視野検査ってどんな検査?——見える範囲を調べる検査のやさしい説明
概要
視野検査とは、目を動かさずにまっすぐ前を見ているときに、どの範囲まで、どんなふうに見えているかを調べる検査です。ここでいう「視野」は、視力のように「どれだけ細かく見えるか」ではなく、「どれだけ広く見えているか」を指します。検査はふつう片目ずつ行い、見えている場所と見えにくい場所を地図のように記録します。緑内障(眼圧などが関係して視神経が少しずつ傷つき、見える範囲が狭くなっていく病気)では、かなり進むまで自分では気づきにくいため、この検査がとても大切になります。視野検査は「病気そのもの」ではなく、目の状態や脳の視覚に関わる部分の働きを確かめるための検査です。
重要な事実
- 痛みはなく、ふつう片目ずつ10〜30分ほどで終わる検査です。
- まっすぐ前の目印を見たまま、視野のいろいろな場所に光が出たときにボタンを押して知らせます。
- 見えにくい場所(暗点)の位置や広がりを、地図のような結果として記録します。
- 緑内障の診断や、病気の進み具合の確認によく使われます。
- 疲れや集中力、検査の慣れによって結果が少し変わることがあるため、何回か受けて比べることが大切です。
視野検査は、眼科ではとてもよく行われる基本的な検査のひとつです。日本では40歳以上の方の緑内障が身近な病気とされ、健康診断や眼科健診で視野検査をすすめられることもあります。特別な検査というより、目の健康を確認するための日常的な検査だと考えてよいでしょう。
緑内障が疑われる方、眼圧が高いと言われた方、家族に緑内障の方がいる方、視神経の病気が疑われる方、頭痛や脳の病気が心配される方、網膜の病気(網膜色素変性症など)のある方などが受けます。また、運転免許の更新で視野の確認が必要な方、仕事で細かい視界が必要な方が受けることもあります。年齢を問わず受ける検査ですが、40歳を過ぎると受ける機会が増えます。
症状
- 突然、視野の半分(右半分または左半分)が見えなくなった、または両方の目で片側だけ見えにくい(脳卒中の可能性があります)——すぐに119番へ。
- カーテンが下りてくるように、視野の一部が急に欠けた(網膜剥離の可能性があります)——すぐに救急へ。
- 目が激しく痛み、同時に見えにくくなった。
- 視力が急に大きく落ちた、または目の前が急に真っ暗になった。
- ⚠数日〜1週間のうちに、見える範囲の欠けが広がっている気がする。
- ⚠視野の一部がぼやける、ゆがむといった変化が続いている。
- ⚠頭痛や吐き気を伴う視界の変化がある。
- ⚠光の点滅や飛蚊症(糸くずのようなものが見える)が急に増えた。
- ⚠眼圧が高いと言われたことがあり、視界の変化を感じる。
一般的な症状
- 視野検査は検査そのものなので、検査を受けること自体に症状はありません。ここでは、視野検査を受けるきっかけになりやすい“気づき”を挙げます。
- 見える範囲が以前より狭くなった気がする、周りが見えにくい。
- 片目で見ると、一部だけ見えない、またはぼやける。
- 暗い場所や夜に、いつもより見えにくい。
- 光がまぶしく感じる、物がかすむ。
- 階段の段差や、歩いているときの障害物につまずきやすくなった。
- ただし、緑内障の初期は自覚症状がほとんどないことが多く、検査で初めて見つかることも少なくありません。
子供の症状
- 子どもでは、検査の意味を理解してボタンを押すことが難しい場合があります。そのため、遊びの要素を取り入れた方法や、年齢に合った方法で行われます。
- 斜視(目の向きのずれ)、弱視(眼鏡などで矯正しても見えにくい状態)、先天緑内障、脳の病気などが疑われるときに検査することがあります。
- 子どもは自分で「見えにくい」と伝えられないことがあるため、物にぶつかりやすい、目を細める、片方の目を隠すのを嫌がるなどの様子が見られたら、眼科で相談してみましょう。
- じっとしていられないときは、無理をせず日を分けて行うこともあります。
高齢者の症状
- 高齢の方は疲れやすく、検査の後半で集中力が落ちて結果がばらつくことがあります。休憩をはさみながら行うとよいでしょう。
- 白内障(水晶体が濁る病気)があると、光が見えにくく結果に影響することがあります。
- 手の震えや肩のこりで姿勢がつらい場合は、検査の前に担当者に伝えてください。
- 視野の変化は運転の安全にも関わります。結果について医師とよく話し合いましょう。
原因
主な原因
- 視野検査は検査であって病気ではないため、「原因」というより「視野の変化を起こす背景の病気」があります。
