下痢の受診目安
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
下痢(げり)とは、便が柔らかくなったり水っぽくなった状態で、通常より回数が多くなることを指します。多くの場合、腸の感染症が原因で起こります。
重要な事実
- 下痢は非常に一般的で、多くの人が一生に何度か経験します。
- ほとんどの下痢は数日以内に自然に治ります。
- 下痢の最大のリスクは脱水(体内の水分不足)です。特に子どもや高齢者では注意が必要です。
- 適切な水分補給が回復の鍵です。
はい、下痢は非常に一般的な症状です。日本でも年間を通じて多くの人が経験します。
下痢はすべての年齢層で起こりますが、特に小さな子ども、高齢者、免疫力が低下している人、そして海外旅行者に多く見られます。
症状
- 意識がもうろうとしている、または呼びかけに反応しない
- 激しい腹痛が続く
- 便に大量の血が混じる、または真っ黒な便
- 高熱(40度以上)が続く
- 重度の脱水が疑われる(尿がまったく出ない、口が極度に乾く、皮膚をつまんでも戻らない)
- けいれんが起きる
- このような症状がある場合は、すぐに119番に連絡してください。
- ⚠下痢が2日以上続く(大人の場合)
- ⚠乳幼児や高齢者で下痢が1日以上続く
- ⚠37.5度以上の発熱がある
- ⚠血便や粘液便が見られる
- ⚠中等度の脱水が疑われる(口が乾く、尿の量が少ない、立ちくらみがある)
- ⚠免疫が弱っている人(がん治療中、ステロイド服用中など)
- ⚠これらの症状がある場合は、当日中に医療機関を受診してください。
一般的な症状
- 水っぽい便や軟便が1日に3回以上出る
- お腹の痛みやけいれん(はりつめるような痛み)
- 吐き気や嘔吐
- 発熱(37.5度以上の熱)
- 便に血や粘液が混じる(注意が必要)
子供の症状
- 機嫌が悪く、ぐずる
- おむつかぶれがひどくなる
- 口が渇いている(唇や舌が乾く)
- 泣いても涙が出ない
- 目がくぼむ
- おしっこの回数が減る(6時間以上おむつが濡れない)
- ぐったりして元気がない
高齢者の症状
- 脱水症状が出やすい(口の渇き、尿の色が濃い、立ちくらみ)
- 意識がぼんやりする
- 筋力低下やふらつき
- 食欲不振
- 慢性的な疾患(糖尿病や心臓病)がある場合、症状が悪化しやすい
原因
主な原因
- ウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
- 細菌感染(サルモネラ菌、カンピロバクターなど)
- 寄生虫感染(まれですが、旅行者下痢の原因になることがあります)
- 食中毒(汚染された食べ物や水を摂取した場合)
- 薬の副作用(特に抗生物質)
- 食物アレルギーや不耐症(乳糖不耐症など)
- ストレスや不安
リスク要因
- 手洗いを十分に行っていない
- 生ものや加熱不十分な食品を食べる
- 海外旅行(特に衛生状態が悪い地域)
- 免疫力が低下している(高齢、病気、薬の影響など)
- 集団生活(保育園、学校、高齢者施設など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 前述の緊急症状(意識障害、激しい腹痛、大量の血便、高熱、重度の脱水)がある場合
- 下痢が乳幼児や高齢者で1日以上続く場合
- 免疫が弱っている人に下痢が出た場合
- 海外旅行中または帰国後に下痢が出た場合
定期受診を予約すべき場合:
- 下痢が軽度で、水分がとれており、発熱や血便がない場合でも、3日以上続くなら受診してください。
- 慢性的な下痢(4週間以上続く)は、医師に相談しましょう。
- 定期的な健康診断で便検査を受けるのも良いでしょう。
診断
医師は、まず症状や経過を詳しく聞きます(問診)。その後、お腹の診察や脱水の程度を確認します。必要に応じて便検査や血液検査を行います。
行われる可能性のある検査
- 便検査(細菌やウイルス、寄生虫の有無を調べます)
- 血液検査(炎症の程度や脱水の状態を調べます)
- 腹部エコー(必要に応じて腸の状態を確認します)
診察で予想されること
医師の診察では、下痢の始まった日、便の回数や性状(色、硬さ、血の有無)、発熱や腹痛の有無、最近の食事や旅行歴、服用中の薬などを詳しく聞かれます。診察は通常短時間で終わりますが、必要に応じて追加の検査が行われることもあります。
