カプセル内視鏡検査とは
概要
カプセル内視鏡検査は、小さなカプセル型のカメラを飲み込んで、主に小腸(胃と大腸のあいだにある、長くて折りたたまれた管)の内側を写真で調べる検査です。カプセルは飲み薬のように水で飲み、体の中を進みながら数秒おきに写真を撮り続けます。撮った画像は、体に装着したレコーダー(記録装置)に送られ、あとで医師が確認します。カプセルは回収する必要がなく、ふつうは1〜3日ほどで便と一緒に自然に体外へ出てきます。胃カメラや大腸カメラと違って、管を口や肛門から入れる必要がないのが特徴です。
重要な事実
- カプセルは飲み込める大きさの小さな医療機器で、電池が切れるまで半日ほど写真を撮り続けます。
- 検査はふつう日帰りで、カプセルを飲んだあとはレコーダーを身につけたまま院内や自宅で過ごせます。
- カプセルは体内に残らず、自然に便と一緒に出てくるのがふつうです。ただし腸が狭い人では詰まってしまうことがあるため、事前に確認が行われます。
カプセル内視鏡は、胃カメラや大腸カメラでは見えにくい小腸を調べるための検査で、必要な人に限って行われるため、受ける人の数は胃カメラなどに比べると多くありません。日本では2000年代から使われるようになった、比較的新しい検査です。
症状
- 大量の血便や、真っ黒な便が続き、顔色が青白い
- 冷や汗、動悸、息苦しさ、意識がもうろうとする、失神した
- 耐えられないほど激しい腹痛、またはお腹が硬く張っている
- 高熱と激しい腹痛、嘔吐が同時にある
- ⚠黒い便や血便が少量でも続いている
- ⚠立ちくらみや息切れが強くなってきた
- ⚠検査後に腹痛や吐き気が続き、水分がとれない
- ⚠カプセルを飲んでから1週間以上たつのに、排出が確認できない
一般的な症状
- 黒くてタールのような便が出る(消化管の上のほうからの出血のサイン)
- 便に血が混じる、または鮮やかな血便が出る
- 健康診断などで貧血を指摘されたが、胃カメラや大腸カメラでは原因が見つからない
- 繰り返すお腹の痛みや不快感
- 長く続く下痢、または便秘と下痢を繰り返す
- 食事量は変わらないのに体重が減る
- 原因がわからない吐き気や嘔吐
子供の症状
- 繰り返すお腹の痛みや、学校を休みたくなるほどの腹痛
- 血便や黒い便
- 成長曲線から外れるほどの体重増加不良や身長の伸びの悪さ
- 食欲がない、顔色が白っぽく見える
- 小児では検査中じっとしていられないことがあり、眠らせて行う場合もあるため、実施できる施設は限られます
高齢者の症状
- 動悸や息切れ、立ちくらみなど、貧血による症状が最初のきっかけになることが多い
- 持病の薬(血液を固まりにくくする薬など)の影響で出血しやすくなっている場合がある
- 飲み込みの力が弱っていると、カプセルを飲めないことがあるため、事前の確認が大切
- 複数の持病の薬を飲んでいる場合は、検査前に主治医と薬の調整を相談する
原因
主な原因
- この検査は病気そのものではなく、原因を調べるために行います。必要になる主な理由は次のとおりです。
- 小腸の血管の異常(血管が拡張して出血しやすくなる状態など)からの出血
- 小腸の炎症(クローン病など)による粘膜の傷や出血
- 小腸の腫瘍やポリープ
- 胃カメラ・大腸カメラでは見つからない、原因不明の鉄欠乏性貧血
- 一部の痛み止めを長く使うことで起こる、小腸の粘膜の傷
リスク要因
- ペースメーカーや体内式の除細動器など、電磁波の影響を受ける機器が体内にある(検査を受けられないことがあります)
- 飲み込みがうまくできない、または食道や腸が狭くなっている可能性がある
- 過去にお腹の手術を受けた、または腸閉塞になったことがある
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある
- 血液を固まりにくくする薬を飲んでいる(止血が必要になったときの備えが必要)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 黒い便や血便が出た、または続いている
- 立ちくらみ、動悸、息切れ、顔色の悪さがある
- 強い腹痛、発熱、嘔吐がある
- カプセルを飲んだあと、お腹の張りや痛みが強くなってきた
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で貧血を指摘されたが、原因がわからないと言われた
- 胃カメラと大腸カメラを受けたのに、症状の原因が見つからない
- 繰り返す腹痛・下痢・体重減少が数週間以上続いている
- 家族に小腸の病気や大腸の病気の人がいる
診断
カプセル内視鏡は、いきなり最初に行う検査ではありません。まず問診と血液検査、便の検査、胃カメラ、大腸カメラなどを行い、それでも出血や症状の原因が見つからないときに、小腸の検査として検討されます。検査の前に、カプセルが腸で詰まらないかどうかを確認するための検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察(症状の経過、飲んでいる薬、既往歴の確認)
- 血液検査(貧血の程度や炎症の有無を調べる)
- 便の検査(目に見えない出血がないか調べる)
- 胃カメラ検査と大腸カメラ検査(小腸以外の原因を先に確認する)
- 腹部CT検査や小腸のレントゲン造影検査
