冠動脈カルシウムスコア検査(心臓CT検診)ってどんな検査?
概要
冠動脈カルシウムスコア検査は、胸のCT撮影を使って、心臓に血液を送る冠動脈(かんどうみゃく=心臓の表面を走る血管)の壁にたまったカルシウムの量を数値で表す検査です。血管の壁にカルシウムがつくのは、動脈硬化(どうみゃくこうか=血管が硬く、狭くなっていく変化)が進んでいるサインのひとつと考えられています。造影剤(ぞうえいざい=血管を写しやすくする注射の薬)は使わず、台に横になって数秒から十数秒ほど息を止めるだけで終わります。この数値は「今の血管の状態を知るための目安」であり、それだけで心臓の病気と決まるものではありません。
重要な事実
- 注射や造影剤は不要で、CTの台に横になり数秒〜十数秒の息止めをするだけの検査です。
- 結果は0から数百以上の数値で表され、0に近いほど血管の壁のカルシウムが少ないとされます。
- 少量の放射線を浴びる検査なので、受けるかどうかは年齢や危険因子とあわせて医師と相談して決めます。
- 症状のない人のリスクの目安として使われることが多く、胸の痛みなどがある場合には別の検査が優先されます。
海外では比較的よく行われている検査で、日本でも一部の医療機関や健診施設で受けられます。ただし、健康保険が使えるかどうかや実施している施設かどうかは地域によって異なり、すべての人に勧められる検査ではありません。
中年以降で、高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)、糖尿病、喫煙、家族に心臓病の人がいる、といった動脈硬化の危険因子を持つ方が主な対象になります。若い方や妊娠中の方には通常行われません。
症状
- 胸の中央が強く締めつけられる、押さえつけられるような痛みが続く
- 胸の痛みが15分以上続く、または繰り返し起こる
- 冷や汗、吐き気、息苦しさを伴う胸の痛み
- 痛みが左肩や腕、あご、背中に広がる
- 突然の激しい息切れ、意識がもうろうとする、顔色が青白くなる
- ⚠軽い胸の不快感や動悸が繰り返し起こる
- ⚠以前より息切れしやすくなった、階段で休むことが増えた
- ⚠足のむくみが続く、夜に息苦しさで目が覚める
- ⚠検査のあとに胸の痛みや息苦しさ、発熱が出た
一般的な症状
- 検査そのものによる症状はありません。検査は「症状がない段階」で血管の状態を知るために行われます。
- 動脈硬化が進んだ場合に現れることがある症状としては、歩いたり階段を上ったりしたときの胸の圧迫感、締めつけられる感じ、息切れなどがあります。
- 安静にすると数分で軽くなる胸の不快感は、狭心症(きょうしんしょう)の可能性があるため早めの受診が勧められます。
子供の症状
- この検査は通常、小児には行われません。子どもの胸の痛みや動悸は別の原因が多いため、小児科で相談してください。
高齢者の症状
- 年齢とともに血管のカルシウムは自然に増えるため、高齢の方では数値が高めに出やすいことをふまえて解釈します。
- 持病や服薬の状況、腎臓の働きなども含めて総合的に判断する必要があります。
- 検査を受ける前に、かかりつけ医と「受ける意味があるか」を話し合っておくと安心です。
原因
主な原因
- 冠動脈の壁にカルシウムがたまる主な背景は動脈硬化です。血管の内側にコレステロールなどがたまり、炎症と修復を繰り返すうちに硬い部分ができます。
- 動脈硬化は加齢とともに誰にでもある程度進むものですが、進みやすさは生活習慣や持病によって大きく変わります。
- カルシウムスコアが高いことは「動脈硬化が進んでいる可能性がある」というサインであり、それ自体が病気というわけではありません。
リスク要因
- 高血圧(血圧が高い状態が続くこと)
- 脂質異常症(LDLコレステロールが高い、HDLコレステロールが低いなど)
- 糖尿病や血糖値の高めの状態
- 喫煙(本人だけでなく受動喫煙も含む)
- 家族に心筋梗塞や狭心症の人がいる(特に若い年齢で発症した場合)
- 肥満、特におなか周りに脂肪がつくタイプの肥満
- 運動不足、長時間の座位
- 睡眠不足、強いストレス、過度の飲酒
- 睡眠時無呼吸(いびきや日中の強い眠気)
- 加齢、男性、閉経後の女性
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の圧迫感や動悸が繰り返し起きる、安静にしても軽くならない
- 階段や坂道での息切れが最近急に増えた
- 足のむくみや体重の急な増加が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 健診で血圧やコレステロール、血糖値を指摘された
- 家族に心臓病の人がいて、自分も調べてみたい
- 禁煙や食事の見直しを始めたいが、何から手をつければよいか知りたい
- カルシウムスコア検査の結果の意味をくわしく説明してほしい
- かかりつけ医に、この検査を受けるべきか相談したい
診断
この検査は単独で病気を診断するものではなく、問診、血圧測定、血液検査、心電図などの結果と組み合わせて、動脈硬化のリスクを総合的に評価するために使われます。検査を受けるかどうかは、年齢、危険因子の数、症状の有無をふまえて医師と相談して決めます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状、既往歴、家族歴、喫煙や飲酒の習慣の確認)
- 血圧測定と身体測定(体重、腹囲)
- 血液検査(コレステロール、中性脂肪、血糖、腎機能など)
- 心電図、必要に応じて心エコー(超音波で心臓の動きを見る検査)
