24時間自由行動下血圧測定(ABPM)〜1日の血圧を知る検査〜
概要
24時間自由行動下血圧測定(にじゅうよじかん じゆうこうどうか けつあつそくてい、英語ではABPM)は、血圧を測る機械を24時間体につけて、ふだん通りの生活をしながら血圧を記録する検査です。腕に巻くベルト(カフ)が一定の間隔で自動的にふくらみ、そのときの血圧を測ります。診察室で一度だけ測る血圧ではなく、朝・昼・夜、そして眠っている間の血圧の変化がわかるのが特徴です。検査中も仕事や家事、散歩など、いつもの生活を続けられます。
重要な事実
- 日中は15〜30分ごと、夜間は30〜60分ごとに自動で血圧を測ります。
- 診察室でだけ高くなる「白衣高血圧」や、診察室では正常なのに家や夜間に高くなる「仮面高血圧」を見つけるのに役立ちます。
- 眠っている間の血圧は、脳卒中や心臓病のリスクと関係が深いことが知られています。
- 検査は1日で終わり、記録したデータを翌日などに医療機関へ返します。
とてもよく行われる検査です。血圧が高いと言われたとき、治療を始めるかどうかを決めるとき、今の治療が効いているかを確かめるときなどに、多くのクリニックや病院で使われています。
血圧が高いと指摘された方、診察室と家庭で血圧の値が大きく違う方、朝や夜だけ血圧が上がると言われた方、動悸や頭痛など血圧の変動が気になる方、妊娠中の方、薬の効き方を確かめたい方などが対象になります。子どもに行うことは多くありませんが、必要と判断されたときは子ども用の小さなカフを使って行われます。
症状
- 急に激しい頭痛がする、首の後ろが痛い
- 胸が締めつけられるように痛い、胸の痛みが続く
- 息が苦しい、呼吸ができない
- 意識がもうろうとする、返事がおかしい
- ろれつが回らない、片方の手や足が動かない、顔がゆがむ
- 突然の激しいめまいで立っていられない
- これらの症状があるときは、迷わず119番に電話して救急車を呼んでください。
- ⚠血圧がとても高い状態が続き、頭痛や吐き気がある
- ⚠いつもと違う強いだるさや息切れが続く
- ⚠胸の不快感が軽くなったり強くなったりする
- ⚠急に目のかすみが出た
- ⚠検査中に腕がしびれて痛みが強い、カフがきつくて我慢できない
- ⚠これらは、その日のうちに医療機関へ相談してください。
一般的な症状
- 血圧が高くても、ほとんど自覚症状がないことが多いのが実際です。
- 頭が重い、頭痛がする
- めまい、ふらつき
- 動悸(胸がどきどきする)
- 肩こり、首のこり
- 疲れやすい、だるさが続く
- よくいびきをかく、夜中に何度も起きる(睡眠時無呼吸が隠れていることがあります)
- 朝起きたときの頭の重さ
子供の症状
- 子どもでは血圧が高いこと自体が少なく、症状も出にくいため、別の理由で受診したときに見つかることがほとんどです。
- 頭痛やだるさを訴えることがありますが、それが血圧のせいだと決めることはできません。
- 検査が必要なときは、腕の太さに合った子ども用のカフを使います。
高齢者の症状
- 高齢の方では血圧の上がり下がりが大きくなりやすく、立ち上がったときのふらつき(起立性低血圧)が見つかることがあります。
- 夜間に血圧が下がりにくいタイプが見つかることもあります。
- 検査中は転倒に気をつけ、夜トイレに起きるときは足元を明るくしておくと安心です。
- 肌が弱い方は、カフを巻いた部分がかぶれないか時々見てください。
原因
主な原因
- この検査で調べるのは、主に「血圧が高い状態」や「血圧の変動」です。その背景には次のようなことがあります。
- 塩分の多い食事を続けている
- 体重が増えた、肥満がある
- たばこを吸う、お酒を多く飲む
- ストレスが多い、睡眠が足りない
- 家族に高血圧の人がいる(体質の影響)
- 腎臓の病気やホルモンの病気が隠れている
- 一部の薬や痛み止めの影響
- 診察室で緊張して血圧が上がる(白衣高血圧)
リスク要因
- 40歳以上
- 家族に高血圧、脳卒中、心臓病の人がいる
- 塩分の多い食事、外食が多い
- 運動不足
- 肥満、とくにおなか周りに脂肪がついている
- 飲酒、喫煙
- 睡眠不足、睡眠時無呼吸
- 強いストレス、夜勤や不規則な勤務
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 激しい頭痛、胸の痛み、息苦しさ、意識の変化、手足のまひがある(119番)
- 血圧が非常に高い状態が続き、吐き気や強いだるさがある
- 急な視界のかすみ、ものが二重に見える
- 検査中に腕のしびれや強い痛みが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や職場の健診で血圧が高いと言われた
- 家で測ると診察室より高かったり低かったりする
- 朝だけ高い、夜だけ高いと言われた
- 血圧の治療を始めるかどうか相談したい
- 薬が変わってから血圧の変動が気になる
- 頭痛やめまいが血圧と関係あるか知りたい
診断
診察室で血圧を測り、家庭血圧の記録を確認したうえで、必要に応じて24時間自由行動下血圧測定を行います。看護師や臨床検査技師が腕にカフを巻き、機械の使い方と注意点を説明します。測定は自動で進み、入浴や激しい運動のときは外すなど、決められたルールに沿って過ごします。翌日、機械を返してデータを解析し、日中・夜間・24時間全体の平均や変動のしかたを医師が確認します。
行われる可能性のある検査
- 24時間自由行動下血圧測定(ABPM)
