睾丸の腫れ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
精巣(睾丸)の腫れは、片方または両方の精巣が大きくなる状態です。けがや感染症、精巣の周りに液体がたまるなど、さまざまな原因で起こります。腫れの形や痛みの有無によって原因が異なりますが、早めに医師の診察を受けることが大切です。
重要な事実
- 精巣の腫れの多くは良性(がんではない)ですが、なかには緊急処置が必要なものもあります。
- 精巣捻転(精巣がねじれること)は数時間以内に治療が必要な緊急事態で、放置すると精巣を失う可能性があります。
- 若い男性に多い精巣腫瘍は早期発見で治療成功率が高い病気です。
はい、精巣の腫れは男性なら誰でも経験する可能性がある比較的一般的な症状です。原因によって頻度は異なりますが、泌尿器科を受診する理由としてよくある症状です。
新生児から高齢者まで、すべての年齢の男性に起こりますが、原因は年齢によって異なります。例えば、精巣捻転は10代に多く、精巣腫瘍は20~40歳、前立腺肥大に関連した症状は高齢者に多くみられます。
症状
- 突然の強い精巣の痛み(すぐに119番に電話してください)
- 吐き気や嘔吐を伴う激しい痛み
- 陰嚢の皮膚が赤黒く変色している
- 高熱(38度以上)を伴う精巣の腫れ
- ⚠痛みが続く、または次第に強くなる
- ⚠腫れが急に大きくなった
- ⚠吐き気や発熱はないが、我慢できないほどの痛みがある
一般的な症状
- 片方の精巣が腫れて大きくなる
- 重だるい感じや違和感
- 痛み(鈍い痛みから激しい痛みまで)
- 精巣の表面が硬く感じる、またはしこりがある
- 陰嚢(精巣を包む袋)が赤くなる、熱を持つ
子供の症状
- 泣き続ける、機嫌が悪い
- 精巣をさわられるのを嫌がる
- 吐いたり、嘔吐する(特に精巣捻転の場合)
- 陰嚢の片側が青黒く見える
高齢者の症状
- 痛みが少なく、徐々に大きくなる腫れ
- 陰嚢に水がたまって(精巣水瘤)圧迫感がある
- 鼠径部(脚のつけ根)に違和感を伴う腫れ(鼠径ヘルニアの可能性も)
- 尿の出が悪い、頻尿を伴うこともある
原因
主な原因
- 精巣捻転:精巣を支える索がねじれて血流が遮断される緊急事態です。
- 副睾丸炎(精巣上体炎):細菌やウイルス感染で副睾丸が腫れます。性感染症が原因になることもあります。
- 精巣水瘤:精巣の周りに液体がたまり、水風船のように腫れます。多くは無痛です。
- 精索静脈瘤:精巣に血液を送る静脈がふくらみ、陰嚢のつけ根の部分が腫れます。ほとんどが痛みを伴いません。
- 鼠径ヘルニア:腸の一部が鼠径管を通って陰嚢に落ち込むと腫れます。
- 精巣腫瘍:精巣にできるがん性のしこりです。痛みがなく、硬く触れることが多いです。
- けが(外傷):打撲や圧迫による内出血や腫れ。
リスク要因
- 年齢(精巣捻転は10代、精巣腫瘍は20~40代に多い)
- 停留精巣(生まれつき精巣が陰嚢に下りていない)
- 過去の精巣腫瘍や精巣炎の既往
- 性感染症に感染している
- 重い物を持ち上げる仕事やスポーツ(ヘルニアのリスク)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然の強い痛みがある場合(すぐに救急外来へ)
- 腫れとともに発熱や吐き気がある場合
- けがの後に腫れが急に大きくなった場合
定期受診を予約すべき場合:
- 痛みはないが、しこりや腫れが数日以上続く場合
- 陰嚢に違和感や重だるさがある場合
- 自分で精巣を触って、硬い部分や形の変化を感じた場合
診断
医師が問診と診察を行い、腫れの状態や痛みの有無、全身の症状を確認します。その後、必要に応じて画像検査や血液検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 視診・触診:陰嚢や精巣を直接観察し、さわって硬さや形を調べます。
- 超音波(エコー)検査:精巣や周囲の構造を画像で確認します。捻転や腫瘍、水瘤の診断に有用です。
- 尿検査・血液検査:感染症の有無や炎症の程度を調べます。腫瘍が疑われる場合は腫瘍マーカーを測定します。
診察で予想されること
