上肢・下肢の静脈エコー検査(超音波検査)ってどんな検査?
概要
静脈エコー検査は、超音波(エコー)という人の耳には聞こえない音の波を体に当てて、腕や脚の静脈の様子を画像で見る検査です。静脈は、体のすみずみまで届いた血液を心臓へ戻す血管です。この検査では、静脈の中に血の塊(血栓)ができていないか、血液がスムーズに流れているか、静脈の弁がきちんと働いているか、血管の壁に異常がないかを確かめます。放射線は使わず、針も刺さない、体にやさしい検査です。
重要な事実
- 超音波を使うため、放射線による被ばくはありません。
- 検査中に痛みはほとんどなく、終わったあとは普段どおりに過ごせます。
- 結果をもとに、血栓があるかどうか、治療が必要かどうかを医師が判断します。
とてもよく行われる検査です。脚のむくみや痛みの原因を調べるとき、手術の前後に血流を確認したいときなど、さまざまな場面で使われています。
年齢を問わず行われますが、特にお話を聞くことが多いのは、脚のむくみや痛みがある方、静脈瘤(皮膚の下の血管が太くもつれた状態)が気になる方、手術後や入院で長く動けなかった方、妊娠中・出産後の方、以前に血栓ができたことのある方などです。
症状
- 突然、片方の脚が大きく腫れて強く痛む(特に息苦しさを伴うとき)
- 急な息切れ、胸の痛み、血の混じった痰がある(血栓が肺に飛んだ可能性があります)
- 脚が突然冷たくなり、青白くなる、感覚がにぶくなる(血流が途絶えた危険な状態)
- 意識がもうろうとする、呼吸がとても苦しい
- ⚠片方の脚の腫れや痛みが数日で悪化している
- ⚠脚の赤みや熱感が広がり、発熱もある
- ⚠手術後や長時間の移動のあとに脚が腫れてきた
- ⚠腕の腫れが続き、指先の色が悪くなる
一般的な症状
- 片方の脚(または腕)が腫れている
- 脚が痛む、重だるい、つっぱる感じがする
- 皮膚が赤くなり、触ると温かく感じる
- 立っていると目立つ、太くもつれた血管(静脈瘤)
- 夕方になると脚のむくみが強くなる
- 手術後や長時間動かなかったあとの脚の腫れ
- 点滴やカテーテルを入れていた腕の腫れ
子供の症状
- 子どもにも安全に行える検査です。痛みはほとんどありません。
- 生まれつき血液が固まりやすい体質のお子さん、長期間の点滴やカテーテルを使っているお子さん、大きな手術のあとのお子さんなどで行われることがあります。
- じっとしているのが難しい場合は、保護者の方が一緒に付き添ったり、検査の進め方を工夫したりします。
高齢者の症状
- 年齢とともに静脈の弁が弱くなり、脚のむくみや皮膚の色の変化が出やすくなります。
- 慢性の静脈不全(血液が戻りにくく、むくみやだるさが続く状態)や静脈瘤が見つかることがあります。
- 入院や手術、長時間の安静が続いたあとは、血栓のリスクが高まります。
原因
主な原因
- 深部静脈血栓症(脚の奥の静脈に血の塊ができる病気)が疑われるとき
- 静脈瘤や慢性の静脈不全の状態を評価したいとき
- 脚や腕のむくみの原因を調べたいとき
- 透析用の血管の通り道やカテーテルの血流を確認したいとき
- 手術の前後に血管の状態を確認したいとき
リスク要因
- 長時間動かない(入院、長時間のフライトや車での移動)
- 手術やけがのあと
- がんの治療中
- 妊娠中・出産後
- 女性ホルモンを含む薬を使っている(避妊薬やホルモン補充療法など。気になる場合は医師・薬剤師に相談してください)
- 家族に血栓ができた人がいる
- 以前に血栓ができたことがある
- すでに静脈瘤がある
- 水分不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 片方の脚が急に腫れて痛む
- 息苦しさや胸の痛みを伴う
- 脚の赤み・熱感が広がり、発熱している
- 手術後や長距離の移動後に脚が腫れてきた
定期受診を予約すべき場合:
- 脚のむくみや重だるさが続いている
- 静脈瘤が気になる、少しずつ大きくなっている
- 夕方になると脚がパンパンに腫れる
- 家族に血栓の人がいて心配がある
診断
まず医師が症状や経過、これまでの病気、薬の使用などを聞き、脚や腕を診察します。そのうえで必要に応じて静脈エコーを行います。検査ではベッドに寝てもらい、検査用のジェルを塗って、超音波の機械の先端(プローブ)を脚や腕に当てていきます。血流の反応を見るために、立ってもらったり、軽く力を入れて息を止めてもらったりすることがあります。
行われる可能性のある検査
- 診察(腫れ方、皮膚の色、痛みの場所の確認)
- 静脈エコー検査(本題の検査です)
- 血液検査(血液の固まりやすさをみる項目など)