治療
下痢の治療の基本は、水分と電解質(体内のミネラル)を補給することです。ほとんどの下痢は自然に治るため、薬は必ずしも必要ありません。細菌感染が疑われる場合には抗生物質が使われることがありますが、ウイルス性の下痢には効果がありません。
自宅でのセルフケア
- 経口補水液(OS-1など)やスポーツドリンクをこまめに飲む
- 水やお茶だけより、塩分と糖分を含む飲み物が効果的です
- 消化の良い食事(おかゆ、うどん、バナナ、リンゴのすりおろしなど)をとる
- 脂肪分や乳製品、繊維の多い食品は避ける
- カフェインやアルコールは控える
- 手洗いを徹底し、家族への感染を防ぐ
医療治療
医師は、脱水がひどい場合には点滴を行うことがあります。また、原因が細菌と判明した場合には、適切な抗生物質が処方されます。ただし、ウイルス性の下痢や軽度の下痢には抗生物質は推奨されません。下痢止めの薬(止痢薬)は、細菌感染の場合に症状を悪化させる恐れがあるため、医師の指示なしに使わないでください。整腸剤(プロバイオティクス)は、腸内環境を整えるために使われることがありますが、効果には個人差があります。
手術が検討される場合
下痢によって手術が必要になることは通常ありません。ただし、虫垂炎(盲腸)や腸閉塞など、下痢と似た症状を起こす他の病気が原因の場合には、手術が必要になることがあります。その場合は医師が適切に説明します。
この病気と共に生きる
下痢の間は、無理をせず自宅で安静に過ごしましょう。トイレに近い場所で過ごし、こまめに水分補給を続けてください。仕事や学校は、症状が治まるまで休むことをおすすめします。
生活習慣のアドバイス
- 下痢が続く間は、消化の良い食事を心がけてください。
- お腹を冷やさないように、温かい服装や腹巻きを使うと良いでしょう。
- 十分な睡眠と休息をとり、体の回復を助けてください。
- タオルや食器は家族と別にして、感染を防ぎましょう。
食事と運動
下痢の急性期には、運動は控えて安静にしてください。食事は、おかゆ、豆腐、白身魚、バナナなど、脂肪が少なく消化しやすいものから始めましょう。症状が良くなったら、徐々に普通の食事に戻していきます。激しい運動は、脱水を悪化させる恐れがあるため、完全に回復するまでは避けてください。
精神的健康と心の健康
下痢が続くと、トイレの心配で外出をためらったり、不安やストレスを感じることがあります。特に慢性的な下痢(過敏性腸症候群など)の場合、生活の質に影響が出ることもあります。そのようなときは、一人で悩まずに医師や薬剤師に相談してください。
予防
下痢の多くは、感染予防策で防ぐことができます。手洗いの徹底、食品の安全な取り扱い、生水を避けることなどが有効です。また、海外旅行先では、生ものや氷を避けるなどの注意が必要です。
ワクチン
ロタウイルスワクチンは、乳幼児の重症な下痢を予防するために日本でも定期接種の対象となっています。また、コレラや腸チフスのワクチンは、特定の地域への渡航前に検討されることがあります。詳しくは医師に相談してください。
検診プログラム
下痢そのものをスクリーニングする検査は通常ありません。ただし、海外渡航後や慢性的な下痢がある場合は、健康診断や便検査を受けることが推奨されることがあります。
合併症
治療しない場合
- 脱水(体内の水分不足): 特に子どもや高齢者では急速に進行し、重症化することがあります。
- 電解質異常(ナトリウムやカリウムのバランスが崩れる): 不整脈やけいれんの原因になることがあります。
- 栄養不良: 長期にわたる下痢では、栄養の吸収が妨げられることがあります。
- 二次感染: 免疫力が低下している人では、他の感染症を引き起こしやすくなります。
長期的な見通し
大多数の下痢は、適切な水分補給と休息で数日以内に改善します。重篤な合併症はまれで、必要な医療を受けられれば、ほとんどの人は完全に回復します。慢性の下痢(過敏性腸症候群など)でも、適切な治療と生活習慣の見直しで症状をコントロールできます。希望を持って、医師と協力しながら対処しましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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