骨密度検査(DEXA・DXA検査)とは
概要
骨密度検査(DEXAまたはDXA検査)は、骨の丈夫さを測る検査です。正式には「二重エネルギーX線吸収測定法(にじゅうエネルギーエックスせんきゅうしゅうそくていほう)」といい、2種類の弱いX線を使って、骨にどれくらいカルシウムなどのミネラルが詰まっているか(骨密度)を調べます。注射も痛みもなく、ベッドに寝ているだけで終わる検査です。結果は「骨がどのくらい丈夫か」の目安になり、骨折の危険が高いかどうかを考える材料になります。
重要な事実
- 痛みがなく、服を着たまま(金属のない服装で)10〜20分ほど横になるだけの検査です。
- 使うX線の量はごくわずかで、ふつうの胸部レントゲンより少ない程度といわれています。
- 結果は「Tスコア」という数値で表され、若い人の平均と比べて骨密度がどのくらいかを示します。
とてもよく行われている検査です。骨粗鬆症(こつそしょうしょう=骨がもろくなり骨折しやすくなる病気)が心配される人には、日本でも広く行われています。自治体の健康診査や、かかりつけ医の判断で受けることができます。
閉経後の女性、高齢の方、長くステロイド薬を使っている方、身長が縮んできた方、ちょっとしたことで骨折した経験のある方などが主な対象です。女性は男性より骨密度が下がりやすく、特に閉経後に急速に低下することがあります。
症状
- 転倒や軽い衝撃のあと、足の付け根や腰が激しく痛み、立つことができない(骨折の可能性)。
- 背中や腰の激痛に加えて、足のしびれや力が入らない、尿や便が自分で出せない(神経が圧迫されているサインの可能性)。
- 骨折した可能性があり、痛みが強く動かせない、患部が大きく腫れている。
- ⚠軽くぶつけただけなのに、痛みが数日続いて良くならない。
- ⚠急に身長が縮んだ気がする、背中が急に曲がった。
- ⚠食事がとれない、体重が減り続けている。
一般的な症状
- 検査そのものには症状はありません。骨密度が下がっても、多くの場合しばらくは自覚症状がありません。
- 気づかないうちに背中や腰が痛くなることがあります。
- 身長が少しずつ縮んだ、背中が丸くなってきたと言われることがあります。
- 立ち上がる時や重いものを持つ時に腰が痛むことがあります。
- 転んだだけで手首や足の付け根を骨折しやすくなることがあります。
子供の症状
- 子どもでは、通常この検査を行うことはほとんどありません。
- 小児科の医師が必要と判断した場合(長期間の薬の使用や、繰り返す骨折などがある場合)に限って行われることがあります。
- 成長期の子どもは骨密度の基準値が大人と異なるため、結果の読み方も大人とは違います。
高齢者の症状
- 身長が数センチ縮んだ、姿勢が前かがみになったと感じる。
- 少しの段差や転倒で骨折したことがある。
- 腰や背中に、動くと強くなる痛みが続く。
- 歩くのが遅くなった、外出を控えるようになった。
- 食べる量が減った、日光に当たる時間が短くなった。
原因
主な原因
- 加齢:年を重ねると骨をつくる働きより壊す働きが勝ちやすくなります。
- 閉経:女性ホルモン(エストロゲン)が減ると、骨密度が下がりやすくなります。
- 薬の影響:ステロイド薬などを長期間使うと骨がもろくなることがあります。
- 病気の影響:甲状腺や副甲状腺、腎臓、消化管の病気で骨に影響が出ることがあります。
- 栄養不足:カルシウムやビタミンD、たんぱく質が足りない状態が続くこと。
- 運動不足と日光不足:骨に刺激が伝わらず、ビタミンDがつくりにくくなります。
- 喫煙・飲みすぎ:どちらも骨密度を下げる方向に働きます。
リスク要因
- 閉経後の女性、または60歳以上の方
- 家族に骨粗鬆症や足の付け根の骨折をした人がいる
- やせている(体格が小さい)
- ステロイド薬などを長期間使っている
- 転びやすい(筋力の低下、視力の低下、ふらつき、住まいの段差)
- 喫煙習慣がある、お酒を多く飲む
