高齢者の喉の渇き
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
高齢者の「のどが渇く」という症状は、体内の水分が不足しているサインであることが多いです。若い頃と比べて、のどの渇きを感じにくくなるため、気づかないうちに脱水(体内の水分が足りなくなること)になるリスクが高まります。この症状は、糖尿病(血糖値が高くなる病気)や薬の影響など、別の健康問題が原因で起こることもあります。
重要な事実
- 加齢とのどの渇きを感じるセンサーが弱くなるため、水分不足に気づきにくい。
- 高齢者は体内の水分量が減りやすく、脱水や熱中症のリスクが高い。
- のどが異常に渇く(多飲)場合は、糖尿病や腎臓病、薬の副作用が隠れている可能性がある。
はい、高齢者ではよく見られる症状です。65歳以上の約20~30%が、ある時点で強いのどの渇きを経験すると言われています。また、慢性的な軽度の脱水状態にある高齢者も少なくありません。
主に65歳以上の高齢者に影響します。特に、複数の薬を服用している人、糖尿病や腎臓病などの持病がある人、認知症で水分を十分に摂れない人がリスクが高いです。
症状
- 意識がもうろうとしている、または呼びかけに反応しない
- けいれん(ひきつけ)が起きている
- 体温が高い(40度以上)のに汗をかいていない(熱中症の可能性)
- 脈が速くて弱い、血圧が急に下がった
- ⚠強いのどの渇きがあるのに水分をまったく受け付けない(吐いてしまうなど)
- ⚠尿がほとんど出ない、または12時間以上排尿がない
- ⚠一日中ぐったりして、食事や水分がまったく取れない
- ⚠下痢や嘔吐が続き、水分を補えない
一般的な症状
- のどがひどく渇く(常に水を欲する)
- 口の中や唇が乾く
- 尿の量が増える、または濃い色の尿が出る
- 皮膚のつまみが戻りにくい(脱水の兆候)
- 疲れやすい、だるい
子供の症状
- この記事は高齢者を対象としています。小児の症状については小児科医にご相談ください。
高齢者の症状
- のどの渇きを感じにくいため、自分から水を飲まなくなる
- 尿の回数が増えたり、夜中に何度もトイレに起きる
- 便秘(便が硬く出にくい)が悪化する
- 立ちくらみやふらつき(血圧が下がるため)
- 認知機能の低下(ぼんやりする、混乱する)
原因
主な原因
- 脱水:発汗や下痢、嘔吐、利尿薬(尿を出す薬)の使用などで水分が失われる
- 糖尿病:血糖値が高いと体が水分を尿として排出しようとするため、のどが渇く
- 薬の副作用:利尿薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などが口の乾きや多飲を引き起こす
- 腎臓病やホルモンの異常(例:尿崩症)により尿が大量に出る
リスク要因
- 年齢が75歳以上
- 複数の薬を服用している(特に利尿薬やアレルギー薬)
- 糖尿病や腎臓病、心不全などの慢性疾患がある
- 暑い環境にいる、または十分な水分を摂らずに外出する
- 認知症や嚥下障害(飲み込みが難しい)で水分を取れない
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自分で水分を補えないほど体調が悪い
- 尿がほとんど出ない、または血尿が出る
- 意識がぼんやりする、または普段と違う行動がある
- 急に体重が減った(数日~1週間で2~3kg以上)
定期受診を予約すべき場合:
- のどの渇きが数週間続く、または悪化している
- 口の渇きが強いために食事がしづらい、話しづらい
- 糖尿病や腎臓病の診断を受けている場合、定期的な受診が必要
- 服用している薬(特に利尿薬)がのどの渇きの原因かもしれないので医師に相談する
診断
医師はまず、症状の経過や服用中の薬、生活習慣を詳しく尋ねます。必要に応じて、脱水の程度を調べるための身体検査(皮膚の状態や血圧測定など)や血液検査、尿検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査:血糖値(糖尿病の有無)、電解質(ナトリウムやカリウム)、腎機能(クレアチニン)を調べる
- 尿検査:尿の濃さや糖の有無を確認
- 体重測定:急な体重減少がないか確認
- 口渇テスト:一定時間水分を制限して、のどの渇きと尿の変化を調べる(専門医で行う場合あり)
診察で予想されること
診察では、医師がのどの渇きがいつから、どのくらいの頻度で起こるか、他にどんな症状があるかを聞きます。血液や尿の検査は痛みはほとんどなく、結果はその日か数日後にわかります。安心して質問してください。
