体プレチスモグラフィー検査(肺のくわしい機能を調べる検査)
概要
体プレチスモグラフィーは、肺の働きをくわしく調べる検査のひとつです。ガラス張りの小さな個室(ブース)に座り、鼻をとめて口だけで決められた呼吸をします。ふつうの「息を思いきり吹く」検査(スパイロメトリー)では分かりにくい、肺の中に空気がどれくらい入るか(肺気量)、息の通り道がどれくらい狭くなっているか(気道抵抗)などを測ることができます。針を刺したり痛みを感じたりすることはなく、機械が外から肺の様子を読み取る検査です。
重要な事実
- 密閉された小さなブースの中で、ふつうの呼吸を数回行う検査です。痛みはありません。
- 検査にかかる時間は20〜30分程度のことが多く、結果はその日のうちに分かることもあります。
- 肺の大きさ(肺気量)や息の通り道の狭さなど、ふつうの肺機能検査では分かりにくい情報が得られます。
はい。呼吸器内科や病院の検査室で広く行われている検査で、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの診断、治療の効果の確認、手術前の肺の状態の確認などに使われます。
症状
- 息苦しさが強く、話すのがやっと、文章を続けて言えない
- 唇や爪の色が青紫色になっている
- 意識がもうろうとしている、反応がおかしい
- 胸に激しい痛みがあり、息ができない
- 呼吸が止まりそう、または止まっている
- ⚠いつもより息切れが急に強くなった
- ⚠発熱とせきが続き、息苦しさが増している
- ⚠痰の量が増え、色が黄色や緑に変わった
- ⚠ふだん使っている吸入薬を使っても楽にならない
- ⚠夜、横になると息苦しくて眠れない
一般的な症状
- 少し動いただけで息切れがする、階段で息が上がる
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が出る
- 長引くせきや、朝に多いせき
- 痰がからむ、痰の量が増えた
- 胸が重い感じ、締めつけられる感じがする
- 疲れやすい、体を動かすとすぐに息が苦しくなる
子供の症状
- 走ったり遊んだりするとすぐ息が上がる、遊びをやめてしまう
- かぜのたびにゼーゼーする、夜中にせきが続く
- 繰り返すせきや、長引く咳
- 検査はある程度お話ができて、決められた呼吸ができる年齢(おおよそ6歳以上)から受けられることが多いです
高齢者の症状
- 歩くのがおっくうになった、坂道や買い物の途中で休む
- かぜをひくとせきが長引きやすい
- 息切れを年のせいだと思っていたが、だんだん強くなっている
- 心臓の病気と肺の病気の区別を調べたい
- ふだん飲んでいる薬が肺の検査に影響することがあるため、事前に医師・薬剤師に伝えてください
原因
主な原因
- 喘息(気道が炎症で狭くなる病気)が疑われるとき
- COPD(たばこの煙などで気道や肺が傷つく病気)が疑われるとき
- 間質性肺疾患(肺が硬くなって膨らみにくくなる病気)が疑われるとき
- ふつうの肺機能検査の結果と息切れの程度が合わないとき
- 手術や処置の前に、肺の状態を確かめたいとき
- 肥満や胸の形の変化などで、肺が膨らみにくくなっていないか調べたいとき
リスク要因
- 現在または過去の喫煙、受動喫煙(まわりのたばこの煙)
- 粉じん、ほこり、化学物質、アスベストなどの吸入歴のある仕事
- アレルギーや喘息の家族歴
- 加齢にともなう肺の変化
- 繰り返す呼吸器の感染症
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 安静にしていても息苦しい、横になると息が苦しい
- 息切れが急に悪化した、唇の色が青っぽい、胸が痛い(このようなときはためらわず119番に連絡してください)
- 発熱と息苦しさが同時にあり、ぐったりしている
定期受診を予約すべき場合:
- せきや息切れが2〜3週間以上続いている
- 階段や坂道で以前より息が上がるようになった
- ゼーゼーする呼吸が繰り返し出る
- 喫煙歴があり、肺の検査を受けたほうがよいと言われた
- 検査結果の意味をもう一度くわしく知りたい
診断
まず問診と診察、胸部の聴診を行い、必要に応じて肺機能検査が組み立てられます。体プレチスモグラフィーはその中の一つで、ふつうのスパイロメトリー(思いきり息を吹く検査)と組み合わせて行われることが多く、肺の容積や気道の狭さを数値で確認します。
行われる可能性のある検査
- スパイロメトリー:思いきり息を吸って、勢いよく吐く検査。息の出しやすさを調べます。
- 体プレチスモグラフィー:密閉ブースの中で呼吸し、肺の中の空気の量や気道の抵抗を測ります。
- 拡散能検査:肺から血液へ酸素が取り込まれやすいかを調べます。
- 6分間歩行試験:6分間歩いて、息切れの程度や酸素の状態を確認します。
- 血液検査や血液ガス検査:酸素や二酸化炭素の状態を調べます。
- 胸部レントゲンやCT:肺の形や炎症、線維化などの変化を見ます。
- 吸入薬を使う前後での肺機能の比較:気道の狭さが改善するかを見ます(使うかどうかは医師の判断によります)。
