心電図(ECG・EKG)検査 — 心臓の電気を記録する検査
概要
心電図(しんでんず)は、心臓が打つたびに生まれる小さな電気の信号を、体の表面から記録する検査です。英語の略でECGやEKGとも呼ばれます。心臓のリズムが整っているか、電気の通り道に問題がないか、心臓の筋肉に負担がかかっていないかを、痛みなく10分ほどで調べられます。検査そのものは治療ではなく、体の中で何が起きているかを知るための「記録」だと考えてください。
重要な事実
- 痛みはありません。胸と手足に電極を貼るだけで、注射も放射線も使いません。
- 安静時の検査は10秒ほどの記録で、着替えを含めても10〜15分ほどで終わります。
- 結果はその日のうちに説明されることが多く、必要なら24時間つける検査などを追加します。
とてもよく行われる検査です。健康診断、手術の前の確認、動悸や胸の不快感の相談など、さまざまな場面で行われています。特別なものではなく、安心して受けられる検査です。
年齢を問わず、必要がある人なら誰でも受けられます。動悸や胸の痛みを感じる人、健診で心臓の異常を指摘された人、高血圧や糖尿病などで心臓の負担が心配な人、手術を受ける予定の人、家族に心臓病や不整脈の人がいる人などが対象になります。
症状
- 胸の真ん中が強く痛む、または締めつけられる感じが15分以上続く
- 冷や汗、吐き気、息苦しさを伴う胸の痛み
- 意識を失った、倒れて反応が鈍い
- 会話もできないほどの息苦しさ
- これらのどれかに当てはまるときは、ためらわず119番に電話してください。
- ⚠動悸が数時間続く、または何度も繰り返す
- ⚠脈がとても速い、またはとても遅いと感じる
- ⚠ふらつきや立ちくらみが続いている
- ⚠軽い胸の不快感や息切れが繰り返し起こる
- ⚠足のむくみが急に増えた
- ⚠健診で「心電図の再検査が必要」と言われた
一般的な症状
- 動悸(どうき)— 心臓がドキドキする、脈が速いと感じる
- 胸の不快感、締めつけられる感じ、圧迫感
- 脈が飛ぶ、脈が乱れる感じがする
- 息切れ、階段の上りで息が上がりやすい
- めまい、立ちくらみ、ふらつき
- 失神(一瞬、意識が遠のくこと)
- 疲れやすい、体がだるい
- 足のむくみ
- 健康診断や手術前の検査で「心電図に異常がある」と言われた
- 家族に心臓病や若くして亡くなった人がいて、一度確認しておきたい
- なお、心電図は症状ではなく検査です。症状がなくても、健診や手術前の確認のために行うことがあります。
子供の症状
- 子どもでも必要があれば行います。泣いてしまっても短時間で終わるので心配いりません。
- 動悸、失神、運動中の息切れ、生まれつきの心臓の病気の経過観察などで行うことがあります。
- 緊張しやすいので、検査の前に「痛くないよ」と伝えてあげると安心してくれます。
高齢者の症状
- 高齢になるほど脈の乱れや心臓の負担が増えるため、健診や手術前の検査で行う機会が増えます。
- 脈が遅くなるタイプの不整脈は、めまいや失神として現れることがあります。
- 複数の持病がある方は、薬の影響を確認する目的で心電図を行うこともあります。
原因
主な原因
- 動悸や胸の痛み、息切れなどの症状の原因を調べるため
- 健康診断で心臓の異常を指摘されたとき
- 手術や処置の前に、心臓が安全に耐えられるかを確認するため
- 治療の効果や薬の影響を確認するため
- 家族に心臓病や不整脈の人がいて、一度確認しておきたいとき
リスク要因
- 脂質異常(コレステロールや中性脂肪が高い状態)
- 喫煙(受動喫煙も含む)
- 肥満や運動不足
- 心臓病の家族歴
- 過度の飲酒
- 睡眠時無呼吸(いびきがひどい、日中とても眠い)
- 強いストレス、睡眠不足、カフェインのとりすぎ
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 動悸が止まらない、または繰り返し起こる
- 脈が飛ぶ感じが続いている
- 軽い胸の不快感や息切れが続いている
- ふらつきや立ちくらみが続いている
- 健診で心電図の異常や要再検査を指摘された
定期受診を予約すべき場合:
- 動悸をときどき感じるが、すぐに治まる
- 家族に心臓病の人や、若くして亡くなった人がいる
- スポーツや旅行など、体に負担のかかる予定の前に一度確認しておきたい
- 血圧や血糖を指摘されていて、心臓への影響も気になる
診断
検査はとてもシンプルです。ベッドに仰向けに寝て、手足と胸に電極を貼ります。ジェルがひんやりする程度で、痛みや熱さはありません。体を動かさず、力を抜いて普通に呼吸をしている間、10秒ほど記録します。終わったらジェルを拭き取っておしまいです。
行われる可能性のある検査
- 安静時12誘導心電図(寝たまま記録する基本の検査)
- 運動負荷心電図(歩行や自転車で体を動かしながら記録する)
- ホルター心電図(24時間つけて、日常生活の中での記録をとる)
- 長時間貼り付け型の心電図やイベントレコーダー(症状が出たときの記録をとる)
- 携帯型・ウェアラブル心電図(自宅で短時間記録できるもの)
- 心エコー(超音波で心臓の形や動きを見る検査)
