血糖値の検査(血液で血糖を測る検査)
概要
血糖値の検査は、血液の中に含まれるブドウ糖(血糖)の量を測る検査です。ブドウ糖は、体を動かすための大切なエネルギーになります。ただ、多すぎても少なすぎても体に負担がかかるため、ふだんは体の仕組みがうまく調整しています。この調整がうまくいっているかどうかを確かめるのが、血糖値の検査です。検査は主に、糖尿病(血糖が高い状態が続く病気)の早期発見や、治療の経過を見るために行われます。健康診断でもよく行われ、採血だけで済むことがほとんどです。
重要な事実
- 血糖値の検査は、腕の静脈から採血する方法と、指先に小さな針を刺して少量の血を採る方法があります。
- 検査の前は「何時間絶食するか」を医療機関から指示されることが多く、空腹時血糖を測る場合は水以外を控えるのが一般的です。
- 一度の検査結果だけで診断が決まるわけではなく、別の日の再検査や、HbA1c(過去1〜2か月の血糖の平均を反映する値)などを組み合わせて総合的に判断します。
- 血糖値が高い状態が長く続いても、はっきりした症状が出ないことが多いため、定期的な健診での確認が役立ちます。
- 結果の意味や次に何をするかは、必ず医療機関で説明を受けてください。
はい、とてもよく行われる検査です。健康診断や特定健診の基本項目に含まれていることが多く、多くの人が人生のどこかで一度は受けています。
年齢を問わず、誰でも受ける可能性のある検査です。特に、家族に糖尿病の人がいる方、体重の増加が気になる方、運動不足の方、40歳以上で健診を受ける方、妊娠中や妊娠を考えている方、医師から血糖の確認をすすめられた方が対象になりやすいです。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が弱い、けいれんしている
- 呼吸が速く深い、息が苦しい、口から果物のような甘いにおいがする
- 強いおなかの痛みと嘔吐が続き、水分もとれない
- 冷汗、動悸、強い震え、ろれつが回らないなど低血糖を思わせる症状があり、自分で糖分をとれない、またはとっても改善しない
- このようなときは、すぐに119番へ連絡してください。
- ⚠強いのどの渇きと多尿が急に始まった
- ⚠嘔吐やおなかの痛みが続く
- ⚠体重減少がはっきりしている
- ⚠足の傷ややけどが赤く腫れて膿んでいる
- ⚠視界のかすみが急に出てきた
一般的な症状
- 血糖値の検査は、症状があるからではなく、健康診断などで症状がないときに行われることも多いです。
- のどが異常に渇く、水をよく飲む
- トイレに行く回数が増える、夜中に何度も起きて尿をする
- だるい、疲れやすい、集中しにくい
- 食事量は変わらないのに体重が減る
- 目のかすみ、傷が治りにくい、皮膚のかゆみ
- 食後に強い眠気が出る
子供の症状
- おしっこの回数が増える、夜のおねしょが急に戻る
- のどが渇いて水をたくさん飲む
- 元気がなくなる、遊びたがらない
- 体重が増えない、あるいは減る
- おなかの痛みや吐き気で元気がないときは、早めに受診してください。
高齢者の症状
- 高齢の方では症状が出にくく、のどが渇いたと感じないこともあります。
- なんとなく元気がない、食欲が落ちた、体重が減った
- 脱水ぎみになる、皮膚や口の中が乾く
- 感染症(かぜや尿路の感染など)にかかりやすく、治りにくい
- 認知症やうつと見分けがつきにくい変化が見られることがあります。
原因
主な原因
- この検査は「原因を探すための検査」であると同時に、「血糖が高い・低いという状態の原因を探す」検査でもあります。
- 血糖が高くなる主な理由には、インスリン(血糖を下げるホルモン)が十分に働かない、または分泌が減る状態があります。
- 血糖が低くなる理由には、食事をとらないまま長時間すごす、強い運動、アルコールの飲みすぎ、一部の薬の影響、体調不良などがあります。
- 肝臓や膵臓(すいぞう)の病気、感染症、強いストレスでも血糖は変動します。
- 検査の前の食事や運動、睡眠不足、体調でも数値は動くため、結果は一日の状態だけで決めつけられません。
リスク要因
- 家族(親やきょうだい)に糖尿病の人がいる
- 体重が増えている、特におなか周りに脂肪がついている
- 運動する習慣が少ない
- 40歳以上である
- 妊娠中、または妊娠したことがある(妊娠糖尿病の既往を含む)
- 高血圧、脂質の異常、脂肪肝などを指摘されたことがある
- 睡眠不足や夜勤が多い、喫煙の習慣がある
- 医師から血糖に影響する可能性のある薬を処方されている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 意識がもうろうとする、けいれんする、呼吸が速く深い
- 強いのどの渇き、多尿、嘔吐、おなかの痛みが同時に起きた
- 冷汗や動悸、強い震えが止まらず、自分で対処できない
- 足の傷が赤く腫れて痛む、膿が出る、熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や特定健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘された
- のどの渇き、多尿、体重減少、だるさが続いている
- 家族に糖尿病の人がいて、自分の状態を確認したい
- すでに治療中で、次の検査の時期が来た
- 妊娠を考えている、または妊娠中で血糖について相談したい
診断
血糖値の検査は、医療機関で採血して行うのが基本です。指先に小さな針を刺して数秒で結果が出る簡易な測定器が使われることもあります。検査の目的によって、食事をとっていない状態で測る「空腹時血糖」、食事の時間に関係なく測る「随時血糖」、食後2時間の値をみる「経口ブドウ糖負荷試験」、そして過去1〜2か月の血糖の平均を反映する「HbA1c」を組み合わせます。結果は複数の項目と症状、これまでの経過を合わせて医師が判断します。
行われる可能性のある検査
- 空腹時血糖(一定時間食べずに測る血糖値)
- 随時血糖(食事の時間に関係なく測る血糖値)
