などが原因で症状が出やすくなります。
- 出血があった場合、いぼ痔だけでなく大腸がんなどの可能性も考慮する必要があります。
- 痛みが強くなくても、気になる症状があれば医師の診察を受けましょう。
原因
主な原因
- 排便時の強い(長い)いきみ
- 慢性的な便秘や下痢
- 長時間座り続けること(特に固い便座)
- 妊娠や出産による圧迫
- 肛門周辺の筋肉の衰え
リスク要因
- 食物繊維の不足や水分摂取不足
- 重いものを持ち上げる作業
- 家族にいぼ痔の人がいる
- 肛門性交
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が止まらない、または非常に多い
- 強い痛みで日常生活ができない
- 排便のたびに出血する
定期受診を予約すべき場合:
- 症状が1週間以上続く、または繰り返す
- 肛門に触ると痛いしこりがある
- 便の色が黒い、または血が混じっている
- 原因不明の体重減少や疲れを伴う
診断
いぼ痔の診断は、医師による問診と肛門の診察で行われます。多くの場合、特別な検査は必要ありませんが、他の病気(大腸がんなど)を調べるために大腸内視鏡検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 視診:肛門の外側を目で見て、いぼの有無や状態を確認します。
- 触診:指を肛門に入れて、内側のいぼや異常を調べます。
- 肛門鏡検査:肛門鏡という器具を使って、肛門の内側を直接観察します。
- 大腸内視鏡検査:必要に応じて、大腸全体を調べる検査が行われることがあります。
診察で予想されること
診察は通常、数分で終わります。痛みを感じることがありますが、我慢できる程度です。検査前に医師がしっかり説明してくれます。結果はその場で伝えられることがほとんどです。
治療
いぼ痔の治療は、まず生活習慣の改善と自宅でできるケアが基本です。それでも改善しない場合に、医師による治療が行われます。長く続くいぼ痔でも、適切な治療で症状を和らげることができます。
自宅でのセルフケア
- 温かいお湯に座る(座浴):1日1~2回、10~15分程度、温めたお湯に腰までつかると、痛みや腫れが和らぎます。
- 冷やす:腫れが強いときは、清潔なタオルで包んだ保冷剤で冷やすと良いです。
- 排便時のいきみを避ける:無理に力を入れず、自然に出るまで待ちましょう。
- 刺激性の強い食べ物を控える:辛いものやアルコール、カフェインは症状を悪化させることがあります。
- 市販の坐薬や軟膏を使用する(医師に相談した上で)
医療治療
医師による治療には、ゴムで縛って血流を止める結紮術、薬剤を注射する硬化療法、赤外線やレーザーで焼く凝固療法などがあります。治療法は症状の程度や場所によって選ばれます。内服薬や外用薬(坐薬や軟膏)も使われることがありますが、具体的な薬剤名や使い方は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
長く続く重度のいぼ痔や、他の治療で効果が不十分な場合には、手術が検討されることがあります。手術にはいくつかの方法があり、入院が必要な場合と日帰りでできる場合があります。医師とよく相談して決めましょう。
この病気と共に生きる
長く続くいぼ痔と上手に付き合うには、日常生活での工夫が大切です。症状がなくても、予防の習慣を続けることで再発を防ぎやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- こまめに休憩をとり、長時間座り続けない。
- 排便は我慢せず、トイレに行きたくなったらすぐに行く。
- 排便後は優しく拭き、刺激の少ないトイレットペーパーを使う。
- 締め付けの強い下着やタイトなズボンを避ける。
食事と運動
食物繊維を多く含む野菜、果物、全粒穀物を積極的にとりましょう。水分は1日1.5~2リットルを目安にこまめに飲んでください。適度な運動(ウォーキングなど)は血液の流れを良くし、便秘の予防にもなります。
精神的健康と心の健康
長く続く症状や痛みは、ストレスや不安の原因になることがあります。また、恥ずかしい気持ちから受診をためらう方もいます。気分が落ち込んだり、眠れなくなったりしたら、一人で抱え込まずに医療機関や相談窓口に話を聞いてもらいましょう。
予防
いぼ痔は完全に予防することは難しいですが、以下の習慣でリスクを減らせます。
検診プログラム
いぼ痔のスクリーニング検査は特にありませんが、出血がある場合は、年に一度は便潜血検査(便に血が混じっていないか調べる検査)を受けると安心です。40歳以上の方は、職場や自治体の健康診断で便潜血検査が行われることが多いので、積極的に受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 痛みや出血が続くことで日常生活に支障をきたす
- いぼが大きくなり、肛門から完全に出たまま戻らなくなる(嵌頓)
- 血栓ができて強い痛みを伴う(血栓性外痔核)
- まれに、長期間の出血で貧血になることがある
長期的な見通し
いぼ痔は命に関わる病気ではありません。多くの人が適切な治療や生活習慣の改善で症状をコントロールでき、普段通りの生活を送っています。長く続く場合でも、あきらめずに医師に相談し、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月30日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。