肝臓・脾臓シンチグラフィ(肝脾シンチ)検査
概要
肝臓・脾臓シンチグラフィは、肝臓と脾臓の形・大きさ・はたらきを画像で調べる検査です。検査薬(ごく微量の放射性物質を含む液体)を腕の血管から注射し、肝臓や脾臓の細胞がそれを取り込む性質を利用して、専用のカメラで腹部を撮影します。CTやMRIが「形」を細かく写すのが得意なのに対して、この検査は「その部分がきちんとはたらいているか」を知るのが得意です。検査そのものはほとんど痛みがなく、多くの場合は日帰りで受けられます。
重要な事実
- 腕に1回注射をするだけで、撮影中の痛みはほとんどありません。
- 体が受ける放射線の量はごくわずかで、安全に配慮して行われます。
- 検査にかかる時間は、注射や待ち時間を含めておよそ1時間〜1時間半程度です。結果はふつう後日、担当医から説明されます。
肝臓や脾臓を調べる画像検査として、以前から広く行われてきた一般的な検査です。最近は超音波検査やCT、MRIが先に使われることが多くなりましたが、脾臓のはたらきを見たいときや、肝臓の一部がきちんと機能しているかを確かめたいときなどに、今も必要に応じて行われています。
肝臓の病気が疑われる方、脾臓が大きいと言われた方、血液の病気で脾臓の状態を知りたい方、肝臓の手術や治療の前に肝臓のはたらきを確かめたい方などが対象になります。子どもから高齢者まで、必要に応じて行われます。
症状
- 急に激しいおなかの痛みが起きた
- 血を吐いた、黒い便や血の混じった便が出た
- 意識がもうろうとしている、会話がかみ合わない
- 呼吸が苦しい、顔色が青白い
- 高熱が続き、ぐったりしている
- ⚠皮膚や白目の黄色みが急に強くなった
- ⚠おなかが急にふくらんだ、張りが強い
- ⚠発熱がある
- ⚠痛みが増してきた、食欲がなく水分もとれない
- ⚠検査の注射をした部位が赤く腫れて強く痛む
一般的な症状
- 健康診断や血液検査で、肝臓の数値の異常を指摘された
- おなかの右側(右の肋骨の下)に張りや軽い痛みがある
- 脾臓が大きいと言われた、おなかの左側が張る感じがする
- 皮膚や白目が黄色っぽいと言われた(黄疸)
- 原因がはっきりしない疲れやすさ、だるさが続く
- 貧血や血小板の異常など、血液の病気で脾臓の評価が必要と言われた
- 肝臓の手術や治療の前に、肝臓のはたらきを詳しく見たいと言われた
子供の症状
- 小さいお子さんはじっとしているのが難しいことがあるため、検査の前にやさしく説明して安心してもらいます。場合によっては眠くなるお薬を使うことがあります。
- 保護者の方が付き添えることが多いですが、当日の流れは施設によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
- 注射や待ち時間が不安なお子さんには、前もって「どんなことをするか」を伝えておくと落ち着いて受けやすくなります。
高齢者の症状
- 持病のお薬、腎臓のはたらき、水分の状態などを事前に伝えてください。
- 長時間同じ姿勢でいることが負担になる場合は、検査前に相談できます。
- 付き添いの方や帰りの移動手段も、あらかじめ確認しておくと安心です。
原因
主な原因
- 肝臓の病気(肝炎、肝硬変、脂肪肝など)の状態を評価するため
- 脾臓が大きくなっている、または脾臓のはたらきを調べたいため
- 溶血性貧血や血小板の減少など、血液の病気に脾臓が関係しているかを知るため
- 肝臓の中のできものが、肝臓としてのはたらきを持っているかの参考にするため
- 肝臓の手術や治療の前に、肝臓のはたらきを確かめるため
- 門脈という血管の流れの状態を評価するため
- アミロイドーシスなど、全身の病気が肝臓や脾臓に及んでいるかを調べるため
リスク要因
- ウイルス性肝炎(B型・C型)にかかったことがある
- お酒を多く飲む習慣がある
- 脂肪肝、肥満、糖尿病を指摘されている
- 血液の病気で通院している
- 健康診断で肝臓の数値の異常や脾臓の腫大を指摘された
- 家族に肝臓の病気の人がいる
- 妊娠中・授乳中である(検査薬の影響を考えますので、必ず事前に伝えてください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 皮膚や白目の黄色みが急に強くなった
- おなかが急にふくらんだ、張りが強い
- 発熱がある、痛みがどんどん強くなる
- 水分がとれない、ぐったりしている
- 血を吐いた、黒い便が出た(この場合は救急要請を検討してください)
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で肝臓の数値の異常を指摘された
- 脾臓が大きいと言われた
- 右の肋骨の下の張りや痛みが続いている
- 原因のわからない疲れやすさ、だるさが続いている
- 血液の病気で、脾臓の評価が必要と言われた
診断
この検査自体が「状態を知るための検査」です。担当医は、問診・診察・血液検査・超音波検査などの結果と組み合わせて、肝臓や脾臓の状態を総合的に判断します。シンチグラフィの画像だけで病名が決まることはなく、ほかの検査とあわせて考えていきます。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察