- 緑内障:視神経が少しずつ傷つき、見える範囲が狭くなっていきます。
- 網膜の病気:網膜剥離、網膜色素変性症、糖尿病による網膜の変化など。
- 視神経の病気:視神経の炎症や血流の低下など。
- 脳の病気:脳卒中、脳腫瘍など、視覚に関わる脳の部分の障害。
- 白内障など、光の入り方を妨げる目の病気(結果に影響することがあります)。
- 生まれつきや発達の過程で視野が狭い状態(小児の弱視など)。
リスク要因
- 年齢が上がること(特に40歳以上)。
- 眼圧が高いと言われたことがある。
- 家族(親やきょうだい)に緑内障の人がいる。
- 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病がある。
- 強度の近視がある。
- ステロイド薬を長期間使ったことがある(医師に伝えてください)。
- 目をぶつけたけがの経験、目の手術の経験がある。
- 長時間のスマートフォンやパソコンの使用は視野の病気の直接の原因ではありませんが、目の疲れを感じたら休憩を取りましょう。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、視野の一部または半分が見えなくなった。
- 目が激しく痛む、または急に見えにくくなった。
- カーテンが下りるように視野が欠けてきた。
- 光の点滅や飛蚊症が急に増えた。
- 頭痛や吐き気を伴う視界の変化がある。
定期受診を予約すべき場合:
- 40歳を過ぎたので、一度眼科で目の検査を受けてみたい。
- 健康診断で「眼圧が高い」「視神経が気になる」と言われた。
- 家族に緑内障の人がいる。
- 見える範囲が狭くなった気がする、夜に見えにくい。
- 糖尿病や高血圧で通院しており、目の検査をすすめられた。
- 運転免許の更新で視野の確認が必要と言われた。
診断
視野検査は、それだけで病気を決めるものではありません。医師は、視野検査の結果に、眼圧検査、眼底検査、視力検査、目の断面を調べる検査(OCTなど)などを組み合わせて、総合的に判断します。場合によっては脳の画像検査が必要になることもあります。検査の結果は「見えている範囲の地図」として表され、医師がその形や位置から、目のどこに問題がありそうかを考えます。
行われる可能性のある検査
- 静的視野検査:コンピューターで自動的に、視野のいろいろな場所の光の見え方を測る検査。緑内障の経過観察によく使われます。
- 動的視野検査:周囲から光の目印を動かして、見える範囲の境界を調べる検査。
- スクリーニング用の簡易な視野検査:短時間で広い範囲を確認する方法。
- 眼圧検査:目の硬さ(眼圧)を測る検査。
- 眼底検査:目の中の奥(網膜や視神経)の状態を写真などで確認する検査。
- OCT検査:目の断面を画像で調べ、視神経や網膜の薄くなり具合を見る検査。
- 視力検査、色覚検査、必要に応じて脳の画像検査。
診察で予想されること
検査は暗めの部屋で行われます。あごを台にのせて固定し、片目を隠して、まっすぐ前の目印を見続けます。視野のいろいろな場所に光が出るので、見えたらボタンを押します。ときどき「同じ場所がどのくらいの明るさで見えるか」を測るため、光が弱くなったり強くなったりしますが、これは正常な流れです。コンタクトレンズは外すよう言われることがあります。検査の前日はよく眠り、当日は疲れすぎない状態で受けると、結果が安定しやすくなります。検査中は「見えないのに推測で押す」ことはせず、見えたときだけ押すのが大切です。休憩が必要なら遠慮なく申し出てください。
治療
視野検査は治療ではなく検査なので、検査そのものに治療はありません。大切なのは、検査で見つかった変化の原因に応じて、適切な対応をすることです。結果が問題なければ、定期的に検査を続けて変化がないか見守ります。変化があれば、その原因となる病気(緑内障、網膜の病気、脳の病気など)に応じて、眼科や関係する診療科で治療や経過観察を行います。
自宅でのセルフケア
- 検査の前日はよく眠り、当日はできるだけ疲れていない状態で受ける。
- 検査の前に、普段飲んでいる薬、目のけがや手術の経験、コンタクトレンズの使用を担当者に伝える。
- 検査中は見えたときだけボタンを押し、推測で押さない。
- 疲れたら休憩をお願いする。
- 結果の説明を受けたら、次回いつ検査を受けるかを確認しておく。
- 眼圧が高い、糖尿病があるなど、気になることがあれば日頃から眼科で相談しておく。
医療治療
