男性不妊:片側に原因がある場合
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
不妊症とは、避妊をせずに1年間、パートナーと通常の性生活を続けているのに妊娠に至らない状態のことです。その原因が男性側にある場合を男性不妊と呼びます。「片側に原因がある」とは、精巣(睾丸)や精子の通り道など、左右どちらか片方の器官に問題があるものの、もう片方は健康に働いている状態を指します。たとえ片側に問題があっても、もう片方の精巣が十分な精子を作れていれば、自然に妊娠できる可能性があります。
重要な事実
- 精子は精巣で作られ、左右の精巣はそれぞれ独立して働いています。片側が弱っても、もう片方がカバーできることがあります。
- 主な原因には、精索静脈瘤(静脈のこぶ)、精子の通り道のつまり、停留精巣、感染症のあとなどがあります。
- 検査と治療の技術は進歩しており、男性側に原因がある場合でも、多くのカップルが子どもを持つことができます。
不妊の原因が男性側にもあるケースは、不妊に悩むカップルの約半数で見つかると言われています。その中で、片側だけに問題がある場合も珍しくありません。
おもに妊娠を考えている年齢の男性にみられます。停留精巣の手術をしたことがある方、おたふくかぜにかかったことがある方、性感染症や陰嚢のけが・手術の経験がある方は、注意が必要です。
症状
- 突然、陰嚢に強い痛みが現れた場合は、精巣捻転の可能性があります。すぐに119番に連絡してください。
- 陰嚢が突然激しく腫れ、高い熱が出る場合も、すぐに119番に連絡してください。
- 痛みに合わせて吐き気や嘔吐がある場合も、緊急の対応が必要です。
- ⚠陰嚢にしこりや硬い部分を触れる場合は、当日または翌日には医療機関を受診してください。
- ⚠1日以上続く陰嚢の痛みや腫れがある場合も、早めに受診してください。
- ⚠精巣の大きさや形が急に変わった場合も、医療機関に相談してください。
一般的な症状
- 自覚症状がないことがほとんどです。健康診断や不妊の検査で初めて気づくことも多いです。
- 陰嚢が重く感じたり、鈍い痛みがあったりすることがあります。
- 陰嚢の片側に、ミミズが絡まったような柔らかい血管のふくらみを触れることがあります。
- 片側の精巣が小さい、または精巣を触れないことがあります。
子供の症状
- 片方の精巣が陰嚢の中にない(停留精巣)。
- 陰嚢の左右の大きさが明らかに違う。
高齢者の症状
- 年齢とともに精子の数や運動率は自然に低下します。
- 前立腺や陰嚢の手術のあと、精液の量や質に変化が出ることがあります。
原因
主な原因
- 精索静脈瘤:精巣の血液を運ぶ静脈が太くなり、血液が逆流して精子を作る機能に影響します。多くは左側にできます。
- 精子の通り道のつまり:精巣上体や精管が感染症や手術の影響でふさがれると、精子が外に出られなくなります。
- 停留精巣:生まれつき片方の精巣が陰嚢まで下りていない状態です。放置すると精子を作る力が低下します。
- 精巣炎や精巣上体炎:おたふくかぜや性感染症などの感染症が原因になることがあります。
- けがや手術の影響:鼠径ヘルニアの手術などで精子の通り道を傷つけてしまうことがあります。
- 先天性の異常:生まれつき精管の一部がないなど、遺伝子に関わる問題が原因の場合もあります。
リスク要因
- 喫煙や過度の飲酒
- 筋肉増強を目的としたステロイド薬の使用
- 長時間の入浴や、サウナなど陰嚢を温めすぎる環境
- 性感染症にかかった経験
- 家族に不妊や遺伝性の病気がある場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 陰嚢にしこりや硬い部分を触れる場合
- 長引く陰嚢の痛みや腫れがある場合
- 突然の強い痛みがある場合は、待たずに119番へ
定期受診を予約すべき場合:
- 避妊せずに1年間、性生活を続けているのに妊娠しない場合
- パートナーの年齢が35歳以上の場合は、半年を目安に相談しましょう
- 停留精巣や陰嚢の手術の既往がある場合
- 性感染症にかかったことがある場合
診断
泌尿器科または生殖医療の専門外来で行います。問診と体の診察に加え、精液検査や超音波検査などを組み合わせて、原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 精液検査:精液の量や、精子の数・動き・形を調べます。2〜3日間の禁欲のあとに行います。