- 血液検査(肝臓のはたらき、血球の数など)
- 腹部超音波検査
- CT検査・MRI検査
- 肝脾シンチグラフィ(今回の検査)
- 必要に応じて内視鏡検査や、肝臓の組織を採る検査
診察で予想されること
当日は、まず問診と、妊娠・授乳の有無、アレルギーの確認があります。腕の血管に検査薬を注射し、肝臓と脾臓に取り込まれるまで20〜30分ほど待ちます。そのあと寝台に仰向けになり、大きなカメラで腹部を撮影します。撮影は10〜30分程度で、痛みはありません。終わったあとは通常どおり帰宅でき、食事や日常生活の制限もほとんどありません。検査薬が体から抜けやすくなるよう、水分を多めにとるように案内されることがあります。結果は画像を読む時間が必要なため、多くは後日になります。
治療
この検査は治療ではなく、体の状態を知るための検査です。結果をもとに、治療が必要かどうか、どのような方針で進めるかが決まります。異常が見つからなかった場合は、症状の原因を別の角度から調べていくことになります。
自宅でのセルフケア
- 検査前の食事や服薬について、施設の指示に必ず従う
- 妊娠の可能性、授乳中かどうか、アレルギーの有無を必ず伝える
- 検査後は水分を多めにとる
- 結果を聞くときに聞きたいことをメモしておく
- 気になる症状があれば、次の受診を待たずに相談する
- 結果の説明は、できれば家族などと一緒に聞く
医療治療
検査の結果に応じて、治療の必要性が検討されます。生活習慣の見直しと定期的な経過観察でよい場合もあれば、原因となっている病気に対する治療が必要な場合もあります。具体的な方針は、検査結果と症状、年齢、ほかの病気の有無をふまえて医師が判断します。治療が必要と言われたときは、その内容と目的、期待できることを遠慮なく質問してください。
手術が検討される場合
手術が必要かどうかは、この検査の結果だけで決まるものではありません。脾臓を取る手術や肝臓の手術が検討されるのは、ほかの検査結果や症状とあわせて総合的に判断されたときです。説明を受けたときは、目的、メリット、注意点をよく確認しましょう。
この病気と共に生きる
検査を受けた日の生活に、特別な制限はほとんどありません。多くは日帰りで、当日から普段どおりに過ごせます。結果が出るまでの間に、気になりすぎて眠れないなど生活に支障が出るようであれば、早めに医療機関に相談してください。
生活習慣のアドバイス
- お酒は量と頻度を意識する
- バランスのよい食事を心がけ、塩分と脂質のとりすぎに注意する
- 無理のない範囲で、適度な運動を続ける
- 十分な睡眠と休養をとる
- 健康診断を毎年受ける
- 処方薬以外のサプリメントや市販薬の使い方に注意し、気になる場合は薬剤師に相談する
食事と運動
肝臓の負担を減らすには、急な減量よりも、無理のない範囲で体重を整えていくことが大切です。野菜やたんぱく質をとり、甘い飲み物や脂っこい食事を減らすなど、続けられる工夫から始めましょう。運動は、早歩きの散歩のように息が少しはずむ程度を、週に数回からで十分です。主治医から食事や運動の制限を指示されている場合は、そちらを優先してください。
精神的健康と心の健康
検査結果を待つ間は、不安で落ち着かない、眠れない、何度も考えてしまうといったことが起こりがちです。これは自然な反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、かかりつけ医に気持ちを話してみてください。不安が強く続いて日常生活に支障があるときは、医療機関や地域の相談窓口に相談してください。気持ちが追い詰められてつらいときは、ためらわずに身近な人や医療機関、地域の相談窓口を頼ってください。
予防
この検査そのものを予防するという考え方はありません。ただし、肝臓や脾臓の病気を早く見つけて重症化を防ぐことはできます。健康診断を毎年受け、気になる症状を我慢しないことが大切です。
ワクチン
ウイルス性肝炎の中には、ワクチンで予防できるものがあります。B型肝炎のワクチンは日本でも接種が進められています。自分に必要かどうかは、かかりつけ医やお住まいの自治体の案内で確認してください。
検診プログラム
日本では、健康診断や職場の健診で肝臓の数値を確認できます。肝炎ウイルス検査は、自治体の助成で受けられる場合があります。対象や受け方については、お住まいの自治体の案内をご覧ください。厚生労働省も肝炎対策に関する情報を提供しています。
合併症
治療しない場合
- 肝臓の病気の進行に気づくのが遅れることがある
- 脾臓が大きくなることによるおなかの張りや疲れやすさが続く
- 血液の病気が隠れている場合に見逃されることがある
- 症状の原因がわからないまま、不安な状態が長引く
長期的な見通し
肝脾シンチは体への負担が少ない検査で、多くの場合、結果をもとに次の一歩を決めるための大切な情報になります。肝臓や脾臓の病気には、早く見つけて適切に対応することで、安定して長く付き合っていけるものが少なくありません。結果について気になることがあれば、遠慮なく主治医に質問してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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