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:過去1〜2か月の血糖の平均をみる値)
- 経口ブドウ糖負荷試験(決まった量のブドウ糖を飲んで、時間ごとに血糖を測る検査)
- 尿糖・尿ケトン体(おしっこに糖やケトン体が出ていないかを見る検査)
- 必要に応じて、肝臓・腎臓・脂質・甲状腺などの血液検査や血圧測定
診察で予想されること
検査の種類によって準備が変わります。空腹時血糖を測る場合は、前の夜から8〜10時間ほど食べずに来るよう指示されることが多く、水は飲んでよい場合が一般的ですが、必ず医療機関の指示に従ってください。処方されている薬がある場合は、検査前に飲んでよいかを必ず医師や薬剤師に確認してください。採血は数分で終わり、軽い痛みのほかは通常すぐに日常に戻れます。結果が出るまでの時間は検査の種類によって異なり、後日説明を受けることもあります。
治療
血糖値の検査は、それ自体が治療ではありません。結果をもとに、必要なら生活習慣の見直しや、医療機関での定期的なフォローが始まります。値が正常範囲でも、年齢や体調に応じて定期的な確認を続けることが大切です。治療が必要な場合も、食事・運動・睡眠といった毎日の積み重ねが中心になります。
自宅でのセルフケア
- 検査の前日は、指示された時間から食べずに、水分は適度にとる
- 検査前の激しい運動や深酒は避け、いつもどおりの睡眠を心がける
- 処方されている薬は、自己判断で中止せず、必ず医療機関に確認する
- 結果の用紙は保管し、次の健診や受診のときに見せられるようにする
- 数値だけで一喜一憂せず、体重・血圧・睡眠・食事の記録とあわせて見る
医療治療
結果に応じて、医師は生活習慣の見直しをすすめたり、定期的な血液検査で経過をみたりします。必要と判断された場合は薬による治療が検討されますが、薬の種類や量、始める時期は、年齢・持病・腎臓や肝臓の状態などを踏まえて医師が個別に決めます。自分に合う方法は一人ひとり違うため、気になることは遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
血糖値の検査そのものに手術は関係しません。ただし、手術や入院の前には血糖の確認が行われることが多く、その場合は医療機関の指示に従ってください。
この病気と共に生きる
血糖値と上手につきあうコツは、完璧を目指さず、続けられる小さな習慣を選ぶことです。検査の日だけでなく、ふだんの食事・運動・睡眠のリズムを整えることが、結果を落ち着かせる近道になります。記録をつけておくと、体調の変化に気づきやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 朝・昼・夜の食事の時間をできるだけ一定にする
- 主食は抜かずに、量と組み合わせを意識する
- 週に数回でも、早歩きなど息が少しはずむ運動を取り入れる
- 睡眠時間を確保し、夜更かしを減らす
- 禁煙を心がけ、お酒は適量にする
- 健診や受診の予定をカレンダーに書き、忘れないようにする
- 体重を定期的に測り、急な変化に気づいたら相談する
食事と運動
食事は、野菜やたんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)を組み合わせ、よくかんでゆっくり食べると、食後の血糖の上がり方がゆるやかになりやすいといわれています。甘い飲み物を水やお茶に置きかえるだけでも違いが出ることがあります。運動は、ウォーキングや軽い筋力運動を無理のない範囲で続けるのがおすすめです。持病がある方や高齢の方は、運動の強さを医師に相談してから始めてください。
精神的健康と心の健康
検査の結果を待つ間や、数値を指摘されたときは、不安や落ち込みを感じるのが自然なことです。糖尿病とともに生活する方は、気分の落ち込みや「もう無理だ」と感じることもあります。そうした気持ちは一人で抱えず、医療者や家族に話してください。つらい気持ちが続く場合や、自分を傷つけたい気持ちが浮かぶ場合は、ためらわず地域の相談窓口や医療機関に連絡してください。身の危険が迫っていると感じたら119番へ。あなたは一人ではありません。
予防
血糖値が高くなるタイプの多くは、生活習慣と関係があり、日々の工夫でリスクを下げられる可能性があります。特に2型(生活習慣と関係が深いタイプ)では、体重を少し減らす、運動を続ける、睡眠を確保することが役立つといわれています。すべてを一度に変える必要はありません。できるところから始めましょう。
検診プログラム
日本では、40〜74歳の加入者を対象とした特定健診で血糖値やHbA1cの検査が行われます。それ以外の年齢でも、家族歴や体重の変化など気になる点があれば、かかりつけ医に相談して検査を検討できます。健診の結果は保管し、毎年比べてみることが早期発見につながります。
合併症
治療しない場合
- 血糖が高い状態が長く続くと、手足のしびれや痛み(神経の障害)が起きることがあります。
- 目への影響(見えにくくなる)や腎臓への負担が出ることがあります。
- 血管が傷つき、心臓や脳の病気のリスクが高まることがあります。
- 傷や感染症が治りにくくなることがあります。
- 血糖が低すぎる状態を放置すると、意識がもうろうとするなど危険な場合があります。
- ただし、これらは検査をきっかけに早めに気づき、適切なフォローを受けることでリスクを減らせます。
長期的な見通し
血糖値の検査は、今の体の状態を知るための前向きな一歩です。結果が気になるものでも、それは「これからどうするか」を考える材料であり、すぐに取り返しがつかないという意味ではありません。食事・運動・睡眠を少しずつ整え、医療機関と一緒に経過を見ていくことで、多くの方は落ち着いた状態を保てます。不安があれば、次の受診で遠慮なく質問してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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