- 陰嚢超音波検査:ゼリーを塗った器具を陰嚢に当てて、精巣や血管の様子を画像で確認します。痛みはありません。
- 血液検査:男性ホルモンや、精子を作るために必要なホルモンの値を調べます。
- 遺伝子検査:必要に応じて、染色体や遺伝子の異常がないかを調べます。
診察で予想されること
まずは問診と診察から始まり、必要に応じて精液検査や血液検査を行います。精液検査は予約制のことが多く、結果が出るまでに数週間かかる場合もあります。パートナーと一緒に受診すると、その後の方針を話し合いやすくなります。
治療
治療は原因によって異なります。片側だけの問題であれば、健康なもう片方の働きを活かす方法を考えます。薬物療法、手術、そして人工授精や体外受精などの生殖医療を組み合わせて進めることが一般的です。
自宅でのセルフケア
- 禁煙し、飲酒は控えめにする
- 熱いお風呂に長くつかることや、サウナを避ける
- 締め付けすぎない、サポート力のある下着を身につける
- 適度な運動を続け、健康的な体重を保つ
- パートナーと話し合い、ストレスを一人で抱え込まない
医療治療
原因に応じて、ホルモンのバランスを整える治療、感染症があればその治療、精索静脈瘤や精子の通り道のつまりに対する手術などが検討されます。それでも改善しない場合は、体外受精や顕微授精などの生殖医療が選択肢となります。具体的な方法は、医師と十分に相談して決めましょう。
手術が検討される場合
精索静脈瘤がある場合や、精子の通り道がふさがっている場合、停留精巣がある場合は、手術が検討されることがあります。日帰りで受けられる手術も増えており、担当医に相談してみましょう。
この病気と共に生きる
不妊治療は時間がかかることもありますが、あせらずにパートナーと一緒に進めることが大切です。片側に原因があっても、自然妊娠の可能性はありますし、治療によって妊娠の可能性を大きく高められます。毎日の生活の中で、体と心の健康を大切にしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとる
- ストレスをためすぎない
- たばこをやめ、飲酒は控える
- 陰嚢を高温の環境に長時間さらさない
- 入浴時に睾丸を触って、しこりや変化がないか確認する習慣をつける
食事と運動
野菜や果物、魚、全粒穀物を中心にしたバランスのよい食事を心がけましょう。運動はウォーキングや軽いジョギングなど、続けやすい有酸素運動がおすすめです。過度なトレーニングはホルモンバランスを崩すことがあるため、ほどほどに行いましょう。
精神的健康と心の健康
不妊は「自分が原因かもしれない」という罪悪感や、不安・落ち込みを引き起こすことがあります。性的な自信にも影響することがありますが、これは決して特別なことではありません。気持ちをパートナーや医療者に話すことで、心が軽くなることが多くあります。
予防
遺伝や体の構造が原因の場合は、完全には予防できません。しかし、陰嚢をけがから守ること、感染症を早めに治療すること、喫煙や違法薬物を避けること、肥満を防ぐことは、精巣の健康を保つのに役立ちます。停留精巣は幼いころに手術をすることで、将来の不妊リスクを下げられます。
ワクチン
おたふくかぜは精巣炎を起こして精子作りに影響することがあるため、おたふくかぜの予防接種を受けておくことは、男性不妊の予防にも役立ちます。
検診プログラム
特に症状がなくても、毎月1回、入浴時に睾丸を触ってチェックすることをおすすめします。しこりや硬さ、大きさの変化を感じたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- パートナーとの間に子どもを授かりにくい状態が続く
- 原因が精巣の病気(腫瘍など)だった場合、発見が遅れると治療が難しくなることがある
- 不妊によるストレスや自信の低下など、心の健康に影響が出ることがある
長期的な見通し
片側だけに原因がある場合、もう片方の健康な精巣が十分に働いていることが多く、見通しは良好です。手術や生殖医療の進歩により、男性不妊でも子どもを持てる可能性は大きく広がっています。あきらめずに、専門医と一緒に最適な方法を探しましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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