- 運動習慣がほとんどない、外に出る時間が少ない
- 骨折の経験がある(特に50歳以降)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 転倒後に立てない、歩けないほどの痛みがあるとき
- 背中や腰の激痛に、足のしびれや排尿障害を伴うとき
- 骨折したまま放置している可能性があるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 50歳を過ぎて、骨密度検査を受けたことがない
- 閉経した、または閉経が近い
- 身長が縮んだ、背中が丸くなってきたと言われた
- ステロイド薬などを長く使っている、または使い始める予定がある
- 親や兄弟が骨粗鬆症、または足の付け根を骨折した
- 転びやすい、つまずきやすいと感じる
- 食事や運動、日光に当たる習慣について相談したい
診断
骨密度検査は、決まった機械で腰の骨(腰椎)と足の付け根の骨(大腿骨頸部)を測るのが一般的です。結果はTスコアという数値で表され、一般的には「-1以上なら正常範囲」「-1より低く-2.5より高いと骨量減少(骨密度がやや低い状態)」「-2.5以下だと骨粗鬆症が強く疑われる」という目安で読まれます。ただし数値だけでなく、年齢や骨折の経験、転びやすさなども合わせて総合的に判断されます。
行われる可能性のある検査
- DEXA(DXA)検査:2種類の弱いX線で骨密度を測ります。腰と足の付け根を測ることが多いです。
- 血液検査:カルシウム、ビタミンD、副甲状腺ホルモン、腎臓の働きなどを調べ、骨密度が下がる原因がないかを確認します。
- レントゲン検査:背骨がつぶれていないか(圧迫骨折)、骨折がないかを確認します。
- 骨折リスクの評価:年齢や骨折歴、生活習慣などを合わせて、将来の骨折の危険を考えます。
- かかとなどで測る簡易的な骨密度測定:健診などで使われることがありますが、正確な診断にはDEXA検査が用いられます。
診察で予想されること
検査着または金属の付いていない服に着替え、ベッドに仰向けになります。腰と足の付け根を測る場合は10〜20分ほどで終わります。痛みはなく、終わったらふつうに日常生活を送れます。妊娠中または妊娠の可能性がある方は、事前に必ず担当者に伝えてください。結果の説明では、数値の意味と、次に何をすればよいかを一緒に確認すると安心です。
治療
骨密度検査の結果は「治療が必要かどうか」を決めるための材料です。数値が低くても、まずは食事・運動・転倒予防といった生活の見直しから始めることが多く、骨折の危険が高いと判断された場合には、医師の判断で骨を丈夫にする治療が検討されます。治療は「骨折を防ぐこと」を目標に行われます。
自宅でのセルフケア
- カルシウム(牛乳・乳製品、小魚、大豆製品、青菜)とビタミンD(魚、きのこ)、たんぱく質を毎日の食事に取り入れる。
- 1日15〜30分ほど、日光を浴びながら外を歩く。
- かかとに体重がかかる運動(ウォーキング、軽い階段の上り下り)を無理のない範囲で続ける。
- 筋力を保つ運動(椅子からの立ち座り、軽いスクワット)を習慣にする。
- たばこを控え、お酒はほどほどにする。
- 家の中の段差やコード、滑りやすい床を見直し、夜間の照明を明るくする。
- 浴室や階段に手すりを付ける、滑りにくいマットを使うなど、転ばない工夫をする。
- 飲んでいる薬(特にステロイド薬など)は自己判断でやめず、医師・薬剤師に相談する。
医療治療
骨折の危険が高いと判断された場合、医師の判断で「骨が壊されるのを抑える働きの薬」や「骨をつくるのを助ける働きの薬」などが検討されます。薬には飲み薬、注射などいくつかの種類があり、骨の状態や持病、生活スタイルに合わせて選ばれます。どの治療が合うか、始めるべきかどうかは、検査結果と骨折の危険をふまえて医師と相談して決めてください。ビタミンDやカルシウムの補充が勧められることもあります。