診察は通常、泌尿器科の外来で行います。まず症状や経過を詳しく聞かれ、次に生殖器の診察があります。少し緊張するかもしれませんが、医師はプライバシーに配慮しながら診察します。超音波検査は痛みがなく、15分程度で終わります。結果はその場である程度分かることが多く、必要な治療や経過観察について説明があります。
治療
治療法は原因によって大きく異なります。感染症には抗菌薬(抗生物質)が、捻転や腫瘍には手術が必要です。水瘤や静脈瘤は経過観察でよいこともあります。すべての治療は医師の指示に従って行ってください。
自宅でのセルフケア
- 安静にして、腫れた部分を冷やす(ただし、捻転が疑われる場合は冷やさずにすぐ受診)
- きつい下着を避け、サポーターなどで精巣を軽く支える
- 痛みがある場合は無理に動かさず、安静を心がける
- 性行為は感染症治療中は控える(医師の指示に従う)
医療治療
感染症による腫れ(副睾丸炎など)には、原因となる細菌に対する抗菌薬を飲みます。炎症を抑える薬(非ステロイド性抗炎症薬)が併用されることもあります。薬の種類や飲み方は医師が症状に合わせて処方しますので、自己判断で市販薬を服用しないでください。腫瘍が疑われる場合は、手術で精巣を摘出した後、抗がん剤治療などを行うことがあります。
手術が検討される場合
精巣捻転は緊急手術が必要です。発症から6時間以内の手術で精巣を救える確率が高くなります。精巣腫瘍も手術で精巣を摘出します。鼠径ヘルニアや大きな水瘤、痛みの強い静脈瘤も手術の対象になります。
この病気と共に生きる
治療後も、毎月1回程度、精巣の自己触診(自分でさわって確認すること)を習慣にするとよいでしょう。異常を感じたら早めに医師に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 毎月の自己触診を続ける(入浴時などリラックスした状態で)
- 感染症予防のため、性行為の際はコンドームを使用する
- 重い物を持ち上げる際は腰や脚の力を使い、正しい姿勢を心がける
- 股間を保護するスポーツサポーターを使用する(スポーツ時のけが防止)
食事と運動
特に制限はありませんが、バランスのよい食事と適度な運動を心がけましょう。精巣腫瘍の治療後は体力が落ちることがあるので、医師と相談しながら徐々に運動を再開してください。
精神的健康と心の健康
精巣の腫れやその治療は、男性にとって心理的な負担になることがあります。特にがんの可能性や性機能への影響を心配する方は少なくありません。不安や悩みは一人で抱えず、医師やカウンセラーに相談しましょう。必要であれば、精神保健の専門家や患者支援団体のサポートを受けることもできます。
予防
すべての原因を予防することはできませんが、早期発見やリスクを減らすことができます。毎月の自己触診で異常に早く気づくことが大切です。また、性感染症予防や外傷防止で一部の原因を減らせます。
検診プログラム
毎月1回の精巣の自己触診が推奨されます。特に10代~40代の男性は習慣にするとよいでしょう。また、過去に精巣腫瘍の治療を受けた方は、医師の指示に従って定期的な画像検査や血液検査を受けてください。
合併症
治療しない場合
- 精巣捻転を放置すると、精巣の壊死(組織が死ぬこと)を起こし、摘出が必要になることがあります。
- 感染症が慢性化すると、精巣や副睾丸に長期間の痛みや腫れが続くことがあります。
- 精巣腫瘍を放置すると、がんがほかの臓器に転移する可能性があります。
- 鼠径ヘルニアが嵌頓(かんとん:腸が戻らなくなること)すると、腸閉塞や壊死を起こし緊急手術が必要です。
長期的な見通し
ほとんどの精巣の腫れは適切な治療で改善し、後遺症なく治ります。精巣捻転は早期治療で精巣を温存できる確率が高いです。精巣腫瘍も早期発見と最新の治療で治癒率が非常に高い病気です。定期的な自己触診と、気になる症状があれば早めに医師に相談することで、多くの問題は解決できます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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