夜間の肺炎
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
肺炎とは、肺の中に炎症が起こる病気です。炎症によって肺の中に膿(うみ)や液体がたまり、咳や発熱、呼吸の苦しさなどの症状が出ます。特に夜間に症状が悪化することがあり、「夜間の肺炎」と言われることがあります。
重要な事実
- 肺炎は空気中の細菌やウイルスが肺に入ることで起こります。
- 夜間は横になると痰がたまりやすく、咳がひどくなることがあります。
- 高齢者や持病がある方は重症化しやすいため注意が必要です。
肺炎は決して珍しい病気ではありません。日本では年間約10万人以上が肺炎で入院していると厚生労働省のデータで報告されています。特に冬から春にかけて多く見られます。
誰でもかかる可能性がありますが、特に65歳以上の高齢者、乳幼児、たばこを吸う方、糖尿病や心臓病などの持病がある方はかかりやすくなります。
症状
- 息ができずに苦しそう
- 唇や指先の色が紫色になる
- 意識がもうろうとしている
- 呼びかけに反応しない
- けいれんを起こしている
- ⚠38度以上の高熱が続く
- ⚠呼吸が苦しくて横になれない
- ⚠せきがひどくて夜も眠れない
- ⚠胸の痛みが強い
- ⚠水分が取れずに脱水症状が心配される
一般的な症状
- せき(特に夜間に悪化することが多い)
- たん(黄色や緑色の粘り気のあるたん)
- 発熱(38度以上の高熱が出ることが多い)
- 呼吸が苦しい、または息が切れやすい
- 胸の痛み(咳をすると痛む)
- 倦怠感(体がだるい)
- 食欲の低下
子供の症状
- 熱が高くてぐったりする
- 呼吸が速くなる(はあはあと息をする)
- 鼻の穴を大きく広げて呼吸する
- 咳がひどくて眠れない
- ミルクや食事を嫌がる
- 機嫌が悪くて泣き止まない
高齢者の症状
- 熱があまり高くなくても肺炎になることがある
- 意識がぼんやりする、反応が遅くなる
- 食欲が落ちて元気がない
- せきやたんが少ないこともある
- 呼吸が浅く速くなる
- 体の動きが鈍くなる
原因
主な原因
- 細菌(肺炎球菌やインフルエンザ菌など)が肺に入って炎症を起こす
- ウイルス(インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなど)が原因になる
- その他、真菌(カビ)や誤嚥(食べ物や唾液が気管に入る)によっても起こる
リスク要因
- 65歳以上の高齢
- 乳幼児(特に2歳未満)
- 慢性の肺疾患(COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息など)
- 心臓病、糖尿病、腎臓病などの持病
- 免疫を抑える薬の使用
- たばこを吸う
- 寝たきりや嚥下(えんげ)機能の低下
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 呼吸が苦しくて息ができない
- 意識がぼんやりしている
- 唇や爪が紫色になっている
定期受診を予約すべき場合:
- せきやたん、発熱が2~3日続く
- 夜間に症状が悪化して眠れない
- 市販薬を使っても改善しない
診断
医師が問診と身体診察を行い、聴診器で肺の音を聞きます。必要に応じて検査を追加して診断を確定します。
行われる可能性のある検査
- 胸部X線(レントゲン)検査:肺に影(炎症)がないかを確認
- 血液検査:炎症の程度や原因菌を調べる
- たんの検査(培養):原因となる細菌を特定
- パルスオキシメーター:血液中の酸素濃度を測定
診察で予想されること
診察では、いつから症状があるか、せきやたんの状態、熱の経過などを詳しく聞かれます。聴診器で背中や胸の音を聞くことがあります。検査は多くの場合、その日のうちに結果が出ることが多いですが、たんの培養などは数日かかることがあります。
治療
治療の主な柱は、原因となる病原体を抑える薬と、からだの症状を和らげるケアです。重症度に応じて、自宅での治療か入院が必要かが決まります。
自宅でのセルフケア
- 十分な休息と睡眠をとる
- こまめに水分を補給する(水やお茶、スープなど)
- 加湿器やぬれタオルで部屋の湿度を保つ(50~60%が目安)
- 頭を少し高くして寝ると呼吸が楽になる
- せきをした後は手洗いを徹底する
- たばこを吸わない(受動喫煙も避ける)
医療治療
原因が細菌の場合、抗菌薬(抗生物質)が使われます。ウイルスが原因の場合は、抗ウイルス薬が使われることもありますが、多くは対症療法(症状を和らげる治療)が中心です。重症の場合は酸素吸入や点滴治療が行われます。医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
手術が検討される場合
肺炎そのものに手術が必要になることはほとんどありません。ただし、肺炎が原因で胸に膿がたまる(膿胸)など合併症が起きた場合、ドレナージ(針で膿を抜く処置)や手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
肺炎からの回復には通常2~3週間かかります。焦らずにゆっくりと体を休めることが大切です。仕事や学校は医師の許可が出るまで休みましょう。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙する(加熱式たばこも含めすべてのたばこを避ける)
- 手洗い・うがいを習慣にする
- 人混みを避け、感染予防を心がける
- 部屋の換気を定期的に行う
- 規則正しい生活リズムを整える
食事と運動
栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特にたんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品)やビタミン類(野菜、果物)を積極的にとると回復を助けます。運動は、体力が戻るまでは軽い散歩程度に控え、息切れがあるときは中止してください。徐々に活動量を増やしていきましょう。
精神的健康と心の健康
肺炎の後はだるさが続いたり、せきが長引いたりして、気分が落ち込むことがあります。睡眠不足や不安を感じることもありますが、多くの人は時間とともに回復します。つらい気持ちは一人で抱えず、家族や医師に相談しましょう。
予防
肺炎は完全に予防することは難しいですが、リスクを大きく減らす方法があります。基本的な感染対策(手洗い・マスク・換気)と、抵抗力を高める生活習慣が重要です。
ワクチン
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなどの予防接種は、肺炎発症リスクを下げることができます。特に高齢者や持病のある方は、厚生労働省が推奨する定期接種を検討しましょう。
検診プログラム
特定の健診で肺炎だけを調べる検査はありませんが、年1回の健康診断や人間ドックで胸部X線を受けることで、早期に異常を発見できる可能性があります。
合併症
治療しない場合
- 敗血症(細菌が血液中に入り全身に広がる重い状態)
- 呼吸不全(肺の機能が低下して十分な酸素が取り込めなくなる)
- 胸膜炎や膿胸(肺の周りに炎症や膿がたまる)
- 重症化して集中治療が必要になる
長期的な見通し
多くの肺炎は適切な治療を受ければ1~2週間で症状は改善し、完全に回復します。高齢の方や持病がある方でも、早期に治療を始めれば予後は良好です。回復後は体力が戻るまで時間がかかることもありますが、焦らずに休んでください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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