精巣の痛みが長く続くとき(慢性精巣痛)について知ろう
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
精巣(精子を作る男性の器官)の痛みが長く続く状態を『慢性精巣痛』と呼びます。一般的に、3か月以上続く痛みを指します。原因がはっきりしないこともありますが、適切な診療を受ければ多くの場合で症状を改善できます。
重要な事実
- 精巣の痛みが3か月以上続くと『慢性精巣痛』とよばれることがあります。
- 原因には感染症、けが、血流のトラブルなどがあり、はっきりしないこともあります。
- 突然の激しい痛みは緊急のサインです。迷ったらすぐに119番で救急を呼びましょう。
けっして珍しい症状ではありません。男性が泌尿器科を受診するきっかけのひとつになっています。
思春期以降の男性に起こります。30〜50代で多く見られますが、どの年齢でも起こり得ます。
症状
- 突然の激しい痛みがある(精巣捻転という緊急の病気の可能性があります。すぐに119番へ)
- 痛みとともに吐き気やおう吐がある(すぐに119番へ)
- 精巣が急に腫れて赤くなっている(すぐに119番へ)
- ⚠痛みが3日以上続く(なるべく早く受診を)
- ⚠精巣にしこりや固い部分を触れる(早めに泌尿器科で)
- ⚠発熱や排尿時の痛みをともなう(尿路感染症の可能性があります。早めの受診を)
一般的な症状
- 片方または両方の精巣の鈍い痛み、重だるい感じ
- 立ちっぱなしや長く座っていると痛みが強くなる
- 精巣が少し腫れているように感じる
- 下腹部や腰まで重い痛みがひろがる
原因
主な原因
- 精巣捻転(精巣を支える血管の束がねじれて血流が止まる緊急の病気)
- 精巣上体炎(精巣のとなりにある管の炎症。細菌による感染症が主な原因)
- 精索静脈瘤(精巣の周りの静脈がふくれ、血流が滞る状態)
- 鼠径ヘルニア(ももの付け根の壁に穴があき、おなかの中の組織が飛び出す病気)
- けがや手術のあとに続く痛み
- 原因が特定できない痛み(慢性の痛みそのものが症状として続くこと)
リスク要因
- 激しい運動や股間まわりのけが
- 性感染症を含む感染症の経験
- 座りっぱなしの仕事や姿勢の偏り
- たばこを吸う習慣
- 強いストレスや不安を抱えている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、激しい痛みが始まった
- 精巣が急に腫れた、または赤くなった
- 精巣にしこりや硬い部分を感じる
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みが何日も続くが、緊急の症状はない
- 痛みが徐々に強くなっている
- 精巣の大きさや形の変化が気になる
診断
医師が痛みの様子を聞き、精巣やおなかまわりを診て、必要に応じて検査をします。『いつから痛いか』『どんなときに強くなるか』を伝えると、診断の手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 超音波検査(精巣や周りの血流を画像で確認する検査。痛みはありません)
- 尿検査(感染や出血の有無を調べる検査)
- 血液検査(体の中の炎症やホルモンの状態を調べる検査)
診察で予想されること
診察では、下着を脱いだ状態で精巣や周りを実際にさわって診ることがあります。不安であれば『緊張しています』と伝えてください。医師は理由を説明しながら診察をすすめます。
治療
治療は原因によって異なります。細菌感染には抗菌薬、血流のトラブルや構造的な病気には手術の検討、原因がはっきりしない慢性の痛みには痛みをやわらげるケアや薬による治療を行います。
自宅でのセルフケア
- 痛みが強い日は無理をせず横になって休む
- 温かいタオルで精巣まわりをやさしく温める(やけどに注意)
- サポート力のある下着を着け、動いているときの揺れを少なくする
- 痛みの強さや気になる変化をメモしておく
医療治療
細菌感染の場合は抗菌薬での治療を行います。慢性の痛みには、医師が処方する痛みをやわらげる薬や、神経の働きを整える薬、神経ブロックなどが検討されます。どの治療でも、かならず医師の指示にしたがって行いましょう。自己判断でやめたりせず、不安なことは必ず医師に相談してください。
手術が検討される場合
精巣捻転は、血流を早く戻すための緊急手術が必要です。精索静脈瘤や鼠径ヘルニア、精巣の腫瘍が原因の場合は、症状や経過に応じて手術が検討されます。手術の必要性やリスクは、担当医がていねいに説明します。
この病気と共に生きる
長く続く痛みと付き合っていくには、激しい動きや長時間の同じ姿勢を避け、休む時間をとることが基本です。入浴のときに精巣にしこりがないか確認し、変化があれば受診しましょう。痛みの記録をつけておくと、医師との相談もスムーズです。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
- ストレスは発散できる方法を見つける(散歩や趣味など)
- アルコールやたばこは控えめにする
- 気になる痛みは、パートナーや信頼できる人に話してみる
食事と運動
特別な食事療法はありませんが、野菜やたんぱく質を中心にしたバランスのよい食事を心がけましょう。ウォーキングなどの軽い運動は血流をよくし、痛みの軽減にも役立ちます。ただし、痛みが強いときは運動を休んでください。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みは、気分の落ち込みや不安、性機能や妊よう性(子どもを授かる力)への気がかりにつながることがあります。そのような気持ちは自然なことです。一人で抱え込まず、医師や看護師、カウンセラーなどに話してみてください。つらい気持ちが続くときは、地域のこころの健康相談窓口や、いのちの電話などの相談機関に連絡することもできます。
予防
すべての原因を予防できるわけではありません。しかし、スポーツのときに股間を守るプロテクターを使う、性感染症の予防を心がける、気になる症状があれば早めに相談する、といったことでリスクを減らせます。
合併症
治療しない場合
- 精巣捻転を放置すると、血流が戻らず精巣の機能を失うことがある
- 細菌感染の炎症が広がり、精巣まわりに膿(うみ)がたまることがある
- 精巣の腫瘍(できもの)を放置すると、症状が進行するリスクがある
- 慢性の痛みが長引くと、睡眠や仕事、心の健康にまで影響が出ることがある
長期的な見通し
精巣の痛みは、原因がわかれば適切な治療で改善を目指せます。原因がはっきりしない場合でも、痛みをやわらげる方法や生活の調整で、自分らしい日常を続けることができます。まずは一歩を踏み出し、医療者と一緒に解決策を探していきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。