- パテンシーカプセル(腸が狭くないかを確かめるための、体の中で溶ける試験用カプセル)
- 小腸カプセル内視鏡検査(実際の検査)
診察で予想されること
検査の前日から、指示に従って食事の内容や時間を調整し、当日は腸の中をきれいにするための洗浄液を飲むことがあります。検査当日は、レコーダーをベルトで体に装着し、水と一緒にカプセルを飲みます。飲んだあとは、歩いたり座ったりして普段どおり過ごしながら、半日ほどレコーダーを身につけます。検査中は強い運動や水にぬれることを避けます。多くは日帰りで、決められた時間にレコーダーを返却します。カプセルは自然に出てくるので、便と一緒に出たかどうかを確認します。結果は数日から2週間ほどで説明されるのが一般的です。
治療
カプセル内視鏡は「調べる検査」であり、それ自体が治療ではありません。検査で見つかった病気に応じて、治療の方針が決まります。検査の結果、特に問題が見つからなければ、それも大切な情報になります。
自宅でのセルフケア
- 検査前の食事制限や、飲んでよい薬・中止する薬についての指示を必ず守る
- レコーダーを装着している間は、強い運動や入浴など水にぬれる行為を避ける
- カプセルが便と一緒に出てきたかどうかを確認し、指示された期間内に出ない場合は医療機関に連絡する
- 検査後に強い腹痛、発熱、嘔吐などがあれば、我慢せずにすぐ連絡する
- 検査結果を説明されたら、次にいつ受診すればよいかを確認しておく
医療治療
見つかった病気によって治療は変わります。出血している場所があれば、内視鏡を使って止血する処置が行われることがあります。炎症がある場合は、炎症を抑える治療や食事の工夫が中心になります。貧血がある場合は、原因に応じた治療とあわせて貧血の改善を目指します。治療の内容や期間は、担当の医師から詳しく説明があります。
手術が検討される場合
腸が狭くなっている場合や腫瘍が見つかった場合、内視鏡での止血が難しい出血が繰り返す場合には、手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、検査結果と全身の状態をあわせて判断されます。
この病気と共に生きる
検査を受ける前は、食事や薬の指示を守ることがいちばん大切です。検査後は、カプセルが出てきたかどうかを確認しながら、いつもどおりの生活に戻れます。検査で病気が見つかった場合は、治療の予定に合わせて生活のリズムを整えていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 便の色や回数など、気になる変化をメモしておくと診察で役に立ちます
- 水分をこまめにとり、無理な絶食や自己判断での食事制限をしない
- 飲んでいる薬は、自己判断で中止せず、必ず医師や薬剤師に相談する
- 痛み止めを長く使う必要があるときは、市販薬も含めて医師・薬剤師に伝える
- 睡眠と休息を十分にとり、体調の変化を見逃さない
食事と運動
特別な食事制限が必要かどうかは、見つかった病気によって変わります。検査の前後は指示に従うことが大切ですが、それ以外の期間は、バランスのよい食事とほどよい運動を心がけることが体調を整える助けになります。強い貧血があるときは、息苦しさを感じない程度の軽い運動から始め、無理をしないようにしましょう。
精神的健康と心の健康
「原因がわからない」「検査で何か見つかったらどうしよう」という不安は自然な気持ちです。検査を受けること自体に緊張する人も多くいます。不安が強いときや、結果を待つ間に眠れない日が続くときは、一人で抱え込まず、医師や看護師、身近な人に話してみてください。気持ちのつらさが続く場合は、心の相談窓口を利用することもできます。
予防
カプセル内視鏡は検査なので、それ自体を予防するという考え方はありません。ただ、気になる症状を早めに相談し、貧血を指摘されたら放置しないことが、小腸の病気を早く見つけることにつながります。また、痛み止めの使い方を主治医と相談しておくことは、小腸の粘膜を守る助けになります。
検診プログラム
症状がない人にカプセル内視鏡を行うことは一般的ではありません。健康診断で貧血や便の異常を指摘されたときは、まずかかりつけ医に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 原因不明の出血をそのままにすると、貧血が少しずつ進み、息切れや立ちくらみが強くなることがあります
- 小腸の炎症や腫瘍の発見が遅れることがあります
- 検査そのものの合併症として、カプセルが腸で詰まってしまう(カプセル滞留)ことがまれにあります
- ごくまれに、詰まったカプセルが腸閉塞の原因になることがあるため、排出されないときは連絡が必要です
長期的な見通し
カプセル内視鏡は、これまで見えにくかった小腸を調べられるようになった検査で、多くの人にとって安全に行えます。カプセルが自然に出てこないことはまれで、その場合も内視鏡や手術で取り出す対応がとられます。検査を受けることで原因がはっきりし、適切な治療につながることも少なくありません。不安な点は、遠慮なく医療者に質問してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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