検査の結果に応じて、原因となる病気の治療が行われます。たとえば緑内障であれば、眼圧を下げる方向の治療(目薬やレーザー、手術など)を組み合わせることがあります。糖尿病による網膜の変化であれば、血糖の管理と眼科での定期的な観察が中心になります。脳の病気が疑われる場合は、脳神経の専門科で検査と治療が進められます。治療の内容や進め方は、病気の種類や進行の程度によって大きく異なるため、医師の説明をよく聞いて、わからないことは質問しましょう。
手術が検討される場合
視野検査そのものが手術につながるわけではありません。ただし、緑内障や白内障などの病気が見つかった場合、状態によっては手術が選択肢になることがあります。視野検査の結果はその判断材料のひとつであり、手術を決める唯一の基準ではありません。手術が必要かどうかは、ほかの検査結果や生活への影響も含めて、医師と相談して決めていきます。
この病気と共に生きる
視野の変化は、ゆっくり進むことが多く、自分では気づきにくいものです。そのため、決められた間隔で視野検査を受け、変化を記録していくことが、毎日の暮らしを守ることにつながります。見えにくさを感じるときは、照明を明るくする、物の置き場所を決める、段差に気をつけるなど、暮らしの中で工夫できることがたくさんあります。運転については、視野の状態を医師に相談したうえで判断しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 定期的な眼科受診を習慣にする(間隔は医師に相談)。
- 血圧や血糖、体重など、生活習慣病の管理を続ける。
- 長時間の画面使用のあとは、意識して目を休める。
- 転倒を防ぐため、家の中の照明や段差を確認しておく。
- 眼鏡やコンタクトの度数が合っているかを時々確認する。
- 睡眠を十分にとり、検査の日は疲れをためない。
食事と運動
特別な食べ物で視野が良くなるという確実な方法はありませんが、バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠は、血圧や血糖の安定を通じて目の健康を支えます。緑黄色野菜や青魚などを意識するとよいといわれますが、無理に偏った食事をする必要はありません。運動は、医師から運動を制限されていない限り、ウォーキングなど無理のない範囲で続けましょう。
精神的健康と心の健康
「見えにくくなっているかもしれない」と思うと、不安になったり、気分が落ち込んだりすることがあります。特に緑内障などは長く付き合っていく病気なので、将来への心配を感じる方も少なくありません。そんなときは、一人で抱え込まず、医師や看護師、家族に気持ちを話してみてください。眼科には視覚に障がいのある方の相談支援を行っているところもあります。つらい気持ちが続くときは、信頼できる人や医療者に相談しましょう。気持ちがとてもつらく、自分を傷つけたい気持ちがわいてきたときは、ためらわず地域の救急窓口や相談窓口を頼ってください。
予防
視野検査は検査なので、それ自体を予防するという考え方はありません。ただ、視野が狭くなる原因となる病気(特に緑内障)は、早期に見つけて適切に対応することで、進行をゆるやかにできる可能性があります。自覚症状が出る前から定期的に検査を受けることが、いちばんの備えになります。
検診プログラム
厚生労働省なども、40歳を過ぎたら定期的に眼科で検査を受けることをすすめています。健康診断の眼科健診や、自治体の健診で視野検査や眼底検査が受けられる場合があります。家族に緑内障の人がいる方、眼圧が高いと言われた方は、症状がなくても早めに眼科で相談すると安心です。
合併症
治療しない場合
- 原因となる病気に気づかないまま過ごすと、見える範囲の狭まりが進み、日常生活や運転に影響することがあります。
- 緑内障の場合、一度失われた視野は元に戻りにくいといわれています。早期発見がとても大切です。
- 網膜剥離や脳卒中など、急な視野の変化の背後に緊急性の高い病気が隠れていることがあります。
- 視野の変化に気づかず転倒や事故につながる可能性があります。
長期的な見通し
視野検査で早めに変化が見つかれば、適切な対応をとることで、多くの方は今の見え方をできるだけ長く保つことができます。治療の進歩もあり、病気と上手に付き合いながら生活している方はたくさんいます。検査の結果が気になっても、それは「終わり」ではなく「これからの備え」のスタートです。定期的な検査と、医師との相談を続けていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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