VCUG(排尿時膀胱尿道造影)ってどんな検査?
概要
VCUG(ぶいしーゆーじー)は「排尿時膀胱尿道造影(はいにょうじぼうこうにょうどうぞうえい)」の略で、おしっこの流れをX線(レントゲン)で見る検査です。膀胱(ぼうこう=おしっこをためておく袋)に細い管(カテーテル)を入れて造影剤(X線に写る液体)を入れ、おしっこをしている様子を撮影します。これで、おしっこが膀胱から腎臓(じんぞう)の方へ逆流していないか、尿道(にょうどう=おしっこの出口までの管)に狭いところがないかを確かめます。検査そのものは「病気」ではなく、調べるための道具です。
重要な事実
- VCUGは、おしっこの流れをX線で見る検査です。痛みは主に細い管を入れるときだけで、多くは数分から30分ほどで終わります。
- いちばんよく調べるのは「膀胱尿管逆流(ぼうこうにょうかんぎゃくりゅう)」という、おしっこが膀胱から尿管・腎臓へ逆に流れてしまう状態です。
- 検査を受けた日のうちに家へ帰れることがほとんどです。結果は検査した日にわかることも、後日になることもあります。
はい、よく行われる検査です。特に、熱をともなう尿路感染(にょうろかんせん=おしっこの道の細菌感染)を繰り返すお子さんの原因を調べるときに、小児科で広く行われています。
主な対象は乳幼児や小さいお子さんです。膀胱や尿管のつくりが生まれつき未熟なことがあり、それが原因で尿路感染を起こしやすくなります。大人では、尿路感染を繰り返す方、排尿の障害がある方、脊髄(せきずい)や神経の病気で膀胱の働きが弱っている方などが対象になることがあります。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が弱い
- 呼吸が苦しい、顔色が青白い、唇が青い
- けいれんが起きた
- ぐったりして動かない、抱っこしても反応が鈍い(特に乳幼児)
- おしっこがまったく出ない状態が続き、おなかが硬く張って痛む
- ⚠38℃以上の熱が続き、機嫌が悪い、水分がとれない
- ⚠血が混じったおしっこが出た
- ⚠おしっこをするとき強い痛みがあり、何度もトイレに駆け込む
- ⚠腰や背中を痛がる、脇腹を押すと痛む
- ⚠嘔吐(おうと)を繰り返し、おしっこの量が減っている
一般的な症状
- おしっこをするときに痛む、しみる
- おしっこの回数が増える、量が少ない
- おしっこが白く濁る、においが強い
- 熱が出る(特に38℃以上)
- 下腹部(おなかの下)が痛む、張った感じがする
- 尿路感染を何度も繰り返す
子供の症状
- 乳幼児では、熱だけが出てほかに症状がないことがよくあります
- 機嫌が悪い、ぐったりしている、母乳やミルクの飲みが悪い
- 体重が増えにくい、食欲がない
- おむつのおしっこのにおいが強い、色が濃い
- おしっこをするときに泣く、いきむ
- 大きい子では、昼間のおねしょ(尿もれ)が増える、トイレを我慢できない
高齢者の症状
- 熱や食欲低下など、おしっこの症状以外で現れることがあります
- 急に元気がなくなる、ぼんやりする、いつもと様子が違う
- 尿もれが急に増える、トイレに間に合わない
- おなかの張りや違和感、残尿感(出したあとも残っている感じ)
原因
主な原因
- 膀胱尿管逆流(ぼうこうにょうかんぎゃくりゅう):膀胱の尿が尿管や腎臓の方へ逆に流れてしまう状態。生まれつき尿管と膀胱のつなぎ目が未熟なことで起こることが多いです。
- 尿路感染を繰り返すこと:細菌がおしっこの道から入り、膀胱や腎臓で炎症を起こします。
- 後部尿道弁(こうぶにょうどうべん):男の子にみられる、尿道の途中に膜のようなものがあって尿の流れが悪くなる生まれつきの状態。
- 神経因性膀胱(しんけいせいぼうこう):脊髄や神経の働きの影響で、膀胱に尿をためる・出す動きがうまくいかない状態。
- 尿路の形の生まれつきのちがい(尿管の形やつながり方など)
リスク要因
- 乳幼児、とくに1歳未満
- 尿路感染を繰り返したことがある
- 便秘が続いている(便秘は尿路感染のリスクを上げることがあります)
- 家族に尿路の病気や逆流があった人がいる
- 脊髄や神経の病気がある(二分脊椎など)
- 長い間、尿道カテーテルを留置している
- トイレを長時間我慢する習慣、おしっこを最後まで出しきれない習慣
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発熱と一緒におしっこの症状がある、または赤ちゃんが理由なく熱を出した
- 血が混じったおしっこが出た
- おしっこがほとんど出ない、おなかが張って痛む
- 尿路感染の治療を受けたのに、数日でまた熱が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 尿路感染を何度も繰り返している
- おしっこの回数や量、色、においがいつもと違う
- おねしょや尿もれが続いている
- VCUGを受ける予定があり、検査の前に不安なことがある
診断
診断は、症状の聞き取り、尿検査、超音波(エコー)検査などから始まり、必要に応じてVCUGが行われます。VCUGでは、消毒したあとに細い管を尿道から膀胱へ入れ、造影剤を少しずつ入れてX線で撮影します。おしっこが出てくる様子も撮影し、逆流の有無と程度、尿道に狭いところがないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 尿検査(尿の中に細菌や白血球がないか調べる)
