高齢者の直腸出血
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
直腸出血(ちょくちょうしゅっけつ)とは、肛門(こうもん)や直腸(ちょくちょう)からの出血を指します。便器(べんき)の水に血が混ざったり、トイレットペーパーに血がついたり、便(べん)そのものに血が混ざることがあります。高齢者によく見られる症状ですが、原因は良性(良性:命に別状がないこと)の場合もあれば、注意が必要な場合もあります。
重要な事実
- 直腸出血は高齢者によく見られる症状ですが、多くは痔(じ)や裂肛(れっこう)などの良性の病気が原因です。
- 出血の色や量が原因の手がかりになります。鮮やかな赤い血は肛門や直腸の近くからの出血、暗い赤や黒っぽい血は大腸の奥からの出血を示すことがあります。
- 大腸がんなどの深刻な病気が隠れていることもあるため、医師の診察を受けることが大切です。
はい、高齢者ではよく見られる症状です。加齢とともに痔や大腸の病気が増えるためです。
主に50歳以上の人に多く見られます。特に、排便(はいべん:うんちをすること)の習慣が変わったり、便秘(べんぴ:うんちが出にくいこと)が続いている人に起こりやすいです。
症状
- 大量の出血(便器が真っ赤になるほど)
- めまいや立ちくらみ、意識がもうろうとする
- 激しい腹痛がある
- 出血が止まらない
- ⚠出血が数日続く
- ⚠体重が急に減った
- ⚠便の形が細くなった
- ⚠原因不明の貧血がある
一般的な症状
- 便に鮮やかな赤い血が混じる
- トイレットペーパーに血がつく
- 便器の水が赤くなる
- 肛門の痛みやかゆみを伴うこともある
高齢者の症状
- 出血の量が少なくても、大腸ポリープ(大腸の内側にできるいぼのようなもの)や大腸がんの可能性がある
- 貧血(ひんけつ:血液が足りなくなること)による疲れや息切れを感じることがある
- 痔や裂肛による出血が、がんと間違われることもある
原因
主な原因
- 痔(じ):肛門の血管が腫れて出血する
- 裂肛(れっこう):肛門の皮膚が切れて出血する
- 大腸憩室(だいちょうけいしつ):大腸の壁の一部が袋状に膨らみ、そこから出血する
- 大腸ポリープや大腸がんからの出血
- 炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん):大腸に炎症が起きて出血する病気
リスク要因
- 高齢(年をとること)
- 慢性的な便秘(長期間うんちが出にくいこと)
- 肥満(ひまん:体重が過剰なこと)
- 喫煙(きつえん:たばこを吸うこと)
- 大腸がんやポリープの家族歴(家族に同じ病気の人がいること)
- 食生活の偏り(野菜不足や脂っこい食事)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 出血が一度でも大量にある
- めまいや息切れを伴う
- 腹痛が強い
定期受診を予約すべき場合:
- 少量の出血が続く
- 出血があっても痛みがない
- 便の色や形に変化がある
- 年に一度の健康診断で異常を指摘された
診断
医師が問診(もんしん:症状や生活習慣を聞くこと)と診察を行います。必要に応じて、肛門や直腸の中を調べる検査をします。
行われる可能性のある検査
- 問診と触診(しょくしん:医師が指で肛門の中を調べる)
- 便潜血検査(べんせんけつけんさ:便に微量の血が混ざっていないか調べる検査)
- 大腸内視鏡検査(だいちょうないしきょうけんさ:カメラ付きの管を肛門から入れて大腸全体を見る検査)
- CT検査(CTけんさ:体の断面を撮影する検査)
診察で予想されること
診察は通常、外来で行われます。大腸内視鏡検査は前日から食事制限があり、検査時に軽い鎮静剤(ちんせいざい:リラックスする薬)を使うこともあります。痛みはほとんどありません。
治療
治療法は原因によって異なります。多くの場合は自然に治るか、簡単な治療で改善します。
自宅でのセルフケア
- 排便のときは強くいきまない
- おしりを清潔に保ち、ぬるま湯で洗う(座浴:ざよく)
- 水分を十分にとり、食物繊維(せんい)の多い食事を心がける
- 刺激の強い食べ物(辛いもの、アルコール)を控える
医療治療
痔や裂肛には、炎症を抑える外用薬(外用薬:皮膚に塗る薬)や軟膏が処方されることがあります。大腸ポリープは内視鏡を使って切除(切除:切り取ること)できることが多いです。炎症性腸疾患には、抗炎症薬や免疫調整薬などの内服薬が使われることがあります。ただし、具体的な薬の名前や用量は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
重度の痔や大腸がんなど、内視鏡や薬で治らない場合には、手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
出血が続く間は、パッドやおりものシートを使うと安心です。出血の色や量をメモしておくと、医師に伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 便秘を防ぐために、規則正しい生活を心がける
- 排便の習慣を一定にする(毎朝トイレに座るなど)
- 適度な運動(ウォーキングなど)を取り入れる
食事と運動
食物繊維を多く含む野菜、果物、全粒穀物(ぜんりゅうこくもつ:玄米やオートミールなど)を積極的に摂りましょう。水分は1日1.5~2リットルを目安に飲んでください。
精神的健康と心の健康
出血が続くと「がんなのでは」と不安になることがあります。その気持ちは自然です。診察や検査で原因がわかれば、安心につながります。必要なら医師やカウンセラーに相談してください。
予防
すべての原因を予防することはできませんが、便秘を防ぎ、健康的な食事と運動を続けることで、痔や裂肛のリスクは減らせます。
検診プログラム
厚生労働省は、40歳以上の方に年に一度の便潜血検査を推奨しています。便潜血検査で陽性(異常あり)の場合、大腸内視鏡検査を受けることで、大腸がんやポリープを早期に発見できます。
合併症
治療しない場合
- 貧血が進行して、疲れやすくなったり息切れがしたりする
- 大腸がんが進行する
- 出血量が多い場合はショック状態になる可能性がある
長期的な見通し
多くの場合、痔や裂肛など良性の病気が原因です。適切な診断と治療を受ければ、ほとんどの人は問題なく日常生活を送れます。大腸がんも早期発見・早期治療で治る可能性が高いです。心配なことは遠慮なく医師に相談してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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