- 家庭血圧の記録(朝と夜、決まった時間に測る)
- 診察室での血圧測定(何回か続けて測ることもあります)
- 血液検査、尿検査(腎臓や生活習慣の状態をみます)
- 心電図、心臓の超音波検査
- 必要に応じて睡眠の検査やホルモンの検査
診察で予想されること
装着中は、カフがふくらむたびに腕がきゅっと締まります。測っている数十秒は腕を動かさず、体を楽にして待つと上手に測れます。音が出るので同僚や家族に説明しておくと安心です。入浴時は外すタイプが多く、汗をかいたときはタオルで拭いてください。終わったら、その日の体調や服薬、睡眠、運動などを簡単にメモしておくと、結果の読み取りに役立ちます。
治療
検査の結果は、治療を始めるかどうか、今の治療がうまくいっているかを判断する材料になります。結果によって、生活の見直しだけで様子を見る場合もあれば、薬を使う場合もあります。どうするかを決めるのは医師です。結果が思わしくなくても、それは「これから良くしていくための情報が手に入った」ということでもあります。
自宅でのセルフケア
- 検査の日は、ふだん通りに過ごすことが大切です。安静にしすぎると本当の血圧がわかりません。
- 測っている間は腕を動かさず、深呼吸せず自然に待つ
- 朝・昼・夜の食事や睡眠、体調を簡単にメモする
- カフを巻いた部分が赤くなったりかゆくなったりしたら、無理せず医療機関に相談する
- 家庭用の血圧計でも、朝と夜に測って記録する習慣をつける
- 塩分を控えめにする、野菜を増やす、お酒を控える
- 睡眠時間を確保する
医療治療
検査の結果をもとに、医師が生活習慣の見直しを勧めたり、血圧を調整する治療を検討したりします。治療の内容や始めるかどうかは、年齢、他の病気、腎臓の状態、家庭血圧の値などを合わせて総合的に判断されます。薬を使う場合も、種類や量は医師が一人ひとりに合わせて決めます。自己判断で始めたりやめたりせず、必ず医療機関に相談してください。
手術が検討される場合
この検査そのものに手術は関係ありません。ただし、血圧が高い原因がホルモンの病気などで、まれに手術が検討されることがあります。その場合も、まずは検査と相談を重ねてから決めていきます。
この病気と共に生きる
検査の24時間は、普段の自分を知るための一日です。仕事や家事、買い物もいつも通りでかまいません。カフがふくらむ音は周りにも聞こえるので、家族や職場の人に「血圧を測る検査中です」と一言伝えておくと気持ちが楽になります。夜はいつもより少し早めに横になり、腕を体の横に自然に置いて眠ると測りやすいです。
生活習慣のアドバイス
- 塩分を控え、汁物は少なめにする
- 野菜や果物、乳製品を適度にとる
- お酒は量と回数を決めて控える
- 禁煙を考え、必要なら相談する
- 軽い散歩など、無理のない運動を続ける
- 睡眠時間を確保し、寝る前のスマートフォンを控える
- 寒い時期は部屋を暖かくして過ごす
食事と運動
食事は、塩分を控えめにして、野菜や豆、魚、乳製品をバランスよくとるのが基本です。加工食品や外食が多いときは、汁を残す、調味料を別にするなどの工夫が役立ちます。運動は、息が少し上がる程度の早歩きを1日20〜30分、週に数回から始めると続けやすいです。持病や痛みがある方は、始める前に医師や理学療法士に相談してください。
精神的健康と心の健康
検査中は、カフが締まるたびにドキッとしたり、夜に目が覚めて眠りにくくなったりすることがあります。結果を待つ間の不安も自然な気持ちです。血圧の数字に一喜一憂しすぎず、「1日の流れを知るための記録」と考えると気持ちが楽になります。不安や緊張が強いとき、気分が落ち込む日が続くときは、一人で抱えず医療機関やお住まいの保健センター、信頼できる人に話してください。
予防
この検査自体を予防するという考え方はありません。ただし、血圧のトラブルを早く見つけて悪化を防ぐことはできます。日ごろから家庭で血圧を測って記録し、健診を欠かさず受けることが、脳卒中や心臓病を防ぐ第一歩になります。
ワクチン
この検査に関係するワクチンはありません。季節の感染症予防として、かかりつけ医と相談のうえで必要なワクチンを検討してください。
検診プログラム
日本では、40〜74歳の方を対象に特定健康診査(メタボ健診)が行われ、血圧も測定されます。厚生労働省も健診を受けることを勧めています。職場の健診や自治体の健診を毎年受け、家庭血圧の記録とあわせて医療機関に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 高い血圧が続くと血管が傷み、脳梗塞や脳出血(脳卒中)のリスクが高まります。
- 心臓に負担がかかり、心肥大や心不全、心筋梗塞につながることがあります。
- 腎臓の働きが落ち、進行すると透析が必要になることがあります。
- 目の血管が傷み、視力の低下を招くことがあります。
- 動脈硬化が進み、足の血管の病気や認知症のリスクも上がります。
長期的な見通し
血圧は、生活の工夫と適切な治療でコントロールできることが多いものです。24時間の血圧がわかると、これまで見えなかった夜間の高さや朝の急な上昇に気づけ、対策を立てやすくなります。早めに知って一歩ずつ整えていくことが、将来の脳卒中や心臓病を遠ざける近道になります。
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最終更新: 2026年11月3日
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