- 尿培養(原因の細菌を調べ、どの治療が合うかを見る)
- 腹部超音波検査(腎臓や膀胱の形、尿のたまり具合を見る)
- VCUG(排尿時膀胱尿道造影)
- 腎シンチグラフィ(腎臓の働きや傷んだ部分を調べる、必要に応じて)
- 血液検査(炎症の程度や腎臓の働きを見る)
診察で予想されること
検査の時間は15〜30分ほどです。細い管を入れるときに、少し痛みや違和感があります。赤ちゃんや小さいお子さんは泣くことがありますが、それはふつうのことです。多くの病院では保護者の方がそばにいて安心させることができます。体を動かさないように、優しく押さえることがあります。検査のあとは、水分を多めにとると造影剤が出やすくなります。結果の説明のタイミングは病院によって異なります。
治療
治療は検査の結果しだいです。軽い逆流であれば、定期的に様子を見ながら成長を待つことが多く、自然に改善することも珍しくありません。尿路感染があるときは、その感染をしっかり治すことが第一歩です。
自宅でのセルフケア
- 水分をこまめにとり、おしっこを我慢しない
- 便秘をためない(食物繊維や水分、決まった時間のトイレ習慣)
- トイレに行ったあとは、前から後ろへ拭く(細菌が入りにくくするため)
- おしっこをしたあとに残らないよう、ゆっくり最後まで出す
- 検査のあとは、いつもより多めに水分をとる
- 発熱やおしっこの変化に気づいたら、早めに医療機関に相談する
医療治療
治療の方針は、逆流の程度、感染を繰り返す回数、腎臓への影響などを合わせて医師が判断します。尿路感染があるときは、原因の細菌に合った治療が行われます。感染を繰り返すお子さんでは、医師の判断で少ない量の抗菌薬をしばらく続けることがあります。また、排尿の練習(膀胱訓練)や便秘の管理も大切な治療の一部です。具体的な薬の種類や量は、必ず担当の医師・薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
逆流が高度な場合、腎盂腎炎(じんうじんえん)を何度も繰り返す場合、腎臓の働きが低下している場合には、手術が検討されることがあります。体内の内視鏡で逆流を防ぐ材料を注入する方法や、尿管と膀胱のつなぎ目を作り直す手術などがあります。手術が必要かどうかは、専門の医師とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
検査を受けたあとは、ふだんどおりの生活でかまいません。通院が必要な場合は、検査や受診の予定を家族で共有しておくと安心です。お子さんの場合は、トイレの回数やおしっこの様子を簡単にメモしておくと、受診のときに役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 決まった時間にトイレに行く習慣をつくる
- 便秘を防ぐ生活を心がける
- 体を冷やしすぎない、疲れをためない
- おしっこの色・量・においをときどき気にかける
- 受診の記録(熱の日、症状、検査結果)を一か所にまとめておく
食事と運動
特別な食事制限は通常ありません。バランスのよい食事と十分な水分が基本です。便秘予防のために食物繊維をとり、適度に体を動かすことも役立ちます。運動はふだんどおりで大丈夫ですが、検査の直後は体調を見ながら無理のない範囲で過ごしてください。
精神的健康と心の健康
検査や通院が続くと、お子さんもご家族も不安や疲れを感じることがあります。「心配なのは自然なこと」です。ひとりで抱え込まず、パートナーや家族、かかりつけ医、看護師、保健師に気持ちを話してみてください。つらい気持ちが続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談することが助けになります。
予防
膀胱尿管逆流そのものを完全に防ぐ方法はありませんが、尿路感染を予防し、腎臓を守ることはできます。水分をとる、おしっこを我慢しない、便秘をためない、清潔を保つことが基本です。
検診プログラム
熱をともなう尿路感染を繰り返す場合は、腎臓や膀胱の形を調べる画像検査が検討されます。必要かどうかは医師が判断しますので、気になる場合はかかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染を繰り返し、腎盂腎炎(腎臓の感染症)になる
- 腎臓に傷あと(瘢痕)が残り、働きが低下することがある
- 高血圧や腎臓の病気につながる可能性がある
- 排尿の障害が続き、膀胱や腎臓に負担がかかる
長期的な見通し
多くのお子さんは、逆流が軽ければ成長とともに自然に改善します。検査で原因がわかれば、必要な対策を早めに始められます。定期的に受診し、感染のサインに気をつけていれば、安心して過ごせる場合がほとんどです。心配なことは、遠慮なく担当の医師に確認してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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