- 血液検査(心臓の筋肉の負担や、体内の塩分バランスを調べる)
- 胸部レントゲン
診察で予想されること
予約のときに検査前の過ごし方について指示があれば、それに従ってください(カフェインや運動、喫煙、塗り薬について案内されることがあります)。当日は胸を出しやすい服装で、汗を拭くタオルがあると安心です。結果は多くの場合その日のうちに説明され、必要なら追加の検査の予約をします。結果を待つ間は、いつもどおりに過ごして大丈夫です。
治療
心電図は検査なので、それ自体に治療はありません。結果をもとに、様子を見てよいか、生活習慣を見直すか、詳しい検査や治療が必要かを、医師と一緒に決めていきます。多くの人は「異常なし」で終わります。
自宅でのセルフケア
- 検査の前に指示された飲み物や運動、喫煙は控える
- 検査の前はゆっくり座って呼吸を整え、体の力を抜く(緊張すると記録が乱れやすくなります)
- 胸を出しやすい服装、タオル、汗拭きを持っていく
- 気になる症状があった日時や、どんなときに起きたかをメモしておく
- 結果の説明はメモをとるか、家族と一緒に聞くと安心
- 検査の後に気になることがあれば、遠慮なく医師や看護師に伝える
医療治療
結果に応じて方針は変わります。たとえば、生活習慣の見直しだけでよい場合、定期的に心電図で経過を見ていく場合、薬で心臓の負担や脈の乱れを整える場合、カテーテルという細い管を使った処置や、心臓のリズムを支える小さな機器を入れる場合などがあります。どの方法が合うかは、症状・年齢・他の持病によって変わるので、医師とよく相談してください。薬の名前や量については、ここではお伝えしません。処方についての疑問は、医師や薬剤師に聞いてください。
手術が検討される場合
症状の種類によっては、脈を作る部分を焼いて整えるカテーテル治療や、脈が遅くなりすぎるときにリズムを支える小さな機器を入れる処置が検討されます。必要かどうかは、検査の結果と日ごろの症状をあわせて総合的に判断します。「手術」という言葉に不安を感じたら、どうして必要なのか、ほかに選択肢はないかを遠慮なく質問してください。
この病気と共に生きる
検査の結果が「異常なし」であれば、普段どおりの生活で問題ありません。経過観察になった場合も、多くは日常生活を続けながら定期的に確認していく形になります。動悸やめまいを感じたときに、いつ・どんな状況だったかをメモしておくと、次の診察でとても役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- たばこを吸わない(受動喫煙も避ける)
- お酒はほどほどにする
- 睡眠を十分にとる
- カフェインのとりすぎに気をつける
- 適正な体重を保つ
- ストレスをためず、息抜きの時間をつくる
- 血圧・血糖・コレステロールなどの持病の治療を続ける
食事と運動
食事は塩分を控えめにし、野菜・魚・大豆製品をバランスよくとると心臓にやさしい食事になります。運動は早歩きなどの中くらいの強さを、無理のない範囲で続けるのがおすすめです。運動中に胸の痛み、強い息切れ、めまいが出たら中止して医療機関に相談してください。運動を始める前に心配があれば、医師に確認しておくと安心です。
精神的健康と心の健康
動悸があるときや結果を待つ間は、どうしても不安になりやすいものです。不安で眠れない、食欲がない、同じことをぐるぐる考えてしまうといった状態が2週間以上続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の保健センター、相談窓口に話してください。つらい気持ちを話すこと自体が、心の負担を軽くします。
予防
心電図検査そのものを防ぐ必要はありませんが、心臓の病気のリスクは日々の生活で下げることができます。血圧・血糖・コレステロールを整えること、禁煙すること、適度に体を動かすことが土台になります。
検診プログラム
日本では、健康診断(特定健診など)に心電図が含まれることがあり、対象は年齢や自治体・職場によって異なります。家族に心臓病が多い人や、動悸が気になる人は、健診を待たずにかかりつけ医に相談してもよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 検査を受けずにいると、脈の乱れや心臓の負担のサインを見逃すことがあります。
- 見逃された不整脈で、めまいや失神を繰り返すことがあります。
- 心臓の病気が進んで、息切れやむくみが強くなることがあります。
- 治療を始めるのが遅れると、選べる方法が限られてくることがあります。
長期的な見通し
心電図は、体の中で起きていることを早く知るための、痛みのない頼れる道具です。多くの人は「異常なし」で終わります。変化が見つかった場合も、生活の見直しや経過観察で対応できることが多く、必要な治療を早めに始められるほど安心につながります。心配なことは、遠慮なく医療者に聞いてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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