片方の精巣の痛み・腫れ・しこり
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
精巣(睾丸)は、陰嚢(いんのう)の中にある左右一対の男性器です。その片側だけに痛み、腫れ、しこり、違和感などが現れる状態をまとめて「片方の精巣の異常」と呼びます。原因は命に関わらないものから緊急手術が必要なものまで幅広くあります。
重要な事実
- 片側の精巣にだけ症状が現れることが多い
- 突然の激しい痛みは精巣捻転(せいそうねんてん)の可能性があり、緊急処置が必要です
- しこりは精巣がんのサインであることもありますが、早期発見で治る可能性が高い病気です
- 多くの精巣の病気は、早めの受診と適切な治療で改善します
- 自己診断せず、泌尿器科の医師に相談しましょう
精巣の片側に症状が出ることは、泌尿器科を受診する男性にとって決して珍しくありません。年齢によってよくある原因は異なります。
乳児から高齢者まで、すべての年齢の男性に起こり得ます。精巣捻転は10代の男児・若い男性に多く、精巣がんは20〜30代に多い傾向があります。高齢者では感染症や鼠径ヘルニアが原因となることが多いです。
症状
- 突然、片方の精巣に激しい痛みが起こった
- 吐き気や嘔吐、冷や汗を伴う
- 精巣が引き上げられたような感覚がある
- 陰嚢が急に赤く腫れて触れないほど痛む
- これらの症状がある場合は、ためらわずに119番へ電話してください
- ⚠陰嚢が赤く腫れて熱を持っている(発熱を伴う)
- ⚠精巣にしこりを触れる
- ⚠痛みは我慢できるが数時間以上続く
- ⚠微妙な痛みや違和感が数日続く
- ⚠これらの症状がある場合は、当日中に医療機関に連絡してください
一般的な症状
- 片側の精巣の痛み(突然の激しい痛み、鈍い痛みなど)
- 陰嚢の腫れや赤み
- しこりや硬い部分に触れる
- 重だるい感じ、違和感
- 陰嚢が熱を持っている
子供の症状
- 言葉でうまく伝えられないため、不機嫌になったり泣き続けたりする
- 陰嚢を触られるのを嫌がる
- 片側の陰嚢が赤く腫れている
- 吐き気を伴う突然の腹痛を訴える
高齢者の症状
- 鈍い痛みや重だるさが続く
- 痛みを感じないまま片側の精巣が硬く腫れてくる
- 発熱や排尿時の痛みを伴うことがある
原因
主な原因
- 精巣捻転(精索という組織がねじれて血流が止まる)
- 精巣上体炎(精巣の後ろにある管の炎症)や精巣炎(おたふくかぜなどによる炎症)
- 精巣がん
- 精索静脈瘤(精巣の周りの静脈がふくらむ)
- 陰嚢水腫(陰嚢の中に水がたまる)
- 鼠径ヘルニア(腸の一部が陰嚢に飛び出す)
- 外傷(打撲など)
リスク要因
- 10代の男性(精巣捻転のリスクが高い)
- 20〜30代(精巣がんのリスクが高い)
- 精巣が陰嚢内で固定されていない状態(ベルクラッパー変形)
- 激しい運動や外的な衝撃
- 性感染症(クラミジアなど)
- 停留精巣の既往がある
- 精巣がんの家族歴がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の激しい痛みがある
- 吐き気や嘔吐がある
- 陰嚢が急に腫れて赤くなった
- 精巣にしこりを見つけた
定期受診を予約すべき場合:
- 鈍い痛みや違和感が続いている
- 精巣の大きさが変わった、または重だるさがある
- 痛みはないが、陰嚢が腫れている
- 発熱を伴うが、痛みは強くない
診断
泌尿器科では、まず症状やいつから始まったかを詳しく伺い、視診と触診で精巣や陰嚢の状態を確認します。必要に応じて超音波検査や血液・尿検査を行い、原因を調べます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の始まりや経過、痛みの性質)
- 視診・触診(腫れ、赤み、しこりの有無)
- 陰嚢超音波検査(エコーで精巣や血流の状態を見る)
- 尿検査・血液検査(感染症や腫瘍マーカーの確認)
診察で予想されること
診察は短時間で終わることが多く、超音波検査は痛みを伴いません。精巣捻転が疑われる場合は、そのまま手術の準備に入ることもあります。検査結果によって、治療の進め方を医師が説明します。