治療
治療は原因によって異なります。多くの場合、適切な水分補給が基本です。糖尿病や腎臓病が原因なら、その病気の治療を優先します。薬の副作用が疑われる場合は、医師が別の薬に変更することもあります。
自宅でのセルフケア
- こまめに水分を摂る:目安として1日1.2~1.5リットル(コップ6~8杯)を、一度に大量ではなく少しずつ
- 水分の種類:水や麦茶、スポーツドリンク(糖分に注意)を選ぶ。カフェインやアルコールは避ける(脱水を進める)
- 食事から水分を摂る:スープ、果物(西瓜やみかん)、ゼリーなども水分補給になる
- 室内の温度と湿度を調整:エアコンや扇風機を使い、乾燥しすぎないようにする
- のどが渇く前に飲む習慣をつける:特に起床時、入浴後、就寝前は忘れずに
医療治療
原因に応じた治療が行われます。糖尿病の場合、血糖値をコントロールするための飲み薬やインスリンなどの治療が検討されます。薬の副作用が疑われる場合、医師は種類や量を調整することがあります。脱水が重度の場合は、病院で点滴(血管から直接水分や電解質を補う)が必要になることもあります。
手術が検討される場合
通常、のどの渇きそのものが手術の対象になることはありません。ただし、根本的な病気(例:脳下垂体の腫瘍が原因の尿崩症など)に対して手術が必要な場合は、専門医の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
のどの渇きを感じにくくなっても、決まった時間に水分を摂るように心がけましょう。例えば、朝起きたらコップ1杯、昼食と夕食の前後に各1杯など。冷たい水だけでなく、温かいお茶やスープも良い方法です。飲み込む力が弱い場合は、とろみをつけた飲み物を使うと安全です。
生活習慣のアドバイス
- 寝室に水の入ったコップを置き、夜中に目が覚めたら飲む習慣をつける
- 外出時は必ず飲み物を持ち歩く
- 入浴前後には必ず水分を補給する
- エアコンや加湿器で室内の湿度を50~60%に保つ
食事と運動
食事は水分の多い野菜(きゅうり、トマト、レタスなど)や果物を積極的に取り入れましょう。スープや味噌汁も良い水分源です。運動は無理のない範囲で、散歩やストレッチなど軽いものを続けることで血流が良くなり、体内の水分バランスも整いやすくなります。ただし、運動前後には必ず水分補給を。
精神的健康と心の健康
のどが渇き続けると、イライラしたり不安になったりすることがあります。また、脱水が進むと思考がぼんやりし、気分が落ち込みやすくなることも。心配なときは、家族や友人に相談したり、かかりつけ医に気持ちを伝えましょう。
予防
多くの場合、予防は可能です。特に日頃からこまめな水分補給を習慣にすること、のどの渇きを感じる前に飲むこと、暑い日や体調が悪いときは特に注意することで予防できます。糖尿病や腎臓病がある方は、その治療をきちんと続けることが予防につながります。
ワクチン
直接予防するワクチンはありませんが、インフルエンザや肺炎のワクチンを接種しておくと、感染症による発熱や下痢(脱水の原因)を防ぐ効果が期待できます。
検診プログラム
定期的な健康診断で、血糖値や腎機能をチェックすることが早期発見に役立ちます。特に糖尿病の検査は重要です。
合併症
治療しない場合
- 脱水症:めまい、立ちくらみ、失神、熱中症
- 尿路感染症や腎臓結石(尿が濃くなるため)
- 便秘や消化器系の不調
- 血液の濃縮により血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスク上昇
- せん妄(急な混乱や意識障害):特に高齢者で起こりやすい
長期的な見通し
早期に対処すれば、ほとんどの場合症状は改善します。のどの渇きを感じたら、まずは水分補給を試みてください。原因が病気であっても、適切な治療と生活習慣の見直しで、健康な日々を続けることができます。かかりつけ医と一緒に、自分に合った水分管理の方法を見つけましょう。
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地域の団体
- 厚生労働省 健康情報サイト · 日本
- 日本老年医学会 · 日本
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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