- 必要に応じて造影CT検査やMRI検査
- 息苦しさがある場合は胸の検査や心電図
診察で予想されること
検査の時間はおおよそ20〜30分程度です。片側だけのことも、両側を行うこともあります。ジェルが冷たく感じることがありますが、痛みはほとんどありません。終わったらジェルを拭き取り、そのまま普段どおりに過ごせます。結果はその場で伝えられることも、後日医師から説明されることもあります。
治療
治療の方針は、検査でわかった内容によって変わります。異常が見つからなければ、生活の工夫をしながら様子を見ることが多いです。血栓が見つかった場合は、血液が固まりにくくなる治療を行います。静脈瘤や慢性の静脈不全の場合は、生活の工夫や脚の圧迫、必要に応じて専門的な治療を組み合わせます。
自宅でのセルフケア
- 検査のあとは普段どおりに過ごしてかまいません。
- 長時間同じ姿勢でいることを避け、1時間に一度は立ち上がって歩くなど、脚を動かしましょう。
- 水分をこまめにとりましょう。
- 休むときは脚を少し高くすると、むくみが軽くなることがあります。
- 弾性ストッキング(脚を外から圧迫する靴下)は、強さや履く時間を自己判断で決めず、医師や看護師、薬剤師に相談してください。
- 腫れや痛みの変化をメモしておくと、診察のときに伝えやすくなります。
医療治療
血栓が見つかった場合は、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使って、血栓が大きくなるのを防ぎます。症状が強い場合には、入院して治療を行うこともあります。静脈瘤や慢性の静脈不全では、脚を圧迫する治療や、血管の内側から治療する方法などが検討されます。どの治療が合うかは体の状態によって変わるため、具体的な薬の種類や量については必ず主治医や薬剤師の説明を受けてください。
手術が検討される場合
血栓が大きく血流を妨げている場合や、静脈瘤による症状が強く生活に支障がある場合には、カテーテルを使った治療や手術が検討されることがあります。必要かどうかは、検査の結果と体の状態を合わせて医師が判断します。
この病気と共に生きる
静脈の病気は、日々のちょっとした工夫で症状が軽くなることが多いものです。長時間座りっぱなし・立ちっぱなしを避け、こまめに脚を動かすことを意識してみてください。
生活習慣のアドバイス
- 長時間の移動では、ときどき足首を回したり、つま先立ちをしたりして動かす
- 座るときは脚を組みっぱなしにしない
- 禁煙を心がける
- 適正な体重を保つ
- 水分をこまめにとる
- 休息時は脚を少し高くする
食事と運動
特別な食事制限が必要になることは多くありません。塩分のとりすぎに気をつけ、バランスのよい食事を心がけましょう。運動は、ウォーキングや軽い体操など、脚の筋肉を動かすものがむくみ対策に役立ちます。痛みや息苦しさがあるときは無理をせず、主治医に相談してから始めてください。
精神的健康と心の健康
「血栓かもしれない」と言われたり、検査結果を待ったりする間は、不安で落ち着かない気持ちになるのは自然なことです。不安が強いとき、眠れないとき、気持ちが沈むときは、一人で抱え込まずに医療者に話してみてください。
予防
静脈の血栓やむくみは、ある程度予防できます。長時間動かない場面をつくらないこと、水分をとること、禁煙、適正体重を保つことが大切です。手術や入院の前には、予防の方法について医療者に確認しておくと安心です。
検診プログラム
症状がない人が定期的にこの検査を受けることは一般的ではありません。健診などで脚のむくみや血管の異常を指摘されたとき、あるいは症状があるときに医師の判断で行われます。
合併症
治療しない場合
- 血栓が大きくなり、脚の血流を妨げることがあります
- 血栓が肺に飛んで肺塞栓症(はいそくせんしょう)を起こすことがあり、命に関わる場合があります
- 血栓後症候群(脚の腫れや痛み、皮膚の変化が長く続く状態)になることがあります
- 慢性のむくみや皮膚の色の変化、治りにくい皮膚の傷(潰瘍)ができることがあります
- 静脈瘤が悪化して、だるさや痛みが強くなることがあります
長期的な見通し
多くは、早い段階で見つけて適切に対応すれば、症状は落ち着き、普段どおりの生活に戻れます。検査そのものは短時間で安全です。気になる症状があるときは早めに相談することが、安心につながります。
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最終更新: 2026年11月3日
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