- 冠動脈カルシウムスコア検査(CT撮影。造影剤は使いません)
- 必要に応じて、運動負荷試験、造影CT、頸動脈エコーなどの追加検査
診察で予想されること
検査着に着替え、CTの台に仰向けに横になります。胸に心電図の電極をつけ、呼吸の練習をしたあと、数秒から十数秒の息止めをして撮影します。痛みはなく、所要時間は準備を含めて15〜30分ほどが一般的です。結果の数値は後日、画像とあわせて説明されます。数値だけで不安にならず、危険因子と合わせてどう捉えるかを医師に聞いてみましょう。
治療
カルシウムスコアは「治療の答え」ではなく、今後の生活習慣と危険因子の管理をどう進めるかを考える材料です。数値が高い場合は、禁煙、血圧やコレステロールの管理などをより丁寧に行うきっかけになります。数値が低い場合も、今の良い状態を保つための取り組みは同じように大切です。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する(電子タバコへの切り替えではなく、完全な禁煙が目標です)
- 減塩を心がけ、加工食品や汁物の塩分を控える
- 野菜、果物、豆類、青魚、全粒穀物を意識してとる
- 飲酒は量と回数を控えめにする
- 早歩きなどの中強度の運動を、無理のない範囲で定期的に行う
- 体重と腹囲を定期的に測り、急な変化に気づけるようにする
- 睡眠を十分にとり、ストレスの発散方法を持つ
- 健診を毎年受け、数値の変化を記録しておく
医療治療
検査結果と危険因子の数に応じて、血圧を下げる薬、コレステロールを調整する薬、血糖値を管理する薬などが検討されることがあります。使うかどうか、どのくらいの目標値にするかは、年齢や持病、生活の状況をふまえて医師が判断します。自己判断で服用を始めたり中止したりせず、必ず処方した医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
カルシウムスコアの結果だけで手術になることは通常ありません。冠動脈が狭くなっている疑いが強く、症状がある場合には、カテーテル治療やバイパス手術が検討されることがありますが、それは別の詳しい検査の結果をふまえて判断されます。
この病気と共に生きる
検査結果を受け取ったあとは、数値だけを気にするのではなく、「自分の血管のために今日できること」に目を向けてみましょう。血圧や体重を家で記録する、禁煙外来について調べる、健診の予定を入れるなど、小さな一歩で十分です。数値は生活習慣を変えることで変わっていく可能性があります。
生活習慣のアドバイス
- 毎朝の血圧測定など、続けやすい記録の習慣をつくる
- 禁煙は一人で頑張らず、禁煙外来や地域の相談窓口を利用する
- 座りっぱなしの時間を減らし、1時間ごとに少し立ち歩く
- 塩分の多い外食や総菜を減らし、だしや香味野菜で味を補う
- 睡眠時間を確保し、いびきや日中の眠気があれば医師に伝える
- 家族や友人と一緒に歩くなど、続けられる運動の形を見つける
食事と運動
食事は、塩分を控えめにし、野菜・海藻・豆・魚を中心に、揚げ物や脂肪の多い肉を減らすのが基本です。運動は、早歩きや自転車など息が少し弾む程度を、週に合計150分ほどを目安に、無理のない範囲から始めます。持病がある方や運動中に胸の不快感がある方は、始める前に医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
「数値が高いと言われて眠れない」「心臓病になるのが怖い」と感じるのは自然なことです。強い不安が続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の保健相談窓口、専門の相談機関に話してみてください。気持ちがつらい状態が続き、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、ためらわず救急(119)や地域の相談窓口に連絡してください。
予防
動脈硬化そのものを完全に止めることはできませんが、進み方をゆるやかにする可能性は十分にあります。禁煙、血圧とコレステロールの管理、適正体重の維持、運動習慣は、心臓病のリスクを下げるといわれています。カルシウムスコアは、そうした取り組みの効果を実感するための目安にもなります。
検診プログラム
日本では、40〜74歳の方などを対象に特定健康診査(メタボ健診)が行われており、血圧、脂質、血糖のチェックが受けられます。まずはお住まいの自治体の健診案内を確認し、結果で気になる点があればかかりつけ医に相談してください。カルシウムスコア検査は特定健診の必須項目ではないため、必要性は医師と相談して決めます。
合併症
治療しない場合
- 動脈硬化が進み、冠動脈が狭くなって狭心症を起こす可能性があります。
- 血管が詰まると心筋梗塞(しんきんこうそく=心臓の筋肉が壊れる状態)につながることがあります。
- 心臓の働きが弱まり、息切れやむくみを伴う心不全に進むことがあります。
- 危険因子を放置すると、脳卒中や腎臓の病気など、ほかの血管の病気のリスクも高まります。
長期的な見通し
カルシウムスコアは、未来を決める宣告ではなく、今の状態を知らせてくれる道しるべです。禁煙や血圧管理などの取り組みを続けることで、その後のリスクを下げられる可能性があります。数値に一喜一憂せず、かかりつけ医と定期的に相談しながら、できそうなことから一歩ずつ進めていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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