診察で予想されること
検査の流れはおおまかに次のとおりです。①検査の説明を受ける、②鼻をクリップでとめ、マウスピースを口にくわえる、③ブースに座ってドアを閉める(閉所が苦手な方は事前に伝えてください)、④ふつうの呼吸を数回、ときどき深呼吸や短い息づかいを行う、⑤数回くり返して終了。検査中はめまいや息苦しさを感じることがありますが、そのときは無理をせず手を挙げるなどしてすぐに技師に伝えてください。検査の前に、食事をとりすぎない、たばこや激しい運動を控える、ふだん使っている吸入薬をどうするかは自己判断せず医師に確認する、という点に気をつけましょう。
治療
体プレチスモグラフィーは治療そのものではなく、原因を正確につかんで、その人に合った治療を選ぶための検査です。結果をもとに、生活の工夫と必要な治療を組み合わせていきます。
自宅でのセルフケア
- 検査の前は、医師や検査技師の指示(食事、たばこ、運動、薬の扱い)を守る
- 検査中は息苦しさやめまいを我慢せず、すぐに合図を出す
- 日ごろの息切れやせきの変化をメモしておき、診察のときに伝える
- 禁煙を心がけ、受動喫煙を避ける
- かぜや感染症を防ぐため、手洗い・うがい・人混みでのマスクを心がける
医療治療
検査の結果に応じて、気道の炎症や狭さをやわらげる吸入薬、飲み薬、呼吸を楽にするリハビリ(呼吸リハビリテーション)、酸素の補充などが検討されます。どの治療が必要かは病気の種類と重症度によって変わるため、必ず医師の説明を受けてください。薬の名前や使い方については、処方した医師・薬剤師に確認しましょう。
手術が検討される場合
手術そのもののためではありませんが、手術や大きな処置の前に肺の予備力を確認する目的で、この検査が行われることがあります。
この病気と共に生きる
肺の病気とつきあっていくうえで大切なのは、自分の呼吸の状態を知り、無理をしすぎず、変化に早く気づくことです。検査の数値は「今の状態を映す鏡」のようなもので、定期的に比べることで治療の効果や体調の変化が分かりやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける(受動喫煙も避ける)
- 部屋の換気やほこりの掃除をこまめに行う
- 季節の変わり目や寒い日は、マフラーやマスクで冷たい空気を和らげる
- 息苦しさを感じたら、動きをゆっくりにして呼吸を整える
- 睡眠を十分にとり、疲れをためない
- 決められた受診日を守り、症状の変化を記録して伝える
食事と運動
バランスのよい食事で体重を適正に保つことが、肺への負担を減らします。運動は、散歩や軽い体操など無理のない範囲から始め、息が上がりすぎない程度を目安に続けましょう。呼吸リハビリテーションが利用できる場合は、専門家の指導のもとで行うと安心です。運動を始める前に、かかりつけ医に相談してください。
精神的健康と心の健康
息苦しさが続くと、不安や落ち込みを感じたり、外出を控えたくなったりすることがあります。それは自然な気持ちです。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に話してみてください。つらい気持ちが長く続くときは、かかりつけ医や地域の相談窓口に相談しましょう。
予防
体プレチスモグラフィーは検査であり、それ自体を予防するという考え方はありません。ただし、この検査で見つかるような肺の病気は、禁煙や粉じん対策、感染予防によってリスクを下げられる場合があります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は、肺の病気を持つ人にとって負担が大きくなることがあります。ワクチンについては、年齢や持病に応じた接種が検討されますので、かかりつけ医に相談してください。厚生労働省も予防接種に関する情報を提供しています。
検診プログラム
喫煙歴のある方などは、自治体や職場の健康診断、かかりつけ医での肺機能検査を定期的に受けることが勧められます。息切れやせきが続くときは、健診を待たずに早めに受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 息切れの原因が分からないまま、生活の制限が増えていくことがあります
- 喘息やCOPDなどの病気の進行に気づくのが遅れることがあります
- 治療の効果を客観的に比べにくくなる
- 手術前の評価が不十分になり、リスクの見積もりが難しくなる
- 感染症をきっかけに呼吸状態が急に悪くなるのを防ぎにくくなる
長期的な見通し
体プレチスモグラフィーは痛みがなく、短時間で終わる安全な検査です。検査で状態を正確につかむことで、自分に合った治療や生活の工夫を選びやすくなります。息切れやせきが気になるときは、早めに医師に相談することが、今後の毎日を快適に過ごすための近道です。
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最終更新: 2026年11月3日
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