手術が検討される場合
骨折をしてしまった場合、骨のずれや状態によっては手術が必要になることがあります。背骨がつぶれる骨折(圧迫骨折)で痛みが強い場合にも、状態に応じて処置が検討されます。手術が必要かどうかは整形外科の医師が画像や全身状態をみて判断します。
この病気と共に生きる
骨密度が低いとわかっても、多くの方はふつうの日常生活を続けられます。大切なのは「転ばないこと」と「骨を丈夫に保つこと」の2つです。検査結果の数値にとらわれすぎず、できることを一つずつ増やしていくのがおすすめです。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の歩行など、無理のない運動を続ける。
- 家の中の動線を整え、つまずきの原因(コード、カーペットの端、物の置き方)を取り除く。
- 階段や浴室に手すりをつけ、夜は足元を明るくする。
- 視力の確認を定期的に行う(見えにくいと転びやすくなります)。
- 必要な骨密度検査や健診の時期を、かかりつけ医と決めておく。
- 急に腰や背中が痛くなったら我慢せず、早めに受診する。
食事と運動
食事は、カルシウムだけでなくビタミンDとたんぱく質を一緒にとることが大切です。例えば、朝に牛乳かヨーグルト、昼か夜に魚ときのこを使った料理、大豆製品を1日1回、といった組み合わせが続けやすいでしょう。運動は、かかとに体重がかかるウォーキングと、椅子からの立ち座りのような筋力運動を組み合わせると効果的です。痛みがあるときや持病があるときは、無理をせず医師や理学療法士に相談してください。
精神的健康と心の健康
「骨がもろいと言われて不安」「転ぶのが怖くて外出を控えてしまう」という気持ちは自然なものです。不安で動かなくなるほど筋力が落ち、かえって転びやすくなることもあります。心配なときは一人で抱えず、かかりつけ医や家族、地域の相談窓口に話してみてください。気持ちがつらい状態が続く場合は、医療機関で相談することが助けになります。
予防
骨密度の低下は、完全に防ぐことはできなくても、遅らせたり骨折の危険を減らしたりすることはできます。若い頃からカルシウムとビタミンDをとり、よく体を動かし、日光を浴びることが「骨の貯金」になります。年を重ねてからでも、運動と食事の見直し、転倒予防の工夫で十分に効果が期待できます。
ワクチン
骨粗鬆症や骨密度の低下を防ぐワクチンはありません。
検診プログラム
日本では、自治体の健康診査の一環として骨粗鬆症検診が行われている地域があります(対象年齢や内容は地域によって異なります)。また、閉経後の女性や骨折の経験がある方などは、かかりつけ医に相談して骨密度検査を受けることが勧められます。厚生労働省も、骨折予防のための取り組みや生活習慣の見直しについて情報を提供しています。お住まいの自治体の案内や、かかりつけ医にご確認ください。
合併症
治療しない場合
- 骨がもろくなり、転倒や軽い衝撃で骨折しやすくなります。
- 足の付け根の骨折は、入院や長いリハビリが必要になることがあります。
- 背骨がつぶれる骨折(圧迫骨折)で、背中の痛みや身長の低下、姿勢の変化が起こることがあります。
- 痛みや不安から外出が減り、筋力が落ちて、さらに転びやすくなる悪循環が生じることがあります。
- 骨折をきっかけに、日常生活の動作が不自由になることがあります。
長期的な見通し
骨密度が低いと告げられても、多くの方は適切な生活の見直しと必要な治療で、骨折の危険を減らしながら元気に暮らしています。骨は少しずつでも丈夫にすることができます。検査を受けて今の状態を知ることは、これからの生活を守るための前向きな一歩です。
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最終更新: 2026年11月3日
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