治療
治療は原因によって大きく異なります。精巣捻転は緊急手術が必要です。感染症は抗菌薬と安静で改善します。精巣がんの治療は手術を中心に、追加で抗がん剤や放射線治療を行います。まずは正確な診断が最も大切です。
自宅でのセルフケア
- 強い痛みがあるときは、激しい動きを避けて安静にする
- 陰嚢を下着で支えると痛みが和らぐことがある
- 腫れがあるときは、冷たいタオルを当てて冷やす(氷を直接肌に当てない)
- 入浴はぬるめにして、長時間の浴槽を避ける
- 自己判断せず、医師の指示に従う
医療治療
細菌感染による炎症には抗菌薬を使用します。痛みや腫れには抗炎症薬を短期間使うことがありますが、具体的な薬や用量は医師が決めます。精巣がんの場合は、手術による精巣摘出後、がんの種類や進行度に応じて抗がん剤治療や放射線治療を行います。
手術が検討される場合
精巣捻転は発症から早い時間(多くの場合6時間以内)に手術でねじれを戻せば精巣を温存できる可能性が高くなります。精巣がんの標準治療は、片側の精巣を摘出する手術です。鼠径ヘルニアや精索静脈瘤でも、症状によっては手術が検討されます。
この病気と共に生きる
治療後は、定期的な通院と自己検診を続けることが大切です。片方の精巣を摘出しても、残った精巣があれば男性ホルモンの分泌や性機能はほとんど保たれることが多いです。肝心の妊よう性(妊娠しやすさ)には影響が出ることもあるため、将来子どもを望む場合は治療前に医師と相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休養をとり、ストレスをためない
- 喫煙や過度の飲酒を控える
- 性感染症を防ぐため、コンドームを適切に使う
- 陰嚢を圧迫するようなきつい服装は避ける
食事と運動
バランスのよい食事と適度な運動で免疫力を保ちましょう。治療後は、医師の許可が出るまで激しい運動や重い物を持ち上げる作業は控えてください。回復後は、ウォーキングなどから徐々に再開することをおすすめします。
精神的健康と心の健康
精巣の病気は、からだの外見や性機能、将来の子どもに関わることから、不安や気持ちの落ち込みを感じることもあります。つらい気持ちを一人で抱え込まず、パートナーや家族、医師に話してください。必要に応じて、カウンセリングや精神科医のサポートを受けることも選択肢です。
予防
精巣の病気を完全に予防することはできませんが、性感染症の予防や陰嚢の外傷を避けること、毎月の自己検診で異常を早く見つけることが大切です。停留精巣は早期に治療することで精巣がんのリスクを下げられる場合があります。
ワクチン
おたふくかぜは精巣炎を起こすことがあるため、おたふくかぜワクチン(MMRワクチン)の接種が予防に役立ちます。日本では定期接種の対象となっています。詳しくは医師に確認しましょう。
検診プログラム
毎月1回、入浴時などを利用して精巣を鏡で見て、両手で優しく触れて、しこりや大きさの変化がないか確認しましょう。痛みがなくても硬いしこりを触れたら、すぐに泌尿器科を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 精巣捻転を放置すると、精巣が壊死して摘出しなければならなくなることがある
- 精巣がんは放置すると、リンパ節や肺などに転移する可能性がある
- 感染症が慢性化すると、精巣や精管に障害が残り不妊につながることがある
- 鼠径ヘルニアの場合、腸がはまり込んで緊急手術が必要となるリスクがある
長期的な見通し
精巣の異常は、多くの場合、早期発見と適切な治療で改善が見込めます。精巣がんは進行しても現代の治療で治る可能性が高い病気です。精巣捻転も早い処置で精巣を守れることが多いです。たとえ片方の精巣を失っても、生活の質は大きく損なわれません。まずは医師に相談し、希望を持って治療に取り組みましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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